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2020年04月19日

「環境条件下で、できることをする」

永井荷風が日本人は理想というものを持たず「その日その日を気楽に送ることを第一となすなり」と指摘しているという。(日経新聞 春秋 2020.3.29)
そうかもしれないが、今回のコロナウイルス感染症は、国民全員を一大不安にした。そこへ政府の緊急事態宣言、対象地域を2020年4月16日から5月6日まで全国に拡大した結果、外出自粛を要請された我々は、今までの生活スタイルを一変させることになった。
行動範囲が家庭内のみになり、食べて、寝る生活となって、不健康状態に陥りやすいので、各メディアからは家庭内でできる運動方法がいくつも提案されている。
筆者は、今までジムで行っていたストレッチを毎日食後に行って、血糖値を上げないようし、あとは散歩を大体60分程度するようにしている。
皆さんも、それぞれ工夫されていると思うが、その前提としては「自分」株式会社の社長という考え方がよろしいのではないかと思っている。
カナダ・ヨーク大学のモシェ・ミレブスキー教授が「人生100年時代の資産管理術」という本で著した言葉である。(日経新聞 大機小機 2020.3.31)
一人ひとりが「自分」株式会社の最高経営責任者(CEO)兼最高財務責任者(CFO)として、その企業価値を最大化していきなさい――とミレブスキー氏は教えてくれる。
この考え方を採用すれば、毎日の散歩も重要な要素に変化する。一般的に今まで自宅付近地勢に興味が薄く、会社と自宅を往復するだけであったのだから、コロナウイルス感染症は、危機を自己啓発に結びつけるツールになるかもしれない。
つまり、散歩に工夫が必要なのである。荷風が指摘する「その日その日を気楽に送る」のではなく、家庭内の運動と散歩しかなくなった環境条件下では、気楽な散歩から、散歩の積み重ねによって、何かを見つけ、何かを引き出すようにしたいものである。
会社ではトップダウンや計画があったわけだが、今はそことの連絡網が薄れている。だから、日々の営みの中において自分で見つけていくことから、そこから新たな方向性を生み出せるのではないか。いわばちょっとした「気づき」のようなものだが、積み重なると、時に大きな方向転換をもたらし、「創発」という可能性もあるだろう。
自らの事業基盤、知識基盤がいつディスラプトされるか油断ならない時代なのだからこそ、一人ひとりが「創発」の感度を磨く必要があるのではないか。
それを散歩という定まりきった行動の中で見いだしていく。このように考えて行動するならば、コロナウイルス感染症そのものはきわめて怖い存在だが、反面、「自分」株式会社の社長という脳細胞を活性化される糧に成り得るのではないだろうか。
次回からは筆者が行っている散歩から見出した何かをお伝えしていきたい。

投稿者 Master : 2020年04月19日 11:42

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