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2010年01月27日

2010年2月例会ご案内

経営ゼミナール2010年2月定例会(359回)ご案内
2月の定例会は、2月15日(月)に開催します。

講師に中央総合事務所代表の清水洋氏をお迎えして、会社や個人の財産を守るための防衛術についてお話しいただきます。

「先手を打って財産を守れ!会社と個人の資産防衛術」
会社の負債は整理できる!再生できる!

**********

会社の負債は整理できる!再生できる!
日本の景気は大企業を中心に回復基調にあると、景気指数データは語っていますが、中小企業においては依然厳しい状況が続いています。
その中で、政府は企業救済を破綻処理型から再生型へと転換させるべく、次々と法律を制定・改正しています。すなわち、企業の持つ財産と雇用を守り、再チャレンジ可能な法制に転換しているのです。
そのひとつが、第二会社方式という、会社分割による事業再生です。これは新会社を設立し、旧会社が持つ優良な資産を新会社に継がせ、不採算部門や固定資産などの負債部分は旧会社に残し、清算するという方式です。このように、債務超過に陥った会社の負債を切り離し整理する新しい法律が整備されているのです。

民主主義国家は法律が常識を作る!
このようなことが可能になったのは、法律が変わったからです。日本は法治国家であり、そのもとで営まれる民主主義は法律が国民共通のルールとなるのです。「借りた金は命を賭しても返さねばならない」という考えは根拠のない伝統的思考であって、現代では非常識なのです。
重要なのは、法律(ルール)を知ることです。それが、会社の大切な技術や人や財産を守ることに繋がるのです。

ピンチはチャンスだ!
法律はどのように変わり、それによって事業や財産防衛の方法はどのように変化したのか。全国を飛び回り、多くの企業や個人を再生に導く清水氏から、危機の時代にチャンスを掴むためのノウハウをお聞きします。
法律を知ることが、ピンチをチャンスに変化させるのです。企業の経営者の方々には、ご自身の事業体質を見直すまたとないチャンスです。企業再生のプロフェッショナルから直接、具体的対策などを聞くことができる必見の講演会です。


開催日時 2010年2月15日(月)18:30〜20:30

     18:00 集合(食事を用意しています)
     18:15 清水洋氏発表
     19:45 質疑応答
     20:30 終了(終了後、1時間程度の懇親会を予定)

テーマ 「先手を打って財産を守れ!会社と個人の資産防衛術」
発表者 中央総合事務所 所長  清水 洋 氏

【清水 洋氏略歴】
清水 洋(しみず ひろし)
中央総合事務所グループ代表 事業再生研究会会長。
税理士・ファイナンシャルプランナー・経済評論家として、会社と社長個人の資産形成術、企業の合併、再建再生コンサルティング、ファイナンシャルプランナー業と多彩に活動。過去10年間で破産ではなく再生型の手法により、2,000件の実績を持つ再生のスペシャリスト。テレビ、ラジオ、新聞、講演でも活躍中。
著書『財産を無くす人、財産を残せる人』『借金で会社を潰す社長、会社を生かす社長』『ターンアラウンド・マネジメントの基礎と実務』など多数。

場所 東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
   千代田区丸の内1-3-1 Tel:03-5252-3791
   東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)
   アクセス:http://www.kaikan.co.jp/bankersclub/access/access.htm
会費  オブザーバー参加の方は、当日会費として1万円をご用意ください。

お問い合わせ 
 出欠ご連絡先:事務局・田中達也 
 電 話:03−6806−6510/090−4899−5973
 FAX:03−5811-7357(別紙の出欠連絡書をご利用ください)

お申し込みはこちら

投稿者 lefthand : 07:08 | コメント (0)

2010年3月例会の予告

3月の例会は3月15(月)に開催いたします。
ご発表者は、
鴻盛煌商事(こうせいおうしょうじ)代表取締役 内村勇鵬(ゆうほう)氏
です。

中国は、本年度中にも日本のGDPを抜き世界第2位に成長しようとするなど、世界経済を引っぱる経済大国に成長しようとしています。
しかし、その実態はよく分からないというのが実感ではないでしょうか。
それは、我々が目にする情報はメディアからの一面的な情報に留まっていることに起因しているように思います。
今回お話しいただく内村氏は、月の半分を中国で活動され、中国語もご堪能、その行動範囲も各都市〜市町村まで広範囲にご活躍されておられ、共産党の幹部から山奥の田舎の娘やお年寄りの実態まで、中国の表から裏まで知り尽くされておられます。
今回は、実際に現地を体感されている内村氏の視点から、メディア報道では得ることのできない中国の生事情について伺おうと思います。
そのため、あえて題目を設定せず、内村氏のお話を材料にディスカッションしていく形式といたします。
今の中国の生の実態を知り、我々の中国への理解基準を探る絶好の機会です。
3月の例会にご期待ください。

投稿者 lefthand : 07:05 | コメント (0)

2010年01月26日

2010年1月例会報告

経営ゼミナール1月例会報告
『二番底は来る・だが来ない』
経営ゼミナール代表 山本 紀久雄

1月の経営ゼミナール例会が行われましたのでご報告申し上げます。
今回は、年初恒例の山本紀久雄代表による2010年の日本経済の動向についてお話しいたしました。

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*****

山本代表の今回の講演タイトルは『二番底は来る・だが来ない』。果たして来るのか、来ないのか。如何なる意味を包含しているのでしょうか。
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山本紀久雄代表

日本経済は二番底へ

マスコミ報道や識者の意見などを聞きますと、日本経済は二番底に陥るとの見解を耳にします。
山本代表が示された例を取り上げてみます。
まずは日本経済新聞が行った社長100人へのアンケート結果。ほぼ半数の人が、すでに陥っている〜陥る可能性が高いと回答しています。また、株式会社しまむらの藤原秀次郎氏は、景気はもう一段底へ行くとみている、それは、米国経済に底があると見ているから。また、消費者の生活防衛意識が強く、この不景気は長引く、とも語っています。

データから見ると景気は着実に回復

一方、景気動向を示すデータを見ますと、日本の景気は回復基調にあることが示されています。
山本代表提供の資料に、CI(コンポジット・インデックス)とDI(ディフュージョン・インデックス)という指数があります。これらは景気の動きをあらわす指数ですが、この推移を見てみますと、総合指数においては2009年3月から前月差がプラスに転じています(下図参照)。

(クリックで拡大します)

また、OECD景気先行指数においても、2009年4月からプラスに転じているのです(下図参照)。

(クリックで拡大)

すなわち、数字で見る限り、日本は昨年の4月から回復の途上にあると判断されるのです。

景気回復は大企業

その景気回復の中身を見てみますと、回復基調にあるというデータは、大企業が牽引していることが分かります。
こちらも山本代表の資料から、図を参照してみます。

(クリックで拡大)

図中の右の表を見ますと、大企業は2008年12月からマイナスに転じ2009年3月に急激に悪くなりましたが、その後ゆっくりと回復しています。一方、中小企業は、2009年以前からずっとマイナス水準で推移しています。このことが、景気の回復を実感できないことの原因ではないでしょうか。

小泉政権時、日本のGDPはプラスに転じ、景気は回復したといわれていました。このときも、大企業が業績を回復させました。そしてその中身は輸出によるもので、外需関連の産業が中心でした。このときも、データ上に見る景気回復と生活ベースでの景気回復感に乖離があったのは、記憶に新しいことです。

このとき、日本経済の回復は外需を積極的に取り入れることだということを学びました。小泉政権時の景気回復が示した事例は、外需を伸ばすことが、景気回復に必要な要件であるということを示していたのです。

日本が覚悟すべきこと

GDP成長率から判断する限り、日本経済はこの20年間成長していないことが明らかです。そして、僅かに成長を見せた小泉政権時は、外需が成長を牽引しました。
このことから判断すれば、日本の景気は内需主導型では回復することができないのです。
日本人は価値観を変えることが必要と、山本代表は語ります。
そして、この言葉を例に取りました。
「大日本主義を棄てることは、国土を小さくすることではなく、世界全体を我が国土として活躍すること」(東洋経済新報社説・石橋湛山)
これは何も商品を外国へ輸出するだけを指しているのではなく、内需型と思われる業種も様々に工夫し、世界を市場として視野に入れることが必要なのではないでしょうか。
今やインターネットの登場によって、外国との間の距離や時間の壁は簡単に飛び越えることができます。また、政府が国策として進めている観光立国化政策は、日本を訪れる外国人にお金を使ってもらうことによる外需獲得を意味しています。内需専門と考えておられる業種にも、外需を獲得するチャンスがあるのではないでしょうか。さらにいえば、そうした業種も外需を獲得するための創意工夫を考えることが、今後の業績回復に欠かせない要素なのではないかと感じます。その工夫とは、世界から見た異文化としての日本の魅力、また、日本の技術が持つ信頼性、こういった日本の特徴を外国にアピールすることではないでしょうか。

その一例として、ミシュランガイドに日本の個性的な観光地・温泉を紹介してもらう戦略プロジェクトを進めております。それは、内需型産業が外需を獲得するための新しい仕組みづくりを研究することに他なりません。是非皆様もこのプロジェクトを例に、ご自身のご商売に外需獲得型の流れを取り入れるきっかけとしてご参加くださればと願っております。

(事務局 田中達也・記)

投稿者 lefthand : 11:49 | コメント (0)

2010年01月25日

2010年2月例会ご案内

先手を打って財産を守れ!資産防衛術講座
>>>チラシを見る

経営ゼミナールでは、「企業再生」のプロフェッショナルをお招きし、経営破綻の危機に苦しむ、旅館や個人の再生への方策についてお話を伺います。

会社の負債は整理できる!再生できる!
日本の景気は大企業を中心に回復基調にあると、景気指数データは語っていますが、中小企業においては依然厳しい状況が続いています。
その中で、政府は企業救済を破綻処理型から再生型へと転換させるべく、次々と法律を制定・改正しています。すなわち、企業の持つ財産と雇用を守り、再チャレンジ可能な法制に転換しているのです。
そのひとつが、会社分割による事業再生戦略です。これは新会社を設立し、旧会社が持つ優良な資産を新会社に継がせ、不採算部門や固定資産などの負債部分は旧会社に残し、これを個人債務負担なく清算できるという方法です。
このような債務解決は個人においても適用することができます。例えば、バブル期に5,000万円で購入した土地家屋が、現在の評価額で1,000万円にまで下がってしまったとしますと、差額の4,000万円は自分の財産ではなくなってしまったことを意味します。その架空の財産に向けて債務を負っていることになるのです。これではいつまでも苦しい状態から脱することはできず、子どもに継承するとなれば、財産はないのに負債だけを受け継がせることになるのです。新しい法律下では、この架空の財産4,000万円を切り離して整理することができるのです。そして、残った本当の資産1,000万円に対して、弁済を続ければよいのです。
勿論、そのためにはそれなりの法律に基づいた手続きが必要で、新しい法律に則って、それを実務としている清水氏からご指導・ご教示受けるというのが今回のゼミ内容で、具体的な事例で展開いたします。これからの温泉旅館経営に必須の知識習得の場となると思います。

民主主義国家は法律が常識を作る!
このようなことが可能になったのは、法律が変わったからです。日本は法治国家であり、そのもとで営まれる民主主義は法律が国民共通のルールとなるのです。「借りた金は命を賭しても返さねばならない」という考えは根拠のない伝統的思考であって、現代では非常識なのです。
重要なのは、法律(ルール)を知ることです。それが、旅館の大切な財産を守ることに繋がるのです。日本旅館はそれぞれが個性的な特徴を持つ世界的に特殊な宿泊業態です。このことが全国の温泉ファンを引きつけるのです。一軒ごとに異なる旅館の魅力を守るためにも、第三者の手に渡り個性が失われる救済方法ではない、経営者ご自身の手による再チャレンジの方法を知っていただきたいのです。

ピンチはチャンスだ!
法律はどのように変わり、それによって事業や財産防衛の方法はどのように変化したのか。全国を飛び回り、多くの企業や個人を再生に導く清水氏から、危機の時代にチャンスを掴むためのノウハウをお聞きします。
法律を知ることが、ピンチをチャンスに変化させるのです。旅館経営者の方々には、ご自身の経営体質を見直すまたとないチャンスです。企業再生のプロフェッショナルから直接、具体的対策などを聞くことができる必見の講演会です。

開催日時 2010年2月15日(月)18:30〜20:30

     18:00 集合(食事を用意しています)
     18:15 清水洋氏発表
     19:45 質疑応答
     20:30 終了(終了後、1時間程度の懇親会を予定)

テーマ 「先手を打って財産を守れ!会社と個人の資産防衛術」
発表者 中央総合事務所 所長  清水 洋 氏

【清水 洋氏略歴】
清水 洋(しみず ひろし)
中央総合事務所グループ代表 事業再生研究会会長。
税理士・ファイナンシャルプランナー・経済評論家として、会社と社長個人の資産形成術、企業の合併、再建再生コンサルティング、ファイナンシャルプランナー業と多彩に活動。過去10年間で破産ではなく再生型の手法により、2,000件の実績を持つ再生のスペシャリスト。テレビ、ラジオ、新聞、講演でも活躍中。
著書『財産を無くす人、財産を残せる人』『借金で会社を潰す社長、会社を生かす社長』『ターンアラウンド・マネジメントの基礎と実務』など多数。

場所 東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
   千代田区丸の内1-3-1 Tel:03-5252-3791
   東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)
   アクセス:http://www.kaikan.co.jp/bankersclub/access/access.htm

会費 10,000円(当日会場にて承ります)

お問い合わせ 
 出欠ご連絡先:事務局・田中達也 
 電 話:03−6806−6510/090−4899−5973
 FAX:03−5811-7357

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投稿者 lefthand : 22:39 | コメント (0)

2010年2月例会ご案内

先手を打って財産を守れ!資産防衛術講座
>>>チラシを見る

経営ゼミナールでは、「企業再生」のプロフェッショナルをお招きし、経営に苦しむ企業や、資産継承に悩んでおられる個人への「財産防衛」についての方策を伺います。

自分の財産ではないものにお金を返してませんか?
景気は回復基調にのったといわれつつも、私たちの生活はそれを実感することが少なく、引き続き不景気感が漂っているように感じられます。
その中で、政府は債務者の救済のため、法律を次々と改正しています。
例えば、バブル期に5,000万円で購入した土地家屋が、現在の評価額で1,000万円にまで下がってしまったとしますと、差額の4,000万円は自分の財産ではなくなってしまったことを意味します。その架空の財産に向けて債務を負っていることになるのです。これではいつまでも苦しい状態から脱することはできず、子どもに継承するとなれば、財産はないのに負債だけを受け継がせることになるのです。
新しい法律下では、この架空の財産4,000万円を切り離して整理することができるのです。そして、残った本当の資産1,000万円に対して、弁済を続ければよいのです。

「借りた金は命を賭しても返さねばならない」は非常識!
このようなことが可能になったのは、法律が変わったからです。日本は法治国家であり、そのもとで営まれる民主主義は法律が国民共通のルールとなるのです。「借りた金は命を賭しても返さねばならない」という考えは根拠のない伝統的思考であって、現代では非常識なのです。
重要なのは、法律(ルール)を知ることです。それが、個人の大切な財産を守ることに繋がるのです。

ピンチはチャンスだ!
法律はどのように変わり、それによって事業や財産防衛の方法はどのように変化したのか。全国を飛び回り、多くの企業や個人を再生に導く清水氏から、危機の時代にチャンスを掴むためのノウハウをお聞きします。
法律を知ることが、ピンチをチャンスに変化させるのです。ご自身の財産を見直すまたとないチャンスです。企業再生のプロフェッショナルから直接、具体的対策などを聞くことができる必見の講演会です。

開催日時 2010年2月15日(月)18:30〜20:30

     18:00 集合(食事を用意しています)
     18:15 清水洋氏発表
     19:45 質疑応答
     20:30 終了(終了後、1時間程度の懇親会を予定)

テーマ 「先手を打って財産を守れ!会社と個人の資産防衛術」
発表者 中央総合事務所 所長  清水 洋 氏

【清水 洋氏略歴】
清水 洋(しみず ひろし)
中央総合事務所グループ代表 事業再生研究会会長。
税理士・ファイナンシャルプランナー・経済評論家として、会社と社長個人の資産形成術、企業の合併、再建再生コンサルティング、ファイナンシャルプランナー業と多彩に活動。過去10年間で破産ではなく再生型の手法により、2,000件の実績を持つ再生のスペシャリスト。テレビ、ラジオ、新聞、講演でも活躍中。
著書『財産を無くす人、財産を残せる人』『借金で会社を潰す社長、会社を生かす社長』『ターンアラウンド・マネジメントの基礎と実務』など多数。

場所 東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
   千代田区丸の内1-3-1 Tel:03-5252-3791
   東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)
   アクセス:http://www.kaikan.co.jp/bankersclub/access/access.htm

会費 10,000円(当日会場にて承ります)

お問い合わせ 
 出欠ご連絡先:事務局・田中達也 
 電 話:03−6806−6510/090−4899−5973
 FAX:03−5811-7357

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投稿者 lefthand : 22:22 | コメント (0)

2010年01月20日

2010年1月20日 日本の移民政策の課題

YAMAMOTO・レター
環境×文化×経済 山本紀久雄
2010年1月20日 日本の移民政策の課題

ブラジルの現在実態

今の世界でBRICsという言葉を知らない人はいないだろう。21世紀に入って、世界経済はBRICsに代表される新興国に牽引されて成長している。

その代表国は中国でありブラジルであり、世界経済の中で確かな存在感を示し始めている。特にブラジルは、金融危機の傷が比較的浅く、国内景気は消費主導で底打ちし、豊富な天然資源と、年々向上する工業生産力に支えられ、日米欧や中韓などが進出を競っている国である。ブラジル市場を制するものが、世界の新興市場を制する、そんな時代が到来する可能性が高いのではないかということが、昨年12月に訪問したサンパウロの街を歩いていると実感できる。

ブラジルの政治実態

その背景にあるのは、まず、政治の力である。ブラジルの2010年現在の大統領は、左派・労働党のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァで、2003年に「飢餓ゼロ」計画を打ち上げ、貧困家庭向けの食料援助や援助金制度などを推進した結果、これは日本の民主党が行おうとしている子供手当に通じる政策であるが、貧困家庭の生活水準改善が着実に進み、経済発展に取り残されていた内陸部へのインフラ整備も進めている。外交面では、南米統合へのリーダーシップも発揮し、2006年10月に行われた大統領選挙で、貧困層の圧倒的な支持を得て再選された。現在のブラジルは次図の成長ぶりである。
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ブラジルは内需中心で成長している

また、ブラジルの成長は次図の通り低所得層のウェイトを約10%減らし、その分を中間層の増加で進めている。つまり、貧富の格差を解消しつつ、成長しているのであり、これは中国とは大きく異なる実態であることを前提として理解したい。
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ビックイベントの開催

これに加えて、ブラジル成長の背景には「2009年10月2日に開催された国際オリンピック委員会(IOC)第121回総会で、16年の五輪がリオデジャネイロで開催されることが決定。南米大陸初の開催で、ブラジルは14年のサッカー・ワールドカップ、16年五輪と大規模イベントの開催が続く。オリンピックによる経済効果は大きい」がある。

日系三世から聞いたこと

ところで、サンパウロで夕食を一緒にした若い女性、彼女は日系三世だが、彼女から受けた質問、それが今でも強く印象に残っている。
「自分はイタリア・スペイン系のボーイフレンドと結婚する予定だが、親戚は皆日系人と結婚済みか、日系人を希望している。日本人は外国人が嫌いなのか」というもの。
「そんなことはない」と答えたが、内心忸怩たるものがあった。
1908年6月、ブラジル・サントス港に781家族が笠戸丸で着いて102年、現在、ブラジルには120万人の日系人を数えるが、そのすべての人ではないとしても、彼女から指摘される「日本人の内部に持っている本質」を意識せざるを得ないのは事実だろう。

オーストラリアの移民政策

現在、世界で移民先進国といえばオーストラリアだろう。慶応大学の竹中平蔵教授が日経新聞「経済教室2010年1月7日」で次のように述べている。
「いま世界では、オーストラリアの政策が注目を集めている。背景にあるのは明示的な成長戦略だ。ラッド首相は、現在2,200万人の人口を2035年に3,500万人に増やす計画を表明した」
これによると25年間で1,300万人増やすわけであるから、一年に52万人となる。現在のオーストラリア移民受け入れ数が、15万人であることを考えるとちょっと疑問だが、昨年11月20日のレターでご紹介したM君が市民権を確保しているように、オーストラリアは移民受け入れ先進国であることは間違いない。

日本の移民政策

一方、日本はどうなっているか。鳩山内閣は永住外国人に地方参政権を付与する法案を国会に提出する意向だが、民主党内や自民党にはまだ議論すべきという見解もある。このことの是非は今後としても、国内外の多くの識者が指摘するように、日本が直面する最大の課題は少子化による人口減である。
日本人口の2050年予測は、2009年対比20%減の10,170万人(国連人口基金予測)、この時点で65歳以上が4,000万人、14歳以下が1,500万人、半分以上の5,500万人が労働力から外れるので、経済を管理可能な水準で維持することが難しい。
その対策は、一つは家族政策としての「出産休暇や出産後の職場復帰体制の整備」であり、もう一つは移民政策としての「国境の開放」になるだろう。
ところが、現実の外国人受け入れ実態は、先日、上海で会った中国人を研修生名目で斡旋している企業幹部から聞くところによると、企業は安価な労働力としてのみ受け入れる傾向が強いという。
それも、中国の経済発展によって、大都市では日本に働きに行く人材はいなくなり、今や内陸部の奥深くまで採用に行くらしいが、実際に働く職場は、日本人が敬遠する深夜労働などが多く、当然に低賃金であるものの、本人たちは無駄使いせず、年間何十万と貯金し、中国に帰って、そのお金で家や車を買うという目的で来日するというが、まだ賃金格差が大きい場合は、こういう実態が続くであろう。
しかし、日本経済の低迷状態が長引けば、中国人を含めた外国人の出稼ぎは、経済成長している他国に行く可能性が強まり、日本には来なくなる危険性がある。
もう一つ大問題なのは、現実の日本へ帰化を希望する人々への対応が、非常に冷たいという評価が世界に定着していることで、日本にいる経済的メリットが少なくなると出稼ぎ受け入れ人数も急速に減る可能性が高い。
これらを考えれば、移民政策について真剣に検討すべきタイミングが来ていると思うが、その検討前提として、ブラジル日系人三世の彼女の発言は重要だ。
日本人がもつ外国人に対する感情論、表面から真っ当に発言できないが、日本人が日本人同士で結婚したがる本質、そのところの検討が避けて通れない大問題だ。これをどう解決するのか。それとも解決しないまま人口減を実現するだけになるのか。
移民政策を考えずに2050年を迎えることは恐ろしい。しかし、もっと怖いのは日本人の本質が変わらないことだとすると、その事態の時に、日本人はどういう行動に出るか。それが今から恐ろしい気がする。
ブラジル日系三世女性の発言は日本の未来への警告と受け止めた方がよいだろう。以上。

【2010年1月のプログラム】

1月8日(金)16:00 渋谷山本時流塾(会場)東邦地形社ビル会議室
1月18日(月)18:00 経営ゼミナール(会場)皇居和田蔵門前銀行会館
1月20日(水)18:30 山岡鉄舟研究会(会場)上野・東京文化会館

投稿者 lefthand : 10:01 | コメント (0)

2010年01月06日

2010年1月5日 簡単に頷かない

YAMAMOTO・レター
環境×文化×経済 山本紀久雄
2010年1月5日 簡単に頷かない

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

石破茂氏の講演

昨年12月17日、自民党の政務調査会長である石破茂氏の講演を聞く機会がありました。テレビで見る石破氏のイメージより、実際の本人は物腰やわらかくて、内容は分かりやすく、話し方によどみなく、メモを一切見ないで、過去・現在のデータや人物名を正確に表現するのには感心いたしました。
おかげで最近の政治情勢がよく分かり、自民党内きっての安全保証通といわれるだけあって、沖縄の普天間基地問題への考え方も明確でよく分かり、日米同盟の重要性を再認識いたしましたが、何か大事なことを石破氏は漏らしているのではと感じました。

石破氏の講演に対するアンケート結果

講演会場は満員で、約200名以上がおられたと思います。講演後にアンケートを書いて事務局に出された結果(46名)は以下のとおり高い評価でした。
1.本日の講演会はいかがでしたか。
大変良かった31人 良かった12人 まあまあ3人 不満足0 非常に不満足 0
2.その理由
非常に解りやすく、わが国の課題を話された。 保守の姿が見えた。 わかりやすく、理解しやすかった。もっともっとTVに出て、国民へのPRを欠かさずに頼みます。 率直な考えが聴けた。心に染み入りました。 一度直接、石破氏の話を聴きたかった。大変よかった。頑張って下さい! ポイントがよくわかった。正直。報道だけではわからない側面が見えてきた。 趣旨に賛同できた。政治がわかりやすかった。真実の事項が明確になった。 石破氏の考えと自民党の現状がよくわかりました。熱意が感じられた。 タイムリーな話が多かった。 具体的に解説してくれた。

23年間石破氏は主要な政治家だった

石破氏は1986年衆院議員初当選以来、連続8期当選していて、23年間政治家であると、ご自分で何回も触れました。ということはバブル崩壊後の経済政策に与党自民党の一員として、また、主要閣僚として大きく関わってきたということです。
では、その自民党政治が招いた経済実態を、次ページの国債残高で示してみました。
図の通り、バブル崩壊以前の国債残高水準は、主要先進国とほぼ同じでしたが、その後急激に増加し、その結果、図には記載していませんが、2009年9月末の国債残高は820兆円となってしまい、これは過去10年で倍増、GDP比160%を超え、IMFでは2014年にGDP対比246% になるだろうと予測しています。


(クリックで拡大します)

このIMFの予測に石破氏も触れましたが、何か他人事のような発言でした。
日本経済が長期間低迷しており、膨大な国債残高を抱え、国民が日本の将来に不安感を持っていることは、すべての人に共通していることです。従って、それを解除させるまでとは言いませんが、将来見通しについて何らかの方向性・ビジョンを、石破氏が語ると思っていたのに発言されなかったこと、それが漏れていると感じたことなのです。

日本は非ケインズ効果に陥っている

戦後、日本政府がとり続けた経済政策は、一貫してケインズ政策でした。それをバブル崩壊後も同様で、返って激しく景気対策の名の下に大量の国債を発行してきました。
その結果は「時代の変化に適応力を欠く産業に労働力を釘付けにし、新しい時代に向けての産業構造の転換を遅らせてしまった」ことで、35兆円とも指摘されている今の需給ギャップとなっているのです。
この経済政策の問題点をいち早く指摘したのは、富田俊基氏(中央大学教授)で、1991年のことでした。日本は「非ケインズ効果に陥っている」という発表と、国会での意見陳述と各地での講演、私も次のように直接お聞きした記憶があります。
「国債残高が少ない間は、積極財政が景気を拡大するという効果がある。これは国民が将来の増税を意識しないので、個人消費をするからだ。
しかし、国債残高が高水準に達すると、更なる国債増発は車が壁にぶつかろうとしているのに、アクセルをふかすのと同じ現象を引き起こす。国は壁にぶつかるという心理的恐慌を国民に与え、将来の増税負担という心理状態にさせ、将来の可処分所得の現在価値が下落し、個人消費が抑制される。これが非ケインズ効果だ」
残念ながら、現状はこの指摘のとおりです。あまりにも膨大な国債残高という事態なのに、更なる国債の増発を実施するという経済政策は、ケインズ政策が意図することとは反対の効果で、個人消費は増えず、経済は縮小気味になっていくのです。
ですから、これを石破氏が理解していれば、このことに触れ、非ケインズ効果に陥っているが、今後はこういう経済政策で打開していく、と解説すべきであったのです。
だが、分かっていて敢えて発言しなかったとすれば、聴衆を無視したことになり、ご存じでないとしたら、政治家として大問題でしょう。

中国・上海にて

中国は2008年11月に総投資額4兆元(約60兆円)の景気刺激策を打ち出し、世界中を驚かせた効果は、一時落ち込んだ実質成長率が昨年7~9月期には8.9%に回復することで示しましたが、この実態状況を12月の上海で確認しました。
まず、クリスマスイヴに上海書城という上海一番の書店に入ると、村上春樹コーナーが広くとられていることに驚き、レジに並んでいる客が買い物籠に30冊から40冊入れていて、それも数人が同様の冊数であることにギョッとし、次に向かった南京東路の上海市第一食品では、特AA1級大連産干し海鼠が500g9,800元(14.7万円)に目を疑い、噂に聞いていた日本のリンゴ新世界が一個88元(1,320円)という価格の店内が、買い物客で溢れているすごさに、中国の強い消費意欲を実感したのです。
 加えて、タクシー乗るため歩いた南京路の200m、その僅かな時間に偽物売り、ポン引き、直接寄ってくる若い女性など10人から声掛けられ、吃驚仰天の連続でした。

中国の地方で感じたのは日本と経済背景が異なること

翌日の25日、上海万博会場の真ん中を通る高速道路で、浙江省の寧波まで走り、そこから強蛟鎮(チャンチンチャン)という昔風の海辺の小さな港町に行きました。上海のホテルを出たのが8時半、走った高速にはまだ一か所しかないという、一応きれいだが閑散としたサービスエリアで休憩し、到着したのが13時、4時間半かかりました。距離は上海から約400km。現地では輸出ブランド子供グッズ製造企業の成金風の豊かな顔した社長から、アウディ大型新車で、高速を降りてから強蛟鎮まで案内してもらいましたが、道路は舗装をしていない部分が多く、港も未整備で、これは今後の公共投資が大いに実施される余地があると感じ、これからも景気刺激策は有効だと思いました。
 中国はケインズ政策が有効に利く財政状態ですから、景気刺激策はダイレクトに成長へ結びつきます。対する日本は「非ケインズ効果に陥っている」のですから、中国とは異なる政策を展開すべきで、そのために我々が経済政策組み立てと推進について、簡単に頷かず、本質的な鋭い追及をしていくこと、それが今年最大の課題と考えます。以上。

【2010年1月のプログラム】

1月 8日(金)16:00 渋谷山本時流塾(会場)東邦地形社ビル会議室
1月18日(月)18:00 経営ゼミナール(会場)皇居和田蔵門前銀行会館
1月20日(水)18:30 山岡鉄舟研究会(会場)上野・東京文化会館

投稿者 lefthand : 09:14 | コメント (0)