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2004年04月23日

トヨタ式経営 今村龍之助氏

2004年4月19日「トヨタ式経営・その強さの本質」グル-プ21今村龍之助氏
トヨタ式経営を学んでいる企業は多い。その数は正確には分からないが、アメリカでトヨタ式経営のコンサルタントが2000名程度いるといわれていることからも、トヨタ式経営を導入、または導入を検討している企業は世界に多く存在している。
しかし、そのトヨタ式経営について意外に経営者は知らない。勿論、トヨタの企業業績の素晴らしさは十分に認識しているが、その認識している内容、それがトヨタの生産方法システムのことと思っている経営者が多いのである。トヨタの「カンバン方式」等でトヨタを理解し、その「カイゼン」運動としてのトヨタ経営を認識しているのである。

トヨタ式経営がスタ-トしたのは、昭和25年の労働争議を原点としている。当時のトヨタの労働争議は激しいもので、倒産寸前となって、そこからどのように立ち上がることが必要かという、現場の実践行動改善からトヨタ式経営の追求が始まったのである。当時は、お金がない、社員の気持ちが荒んでいる、世界の自動車業界情報が少なく、日本だけという市場では規模が小さいという状況から、将来の企業生き残りを図るならば、アメリカの自動車産業に追いつかなければダメだという、強い意志を持ったことからスタ-トしたのである。それから54年を経過して、現在のトヨタをみれば、すべての点において日本をリ-ドし、世界の自動車業界をリ-ドし、多くの協賛する企業を育て上げているのである。一優良企業というよりは、社会的な「優良カンバン」としてのトヨタブランドに変化しているのである。この50年間という期間、それは多くの企業も同じく過ごしてきた期間であるという事実、そのことを静かに考えてみれば「人間行動の中味によって結果が大きく異なる」ということ、それが重みを持って迫ってくることを感じざるを得ないのである。
そのトヨタ式経営から学ぶことは何か。外部からみれば、生産方式の改善活動から始まったものが、トヨタの経営理念、それはTOYOTA・WAYであるが、それは社会のため、お客のためという志であるが、その志を歴代経営者が踏襲し、それを社員が吸収し、その結果社員が「考える力」をつけ、その「考える社員」が退社後は他社にスカウトされている事例が多く、それも生産企業だけでなく、サ-ビス産業から学校、病院、郵便局というあらゆる分野に広がっていること、この事実を深く考えなければならない。
考えるポイントはトヨタの社員は、一般企業の社員と異なっているということである。何が異なっているのか。それは「トヨタ式経営に身体が癖づけされている」という事実である。癖づけ、習慣化されているのであるから、トヨタ式経営の実践は当たり前の事で、当然の行動実践であるので自然に実行されるからこそ、経営が改善されていくのである。つまり、企業改善をしようと思うならば、社員の行動習慣の改善変化が必要であるということである。改善行動するための癖づけが身体についたときに、その企業の経営改善は成功し、結果として利益が獲得できるのである。経営改善は社員の癖づけ変化から始まり、そのために経営者の変化が前提として必要であることを理解したい。以上。

投稿者 Master : 22:53 | コメント (0)