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2004年08月23日

若者は問題は大人の問題 玄田有史氏

紙上ワンポイントレッスン 発表者 東京大学社会科学研究所助教授 玄田有史氏

玄田氏の専門は「ニ-ト」である。最近、曲沼美恵氏と共著で「ニ-ト」(幻冬社)を出版しました。ニ-トとはNot in Education,Employment,or Training の頭文字を集めた造語である。このニ-トという言葉が新聞・雑誌に登場し始め、そのニ-トに最も詳しいのが玄田氏である。
今回のゼミ内容ではニ-トということについては直接解説しなかったが、お話している内容はニ-トについての背景を語っていた。ニ-トとは「学校にも職場にも属さず、職業訓練も受けていない若者たち」のことである。これらの人々に対する対応については、ゼミ記録とおりですがここで大事な意識の問題があります。
それは社会が大きく変化したという事実です。人口が減っていくのですから、必ず人口は増え、会社には後輩が入り、社会には若い人が増えるという時代ではないという事実です。この変化はもう大分以前から始まって、そんなことは分かっているといいたいのですが、右上がりの時代の経験が長い我々にとっては、昔の感覚を修正しないまま引きずっているのです。また、経営のあり方が「人件費は固定費でなく変動費である」というリストラ終了企業の経営手法によって、大変化した事実も再認識すべきです。

企業に所属している若い人々、それが以前は「社員」と呼ばれる層でした。だが今は、パ-トも派遣も社員と一緒に混在して、同じ企業目標に向かって働いて、今までとは大きく社内環境が変わっているのですから、若い人に対する対応方法を変えなければならないのです。ところが、相変わらず「頑張れ」としか激励の言葉が浮かばない社長と幹部が多く、それが問題をこじらしているのです。
我々は全員子供時代・若い時代を過ごしてきました。だが、その子供・若輩時代を忘れているのが我々なのです。否、忘れたからこそ大人になったともいえるのですが、それが問題点なのです。ですから、玄田氏のような若い世代の最先端の実態に詳しい上に、それを分かりやすく理論的に整理でき、且つ、魅力的な話法で伝えられる人に努めて会わないといけないのです。
企業内で若い世代の理解を得られない経営者は、社会でお客として構成している若い世代から支持を得られない経営をしてしまう危険性が高いのです。
経営ゼミナ-ルは、そのことを恐れます。若い世代の支持を得るには、まず若い世代のことを学ばねばいけません。そのためには時代の最先端意識を整理して語れる人材に接することです。直接にお話を聞き、質問し、自らの感覚の修正作業をすべきです。そのために経営ゼミナ-ルは、年間のタイミングを図ってこれからも時代最先端人をお呼びしたいと思っております。
今回の玄田氏は正にその目的で来ていただきました。多くの方から共感あふれる感想をお伺いし、これらの企画が大事であると認識しました。今後をご期待下さい。

投稿者 Master : 22:57 | コメント (0)