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2005年11月29日

2006年正会員募集のご案内

経営ゼミナール2006年正会員募集のご案内

経営ゼミナール代表世話人 上田 正臣
同        山本紀久雄 
2005年も師走となりましたが、皆様におかれましては益々お元気でご活躍のことと存じます。
お蔭様で、当経営ゼミナールも12月で313回を迎えることとなりました。313回という長きにわたり開催を出来ましたのも、偏にご参加の皆様方のご支援、ご鞭撻によるものと感謝申し上げます。
今後は更に経営ゼミナールの企画、講演内容を深化させて参ることで、これからも皆様のお役にたつ経営ゼミナールでありたいと思っております。

さて、最近の日本社会の大きな話題といいますと9月に総選挙で、小泉内閣が圧勝したことではないでしょうか。郵政民営化法案も無事通過し、今後は、ポスト小泉が誰になるのか、期待と共に巷の話題になることと思います。
そして「経済界の総理」とも言われる経団連の次期会長が決まりました。
今回初めてIT(情報技術)産業であるのキヤノンの御手洗社長が会長に選ばれる事となりました。
その背景には、「日本がこれから充実しなければいけない先端技術を開発している製造業であり、国際性に優れ、経営のグローバルスタンダード(国際基準)と日本経営のバランスが取れている」と奥田会長がコメントをしているように、これからの日本社会には、国際基準と日本的経営のよさを生かすことのバランス感覚が必要と認められて選ばれたことになります。
御手洗次期会長は、小泉政権の構造改革をサポートしてきた奥田会長の路線を引き継ぐと発言されていますが、今後が期待されます。
 
このように大きく変わる経営環境と時代環境に対応し、成長をし続けていくためには、時代と環境の変化を的確に捉え、つかみ対応する力をつけるよう常に勉強していくことが必要と思われます。
経営ゼミナールでは、従来より脳力開発と情勢判断学の基本・セオリーに立ち、毎月の例会を開催しておりますが、皆様の企業経営の要望に応え、サポートができますよう、よりよい企画をご提案していく所存でございます。
   
さて、06年度の新規企画といたしましては、以下のような企画をご提案してまいります。
1.丸の内時流塾については、今年の結果を参考に、新たなる方向性を模索しつつ、斬新さと古典的の両面から講師を選定していくことで皆様の期待にお応えしたいと思います。
2海外研修は、9月末から金子事務局長が米国NYで展覧会を開催する予定です。さらに代表の山本がNYで山岡鉄舟武士道の講演を行う機会がありますので、その際に、NYの視察と現地企業訪問を予定しております。
日程は、06年10月2日(月)~8日(日)
具体案は、4月頃にご案内予定です。
3.IT専門家の田中達也氏が新たに事務局になりましたのを機会に、会員の皆様にITに関するご相談をお受けするご用意ができました。
特に、話題のブログを活用した販売促進策については、2005年にいくつかの企業で実験し成功をみたので、そのノウハウを発表するとともに、ご希望に応じてノウハウをご提供申し上げます。
その他、来年も2月にパリの農業祭視察を行いますので、新企画としてはご紹介いたしませんが、ご希望の方はご連絡をお願いいたします。

2006年度も経営ゼミナールに是非参加され、皆様の経営の現場に役立つ議論、交流の場として積極的にご活用されますよう、皆様の正会員へのご参加をお待ちしております。
お申し込みは、トップページの「06年正会員募集中」からお願いいたします。

投稿者 Master : 00:41 | コメント (0)

2005年11月28日

06年1月の丸の内時流塾は休会

●06年1月の丸の内時流塾は、休会でございます。

投稿者 Master : 18:23 | コメント (0)

12月時流塾:婦問題を検討

●開催日:12月19日(月)
●12月の丸の内時流塾にも女性講師をお招きして、「妻ともっと仲良くなるために」というテーマで熟年世代の夫婦問題について講演していただきます。

近年、熟年夫婦の問題が一層顕著な社会問題として取り上げられるようになっております。なぜ、このような社会現象にまでなっていったのか、その起因を探り、問題に対する対応を考えて行きたいと思います。
昭和63年に制定された「いい夫婦の日」の選考された理由と説明を考え、また身近ないくつかの実例における夫と妻のそれぞれの言いから双方の本音を探り、個々の実例に基づいて、解決の糸口を見つけて参ります。
今回の講師は、かながわシニア塾の代表である中村寛子氏と同塾会員の志村由紀子氏をお招きして、現代の熟年世代の夫婦問題について解説をしていただきます。

12月19日(月)開催の「丸の内時流塾」にご参加いただき、これからのよりよい熟年世代の夫婦関係を築いていきましょう。
12月の丸の内時流塾をご予定願います。

1.日時:2005年12月19日(月)
16:00~17:30

2.場所:東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号室 
千代田区丸の内1-3-1(皇居和田蔵門前)
TEL:03-5252-3791

3.テーマと講師
「妻ともっと仲良くするために」
かながわシニア塾 代表 中村寛子氏
かながわシニア塾会員  志村由紀子氏

<経歴>
中村寛子氏
1945年福岡に生まれる。国学院大学文学部卒
1987年、宅地建物取引主任者となり、不動産会社に勤務する。
1993年より10年間、国際交流の会にて、外国人の相談窓口業務に係る。
現在、日本語ボランティアの傍ら外国料理の会を主宰。
かながわシニア塾代表

志村 由紀子氏
1949年生まれ 鎌倉市在住
1980年 神奈川県立綜合リハビリセンター看護学校卒業
1980年~94年 看護業務に携わる
1994年~98年 カウンセリング・傾聴力・交流分析・メンタルヘルスなどの専門学を学ぶ。
現在 クリニックに勤務し看護業務
かながわ シニア塾会員

5.参加費:3000円

経営ゼミナール例会にご参加される方は、この丸の内時流塾は無料でございます。多くの方のご参加をお待ちしております

投稿者 Master : 18:20 | コメント (0)

06年1月例会:上田代表の講演

●開催日:06年1月16日(月)
●1月の例会は、上田代表の講演となります。
経営ゼミナール創立者であり、代表である上田正臣氏から、今回新たに作成しましたDVD「経営ゼミナールの発展」をご紹介いただき、創立時の想い、これからの期待を語っていただきます。

又DVDに登場する最初からの会員である村松喜平氏と山本紀久雄代表にも加わっていただき会を進めて参ります。
新年の経営ゼミナールに相応しい企画でございますので、ぜひご参加のご予定をお願いいたします。

投稿者 Master : 18:14 | コメント (0)

2005年11月26日

経営ゼミナール 2005年度活動記録

2005年度の経営ゼミナールの例会活動の記録です。

■経営ゼミナール 2005年度活動記録(講師とテーマ)
1月 銀行再編成、どうなる2005年の金融情勢
講師:北川 宏迪氏
株式会社イムラ封筒監査役
経済アナリスト
2月 来るべきコミュニケーションビジネスの展望
及びそれを支える技術について
-AI技術の再出発-
講師:黄 声揚氏
株式会社ピートゥピーエー
代表取締役
人口知能開発の第一人者
3月 何故フランスがブランド国家となりえたのか
食文化が創り上げたブランド国家フランス
講師:富岡 純一氏
ピエール・ファーブル・ジャポン社社長
元在仏日本大使館一等書記官
4月 少子化と大学淘汰の時代
講師:矢澤 昌敏氏
株式会社NES/クイック教育システムズ
代表補佐役
5月 昨今のマンション事情
講師:鈴木 信男氏
株式会社長谷工アネシス
取締役専務執行役員
6月 不動産と不動産業の変遷
—一般的知識の拡大を図る—
講師:村松 喜平氏
不動産鑑定士
7月 循環型社会の実現「バイオラング」
講師:岩井 理榮氏
赤塚植物園 グループ社長
8月 休会
9月 パレスチナ問題の背景と行方
講師:重信 メイ氏
ジャーナリスト
10月 縄文温泉「志楽の湯」から「言氣」を貰おう
講師:柳 平彬氏
グループダイナミックス研究所所長
11月 今の時代の方向性・・・時流分析
講師:山本 紀久雄氏
経営ゼミナール代表
12月 文化に挑戦
講師:小野寺 マヤノ氏・金子 マサ氏 
日本剪画(せんが)協会事務局長
ぬりえ美術館館長

投稿者 Master : 16:27 | コメント (0)

2005年11月22日

11月例会は山本紀久雄氏の「今の時流・時代を読み、時代と闘う」

山本紀久雄氏の経営ゼミナール発表

2005年11月経営ゼミナールは時流研究家であり、当ゼミナールの代表である山本紀久雄氏の「今の時流・時代を読み、時代と闘う」でした。

発表のポイントは五年前と今の日本経済状況は大きく異なった。全体的によくなっているが、依然としてよくないところもあるという前提から、時代の変化とは「自分に関係なく発生するが、その変化は自分に関わってくる」のであり、その中で行動する経営者は「決断」を続けていかねばならない。予測はするが、その通りにならない現実の中で「決断」し続けなければならない。つまり、決断とは「やってみないと分からない」のであり、「やってみないと分からない」ことを「やる前に決めること」が決断なのである。これが経営者の仕事である。
予測が当たる確立は半々、だから、常に修正していかねばならない。妥当な方向に修正していかねばならない。その修正方向性を定めるには、日頃から時代の流れ・時流方向性を読み取ることしかないし、そのために時代を観察し続ける行動しかない。これが山本紀久雄氏の最終的な主張でした。

決断と、その決断結果に対して妥当な修正をしていく、これらの的確な行動力を期待しております。なお、毎月二回の、時流レポート「YAMAMOTOレター」をご参考にしていただきますと幸甚です。

投稿者 Master : 14:04 | コメント (1)

2005年11月21日 今の時流 山本紀久雄氏

時代の動きは急展開しています。5年前の自分と、今の自分を比較してみてください。経営でしたら自社の業績を5年前と比較してみてください。どういう状況でしょうか。
変化している人、変化していない人、これは日本にも当てはまります。変化している日本と、変化していない日本。
日本経済で見てみたいと思います。

2005年のGDP成長率は11月に世界銀行が発表しました予測で2.3%です。1991年から2004年までの平均GDP成長率が1%強であることを考えますと、その成長振りが目立ちます。成長している中味、それは内需です。個人消費と設備投資が頑張っています。失業率も減りましたし、国富は2005年にいたってようやくバブル崩壊のときから始めて増加に転じる予定です。随分変化しているのです。

しかし、変化していないものもあります。それは地方の商店街に見られるシャッター通りの現実です。相変わらず店は閉まったままです。これをみると日本経済はよくなっていないと感じます。その通りですが、ここで全体を見通すにはどちらに主点をおくかで判断結果が異なってきます。自らの立場をどこにおくかです。
シャッター通りから日本経済を考えるか。それとも2005年のGDP成長率から考えるのか。それによって大きく異なります。

今回の山本紀久雄氏の発表はその立場を決め、そこから考える背景を伝えてくれました。
それは日本のおかれた状況が、過去の政治のあり方を変えたという事実です。
その背景とは時代への認識です。日本の未来は二つの大きな変化に立ち合っています。一つは少子高齢化であり、それは人口減という事実です。もう一つは財政赤字770兆円という、日本国の一世帯あたり2000万円にも及ぶ借金の額、これは誰が考えても政治の失敗でつくってきた事実です。
この二つの時代認識が、今回の選挙の背景にあり、その認識から容易に考えられるのは、もうかってのような政治、それは「日本全国すべてを均衡させた発展」と「行政に多くの支えを期待する」を望むことは困難、という事実です。
ですから、今後もシャッター通りは、その場の人が自ら解決しない限り続きます。これは大事な前提事実です。このところから物事を判断していくことが必要であり、それが時代の流れ・時流をつかむ前提と感じました。   以上。

投稿者 Master : 13:32 | コメント (0)

2005年11月20日

分かりやすさ

   環境×文化×経済 山本紀久雄
    2005年11月20日 分かりやすさ

小泉首相の分かりやすさ

9月11日の衆議院選挙は時代の分かれ目でした。この日まで毎日のようにマスコミを賑わしていた亀井静香氏が、選挙が終わるとパタッとマスコミに登場しなくなりました。
替わって登場してきたのは、新しい閣僚の下で進められている、日本の構造改革への話題で、国と地方の税配分見直し三位一体改革、人件費削減を目指す公務員制度改革、政府系金融機関の統廃合改革、医療制度改革などが、毎日のように新聞一面を賑わしています。
選挙前における亀井氏の考え方は「郵政民営化解散したら、自民党が分裂するし、民主党を有利にするばかりでなく、細川政権が誕生したと同じく、民主党政権となりかねない。だから解散はありえないし、小泉首相は総選挙を脅かしにして、郵政民営化を成立させようとしている」というものでした。この考え方に結構多くの政治家や政治評論家も同調していましたが、結果はご存知の通りです。

総選挙が終わり、内閣組閣直前のタイミングに、ベテラン政治評論家としてテレビでよく見かける、毎日新聞顧問の岩見隆夫氏からお聞きする機会がありました。岩見氏は「小泉さんは分かり難い政治家だ」といい、「まともに考えないほうがよい」「自分は政治記者として40年以上関わっているが、小泉さんは分からない」との発言、続いて「だから内閣の顔ぶれは予想できない」という政治評論家としての職務を放棄したような、一種の諦めに似た感じでした。つまり、過去の永田町事例からは判断できない、それが小泉首相だということです。
ところが、小泉首相の方は「最初から郵政民営化がダメならば解散すると言っていた」と明確です。方針・方向性はぶれていなかったのです。しかし、亀井さんを中心にする「自民党的なるものを」守る人たちは、これをまともに受け取らず、更に郵政民営化反対に拍車をかけてしまい、ドンドン突っ走ってしまい、読み違いもここまでくると悲劇で、無残な結果に終わりました。
悲劇の最大の要因は時代の動きへの感覚誤差です。時流を見誤りました。その上、小泉首相の「言葉の文化」に負けました。小泉首相はシンプルに明確に国民にメッセージを送りました。それは「郵政民営化を議会はどうしてもダメだと否決した。しかし、私はどうしても理解できない。だから、国民の皆さんに聞いてみたいのです」と、解散した直後の総理大臣記者会見で述べたのです。それも、思いつめた顔をし、毅然とした表情でした。
これをテレビでみた多くの人たちに、どのように受け止められたかは明らかです。テレビでは「どんな顔して話すか」がテレビ視聴者をつかむコツ・ポイントで、それを小泉首相は心得ている上に、内容が「シンプル・明確」なのですから、今から考えると、この時点で今回の勝利が決まったと思います。

ゴーン発言の分かりやすさ

日産自動車のカルロス・ゴーン社長が、日経フォーラム「世界経営者会議」(2005年10月24日)で、日本での企業経営体験を語りました。
● 日本から多くのことを学んだ。一つは単純な形で実行すること。日本人は複雑さを疑問視し、実行の質とスピードを追及する。二つ目は、プロセスを重視すること。三つ目は、ある一つの強みを他の領域でも生かす考え方。例えば、生産プロセスを販売現場に生かしてすばらしい結果を得られるようにするなどだ。
● 自動車業界は整理・統合途上にあり、有力メーカーが集中している国は、日本、韓国、ドイツ、フランス、アメリカだけだ。その中で日本には規律、プロセス、顧客志向、即応性という基本的な文化環境が存在している。
さすがにゴーン社長は状況把握力に優れ、それを分かりやすく表現できる能力を持っていると思います。特に「日本人は複雑さを疑問視する」という発言、これには納得します。
社会に発生する物事は、様々な要因が絡みあって複雑に表層化し、その表に現れた現象の背景には、多くの要因が存在しています。ですから、物事を単純に理解できないのですが、そうかといって複雑に難しく解釈していくと、それはかえって物事の本質を分かり難くさせていき、結果的に適切な行動がとれず、対応が遅れるということになりやすいのです。更に、ゴーン社長は「日本人は実行の質とスピードを追及する」と発言していますが、その背景に「単純な形で実行する」を好む国民性があるからこそ、「質とスピード」が可能であることを見抜いているのです。ゴーン社長が「シンプル・的確」に日本人を理解し、それを「分かりやすく表現した」ところ、それが日本で成功した要因と思います。

ドラッカー氏の分かりやすさ

ピーター・F・ドラッカー氏が11月11日逝去されました。ドラッカー氏の著書は随分勉強しました。「現代の経営」(1954)「経営者の条件」(1966)「断絶の時代」
(1969)などに影響を強く受けました。分権化、目標管理、知識労働者、民営化、今では当たり前に使われているこれらの言葉は、すべてドラッカー氏の造語でした。
また、日本に対して深い理解を持っていて、特に明治維新に感動し、日本人に対し分かりやすいメッセージを贈ってくれていました。
● 明治維新は人類史上例のない偉業であり、この明治維新への探求が、私のライフワークになったもの、すなわち社会のきずなとしての組織体への関心へとつながった。したがって、日本は私の恩人だ。
● 日本が「失われた10年」で悲観主義にとらわれてはいけない。日本は明治維新、更に第二次大戦後の復興・成長と、二つの奇跡を抜本的な構造改革によって達成した。そうした社会の資質、柔軟性に日本人はもっと自信を持っていいし、もってほしい。
日本人に対するこの励ましは大きかったと思います。日本経済が構造改革を進め始めた結果、踊り場を脱しようとしている現在実態を考えると、ここにもドラッカー氏の日本人に対する、分かりやすい励ましが大きく影響していると思わざるを得ません。
加えて、ドラッカー氏が認識し高く評価しているように、明治維新は偉大な構造改革でした。封建時代の姿を近代日本に生まれ変わらせ、今日の発展の基礎を創りあげたのですから、明治維新は世界に誇る日本人の革命歴史です。現在、山岡鉄舟を研究していますので、必然的に明治維新を掘り下げ分析研究し、そこに鉄舟という武士道体現者をオーバーラップさせることで、毎月の雑誌連載と講演を行っているのですが、そのような立場に至った背景にドラッカー氏の言葉の影響が少なからず存在していたと、今になって感じ感謝しているところです。ドラッカー氏の冥福を祈りたいと思います。

改革の方向性

小泉内閣が進める構造改革と亀井静香氏を代表とする主張、その差はどういうところから発しているのでしょうか。皮肉にも目的は「財政を再建しなければならない」というところでは同じでした。方法論が異なっていたのです。
● 小泉首相は、公共事業削減が国民の痛みにつながることを承知の上で「傷みに耐えてくれ」と財政を絞って、景気回復につなげようとする考え方。
● 一方の亀井静香氏は、それは間違っている。財政支出を絞ると、景気が悪くなる。景気が悪くなると税収が減る。だから、どんどん公共事業を増やすことだ。それが景気をよくするのだという考え方。
両方の主張とも分かりやすい言葉と内容です。だが、国民の判断結果は小泉首相でした。亀井静香氏には向きませんでした。亀井氏の主張方法は、既に過去の歴代内閣が実験済みで、結果は世界一の借金大国にしただけでした。そのことを国民は分かっていたのです。
このまま行ったらどうなるのか。孫子の代に日本はどうなるのか。それをひとりひとりが考え、その結果として時代が変わっていると判断したこと、それが今回の選挙の背景にあったと思います。
その背景とは時代への認識です。日本の未来は二つの大きな変化に立ち合っています。一つは少子高齢化であり、それは人口減という事実です。もう一つは財政赤字770兆円という、日本国の一世帯あたり2000万円にも及ぶ借金の額、これは誰が考えても政治の失敗でつくってきた事実です。
この二つの時代認識が、今回の選挙の背景にあり、その認識から容易に考えられるのは、もうかってのような政治、それは「日本全国すべてを均衡させた発展」と「行政に多くの支えを期待する」を望むことは困難、という事実です。
この誰にでも分かる日本国の実態が、今回の選挙で分かりやすく国民に認識されたこと、つまり、分かりやすさということが、国民に時代の方向性を決めさせたと思います。以上。

投稿者 Master : 15:44 | コメント (0)

2005年11月15日

山本紀久雄氏の「今の時代の方向性・・・時流分析」講演

11月の例会案内(1)
11月の例会は、11月21日(月)に開催です。
 
11月は、経営ゼミナール代表で時流研究家の山本紀久雄氏に登場いただきます。
9月に行われた総選挙で、小泉首相が有権者の圧倒的支持を得て勝利しました。 解散当日の首相の記者会見や街頭演説などから、だれもが気迫を感じたことと思いますが、予想通りの圧勝でした。
このときに郵政民営化に反対した亀井静香元建設相(国民新党)や平沼赳夫元経済産業相、野田聖子氏ら衆院反対派、中曽根弘文元文相(参院)ら参院反対組の39名の処分内容が発表されました。
新党を結成した綿貫民輔前衆院議長(国民新党代表)、亀井静香元政調会長ら9人は除名処分とされました。無所属組13人については28日に決定される見込みです。
どうして郵政反対組は、反対派に回ったのでしょうか。
小泉首相も、総選挙後、「時代を見る目が彼らにはなかった」と発言されていましたが、国民の要求する時代感覚と、郵政反対組の時代感覚とがずれていたのではないでしょうか。。

時流研究家として毎月二回YAMAMOTOレターを発行、今年も「ぬりえ文化」を共著出版、山岡鉄舟をベルダ誌に連載、更に新たなるテーマで次作の調査・取材に入っている山本紀久雄氏が、国内外各地現場を訪れ、多彩な事例を分析し、時代感覚をとらえ、つかみ、編集し、「今の時代の方向性・・・時流分析」を発表いたします。
11月の経営ゼミナールに、ご参加のご予定をお願いいたします。


1.日時 平成17年11月21日(月)
6時集合(食事を用意しています)
6時15分より山本紀久雄代表の時流講話
経営ゼミナ-ルは6時半開始8時半終了予定
   
2.場所 東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
千代田区丸の内1-3-1 Tel:03-5252-3791
東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)

3.テーマと講師
「今の時代の方向性・・・時流分析」
経営ゼミナール代表 山本紀久雄氏

<経歴>
1940年生まれ。中央大学商学部卒。
経営ゼミナール代表。山岡鉄舟研究家
著書
「フランスを救った日本の牡蠣」(小学館スクウェア)
「笑う温泉―泣く温泉」(小学館スクウェア)
「ぬりえ文化」(共著。小学館スクウェア)
連載
「山岡鉄舟」(雑誌月刊ベルダ)

*会費  オブザーバー参加の方は、当日会費として1万円をご用意下さい。
*お問い合わせ 
出欠:㈱ボスコ内 経営ゼミナール事務局 平野(03-3498-4200)まで
その他は金子(ぬりえ美術館内(03-3892-5391)まで 

投稿者 Master : 15:43

2005年11月04日

時代を読み、時代と闘う

    YAMAMOTO・レター 環境×文化×経済 山本紀久雄
       2005年11月5日 時代を読み、時代と闘う

衆議員選挙結果の論評

小泉第三次内閣がスタートしました。先の衆議員選挙結果を受けての改造ですが、その選挙について、前々回のレターでご紹介した藤原直哉氏の見解、それは大手新聞社が選挙前に「与党有利」と報じたのは、「大新聞はアメリカにいわれ情報操作している」であると言い切ったのですが、結果は大外れでした。事前の新聞予測報道が正しく、藤原直哉氏見解は全く誤りました。この件に関して「藤原氏は結果をどう釈明しているのか」という問い合わせが多くの方からありましたので、その後の藤原氏の見解をご紹介いたします。

藤原氏が述べる選挙結果は「小選挙区立候補者1131人を、民営化賛成と、反対に色分けして、その小選挙区での票数を集計した結果、民営化賛成3389万票、反対3419万票」(日刊ゲンダイ9月28日)で、30万票反対のほうが多い。だから民意は反対だったという見解です。ですから、選挙結果を見誤ったわけでなく、小選挙区という選挙のあり方・システムの結果で自民党大勝利となった、という主張です。
このように場合には、まず、藤原直哉氏の立場を検証しないと発言趣旨が分かりません。藤原氏の立場は、明らかに小泉政治に対して反対なのです。その立場から分析し、解説しますので最初から判断結果は決まっているのです。小泉政治に対する問題点、疑問点を探す作業をしてから、判断するということになります。良い悪いということではなく、自らの立場から見解を構成しているのです。
ある一つの事実を判断するのは、その人の立場です。ですから、当選者数で圧倒的多数という事実から判断すれば自民党勝利、そうではなく合計投票数でみれば反対という主張になります。人は立場から物事を判断する好事例であり、人の発言は立場からなされる、ということを改めて確認したいと思います。

景気に対する立場の転換

郵政民営化法案成立後の構造改革は、次の四つ、それは●国と地方の「税配分」を見直す三位一体改革、●「総人件費の削減・定員の純減」を目指す公務員制度改革、●政府系金融機関の「統廃合」等の政策金融改革、●「診療報酬」の見直し等の医療制度改革であり、これらの改革を進めていくに当たっては、日本経済の状況が大きな背景要因となっていきます。つまり、景気の動向如何が重要な影響力を持ちます。
その景気については、10月20日の日銀支店長会議で福井総裁が「景気は踊り場から脱却し、回復を続けている」「緩やかながらも息の長い回復を続けていく」との発言をしました。また、経営の現場からの発言として、大丸デパートの奥田会長が「百貨店の売り上げはここ数年、全国平均で年間3%前後、落ちていたが、今年は下げ止っている」(日経新聞
10月31日)と、景気の底割れの不安は遠のいた、という実感を述べています。
これらが景気の全体感を示す発言ですが、一方、地方の商店街に見られるシャッター通りの現実を見ると、景気は回復していないという指摘もなされています。確かにシャッター通りの現実から検討すると問題が多々あるのですが、この見解についても「立場の転換」をしていかないと、景気判断を見誤ることになると思います。

日本の実態感

日本の実態を把握する方法はいろいろあると思いますが、最も妥当で適切な方法は、ある期間、集中的に日本全国を自分の足で観察を続け、自らの肌体験を通じて感じた結果で判断することではないかと思います。あるテーマを持って、そのことに集中し各地を行動する。それを続けていると、次第に自らの感覚、それは意識しているテーマに対する感度ですが、それが鋭角になっていき、その結果として実態を妥当に把握できる。
これは、過去何回も、多くのテーマで調査・研究してきた経験則からいえる事実です。その好適例として『「奥の細道」を歩く』(総集編 日経10月21日)が眼に留まりました。
日経新聞・土田記者が5ヶ月間、142連泊、芭蕉が歩いた道筋を旅した結果の感想を述べた記事です。その中で地方のシャッター通りとして目立ったところとして、矢板(栃木)、白河(福島)、石巻(宮城)、尾花沢(山形)、柏崎(新潟)を上げています。
これは、土田記者が毎日歩いて感じた実感比較、そこから取り上げたのですから事実実態ですので、この目立ったシャッター通りを基準にして判断すると「景気の底割れの不安は遠のいた」(大丸デパート・奥田会長)という発言は妥当でないということになり、この視点から日本経済を問題視する識者も多くいます。
しかし、土田記者は142連泊のまとめとして、次のように述べているのです。
「山村漁村の高齢化も行く着くところまで行った感じだが、●日本は狭くない、●国土は緑一色、●地方は貧しくない――で、いずれも日本の「常識」に反している」と。
これが実際に5ヶ月歩いた現代の日本の実態感覚なのです。更に、その実感感覚から「旅で接した人の多くが、その土地で暮らしていることに強烈な自信と誇りを持っていて、その高い精神性がゆとりを生み、表情を豊かにしている」と断定しています。この土田記者の事実実感をどのように理解したらよいでしょうか。

背景条件が変わった

ついこの間のバブル崩壊前までの日本、その政治の基本は●国土の均衡ある発展、●行政が地域間格差を支える、という方針でした。しかし、これは時代の変化で出来ない相談、ということになっているのが日本の現実です。
時代変化の背景、それは●人口減、●高齢化のスピード、●国家財政超赤字であり、これらが全国一律均衡発展と、地域間格差を支える行政サービスの継続を難しくさせているのです。つまり、日本は時代変化を取り入れた「再編成」が必要不可欠で、その方向性は「選択と集中」となりますが、この時代背景を本当に理解しないと、今の時代を生きていくことは難しいと思います。
大丸デパート・奥田会長は「公共事業に依存する産業構造から抜けきれず、雇用や所得の改善が進まない地区は厳しい」とも発言していますが、この意味は「従来型政治は終わった」という事実を指摘しているのです。ですから、行政には頼らず、自らが所属する地域・地区が、自ら特長を創造・工夫して、解決策を講じていくしかないのです。
しかしながら、時代変化を取り入れないところは、従来型のままですから、当然問題点が浮き彫りになり、それが実態として各地に現出していき、その問題実態に視点を当てる「立場」からみれば「日本経済は回復途上ではない」という判断になると思います。

時代を読み、時代と闘う事例

(智頭町)
8月5日のレターでご紹介いたしましたが、鳥取県に智頭町という人口九千人の町があります。何もないと思われていたこの智頭町に、今は観光客が訪れることで知られ、マスコミにも取り上げられるようになってきました。
ここは前町長の寺谷誠一郎氏が「何もないが、空気と水は綺麗だし、昔の面影が残っている」という素直な街づくりコンセプトからスタートしました。その代表が「石谷家住宅」であり「板井原集落」です。「石谷家住宅」は8月5日のレターでご紹介しましたので、今回は「板井原集落」をご紹介します。智頭駅から4キロ、車で10分、バスはありません。不便です。しかし、ここに行くと「日本の山村集落の原風景を残し、昭和初期から三十年代のたたずまいが色濃く」、スローライフを求める都会の中高年層が「故郷に帰ってきたような安らぎを覚える」と足しげく訪れるようになりました。こうなると、この土地で暮らしていることに強烈な自信と誇りを持ち、訪れる人をゆとりある表情で迎えるようになりました。自らの地域を価値再編成し、時代を読み、時代と闘って成功した好事例が智頭町です。

(ぬりえ美術館)
都営地下鉄三田線に乗って、頭の向こうに目線をおくと、見慣れた画面が入ってきました。
ぬりえ美術館の車内吊り広告です。それも東京国立博物館、東京国立近代美術館等が展開する「今日は、アートでゆっくり」というキャンペーン交通広告です。ビックリしました。小さなプライベート美術館が、天下の国立博物館・美術館と同一に扱われているのです。勿論、東京都交通局の展開ですから、広告費は無料です。10月までの累計に入館者数は前年比177%、この実績は「ぬりえ文化」出版も影響していると思いますが、ぬりえが確実に時代の感覚をとらえ始め、それを外部機関が認識し始めたと理解しています。

 時代の変化によって、自らを変えなければならない。これが時代のセオリーです。以上。

投稿者 Master : 15:42 | コメント (0)