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2005年06月29日

7月例会(愛知万博)最終案内

経営ゼミナール正会員各位               2005年6月20日
オブザーバー   会員各位              2005年6月29日(追加)   
経営ゼミナール事務局

     7月経営ゼミナール例会 「愛・地球博」最終ご案内                             
愛知万博はここにきて目標入場者数1500万人達成がほぼ確実になるほど、大きな盛り上がりを見せています。テーマとなっている環境だけでなく、ロボットの活躍も大変話題となっています。今回の愛知万博の特徴については既に経営ゼミナールの例会でご案内しておりますので、今回はより具体的な内容についてご案内致します。

105_0535s-160.jpg 集合場所 芝生広場


(現地例会 実施要領) 
1.集合場所・時刻
   バイオラング前 芝生広場(大型スクリーン寄り) 午後4時
2.視察方法
   現地集合・現地解散
3.交通チケット
   各自で現地迄の交通チケット購入してください。なお名古屋駅からは地下鉄東山線(名古屋〜藤が丘)リニモ(藤が丘〜万博会場)が便利です。リニモは23時迄運転  
しています。また名古屋駅(名鉄バスセンター)と長久手会場の間をシャトルバスが運行しています。所要時間はいずれも概ね50分です。
4.入場チケット
   ご参加の方の入場チケットは事務局で手配致します。なお正会員の方がご参加の場合、入場チケット代は経営ゼミナールが負担致します。
5.申込み期限
   既に申込み期限は6月23日(木)午後5時で一旦終わっていますが、その後ご都合のついた方は、同じくボスコ宛てご連絡ください。事務局で入場チケットの手配をさせて頂きます。入場チケットの手配の関係もありますので、早急にご連絡ください。
但し事務局として行ったパビリオン等の予約は既に25日で終了していますので、これからの予約は恐れいりますが各自でお願い致します。
  (既にお申込み頂いた方については事務局の方で長久手会場愛知県民館を18:15〜18:25集合時間で予約致しました。残念ながらブルーハウスとマンモスの予約は取れませんでした。)
6.宿泊
    名古屋市内のホテルですが予約は難しい状況になりつつあるようです。一泊される方は名古屋周辺(浜松、津など)であれば可能性がありますので、なるべく早く予約されることをお勧めします。
7.万博会場時間(7月20日〜8月31日)
   長久手会場  9:00〜22:00   瀬戸会場   9:00〜19:00
   なおパビリオンの公開時間は上記と異なります。
8.会場内の移動およびレストラン
   空中回廊(全長2.6km 幅21mでほぼ水平に一周しているループ)で会場の中を徒歩で移動できます。なお有料となりますが、人力タクシー、トラム(ゆっくり走る電車)も利用できます。また会場内のあちらこちらにユニフォームを着た会場案内係りが配置されていますので、何か分からないことがあれば気軽に聞けます。
   また会場には多くのレストランが出ていますので、休息を兼ねて飲食ができます。
9.パビリオンおよびグローバル・コモン見学
   企業パビリオン(今回は民間9社が出展。因みに大阪万博の時は35社)は特に人気が高く、行列に並ぶ待ち時間が1〜2時間を越します。 
   またグローバル・コモンについても人気のある外国館では1時間前後待たされます。
   因みにグローバル・コモン日本館の待ち時間は70分でした。
   殆どのパビリオンで行列を作って待つことになりますので、ご留意ください。 
10.服装・携帯品
    会場内の移動は徒歩となります。7月25日は夏の直射日光が一段と厳しい時期ですから、軽装で涼しい服装をお勧めします。また手荷物などはコインロッカーが相当数ありますが、すぐに一杯になるとのことですので、携帯品もなるべく軽いものにした方が良いでしょう。急な雨に備え傘も用意してください。
11.グローバル・コモン紹介
   グローバル・コモンは6つに分けられた外国と国際機関のゾーン
                             行列時間(大雑把な分類です)
グローバル・コモン   日本ゾーン  日本館      長い 
グローバル・コモン 1 アジア大陸           短い
グローバル・コモン 2 アメリカ            長い
グローバル・コモン 3 ヨーロッパ・地中海沿岸     長い
グローバル・コモン 4 ヨーロッパ・東欧        短い
グローバル・コモン 5 アフリカ            短い
グローバル・コモン 6 東南アジア           短い
12.企業パビリオン紹介
   以下9つのパビリオンはそれぞれ人気が高く、行列の様子を見て判断する必要がありそうです。
   ①ワンダーサーカス電力館(電気事業連合会出展)
   ②JR東海超伝導リニア館
   ③ワンダーホイール展覧車(日本自動車工業会出展)
   ④三菱未来館
   ⑤トヨタグループ館
   ⑥日立グループ館
   ⑦三井・東芝館
   ⑧夢見る山(積水ハウス他出展)
   ⑨ガスパビリオン(日本ガス協会出展)               
13.NEDOパビリオン(ナノテク)と未来型発電所のご案内
   経済産業省の関係団体である独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」略称NEDOは愛知万博会場に様々な発電施設を設置しています。太陽光発電システム、Nas電池システム、燃料電池SOFC、またメタン発酵システム、高温ガス化システム、などです。NEDOは「未来のエネルギー探求ツアー」プログラムを用意していますので、ツアーに参加される方は以下にご連絡ください。
   NEDO ホームページ : www.nedo.go.jp/expo2005/
フリーダイヤル     :0120−553−572          (以上)

投稿者 Master : 22:55 | コメント (0)

2005年06月28日

不動産と不動産業の変遷 不動産鑑定士 村松喜平氏

    経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2005年6月20日
   不動産と不動産業の変遷    不動産鑑定士 村松喜平氏

地価を長期トレンドで考える

今月は不動産業界に詳しい村松氏から「不動産と不動産業の変遷〜一般的知識の拡大を図る〜」につきまして、詳細な資料を添付いただき、且つ脳力開発に基づく明快なご説明がありました。その資料の中で、昭和三十年(1955)からの地価指数推移を改めて見て見ると、平成に入ってからのバブル時期の地価上昇は異常なことが明らかです。当たり前のことですが、明らかに長期トレンドからはバブル時代は特殊性であったことが分かります。

土地の価格とは

今でも「昔はこの自社の土地は高かった。もう一度戻るのか」と発言する経営者が時折います。この発言は「自分の会社の立場」からの発言です。村松氏から配布された新聞に、森トラスト森章社長が「利用価値のある土地は上がる」と発言されています。当然の見解です。土地という立場から考えれば「この土地を利用してくれる人がいるのかどうか」で、土地の利用価値が決まるのです。では、その土地の利用活用の回答を出すのは誰か、という問題になります。村松氏は不動産の取引にあたる不動産流通業とは「売り買いの要望アジャスト業であり、情報の収集と告知と契約・決済」であると説明し、土地売買とは金が動き登記簿が変ることで、土地政策・税制、金融状況が影響するものと指摘します。とすると不動産としての土地価格の決定は不動産業界でなく、該当土地を利用しようとする立場の人が決めることになります。

土地価格決定の普遍性

今年の公示価格で都心部の土地が14年ぶりにプラスとなりました。これをもって「地価下げ止まりは本物だ」という考えもあるらしいのですが、しかし、土地価格は「その土地の利用価値で決まる」のですから、活用できる土地しか上昇しないことになります。また、その活用できる土地とは、「活用できる計画をつくれるか」によって決まるのですから、該当土地活用の企画力を生み出す力がある立場、その立場にいる人の脳力にかかっているということになります。
土地という物件に対する「叡智と知恵」を創造できるか、というところによって土地の価格が決定されるというのが普遍性であると思います。

ITと不動産業

村松氏が指摘した多くのポイントの中で、ITとの関係で「本当によい物件はITとは関係ない場面で決まっていく」とありました。今はIT時代といわれていますが、この見解にも改めて頷くと共に、多くの示唆を受けることができました。  以上。

投稿者 Master : 16:18 | コメント (0)

2005年06月25日

経営ゼミナール7月例会は愛知万博視察・・・その七

   

トヨタと日立館の入り口風景(左) 三菱館(右)

いよいよ経営ゼミナール7月例会は愛知万博視察の日にちが一ヵ月後となりました。
万博への入場者数は極めて好調です。折り返しとなる6月25日現在で900万人を超し、万博事務局の予測では1700万人を達成するということですが、この調子と9月に入ると最後の駆け込みがありますから、1800万人も視野に入ってきました。

会場の夏場対策として水滴(ミスト)を使った冷房装置の増設など、諸対策を講じますので割合快適な視察ができると思っています。
そこで、今回は日本の人気パビリオンの評判をお伝えします。


トヨタ館

トヨタと日立館の入り口写真風景を掲載しましたが、トヨタ館が人気一番です。予約済み入場券にプレミアムがつくほどです。
理由はトランペットを演奏するロボット、二足歩行の人間型ロボットなど最先端ロボットが登場することです。
このロボットの活躍ぶりは7月25日にトヨタ館を視察してからご報告いたしますが、1日二回配布される入館整理券は毎回30分ほどで品切れという状況です。

日立館

トヨタ館の隣が待ち時間が日立グループ館で、平均三時間待ちという状態。ここがトヨタ館と人気を分けています。
立体映像技術を駆使して仮想空間と現実空間を融合、特殊な双眼鏡をのぞき込むと、目の前に本物の希少動物が存在しているように見える「最先端の仕掛け」が話題を集めています。

長久手愛知県館

ここでは環境問題を楽しく学べるステージショー「地球タイヘン大講演会」が人気を集めている。約20分のショーだが、上演回数はすでに1500回を超え、出演者の演技も磨きがかかってきました。世界の環境問題がたったとの20分で分かります。

瀬戸日本館

とにかく始まってビックリする「群読」という劇的ライブシアターです。33人の若い男女がステージと椅子の間を走り回り、声を合わせて何か叫びます。最初は何がなんだか分からないのですが、次第に日本人の心の中にある誌、童話、童謡、わらべ歌や祭りの掛け声だということが分かってきて、すごいスピード感と共に自分の中にある「知恵の記憶」を呼び覚ましてくれます。1日20回公演です

投稿者 Master : 15:42 | コメント (0)

2005年06月21日

情報社会の中で

YAMAMOTO・レター 環境×文化×経済 山本紀久雄
2005年6月20日 情報社会の中で
長靴を履いた教授

「森は海の恋人」運動の提唱者である畠山重篤さんの会社、今は宮城県唐桑町ですが、市町村合併で、もうすぐ気仙沼市唐桑町になる事務所にお伺いしました。
畠山重篤さんとは拙書「フランスを救った日本の牡蠣」に、推薦文を書いていただいた関係で、その後も親しくしております。
今回も壁にぎっしり本が詰まっている応接室、といっても牡蠣と帆立の養殖漁業ですから、海に面した木造二階建て事務所、その入り口あたりには箱に入ったまま、無造作に牡蠣や帆立が置いてある環境下の応接室ですので、小さな机と椅子があるだけで、別に装飾的な華美なものはありません。そこで畠山重篤さんとお互い近況報告しあったのですが、今回は衝撃的な発言が畠山重篤さんからありました。

それは、京都大学の教授になったという内容です。一瞬ビックリしましたが、しかし、建築家の安藤忠雄氏も東京大学教授になったのですから、畠山重篤さんが京都大学教授になってもおかしくないと考え直し、それでは京都に行く回数が増えるのですね、と尋ねますと、「いや、新しくできた『京都大学フィールド科学教育センター』のシンポジウムで講演するとか、三陸の海に来てもらってセミナーを開くことが中心です」との回答です。
日本の大学は学部ごとに独立していて、お互いの連携が薄いのが特徴です。京都大学もそのような実態で、林学の研究林は80年の歴史があり、水産実験所は50年歴史があるのに、林学と水産学の学者が交流したことが殆どないという実態でした。
ところが、2003年3月に開催された「世界水フォーラム」で、畠山重篤さんが発表した「森は海の恋人」運動を知った京都大学は、これをヒントに林学の演習林、理学の臨海実験所、水産の水産実験所を統合し、京都大学フィールド科学教育センターを設置したのです。
加えて、人と自然の共存の在り方を提示しうる「森里海連環学」という全く新しい学問を起こし、ここの社会連携教授として畠山重篤さんが就任したのです。
素晴らしいことです。リアスの海で、毎日長靴を履いて船で作業している人物が、京都大学の教授になったのです。それも、自分から売り込んだわけでなく、京都大学からこの雑然とした事務所に訪ねて来て、この小さな机の前で依頼されたのです。日本の大学が時代の感覚を取り入れ、柔軟性に満ちた改革をし始めた証拠です。嬉しくなりました。

ぬりえ学会に来た若い男性

ぬりえ美術館で主催している「ぬりえ研究会」、もう一年以上続けているのですが、ここでの成果が今年8月末に「ぬりえ文化」として発刊されることになりました。
その原稿を書き上げたタイミングに、ぬりえを文化として確立するためには、更に深める作業をする必要があるとの視点から、「ぬりえ学」を目指そうということになり、今月から「ぬりえ学会」をスタートさせ、その紹介をぬりえ美術館のホームページに掲載したところ、ぬりえメーカーの入社2年目の若い男性社員から参加申し込みがありました。
「ぬりえ学会」初回の6月16日、長身細身・長髪の若い男性が颯爽と時間どおりに参りましたので、早速、どうしてこの会に関心を持ったのか聞いてみました。答えは「高齢化社会が進むので、痴呆防止のために大人にぬりえを広めたい。すでに一部の介護施設で始めているが、それを一般層に広げたい」という理由です。ということは、自分が勤めている会社の仕事としての延長から、この「ぬりえ学会」に興味を持ち、そこから業務の拡大を図りたいという意味です。
そこで、こちらからは「単に大人のぬりえをつくって売りたい」という意図だけでは、商品は出来ても期待するほどの成果は得られないだろう。成果を求めたいのなら、自分がぬりえというものについて、専門的な知識と体験をしっかり持ち、ぬりえに関して一応のプロになることが必要だ、と伝えますと「そのとおりと思います」という素直な回答です。
真面目な気持ちで参加したことが分かりましたので、ぬりえが持つ背景状況、それは、これから向かっていくであろう世界人口の推移について、まず解説しました。
1972年にローマクラブから「人口増と環境悪化、資源浪費で100年以内に地球上の成長は限界に達する」という発表があった。しかし、この中の人口問題については、21世紀に入って「世界人口は一定の静止状態になり、中先進国では高齢化が著しく進む」という予測に変わっている。そのような状況であるから「痴呆防止のために大人にぬりえを広めたい」という希望は世界的な需要として期待できる。従って、ターゲットを日本国内だけでなく中先進国に広げる、という発想に立つことが重要だ。
また、そのような実例としてアニメーションの世界があって、日本が圧倒的に世界標準となっている、という実態を伝えると「アニメーションはぬりえが原点ではないでしょうか」という返事です。そのとおりなのです。アニメーションは静止絵が重なり動き、それによって映像化していくのですから、最初は線画に色を塗ることから始まっているのですからぬりえが原点といえるのです。やはり若い人は素晴らしい感覚だと、嬉しくなりました。

愛知万博の好調さをどう意味づけるか

愛知万博がますます好調になってきました。6月18日(土)は今までの中で最高の17.2万人という入場者でした。最低が3月オープン初日の4.3万人でしたから、最低と最高の差は12.9万人で4倍です。また、開幕以来10日毎の入場者数をウオッチングしてみますと、最初の10日間の一日平均が6.1万人に対し、6月11日から20日までの10日間は13万人となっていて、これまた2倍の増加を示しているのです。出足は確かに不調でしたが、徐々に日を追うごとに好調になってきて、これで目標1500万人を大きく超過し、1800万人にも達するのではないかと予測されます。
通常のイベントでは初日が好調で、その動きを引きずってその後も順調に伸ばしていくという状況推移が多いのですが、今回の愛知万博はこの動きと全く異なります。
出足が絶不調で、これは大失敗でまたもや国の赤字を増やすのかと心配しましたが、5月の連休辺りから調子が出てきて、夏休み前の梅雨時で季節的には難しい6月18日に最高入場者数を示したのです。
この好調要因をどのように判断するのか。どう意味づけるのか。それが各地で話題になっています。それについて日経新聞(2005.6.18)は次のように分析しました。
1.入場者数を押し上げているのは「団体客」と「リピーター」。開幕当初に一日一万数千人だった団体客はゴールデンウイーク後、約三万人に増加。
2.特に修学旅行など学校行事の入場は全国の2800校約七十万人を超えた。
3.期間中に何度も入場できる全期間入場券の平均入場回数は3.7回で、最高は60回以上に達する。
4.入場者の居住地調査結果では、愛知、岐阜、三重の3県が53%、関東地方は15%、関西は14%と過去の国際博と比べ、国内入場者は地元色が濃いようにみえる。
5.海外からの入場者はいまひとつ。協会は「7月にかけて海外メディアへの広告や旅行展への出展など積極的なPRに務めたい」という。
この日経新聞分析で特筆すべきことは、地元圏の貢献です。地元の名古屋人は日頃から「お値打ち」と何度も口にし「価格と価値のバランスを重視する。名古屋人には価格帯は問題ではない」といわれ「普段の財布のひもは固いが結婚式は盛大で、高級ブランドも大好き」との特徴であるといわれています。
そのシビアな「お値打ち」感覚の地元の人たちが、入場者の半数を占めていることが分かった愛知万博、今まで、中部経済が全体的に好調であることや、万博の方向性の妥当性や、環境に対する感覚の高まりなどについて、このレターでいろいろ分析してきましたが、今回は新しい地元圏が要因であると、また発見できたのです。好調要因はいろいろ絡んでいます。

情報社会の中で

現代は情報化社会で、身の回りにあらゆる分野の情報が溢れています。この状況が意味するところは、情報が各種メディアによって大衆化されていき、情報そのものは相対的に希少価値が減っていくということになります。つまり、情報はIT技術によって簡単に入手可能となり、その結果、情報そのものの価値よりは、むしろその情報がどのような意味合いを持つか、ということが重要になってきています。
畠山重篤さんは「森は海の恋人」という短い言葉に時代の意味づけを持たしたことで教授になり、ぬりえをアニメの原点だと素早く意味づけできる若い感覚が大人に広げたいという希望につながり、万博に「お値打ち」感覚を見いだした地元中部地区人たちによって好調万博は支えられている。これからは情報を意味づけすること、それが大事と思います。

投稿者 Master : 13:10 | コメント (0)

2005年06月12日

経営ゼミナール山本代表が鳴子温泉にて講演


2005年6月8日、日本対北朝鮮のワールドサッカー大会本大会出場を賭けた試合があった、ちょうどその時間帯に、宮城県鳴子温泉「鳴子ツーリズム研究会」主催の勉強会で、経営ゼミナール代表の山本紀久雄が「温泉の未来戦略」というテーマで講演し、講演後も日本対北朝鮮の試合に負けずに熱いディスカッションを地元の方と行ってまいりました。
講演の内容は「これからの温泉地は個としての旅館・ホテルの努力だけでなく、地域としての方向性・戦略を確立すること」であり、ご参加の方から強い賛意を受けたわけですが、その実現には厳しい実態があることも事実で、その問題点もディスカッションいたしました。
この日は河北新報の記者や地元ラジオ局のアナンサーも参加し、県会議員、市会議員の方も入って温泉の未来戦略を語り合いました。

 翌日の9日の朝8時30分から9時30分まで、タイミングよくNHKが鳴子特集番組で、女優の河上麻衣子が紹介役で放映されました。これを見ていますと鳴子温泉地域の魅力がたくさんあり、それをNHKが一時間も取り上げたというところに、鳴子温泉地域に対する評価があると思い、それを世界中の人々に十分に伝えていない現状に対して、NHKが激励しているのではないかと思ったほどでした。

 この後、車で鳴子温泉の鬼首地区に行きまして、地獄谷と日本一の間欠泉を見ました。静かな山間の川渕から温泉が自然湧出している姿、それがここ鳴子温泉にあります。無理に地下を掘り起こして温泉を汲み上げなくても、鳴子温泉地域には多くの源泉が自然湧出している。これが日本の温泉の原点と感じまして、これらの自然湧出源泉を活用している実態を、「日本の文化」として世界に伝えることが必要と強く感じた鳴子温泉での講演でした。

投稿者 Master : 17:07 | コメント (0)

2005年06月06日

はじめてなのに懐かしい

YAMAMOTO・レター 環境×文化×経済 山本紀久雄
2005年6月5日 はじめてなのに懐かしい

各地に出かけると

名古屋駅の地下鉄東山線ホームに立ち、線路の向うをみると「このホームから転落した時は、ホーム下の奥へ避難してください」と書いてあります。このような表示は他の駅ではみたことがありません。地下鉄東山線名古屋駅は、ホームから転落する事故が多いのか、それとも単なる危険防止の注意事項か。

それにしても転落した時は、多分、慌てているだろうから、すぐにホームに登ろうとするはずです。しかし、この表示の意味するところは、線路からホーム上に戻ることが実際には難しいのか。一瞬ドキッと緊張感を与える掲示文字でした。
浜松町から羽田空港に行くモノレールに乗って、ドア上に表示されている終点駅をみると「羽田空港第2ビル駅」とあり、その前駅は「第1ビル駅」となっています。いつの間にか空港駅が二つになっているのです。昨年の12月に終点駅が変わっているのです。
「第1ビル駅」で降り、荷物検査を受けてJALのラウンジに入り、少しゆっくりしようとお茶・ジュースのサービスカウンターに行ってみて気づきます。明らかにサービスメニューが減っています。何が減っているのか。冷蔵提供していた水・お茶のペットボトル類がなくなっています。この実態でJALの経営状況が分かります。
各地に出かけますといろいろ変化に気づきます。

持続的成長・サステイナビリティ

万博に行くため、名古屋城に近い旅館に宿泊申し込みしたところ「朝食はどうしますか」との質問に「お願いします」といいますと「皆さん、朝食とらずに万博に行きますよ」という回答です。万博に行くなら、早く行って人気のパビリオンに並んだほうがよい、という親切な気持があらわれている電話応対です。
万博が一段と元気になってきました。6月5日現在で662万人となり、目標1500万人達成に必要な一日8.1万人に対して、1.1万人多い9.2万人となりました。
名古屋大学で開催された「愛・地球会議」でも、万博事務局長が胸張って入場者数を元気に報告しました。この会は「持続可能な社会の創造」をテーマに、世界の有識者や専門家が参加するシンポジウムで、万博開催の3月から9月まで毎月開催されているのです。6月2日は「21世紀の産業基盤~循環社会へのメッセージ」がテーマで、雨降る中、多くの人が名古屋大学に集まりました。
会場内で気づいたことがあります。発表者から「持続的成長・サステイナビリティ」という言葉が多発され、これからは「ゆっくりと熟成した成長」が必要であるという主張がなされていることです。環境重視の視点からは当然で、会議のコーディネーターである茅陽一博士(地球環境産業技術研究機構副理事長)から、前提背景条件として
   1. 世界人口は21世紀にゼロ成長になるだろう
   2. しかし、経済は何らかの成長を遂げなければならない
   3. そのためには、資源の循環化、エネルギーの脱炭素化が必要
の3項目が提示され、時代は「持続的成長・サステイナビリティ」の方向に向かっていることを確認いたしました。

マンモス絶滅ストーリー

愛知万博の8人乗りのゴンドラ、何処か地方訛りの中年女性が7人、その中に1人加えてもらって瀬戸会場に向かいました。女性は親切です。すぐに飴やお菓子を差し出してくれながら「朝一番にマンモスをみてよかったよ」と語りかけてきます。
ゴンドラは途中2分間、一切外がみえない窓ガラス状態に瞬間にして変化します。これは何だ、と一瞬女性たちはガヤガヤしますが、窓外の住宅透視プライバシー保護のためと分かって、成る程ね、とその技術に感嘆するため息に変わります。
さて、「マンモス」がどうして万博のメイン展示場のグローバル・ハウスに存在するのか。当然、マンモスを展示するには意味があります。名古屋大学のパネラーで登場したグローバル・ハウスの福川館長、この人物は元通産省事務次官ですが、マンモス絶滅は食糧危機からなのか、それとも環境変化によるものなのか、いずれ学者によって明らかになるだろうと発言していましたが、マンモス絶滅のストーリーを宇野正美氏は次のように推測しています。
「ツンドラ凍土から殆ど完全な形でマンモスが掘り出されたことがあり、そのマンモスの胃腸には食べた植物がそのまま残っていた。これはゆっくりとした変化ではなく、急に大変化が起きたことを示している。予測がつかないスピードでマンモスの身体全体が凍結していったのである」(国際時事情報誌エノク2005年6月号)と。
つまり、宇野正美氏の主張は、気象条件の劇的変化によって、一瞬にしてマンモスは滅びたというのです。これを事実として受け止めれば、シベリアの奥地凍土からわざわざマンモスを掘り出し、名古屋まで運んできたのは、地球環境の悪化によって、再び過去と同様の劇的変化が未来に発生する可能性があり得るし、今度はマンモスの替わりに人間が凍結するかも知れないという恐れ、その情報を伝えるためにグローバル・ハウスのマンモス展示があると理解できます。
多くの人がマンモスをみたいという背景、それは勿論、興味本位でしょうが、その興味の奥底を推測すれば「どうしてマンモスが絶滅し、それが万博のメイン展示物となっているのか」ということに、漠然とした疑問を持ちつつ、マンモス絶滅と地球環境と人間の未来、それらを結びつけて考えられる人々、それらの人たちによってマンモスが人気となっているのではないかと、と思っています。但し、「朝一番にマンモスをみてよかったよ」と語りかけてきた中年女性グループが、そのような感覚であるかどうかは分かりませんが。

なつかしの風景

愛知万博の人気パビリオンは大変な状況です。会場前に並ばずに入れる、事前予約を済ませた会場入場券が、インターネットのオークションに大量に流出し、高値で売買されています。(日経新聞2005年6月3日) 一番人気のトヨタ館と日立館は、日曜日の予約済み入場券が一万四千円という高値、実際にインターネットで事前予約システムに応募しても、予約済みを確保するのは至難の状況ですので、オークション購入に向かうのも分かります。
この人気はハイテクの企業だけでなく、アニメの「サツキとメイの家」も大人気です。「サツキとメイの家」は昭和30年代の生活を描いた、宮崎駿監督の長編アニメ「となりのトトロ」(1988年)に登場する家を復元したものです。この入館引換券も競売サイトに出回ってしまい、今はハガキによる予約方法に変更になり、先日ハガキで応募したところですが、とにかく人気があります。
その人気の背景に「昭和時代を懐かしむ」傾向があげられ、日本各地の昭和時代を復元した施設にも多くの人が訪れて、正に昭和時代が時流で、そこを訪れる人たちは二つに区分けできます。昭和時代を体験している人たちと、そうではなく「昭和時代を未体験の若者たち」ですが、「未体験の若者」の多くが、訪れて「はじめてなのに懐かしい」と発言します。
しかし、昭和時代には生まれていなかったのですから、若者の「懐かしい」という表現は矛盾し、論理的にはあり得ないことですが、実際にそのように発言するのですから、若い人たちの奥底人間感覚に触れる何か、それが「昭和時代」にあると思います。

レッサーパンダが立ち上がった

千葉県で一頭のレッサーパンダが立ち上がって、二本足で歩いたと思ったら、他のところのレッサーパンダも同様に二本足で歩いて、それが大人気です。飼育係りが差し出す手に向かって二足歩行する姿、それをテレビでみて「かわいい」と思いつつ、一瞬何かが脳内を走ります。それは人類の歴史をみた、と思ったからです。400万年以上前、直立二足歩行を始めた猿人は、まず、両手があいたため、手で道具をつくるようになり、それまで顔の両側についていた眼が顔の前面に並んでつくことになり、両眼視という遠近自由焦点操作が可能になり、頭部の肥大化から脳の発達へと結びついたのです。この歴史事実をレッサーパンダが再現したのではないかと思い、そこに一瞬「懐かしい」という感覚に襲われたのです。「かわいい」と発言する奥底に、人間の遠い古い原点過去という「懐かしさ」を感じました。

はじめてなのに懐かしい

どうも愛知万博には妙な感覚が備わっているような気がしてなりません。各地に出かけてみつける新しい変化ではなく、「はじめてなのに懐かしい」というような人間の奥底に存在し、引っかかるもの、その部分が万博会場にあるような気がしてなりません。それが何であるか。具体的に指摘することは難しいのですが、人間の奥底に存在する何かの感覚、未来の世界が向かわなければいけない時代感覚、それが愛知万博会場にあるように感じます。以上。

投稿者 Master : 16:28 | コメント (0)