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2010年10月30日

2010年11月例会ご案内

11月は15日(月)に、嘉悦大学教授 高橋 洋一 氏をお迎えし、銀行会館で開催いたします。
 テーマは「 日本は財政危機ではない 」― この金融政策が日本経済を救う ―であります。

現状、赤字国債の大量発行が問題視されていますが、財務省が主張するほど日本は財政危機ではないと高橋氏は語ります。

「小泉・竹中改革」の司令塔として、様々な改革を実現し、2007年には国民の富「霞が関の埋蔵金」の存在を暴露し、一躍脚光を浴びた論客が、変動相場制のもとでは、公共投資や減税などの財政政策は効果が無く、金融政策こそが重要であると日本復活への道筋を主張いたします。

また、このところの動き、10月5日の日銀ゼロ金利の復活や量的緩和の推進を含む「包括緩和」に踏み切ったことを受け、直後日経平均株価は久し振りに2日連続で大幅高となりましたが、円高の流れは変わらずで、このような状況をどのように判断するかは難しい局面にあります。

これらを含め高橋洋一氏から率直なご見解を発表いただく予定でございます。
現在の日本における経済分析の第一人者である高橋洋一氏にご期待願い、皆様のご参加をお待ちしております。

開催日時 2010年11月15日(月)18:00~20:30
      18:00 集合(食事を用意しています)
      18:15 山本から時流解説
      18:30 高橋洋一氏の発表と質疑応答
      20:30 終了

テーマ 「 日本は財政危機ではない 」― この金融政策が日本経済を救う ―

発表者   高橋洋一氏

高橋 洋一氏略歴
1955年生まれ。元財務官僚・経済学者で嘉悦大学教授。
小泉政権下では、経済財政担当大臣などを務めた竹中平蔵氏に仕え手腕を発揮した。経済学者としての専門分野は財政学であり、財政、マクロ経済、年金数理、金融工学などを研究テーマとする。
研究者としてプリンストン大学に出向中には、当時同大学経済学部長で、現連邦準備制度理事会(FRB)議長であるベン・バーナンキの薫陶を受ける。大蔵省にあって数学科出身という異色の経歴を持ち、2008年『さらば財務省! 』で第17回 『山本七平賞』を受賞。
場所    東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
      千代田区丸の内1‐3‐1 Tel:03‐5252‐3791
      東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)
アクセス:http://www.kaikan.co.jp/bankersclub/access/access.htm

会費 オブザーバー参加の方は、当日会費として1万円をご用意ください。
お問い合わせ 
 出欠ご連絡先:経営ゼミナール・山本紀久雄 
 メール:info@keiei-semi.jp


2010年12月「感謝の懇親会」開催のご案内

 経営ゼミナールは上田正臣氏が創設し、故城野宏氏の脳力開発に基づく実践経営道場として進めてまいりまして、現在は上田正臣氏の意を受け山本紀久雄が代表を務め、既に367回という定例会を数え、経営者勉強会としては日本で有数の歴史を誇る存在となっております。

 また、その開催も当初から現在まで変わらないスタイルを踏襲しており、この大変化社会の中では稀なる事例ではないかと自負しております。
 
しかし、人間には年齢というものがあり、ひとつの区切りも必要でございまして、この12月で代表の山本紀久雄は70歳になりますので、経営ゼミナール代表の自己定年制を適用いたしたく、創設者の上田正臣氏と、第一回のゼミナールからの正会員・村松喜平氏に予てよりご相談いたしまして、2011年から毎月開催から不定期開催へと変更させていただきたく思っております。

来年からはテーマを選び、機会を改めて開催するという方法に変更いたしたく思っておりますので、皆様のご理解を賜りたくお願い申し上げる次第でございます

つきましては12月例会は「感謝の懇親会」といたしまして、今までに経営ゼミナール開催にご協力・ご参加・ご関係の方々に、長きにわたって定例会開催を続けられたことへの御礼を申し上げたく、以下の懇親会に皆様をご招待させていただきたくご案内申し上げます。

是非共、ご都合をご検討されご出席を賜りますことをお願い申し上げる次第でございます。

なお、11月末に改めて「感謝の懇親会」のご案内を申し上げ、ご出欠ご連絡お願い申し上げますのでよろしくお願いいたします。

感謝懇親会 12月20日(月)18:30から20:30
会場    東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
       千代田区丸の内1‐3‐1 Tel:03‐5252‐3791
       東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)
   アクセス:http://www.kaikan.co.jp/bankersclub/access/access.htm

投稿者 Master : 06:36 | コメント (0)

2010年10例会の実施結果

10月は18日(月)に、元日航の「グレートキャプテン」小林宏之氏をお迎えし、銀行会館で開催いたしました。
日航パイロットとして42年間、無事故・無欠勤で世界を飛び回り、日航最長の飛行時間1万8530時間(地球800周)を記録した、その確実・安全・信頼の実績を「JAL機で42年間一度も欠航せず飛び続けた人生」というテーマで発表いただきました。

ディスカッションでは村松喜平氏から「城野宏先生の主張と全く同じだ」という見解を述べられましたように、戦略と戦術の区別、決断とは覚悟である等、人生のセオリーを述べられたことに共感を受けました。

もうひとつ共感いたしましたのは、小林氏がパイロットというスペシャリストから、ゼネラリストという境地に達しているのではないかと感じたことです。

人は一つの分野で「ある境地」にたどり着くことができた時、その人物は社会全般についても広く見渡せるゼネラリスト、つまり、人生の達人という立場になるという事例がしばしばあります。

ノーベル賞受賞学者の多くが、社会全体に対する意識を高め、その発言が世に受け入れられるのもこの例であり、旧くは宮本武蔵の五輪の書境地、私が専門とする山岡鉄舟の大悟後の人生、これらはすべて人生のゼネラリストという境地に達したからできたものと思っております。

この視点から小林氏のご発言をお伺いし、さらに、多くの方が人生目的を明確化するというところで戸惑っている姿を見るにつけ、今後の小林氏に期待することは「小林人生塾」の開設ではないかと思った次第で、大きな感銘を受けた10月のゼミナールでした。

小林氏のますますのご活躍と、活発なディスカッションにご参加いただいたご出席の方々に感謝申し上げます。

投稿者 Master : 06:32 | コメント (0)

2010年10月18日

2010年10月20日 日本の政治劣化背景要因(後)

環境×文化×経済 山本紀久雄
2010年10月20日 日本の政治劣化背景要因(後)

記者クラブとは

前号に引き続く日本外交が下手だという問題です。問題の要因は「記者クラブ」制にあると前号で指摘しました。
記者クラブとは、政府・公的機関や業界団体などの各組織を継続取材している、主に大手メディアが構成している組織で、英語でもkisha clubないしはkisha kurabuと表記され世界に通用するもので、日本記者クラブなどの「プレスクラブ」とは全く性格を異にするシステムです。

日本しかない記者クラブ

フリーの記者などに対し排他的であるとして、これまでOECDやEU議会などから記者クラブの改善勧告を何度も受けていますが、一貫して大手メディアは記者クラブに関する指摘次項を報道しないため、国民の殆どは記者クラブの持つ閉鎖性を知らないのです。記者クラブが存在しているのは世界中で日本とアフリカのガホンだけらしく、他の国では、事前に登録しておくと、危険人物としてリストに載っていなければ、大統領・首相の記者会見に自由に参加し質問ができるのです。これが世界の常識ですが日本は異なるのです。

小沢氏・岡田氏はオープン化した

記者クラブの運営は、 加盟報道機関が複数当番制で「幹事」社となってあたる事が多く、情報は情報源の広報担当から幹事社に伝えられ調整され、幹事が件名や発表日時などその報道に関する約束事を記者室の「ボード(黒板)」に書き、黒板に書かれた約束事は「黒板協定」「クラブ協定」「しばり」などと呼ばれ、加盟社が順守するべき約束事とみなされます。

記者会見は、ほとんどがクラブ主催となっており、参加者も加盟社に限られ、仮に加盟社でない記者が参加できても質問は出来ません。また、記者懇談会やぶら下がり取材、国会記者証の交付などもほぼ独占的に享受しています。

但し例外もあり、小沢一郎氏が民主党の代表時代と、岡田克也前外相の記者会見はオープンとしたので、これがニューヨーク・タイムズに大きく報道されましたが、この事実も記者クラブ性のため国民に報道されていません。

外国人が質問できない

記者クラブ制の最大問題は、外国人記者が質問できないことであって、外国人のマスコミ記者を排除して、鎖国化していることです。

これは何を意味するか。政治家は、日本人だけの、顔見知りの大手マスコミ記者からの質問に答えるという日常の継続で、いわば日本人同士の身内会見であるので、異質で利害が異なる外国の立場からの、厳しい質問を体験できないということになります。

日本人だけの質疑の意味

この結果の意味するところはお分かりになると思いますが、外国(人)と接しないままに、日本人同士の論理で諸問題が記者会見で討議されるので「世界から日本を見る」という視点の訓練がなされないままに、政府の要人になっていくことになります。

日本の国際競争力は経済だけでなく、政治も国際競争力が問われているのですが、さすがに今を遡ること140年前の明治新政府は分かっていました。

明治4年11月12日(1871年12月23日)から明治6年(1873年)9月13日まで、アメリカとヨーロッパ諸国に派遣されたのが岩倉使節団です。岩倉具視を正使とし、政府のトップや留学生を含む総勢107名で構成されて、鎖国体制から脱皮しよう、日本を世界から見よう、と意図された使節団であり、この成果は大きいものでした。使節団に参加していた大久保利通が征韓論を退けた後書き上げたのが「立憲政体に関する意見書」で、政体取調掛に任命された伊藤博文に手渡しました。

この中で大久保は「今までは国力というものを軍事力とそれを支えている軍事技術にあると思っていたが、それだけでなく様々な要因が国力を支えている」と書き述べています。

正に、ドイツのビスマルクを始めとする世界の政治家たちとの出会うことによって、国力の基盤が軍事・政治力を含めた多くの要因が複層的に重なるところの充実にあるということを理解し、その後の日本国を創り上げていったのです。

指摘されている記者クラブの問題点

 ここで記者クラブについて一般的に指摘されているネット内容を紹介します。

1.メディアが政府の政策を代弁し、政府の広報となっている。

2.警察及び検察が自らの捜査に有利な方向に情報操作を行い、メディアも 調査報道に消極的なため、冤罪を生み易い(例:松本サリン事件、足利事件)。

3.NHKの報道部に在籍していたこともある池田信夫氏によると、警察記者クラブに多数の記者を常駐させることが日本の報道を犯罪報道中心にしているのではないかという。

4.フリージャーナリストの魚住昭氏は「官庁の集めた二次、三次情報をいかに早く取るかが仕事の7、8割を占めてしまうと、実際に世の中で起きていることを察知する感覚が鈍る。役人の論理が知らず知らず自分の中に入り込み『統治される側からの発想』がしにくくなる。自分はそうではないと思っていたが、フリーとなって5年、徐々に実感するようになった」と述べている。

5.衆議院議員の河野太郎氏は(日本では)記者が政治家から食事をご馳走になるのは当たり前、政治家が外遊する際には同じホテルに泊まり「政治家と記者はよいお友達」になることがメディアでは「良い記者」とされている現状を指摘している。

6.ニューヨーク・タイムズ東京支局長のファクラー氏は、「記者クラブは官僚機構と一体となり、その意向を無批判に伝え、国民をコントロールする役割を担ってきた。記者クラブと権力との馴れ合いが生まれており、その最大の被害者は日本の民主主義と日本国民である。」と述べている。

7.主要メディアが報じる捜査情報について、「検察が記者クラブを通じておこなう『リーク』に依存している」と指摘されることがある。
また、検察側は自己に不都合と考えられる報道をおこなった加盟報道機関に対しては検察関連施設への「出入り禁止」措置を取ることがある。

8.西松建設事件に際しては、一部の加盟報道機関が西松建設から献金を受け取った政治家の1人である二階俊博氏の件についての記事を掲載したことに対し、取材拒否および東京地方検察庁への3週間の出入り禁止措置を取った。この一件以後、加盟報道機関は検察および自民党に有利な報道をおこなうようになったといわれる。また、検察は記者クラブに加盟していない報道機関による取材を拒否している。

事実なのか確認

これが事実かどうか。知人の主要新聞社の解説委員に、以下の二つを質問し確認をしてみました。

1.主要メディアが報じる捜査情報は「検察が記者クラブを通じておこなう『リーク』に依存している」のか

2.検察幹部から「書き方のアドバイス」を指示されるような場合があるのか

回答は「よく知っていますねぇ」でした。

世界から日本を見るというセオリーが重要

政治家の国際外交力の欠如が、今回の尖閣海域問題の日本政府対応に現れたと認識し、その背景に世界から問題指摘されている「記者クラブ」制が要因として存在すると理解します。

政治家もマスコミも「世界から日本を見る」というセオリーを貫かないと尖閣海域問題の第二、第三が違う局面で発生すると推測致します。以上。

投稿者 Master : 10:49 | コメント (0)

2010年10月05日

2010年10月5日 日本の政治劣化背景要因(前)

環境×文化×経済 山本紀久雄
2010年10月5日 日本の政治劣化背景要因(前)

人を知る者は智なり、自らを知る者は明なり(老子)。
他人のことの批評や分析はよく行うが、自分のことはあまり追及しない。中国をけしからんと言うのはその通りであるが、日本側の不十分なことを考えると、日本国際競争力の基本的問題がわかる。

菅内閣の外交下手

今回の尖閣海域問題の日本政府対応に、日本人全員が怒り狂っているが、その要因を掘り下げていけば菅内閣の外国(人)との交渉下手ということに尽きるだろう。
 菅首相の経歴は市民運動家であり、仙谷由人幹事長は全共闘の新左翼系学生運動家であって、商社やメーカーに勤務し、海外との難しい商売で苦労したり、海外企業や合弁会社の経営にタッチしたりした経験がない。

つまり、若い時代から今日まで外国人と対決するとか、仕事を通じて外国人と激しいディスカッションの経験が薄いまま、今日の日本政府要人となっている。ここに大きな問題要因があるように感じる。

 その証明が菅首相の代表再選後の記者会見である。真っ先に取り組むべき課題として、経済問題を挙げたのは当然としても、国際関係が大きく変貌し複雑化している世界戦略については触れなかった。思うに、国内選挙用のマニフェストはあっても、グローバルな国家観を持っていないのではないかと推測する。
 
菅首相の歴史的認識力

もう一つは、尊敬する歴史上人物として長州・奇兵隊の高杉晋作を挙げ「奇兵隊内閣」になりたいと発言したことである。高杉晋作の功績は倒幕の狼煙を揚げ、その後の明治維新への最初のキッカケをつくったことで高く評価される。

だが、民主党は昨年8月の衆議院議員選挙で自民党に大勝したことにより、政権交代という倒幕は成し遂げ、鳩山前首相の不始末を引き継いで首相に就任した菅首相であるから、今後の日本国家運営を問題少なくスムースにさせるための、緻密な計画に基づく行動が求められていたタイミングであり、奇兵隊発言は歴史的認識が薄いと思わざるを得ない。江戸開城によって明治維新の扉は開いたが、実際の倒幕確立は、彰義隊壊滅から東北・函館までの戊辰戦争勝利によるもので、この勝利を指揮した大村益次郎の功績が大きい。

菅首相は同じ長州出身の大村益次郎を知らないわけはなく、首相就任後の現状認識から歴史上の人物を見習うとしたら、銅像として靖国神社に立つ大村益次郎でなければならないはず。このように何か時代への認識力にかけるのが菅首相ではないかと思う。
 
自らの体験から 

私は40歳代の前半から後半にかけて日仏合弁企業に在籍した。最初の一年は副社長としてフランス人の社長と仕事をした。副社長就任直後は、相手が社長であるから仲良くしようと努力したが、一か月で対決路線に切り替えた。というのも、彼はフランス本国の言うことを日本側に押しつけるだけで、日本の実態を理解しようとしない傾向が強く、このままでは企業が成り立たないと対決戦略を採ったのである。事実、この合弁会社は赤字額が大きく、日本の親会社は早くつぶそうとしていたのである。

 対決ということは、経営の仕方をディスカッションすることであり、見解が大きく異なるのであるから、ディスカッションは激しく長く喧嘩となる。通常は午後から夜まで毎日のように行なった。これを一年間続けていると、大体に相手の思考方法習慣が分かってくる。そこで、相手の出方を予測し、それを活用してこちらが手練手管を用いて交渉事を有利に展開しようとすることになっていく。当時は、朝起きると今日のディスカッション対策を考えることが楽しみになっていたくらいである。
 
押し通すことがセオリー

しかし、その間も通常の経営は進めるのであるから、意見が合わないままにしておくと、物事が進まず、得意先に迷惑を掛けることになる。そこで、見解が分かれることであっても、実行すべきことは私の独断でドンドン進めていった。つまり、当方の主張を押し通したのである。今までは、意思決定がはっきりしなく、現場に対応しないものであったので経営不振であったが、押し通すようになって経営改善は進んだ。

 だがしかし、それらが続くと当然にフランス人社長は怒り心頭に達する。そこで彼が打った手は、フランス本国のオーナーの前で、どちらの見解が妥当か判断してもらうための会議を提案してきた。

 来たな!!と、しかめ面をして承知したが、心の中では「しめた」と思い、準備万端整えて、ということは理論的に資料をつくり、バックデータも十分に用意してフランスに向かった。考え方が異なる外国人を納得させるのはしっかりした論理展開しかない。

 フランス人オーナーは大企業を一代で築き上げた人物で、カリスマ性がすごいとの評判の人物であった。このオーナーの前で社長のフランス人と私がそれぞれ自説を展開したわけであるが、驚いたことに当方の見解に理解を示し、一年が終わった時に私が社長に昇格した。後で考えてみれば、業績向上の方がオーナーにとって得なのであるから、利口な経営者なら当然の判断だろう。

 結果として、多額の累積赤字を、社長を辞任する際は完全黒字転換し、フランス人オーナーから感謝されたことが強く記憶に残っているが、この合弁会社での経験から言えることは、海外との交渉では自分が思った事を押しとおすことである。

 責任は自分が採るのであるから、開き直って自説を押し通すことしかない。ところが、私の前任者はフランス人社長に迎合して、結果的に経営がうまくいかなかったので、責任を取らされ左遷になった。

「国益を守る」という判断基準

考え方の異なる外国人の見解を鵜呑みにしてはいけないのである。時には聞き、頷くべき見解もあるが、総じて事情理解が不十分であるから無理難題的な傾向が強い見解となる。その時が勝負である。相手がどう出ようと、判断基準を「会社の利益貢献」という立場から意思決定して行けばよいのである。

 これを国に例えれば「国益を守る」という判断基準になり、その思考から日本の考え方を押し通すのが外国と交渉する際のセオリーである。

 今回の尖閣海域問題における中国は、この押し通すというセオリーを忠実に貫いてきた。日本もセオリーを貫くことで対応すべきであった。

今も毎月海外に出かけ、多くの外国人と仕事をし、折衝事をしているが、最終的には当方の見解を押し通さないと目的の業務が達成できない結果となる。これが外国(人)との実践的な付き合い方セオリーである。

政治家は鍛えられていない 

だが、これらのセオリーを知らないのは菅首相だけでなく、政治家全員に当てはまる日本の構造問題ではないかと考える。政府要人全員が、過去に海外との商売や、海外企業・合弁会社の経営にタッチできるわけはない。海外との交渉が薄いままに政治家として選挙で当選し、当選回数を重ねて、要職に就けば、当然に諸外国との対応が問われ、日本の国益を第一にした対応が要望され、妥当な判断を行わなければならないということになって、そこで改めて外国との考え方の違いを大きく認識し、自己判断基準の持ちように迷うことになる。

根本的な要因は「記者クラブ」制にある

加えて、外国の政府要人は、押し並べて主義主張の強い頑固な人物である。そういう人材を外交用に配置しているのである。こういう強敵と交渉に臨むのであるから、お腹が弱い人物は直ぐに下痢をしてダウンし退陣となってしまうことになる。日本の政治家は総じて対外国(人)に対して経験不足だと思う。

 だが、これを政治家個人の理由にしては可哀そうである。もともと優れた才能の人物で、日本国内では立派に政治家として実績を挙げていたからこそ、政府要人になれたのである。ところが、その立場になってみると、小泉首相以後一年しか持たない。

それは実践的な海外勢との経験が少ないというところにあると思い、その根本的な要因は「記者クラブ」制にあると推察する。この問題は次号でも検討して参ります。以上。

投稿者 Master : 08:33 | コメント (0)