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2006年06月30日

7月例会のご案内

7月の経営ゼミナール例会は、7月24日(月)に開催いたします。(7月17日が祝日のため、第四月曜日に開催になります)
発表者には、株式会社テクノエーオーアジアの代表取締役で工学博士の増川いづみ氏をお招きいたします。
  

今や片時も手離せない携帯電話にパソコン、コンピュータライズされた車や家電など、私たちはオフィスから生活空間までハイテク機器に囲まれて、24時間さまざまな電磁波をあびています。
この電磁波は欧米では「21世紀の公害」といわれ、関心も高く、政府主導で予防策もとられていますが、日本ではなぜかあまり取り上げられることもなく、知られていません。
人工的な電磁波は、細胞レベルでの障害を引き起こし、生命維持と調整に不可欠なさまざまな脳内ホルモンを抑制、心臓のリズムを壊すなど、静かに体全体へと影響を及ぼしてゆくことが、最新の研究で実証されています。

オフィスでの作業効率や集中力の低下、蓄積するストレスと回復の遅い疲労、病原菌に対する免疫の低下。キレる、ムカつく、注意欠陥・多動障害児、引きこもりや凶悪な少年犯罪の増加などの原因もここにありそうです。
高圧送電線と小児白血病、電磁波の中でも最も危険な超低周波と遺伝子損傷の因果関係も明確に警告されるべき時ではないでしょうか。

オフィス環境への影響、これからの健康の維持に影響を及ぼすといわれる電磁波について、長らく研究をされてきた増川いづみ氏から発表していただきます。
7月の経営ゼミナールのご参加をお待ちしています。

略歴
1984年6月 ミシガン州立大学卒、栄養学博士・電子工学博士
1987年 ・MEMBRATECH研究所(ペンシルバニアUSA)、
      ・RHD(リサーチ&ハイテック・デベロップメント)インター
       ナショナル研究所にてマネージメントポジションにつく
      ・米国の大統領・政治家・スターなどVIP向け超高級会員制
       リゾート施設「ゴールデン・ドア」の企画・設計・運営に参加
1988年 ・American Microcluster Lab.(CA.USA) 取締役に就任
       磁気共鳴水等の特殊ウォータートリートメントとその活用の
       研究や医療分野での開発、自然医薬品、化粧品の開発・製造
       などに従事
      ・SCRIPPS MEDICAL GROUP(米国大統領主治医を擁する医療
       グループ)所属
      ・スイスの薬草学者・医学博士(Dr.Kurt Schnarbelt)より2年間
       師事(医療面での ハーブトリートメント、飲用、施設用)
      ・量子力学をUCSTにて修得
2001年 ・ユニヴァーサルバランス㈱を設立、代表取締役に就任
       千二百年の歴史を持つ四條司家ブランドによる食材・調味料の
       企画開発を行い、由緒ある家紋の使用許可を得る
       水処理システムの技術開発と製造、各種施設の企画および
       建築設計のコンサル テーション等にあたる
2001年 ・米国時代から携わってきた電磁波特に超低周波防護に関する
       研究開発に伴い、電磁波問題の啓蒙及び電磁波防護製品
      「テクノAO」の輸入販売を行う㈱テクノエーオーアジアを設立、
       代表取締役に就任

アメリカで栄養学と電子工学を学び、磁気共鳴水やエイトフィギュアモーションシステムなど水の研究分野での第一人者である。最先端テクノロジーから自然科学、古代の伝統まで幅  広い知識をもとに、現代人を蝕む食品添加物や有害な電磁波などに対し、自然と調和しながら身体の内と外の環境から真の健康を整えてゆくことをテーマとしている。


1.日時 平成18年7月24(月)
  *第四月曜日の開催となります。ご注意願います。
   6時集合(食事を用意しています)
   6時15分より山本紀久雄代表の時流講話
   経営ゼミナ-ルは6時半開始8時半終了予定
   
2.場所 東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
     千代田区丸の内1-3-1 Tel:03-5252-3791
     東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)

3.テーマと講師
    「見えない公害、電磁波は何故脅威なのか」
     株式会社テクノエーオーアジア 
     代表取締役 増川いづみ氏

* 会費  オブザーバー参加の方は、当日会費として1万円をご用意下さい。
* 問い合わせ 
  出 欠:編集工房 代表 田中達也 
  電 話:048-229-2122
  FAX:048-473-7293
  その他は金子 ぬりえ美術館内(03-3892-5391)まで
  問い合わせ願います。

投稿者 lefthand : 22:41 | コメント (0)

9月の例会の予定

9月は講師のご都合で、9月14日(木)に、開催いたします。
講師は、重信メイ氏でございます。昨年も発表をしていただき、大変好評でございましたので、再び重信メイ氏にお越しいただき、昨年からの状況を発表、解説していただく予定でございます。
 変則的な日程ではございますが、ご予定の程よろしくお願い申し上げます。

投稿者 lefthand : 22:35 | コメント (0)

2006年06月22日

2006年6月20日 分からないが判断基準

YAMAMOTO・レター
環境×文化×経済 山本紀久雄

今年の梅雨
NHKテレビニュースで中国の一人当たり水消費量は、日本の四分の一であると報じていました。その点、日本は水が豊かで、今日も梅雨の雨が降っています。これを恵みの雨と思うか、それとも昨年に比較し雨が多く、日照時間が少ないと判断するか、それはその人によって異なりますが、ある人は「今年の天候不順は、江戸時代の天保の大飢饉時に似ている」と言い「天候不順な時は農薬の使用量が増える」とも言っています。

確かに天保の大飢饉は七年間に渡って発生しています。しかし、この大飢饉で日本全国がすべて「食べられなかった」のかと言いますと、そうではなく当時は幕府領と藩領によって為政者が異なっていましたから、そこの政治によってずいぶん被害状況に格差がありました。また、江戸時代は多雨、干ばつ、冷期が多く、ある人に言わせると「江戸時代は異常気象の方が多かった」とも指摘しているほどです。
ところが、この異常気象が多かった江戸時代に、米に生産が飛躍的に伸びた事も事実なのです。江戸時代の初期には千八百万石だった生産高が、天保時代には三千万石に増えているのです。米の生産が増えたということは、この時代は平和であり、人口も増え、耕地面積も伸びたことを意味し、これは農民の働く意欲が高まっていたとも解釈できるのです。 今年の梅雨状況から天候不順と断定するかどうか、それは各人の判断によって分かれます。

ワールドサッカー
日本はオーストラリアに負け、クロアチアと引き分けました。戦前の予想では日本はオーストラリアには勝って、予選は突破する見込みでした。だが、これはかなり難しくなりました。今年の3月、ロンドンのブックメーカー(公認賭け屋)で、ワールドサッカー国別掛け率を聞きました。以前にお伝えしたと思いますが、その時点でブラジルがトップで3倍、ドイツとイングランドが6倍、イタリア・フランスが7倍、クロアチアは50倍、オーストラリアは150倍でした。では日本は何倍か。それは125倍から250倍の間で動いていました。予選F組の中では日本が一番低いのです。
しかし、今月のFIFAの世界ランキングでは、1位は勿論ブラジルですが、クロアチアは23位、オーストラリアは42位で、日本は18位なのです。F組の中でのランキングではブラジルに継ぎます。どちらの評価ランクを採るか。それは人によって異なり、日本人として日本チームを高く評価したいのですが、いまのところロンドンのブックメーカー倍率が示す結果です。

人は何を基準にして判断するか
我々は常に判断をしています。目の前に現れる出来事を判断し続けています。また、その判断は自分の中に存在する、何かの「ある基準」で決めています。その「ある基準」とは自分の原体験を基に、そこに今までの人生経験や環境条件を加味しているものではないかと思います。つまり、自分の体験と場数の積み重ねによって、一人一人が何らかの判断基準を持っているのです。
しかし、この判断基準を多くの人は明確に把握していないから厄介です。通常、目の前に出来事が現われたとき、多くの人は直感的に行動することで、物事への対応をとっています。よく考えて行動しろ、などと言われても、実際は直感で判断しています。また、直感で判断しないとスムースな行動はできなく、日常生活は支障を起こしかねません。ですから、日常生活は直感の連続行動になっています。
しかしながら、直感で行動しているのですから、その直感行動する自分の内部には、何かの基準があるはずです。何もないのに直感行動はありえません。一人一人異なった判断基準が存在しているのです。

社会の共通概念
一人一人行動する判断基準が異なっているのですが、一方、社会にはこれを規制する共通概念が広く強く存在しています。
例えば、お腹が空いたとします。しかし、自分は空いたが隣の人がお腹を空かしたとは限りません。また、お腹が空いたとしても昼食時間にならないと、自分勝手にはなかなか食べられません。文明社会では昼食は12時というある規制が世の中に習慣化され、それに基づく共通概念が染み渡っています。社会の共通性概念にしたがって行動しないと、人間関係は壊れていきますから、一人一人の判断で勝手に行動できないシステムになっています。このレターはパソコンで書いています。パソコンに向うのは一人一人異なる個性ですが、向かい合っているパソコンはある一定の基準で規制され、作られているものです。ある人独自のパソコンがあったとしますと、そのパソコンを使って多くの人とメール連絡は不可能ですし、インターネットで様々な情報を入手できません。
つまり、パソコンは世界共通に規制された概念で作られているからこそ、多くの人と情報連絡でき、そうであるからこそ多くの人から活用されるのです。あるキーを誰が叩こうとも、その打たれたキーは同じ結果を示すから、パソコンは多くの人に役立つ存在になっているのです。それが同じキーを叩いて、結果が人によって異なるとしたら、この便利なパソコン社会・IT社会の隆盛はありえません。
ですから、社会には人々が共同して生活するための、共通概念が広く強く存在していて、それにしたがって行動していくことになります。

共通性概念の問題
社会生活を送っていくためには、この共通性概念を大事にしないといけません。しかし、この共通性概念だけを意識し、大事にし、守って行動していくとどうなるでしょう。共通性概念とは多くの人に当てはまるものですから、多くの人と同じ行動となり、多くの人と異なる行動は採らないということになります。社会が決めたことという暗黙のルールに従って行動する人間となります。それはどういう人間でしょうか。それは個性のない人間ということになります。人は生れたときから個性が一人一人異なっているのですが、その個性を発揮しないで社会規範ともいえる共通概念だけで行動していくと、最後には自分という存在、他人と自分がどのように違うのかということが分からなくなり、結果的に社会不適合になりやすいといわれています。
これは自閉症の発症が始めてアメリカで報告されたのが、1943年であったということからも推察できます。アメリカの児童精神科医が「従来の報告にないユニークな状態を示す一群の子どもがいる」と発表したのが1943年でした。その12年前の1931年に、テレビが始めてアメリカ社会に登場しました。テレビとは「情報が片側からの一方通行で、こちらからはコミュニケートできない」ものです。そのテレビの前に幼児を置いたままにしておくとどうなるか。正確には解明されていませんが、このテレビの普及と自閉症はパラレルになって発生したと言われています。テレビとは何か。それは強い刺激で、繰り返しが強力に行われるものです。その代表的なものがテレビコマーシャルで、視聴者の目に印象強く残してもらうために様々な工夫をして訴えます。その結果視聴者は、このコマーシャルを受け入れていくこと、つまり、コマーシャルが与える共通した概念が視聴者に入っていって、その結果で行動することになりやすいのです。これがコマーシャルの狙いです。
同様にテレビから発する情報、それはある種の社会に共通する概念ですが、それに幼児期から慣れきっていくと、実際の社会で異なる事例問題に当面したとき、つまり、共通性でない特殊性事例に該当したときにどうなるか。それは簡単に予測できます。自分の原体験を基に、そこに個別の人生経験や環境条件を加味しているものが少なく、共通性優位で行動基準が出来上がっていますので、戸惑い、困惑する結果となります。

分からないということが大事
ある人が最近分からないことばかり発生すると言いました。その通りで、今の世の中は日本社会の共通概念だけでなく、世界の異なった共通概念と、そこに世界中の一人一人の個性が集まって動いて、その一人一人がそれぞれ噛み合わないで動いていくものですから、分からないことが変化として顕れてくるのは当たり前です。
加えて、現状の社会システムが、今後向うであろう社会に合致していないのですから、更に分からないことが続発します。ですからこれからは「分からないということを判断基準にする」ということが、変化の時代に生きる基準ではないかと思っています。
以上。

投稿者 lefthand : 07:55 | コメント (0)

2006年06月20日

ワイポイントレッスン 2006年6月19日

「日本の国際文化交流」
国際交流基金文化事業部長 富岡順一氏

国際交流基金に昨年民間から転出された、富岡氏の発表は魅力的でした。昨年はフランス文化について解説をしていただき、今年は日本文化を世界に発信するシステム実態と、諸外国との文化交流投資額の比較、それらの実態を数字で明確にご教示していただきましたが、その実態は他国と比較し不十分であるという見解でした。

しかし、この不十分な体制下であっても、日本文化が世界に占める位置づけ実態は年々高まっていると感じます。それは外国に行った際の実感から受けることが多く、それらについてご参加の方々から発表がありましたとおり事実です。特に最近はマンガ、アニメ、食文化等の人気で、日本は高く評価されている実態です。
ここに日本の本当の真価が示されています。その真価とは何か。それは日本の歴史の長さです。後三年半で2010年になります。ということは大化の改新を受けて平城京に都が遷都して1300年、それ以前も天皇制という国体の歴史があったわけですから、この歴史は現在の世界各国に類例がない、素晴らしい伝統が続いているのです。明治維新という国家体制が封建時代から近代化に切り替わっても、伝統文化は維持されているという素晴らしさ、これは他国には見られない日本人の知恵なのです。

その歴史に裏づけされた日本国土に生まれ育って、我々はビジネスを行っていること、この確定的事実を再確認しなければなりません。認識論として正しく理解すること、そこにビジネスの基本があります。この確定的事実認識論にたって、その上に「この事実をどう活かしていくか」という戦略論、その戦略に基づいて「どう展開していくか」という戦術論、その整理を的確にしていくことが必要です。

しかし、陥りやすい問題点があります。多くの人は情報を集めすぎます。外国の実態情報を集め、その内容との比較から日本を判断しようとする傾向があります。外国の実態を判断の基準にしているのです。これはある面で有効な判断基準ですが、一方では大変危険な基準です。何故なら「我々は日本という国土で生まれ育っている」という確定的事実を忘れかねないからです。外国の実態を調べる基本は何か。それは自らが立っている日本という国を再確認するためです。外国の実態を知るということは、更に日本という国について深めていくということ、それが特に重要なのです。もう一度、原点から考えたいと思います。我々がビジネスしている今の日本、それを深く知ることこそが、国際交流の原点にあるのです。それを忘れた外国情報の収集は、日本の魅力を正しく妥当につかめないことにつながります。
このようなことを富岡順一氏にご発表から学びたいと思います。     以上。

投稿者 Master : 08:42 | コメント (0)

2006年06月19日

6月例会の感想

日本の文化を世界に
日本は「文化パワー」のある国

今回は国際交流基金・富岡順一氏よりお話を伺いました。
世界の中で日本はどうやってその存在感を示せばよいのだろう、ということについて、国際交流の橋渡し役をされている同氏のお考えを伺い、ディスカッションしました。

富岡氏は、日本は世界に誇れる「3つのパワー」を持っていると述べられました。
1.軍事パワーを使わないパワー
日本は、実は国家予算における軍事費の割合が世界第4位の軍事大国なのです。軍備も他国に引けを取らないほど装備しているにもかかわらず、それを「戦争をしない」ために準備しているのです。ここが他国にない、唯一のパワーだということです。すばらしいことです。
2.経済パワー
これは説明不要でしょう。日本は経済大国になる道を歩み、現在もそうあり続けています。
3.そして、文化パワー
日本は世界に誇れる歴史と文化を持っているのです。
こういうエピソードがあるそうです。
中東の人が日本人の話を聞くとき、明治維新のことを聞きたがるそうです。理由は、明治維新は「革命」であるにもかかわらず、その時文化や伝統も同時に残した、どうやったらそんなことができるのか知りたいと言うのだそうです。
日本は世界に誇れる文化を持ち、世界の人がそれを認め、学びたがっているそいうことなのです。

にもかかわらず、日本には困った問題、いや課題があります。それは、「文化の空洞化」だと富岡氏はおっしゃいます。
日本は世界に誇れる文化があるというのに、それを私たちが認識していない、結果として世界に日本の文化を伝えることができていない、ということなのです。むしろ外国人の方が日本の文化に詳しいというケースもあるのだそうです。
政府が「VISIT JAPAN」と銘打って、もっと外国人が訪れる国にしようと宣言している今、私たちが外国人に日本の文化を語れるかということは、大きな課題ではないでしょうか。

山本代表のまとめでも触れておられましたが、日本の文化を語るということは、自身の文化を語ることではないかと感じました。私たちは日本に生まれ育ったという確定的事実を認識し、私たち自身や所属する組織=会社の文化・歴史を知り、伝えること、いわば「私の文化」を知り伝えることが、全体として日本文化を伝えることになりはしないでしょうか。

そんなことを感じた例会でした。
富岡先生、ありがとうございました。

(田中達也・記)

投稿者 lefthand : 23:49 | コメント (0)

2006年06月06日

2006年6月5日 自分の敵は自分

YAMAMOTO・レター 環境×文化×経済 山本紀久雄
2006年6月5日 自分の敵は自分

実感する景気

90年代の金融危機のとき、家庭用金庫需要が急増しました。金融危機に対する防衛対処法セミナーが大流行で、それに伴うリスク分散の一環行動としての家庭用金庫需要でした。しかし、このところ金庫の販売状況が平常に戻ったようです。ということは「家庭用金庫=タンス預金」への動きが止まり、家庭用金庫にあったゴールドが値上がりとともに現金化され始めました。これらの動きはようやく人々の気持が、おカネを「守る」から「使う」に移りかけているのではないかと感じています。

というのもアメリカ・シアトルに行こうと、JAL、このところJALは不祥事件が続き不人気ですが、予約しようとJALに電話すると満員との回答だったからです。サンフランシスコ経由も満員、仕方なくカナダのバンクーバー経由でチケットを入手しました。機内誌にJAL管理職から下克上されたトップ、その顔写真入り挨拶文が掲載されているのは気に入りませんが、実際に乗ったJAL機内客室乗務員は、親切で一生懸命対応してくれています。ゴールデンウィーク後でありながら、満員の機内を見回して景気の動向を実感しました。

オンリーワン経営

JAL機内誌でグレゴリー・クラークさん(多摩大学教授)が、外国人から見て不思議な現象として「日本人の講演好き」があると書いています。日本人は他人の意見を聞きたがる人種だと断定しています。他の国よりもこの傾向が強いと述べています。自分もよく他人の講演を聞き、時折講演する者として、この指摘は当たっていると思います。
ついこの間も、東京で有名な企業経営者団体から講演の声がかかり、テーマ決定の事前打ち合わせに参りました。事務局の方から最近の講演内容を問われましたので、先日の静岡県伊豆長岡で行った「世界から見た日本の温泉業界への期待」の内容をお話しすると、すぐに「世界から見た日本の魅力」というテーマを指示されました。このテーマの背景意図は、日本の魅力を外国から見た立場で分析し、改めて日本の素晴らしいところを確認し、ますますグローバル化が進む中で日本企業が向かうべき方向性を示してほしいというものです。
つまり、グローバル化に向かう経営時流を解説することになりますが、それは外国と日本を比較することによって、日本文化が外国から高く評価されている事実を認識し、その日本文化のよさを最大限発揮させることこそが、グローバル化の中で生き残って成長していく根源力になるという内容になります。
しかし、この日本文化のよさを再確認し得たとしても、自社経営との具体的結び付けが他の企業と同じパターンであるならば、それは差別化されないということですから、特長がないので独自成長は難しく、再び同じ分野で、大勢が揃って同じスタイルで、その中でナンバーワンを競い合う、という厳しい経営実態に陥ります。今までに繰り返してきたものと全く同じ結果となるのです。
ですから、日本のよさを再確認するとともに、次への展開は脳を使って工夫し、他社と差別化した「オンリーワン」経営を目指すことが大事なのです。ということでテーマは「世界から見た日本の魅力」ですが、内容は「ナンバーワンからオンリーワンへ」ということになります。しかし、このようなオンリーワンの必要性は新鮮味がなく、既に十分に分かっていて、知られていることなので、講演会に人が集まりません。従って別タイトルテーマとなったわけです。
しかしながら、世の中の成功セオリーは昔から変っておりません。だが、セオリーを分かっていても実際に出来ない人が多いからこそ、実は何回も同じセオリーを講演会でお伝えすることに意味があるのです。「分かっていることを、実際に出来るようにした」人が、成功への道に向かうことになります。

人の話を聞くこと

このところ続いて傾聴の勉強をしまして、改めて人の話を聞くことの大事さを認識しました。また、営業力で成功した人物のお話を伺う機会もありまして、その方が「会話の中で当方が話すのは二割ぐらいに抑え、残りの八割はお客様の話を聞くようにしている。そこで大事なのは二割を話すこちらの言葉が大事になるわけです。聞かれてもいないことをべらべら喋るのでなく、お客様の質問や相談に対して、適切な言葉で明確に答えることが大切です」と教えてくれました。また「お客様から十の質問をされて、一つや二つは答えられない方がいい。そうでないとお客様を負かしてしまうことになる。分からないことは正直に言うことです」更に「その場ですぐ調べて答えが見つかったら、お客様のおかげで勉強できました、という返事をすると、その場の雰囲気は最高になること、間違いありません」とも教えてくれました。
毎月の講演会で質問に答えられないこともありますので、なるほどと思うとともに、家庭内でいつも「聞いていない」と指摘されている現状では、反省しかないなと思いつつ「分かっていながら出来ない」ことが実際に多いのだなぁと、本当に思います。
昔からよく言われている内容であって、それを知って理解しているのに出来ない自分は、自分の中に出来ないもう一人の自分がいるということになりますが、傾聴セミナーを受講した人は、皆さん同様の感想をもらしますから、多くの人が分かっていて出来ないこと、その典型例の一つが傾聴と思います。

理念の追求=居酒屋→居食屋→有機栽培→介護施設

先日、ワタミ㈱の渡邉社長のお話を聞く機会がありました。有名人ですから大勢の聴講者がいましたが、その年齢層がいつもの講演会と異なって若いのです。まだ20歳代前半の人が大勢来ています。明らかに経営者ではありません。これから仕事を探そうとする人か、卒業予定の大学生です。それらの人が皆一生懸命にメモし、渡邉社長の一言一句を聞き逃さないぞ、という感じで身体が前乗り姿勢なのです。ちょっと感動しました。いまどきの若者は、という感覚を変えさせられました。
渡邉社長の内容は厳しいものでした。小学校五年で両親を失い、それまでの豊かな生活が一変し、貧しさということを本当に体験した。会社というものは一般に入るものだと思っているようだか、自分は会社をつくるものであると考えていたので、一度も就職活動しなかった。今は大学新卒が一年間に500人入ってくるが、最初は大卒から見向きされなかったので、店にアルバイトしている学生を口説いて就職させた。このような体験談を聞いたわけです。
最近はあまり行かなくなりましたが、以前は「和民」に行ったことがあります。そのときにここは居酒屋という認識で、ここでは酒を飲むところというイメージで利用していたところ、向こうの部屋で若い夫婦が幼い子供をつれてきていて、その子供が走り回っていたことを妙だなぁと、思った経験があります。その疑問が渡邉社長のお話を聞いていて疑問が解けました。こちらは居酒屋という理解で「和民」に行ったのですが、実は渡邉社長の理念は「居食屋」という、ファミリー対象の新しい食事業態を目指していたのです。だから当然子供がいて当然なのです。こちらは居酒屋と思っていたので、子供に違和感を持ちましたが、それはこちらの理解不足だったのです。疑問が今になってようやく分かりました。渡邉社長が目指すこれからの経営は、有機栽培と介護施設展開です。有機栽培によって害の少ない新鮮な食材を提供できるようになるのですから、それは介護施設入居者にも提供できることになります。
つまり、居食屋も介護施設も「食」という視点で考えれば同じで、当然の発想であり、日本で最大の有機栽培事業と介護施設事業展開を目指しています。その発想の原点に、自分が日本の農業を変え、自分が日本の介護を変えるのだ、という強い目的があり、そのことを本当に理解できる人材を選別して採用していると言い切ります。ですから、本社ビルの八階で開催されるエリアリーダー会議で、この理念・目的に従っていない行動の幹部には「ここから飛び降りてしまえ」、というような激しい叱咤が日常茶飯事であると真顔で語ります。激しい叱咤は、本人を憎んで嫌いで言っているのではなく、渡邉社長が目指す理念に同感して一緒に働いているはずなのに、そのことが実行できない「相手の中にある敵」に対して発声しているのです。

景気が動き出したタイミングに、改めてオンリーワン経営・傾聴・理念追求型経営が大事で、その前提としては「自分の敵は自分」をコントロールすることです。以上。

投稿者 Master : 04:56 | コメント (0)