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2010年04月27日

2010年5月例会のご案内

経営ゼミナール2010年5月定例会(362回)ご案内

開催日時  5月17日(月)18:30〜20:30
テーマ  「世界経済と日本の状況」
発表者   経済評論家 森野榮一氏

5月は17日(月)に森野榮一氏をお迎えし、銀行倶楽部で開催いたします。
森野榮一氏は、以下のプロフィール通り多彩な活動を展開されておられますが、17日は「世界経済と日本の状況」についてお話していただきます。

そのポイントは
「『世界的カネ余り』状況の中、投資マネーが投資先を求めてさまよい、流動性相場が続くが、実体経済とマネーの動きがリンクしていない状況では、絶えずリスクを孕みながらも世界経済はゆっくりと回復を探る過程にある・・・。
また、ギリシャの国家債務超過をきっかけに、ユーロの総体的な地位が下がり、ドルの地位が復活しつつあるが、これは、金融危機前のような状況。
日本は相変わらずの外需頼みで、国際社会からあらゆる点で、乗り遅れてしまっている」
等につきまして、当日までの最新情報でご発表されます。   

山本紀久雄も何回かお話をお聞きし、示唆に富む内容にいつも刺激を受け、5月ゼミナールへご登場していただくことになりましたので、ご期待いただきたいと思います。

(森野榮一氏プロフィール)
経済評論家、ゲゼル研究会代表、日本東アジア実学研究会会員。1949年、神奈川県生まれ。國學院大學大学院経済学研究科博士課程修了。著書は、『商店・小売店のための消費税対策』(ぱる出版)、『エンデの遺言』、『エンデの警鐘』(共著、NHK出版)、『だれでもわかる地域通貨入門』、『なるほど地域通貨ナビ』 (北斗出版) など多数。1999年、NHKBS1特集「エンデの遺言」 の番組制作に参加。その後、町づくりのアドバイスや地域通貨の普及活動に努めている。

開催日時 2010年5月17日(月)18:30~20:30
       18:00  集合(食事を用意しています)
       18:15  山本から時流解説
       18:30〜 森野氏の発表と質疑応答
       20:30  終了
テーマ  「世界経済と日本の状況」
発表者  経済評論家   森野榮一氏

場所    東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
      千代田区丸の内1‐3‐1 Tel:03‐5252‐3791
      東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)
アクセス:http://www.kaikan.co.jp/bankersclub/access/access.htm

会費 オブザーバー参加の方は、当日会費として1万円をご用意ください。
お問い合わせ
 出欠ご連絡先:(有)山本
 メール:info@keiei-semi.jp

お申し込みはこちら

投稿者 lefthand : 20:10 | コメント (0)

2010年6月例会の予告

6月の例会は、6月21日(月)に、株式会社CBC総合研究所代表取締役の山川裕正氏をお迎えし、銀行倶楽部で開催いたします。

テーマは
「今こそ『ビジョンと戦略発想』の経営を志向しよう!
 ―リーマンショック後、大転換時代の経営・営業・人生のあり方―
『変わること、変わらないこと』」

でございます。

さらに、山川裕正氏から以下のメッセージも承っております。
「今の日本に一番足りないのは、ロマンであり、戦略発想ではないでしょうか。そのことは、決して抽象的な理想論ではなく、経営、営業の実践論そのものと思っています。
なぜなら、ロマンがない会社にお客様からみたら魅力のあるわけがなく、高い付加価値を獲得できるわけがないからです。また、精いっぱいの知恵を出しきって活動しなければ、この変化多様化する市場で勝ち残っていけるわけがないからです。
実は営業も一緒と思います。ロマンとビジョンを抱き、 戦略発想でメリハリよく動ける営業マンこそ、人間的魅力を持って大きな商売をものにしています。将来に不安が広がり、価格競争がより厳しくなっているビジネス環境の今だからこそ、ロマンとビジョンが大事になり、より大きな付加価値を生むことになると、経営や営業の現場から私は実感しています」

このように熱き問いかけをされます山川裕正氏のご発表にもご期待賜りたいと思います。

(山川裕正氏プロフィール)
1951年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、㈱三越入社。その後、大手コンサルティング会社を経て88年に独立。中小企業の経営診断や新規事業推進などを中心に、ゼネラルコンサルタントとして活躍中。著書に「絶対に勝つマトリックス営業-戦略営業の決め手4つの領域」(プレジデント社)など。

投稿者 lefthand : 20:02 | コメント (0)

2010年4月例会報告

経営ゼミナール4月例会報告
『日本の温泉、世界ブランド化への道筋』
企画コンサルタントフローランタン代表 柳楽桜子氏

4月の経営ゼミナールは、フランス人ジャーナリスト、リオネル・クローゾン氏をお迎えしての講演を予定しておりましたが、アイスランド火山噴火の影響で来日が不可能となり、急遽、通訳兼コーディネーターの柳楽桜子(なぎら さくらこ)氏に、クローゾン氏が講演する予定であった内容をご講演いただきました。
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*****

柳楽桜子氏は、通訳も含めた日仏間のコーディネートからコンサルティングまでを幅広く手がけられている人物です。伊豆とのご関係も深く、河津町との国際プロジェクト「河津バガテル公園」設立の全コーディネートを行っておられます。
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柳楽 桜子氏

柳楽氏は、事前にパリでクローゾン氏と今回の講演内容の打ち合わせを行っておられました。大変幸運なことでした。柳楽氏を通じてクローゾン氏の温泉に対する思いを伺うことができ、同時に柳楽氏の日仏間コンサルティングのご経験から、温泉地に欧米人が訪れるにはどうすべきかをご教示いただきました。
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クローゾン氏の温泉との出会いは1982年だそうです。仕事を終え大分県・湯布院を訪れたクローゾン氏は、すぐに温泉の持つ魅力に惹かれたそうです。それは、温泉地の風景、日本の美しい風景と日本旅館の調和、周辺の情緒ある田舎道の心地よさなどでした。さらにクローゾン氏に強烈な印象を与えたのは、温泉に入るということ、そのものでした。40℃前後のお湯に浸かるというのは、欧米の習慣にはないのです。初めてでありながらとても心地よい経験に魅せられ、以来クローゾン氏は来日のたびに各地の温泉を巡り歩いておられるそうです。
日本は全国どこに行っても温泉がある。これは素晴らしいことだ。クローゾン氏はこう語っておられるそうです。そして、温泉(=源泉)を中心に町(=温泉地)が形成されていることも、外国にはないとても特殊な成り立ちであるのだそうです。
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これほど絶賛されている日本の魅力とは、ひと言でいうとどういうことなのでしょうか。
それは「異文化」である、ということなのです。
日本の温泉は、欧米にない文化であり、習慣なのです。それが日本を訪れる外国人にとっての「魅力」なのです。温泉は、その異文化を同時にいくつも体験できる、欧米人にとってとても素晴らしいところなのです。美しい景色、自然に溶け込む宿の佇まい。続いて食事、美しくて美味しい和食に感激。そして、人。女将のおもてなしと、何といっても着物姿。これほどの日本の伝統美を同時に感じられるところは温泉しかないのです。
このような素晴らしい温泉が日本の各地にあることを、欧米人は知らないのです。温泉は日本を代表する文化であることをもっともっと欧米人に知らせてほしい、このことをクローゾン氏は強調されている、と柳楽氏は語りました。
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現在、フランスは日本ブームです。パリ在住の柳楽氏はそのことを肌で感じておられます。その火付け役となっているのは日本のアニメーションであり、それを牽引しているのは10〜20代の若者です。彼ら熱狂的な日本ファンの若者が成人し社会人となったら、きっとバカンスで日本を訪れるようになるでしょう。彼らは将来の貴重な来日予定者であり、将来の温泉ファン候補であるのです。

欧米人が日本を訪れるとき、必要なことは何か。
欧米人に合わせて設備を整えることではありません。そのことはむしろ温泉の価値、文化を自らの手で壊すことを意味します。そのままでいいのです。そのままの姿が「異文化」であり、欧米人はそこに大いなる魅力を見出すのです。
では、何が必要か。
それは、温泉の魅力を知らせること、すなわち、温泉ガイドブックを作ることです。
温泉とは何か、温泉の入り方、予算に応じて楽しめる温泉あれこれなど、それらがひと目で分かるガイドブックが存在すること、このことが最も重要なことであるのです。

日本には、数々の素晴らしい伝統文化があり、日本を訪れた欧米人は日本の魅力に惚れ込みます。しかし、それらは残念ながらほとんど知られていません。それをいかに知らせていくかが、今後の日本の観光大国化への大きな鍵になることは間違いありません。経営ゼミナールでは、日本の観光大国化による経済活性化のために、今後も研究、講演を続けていきたいと思います。

なお、クローゾン氏は今年の9月に来日いただくことを予定しています。是非ともご期待ください。

(事務局 田中達也・記)

投稿者 lefthand : 18:02 | コメント (0)

2010年04月21日

2010年4月20日 脱近代化は今の条件を活かすこと

YAMAMOTO・レター
環境×文化×経済 山本紀久雄
2010年4月20日 脱近代化は今の条件を活かすこと

アイスランドの火山噴火

アイスランドの火山灰がヨーロッパ上空を襲い、各国で空港が閉鎖されています。旅行客が空港に泊って何日も過ごすことになり、様々な場面で問題が出ています。

アイスランドは人口32万人、ここには1990年3月に行きました。家庭の水道が全て温泉ミネラルウォーターで、その水の良さのためか、街中を歩く、といっても地上が雪と氷でしたから、地下街で出会う女性の肌がきれいなことが印象に残っています。
その後のアイスランドは金融大国化へ大きく国策を変化させ、一時は国民一人当たりGDPで世界五位(2006年)となりましたが、2008年に発生した世界金融危機によって経済危機という状態です。
元々、国の中心産業であった漁業を、GDP対比6%まで減少(2006年)させた国策を、アイスランドの自然が怒り狂って、今回の噴火を起こしたのではないかと思えるほどです。

パナソニックの戦略

パナソニックが、新興国市場への開拓を加速するとの報道がなされました。(日経新聞2010.4.16)このパナソニックの戦略は遅きに失したと思います。
まず、世界市場でシェアを獲得するためには、ブランドイメージの定着が基本ですが、社名を「松下」や「ナショナル」と「パナソニック」に地域や用途に応じて使い分けていて、ようやく2008年後半にパナソニックに統一しました。これがイメージの定着化にマイナス要因で、連結売上の海外比率は47%にとどまっています。
ライバルの韓国サムスンは80%、ソニーは70%ですから、その差は大きいものがあります。今回のアイスランド火山噴火で空港に足止めされている人々が、状況を確認しようと見るロビーのテレビは、世界中の空港でサムスン製のテレビに切り替わっています。
以前は、ソニーであり、シャープでありナショナル製品だったのですが、今や完全に空港はサムスンに占拠されました。この背景には、もうひとつ決定的な要因があります。

上海の街中

アイスランドの火山噴火のタイミングに上海に行きました。今回は家族との観光でした。ここ数年、上海には度々訪れていますが、仕事でしたので観光地には出かけませんでした。
今回は、まず、上海郊外の七宝老街に行き、北宋時代を再現した水路や石橋など楽しみ、名物の臭豆腐を食べ、小舟にも乗りましたが、土曜日なので人でいっぱいです。土曜日休日の企業が多いということがわかります。
次に向かったところは豫園です。ここは更に人ばかりで、欧米人が多く、ヨーロッパに火山噴火で帰れないので、仕方なく観光地に来ているのかなと推測しましたが、南翔饅頭店の小龍包には驚きました。余りに人が列をつくっているので、試しに最後尾に並んでみました。立ち並ぶこと40分、ようやく手に入れた16個入り小龍包、価格は12元約200円と安く、味もさすがに超人気だけのことがあり、店頭応対も問題なしです。
最も驚いたのは公衆トイレです。七宝老街も豫園でも綺麗に掃除されていて、自動水洗とウォシュレット、手洗いも自動でペーパー&温風つき。1992年に家族と廈門と深圳に行った時は、公衆トイレには入れなかったほど不潔だったのですが、今の上海は道路のゴミ掃除もしっかりなされ、見事に万博開催にふさわしい都市に変化しています。 
 中国全体は、先進国へのキャッチアップ過程にあるとしても、上海の観光地のトイレを見る限り、万博開催都市としての目標は達成したと感じます。
残されたのは空気で、空はいつもどんよりスモッグで、環境問題が最大の課題です。

中国と韓国のタクシー料金

上海でタクシーに乗りました。豫園からホテルまで渋滞もあり40分乗車し42元で約670円。3月の韓国でもタクシーを利用しました。ホテルから釜山駅まで20分乗って5,900w494円。ソウル駅からタクシーでホテルまで25分6,100w511円です。
いずれも日本の一区間料金以内という安さで、ドライバーの対応も問題ありません。
韓国の新幹線の高速鉄道KTXも利用しましたが、料金は釜山からソウルまで最速2時間40分で、普通席47,900w4,014円、一等席67,100w5,622円で、サービスも問題なしです。
対する日本の新幹線、東京から新大阪まで13,750円、名古屋まで10,580円ですから、韓国KTXは日本の新幹線と比較にならない安さです。

中韓のキャッチアップ

実は、ここに韓国サムスンの伸びた理由があります。日本の技術を導入し、品質面での差が少ない上に、コストが安いので、価格が安く、結果として世界の普及価格帯商品ゾーンで、圧倒的なシェアを獲得できたのです。
対する日本は、高コスト体質ですから、パナソニックが普及価格帯商品で反転攻勢をかけようと意気込んでも、価格問題がネックとなって、シェア奪回はかなり困難でしょう。
また、上海観光地の公衆トイレ、万博を開催しようと意図した時から、今の清潔さをキャッチアップ目標におき、先進国のメンテナンス体制を導入して実現したと思います。
つまり、先進国を真似て取り入れるキャッチアップの好事例が、今の中韓の実態と判断します。

脱近代化を目指すこと

日本が高度成長を遂げた時代は、今の中韓と同じでした。先進国へのキャッチアップ過程がうまくいき、経済大国化へ走ったのです。GDPを増やして国民の暮らしをよくするという途上国型だったのです。
しかし、キャッチアップ過程を経て、GDP世界第二位になって、日本が近代化チャンピオンという勲章を受けてみると、既に、世界から見習うものが少なく、導入する産業がなくなった時点で、この体制は破綻し、もうキャッチアップという目標はとれない、という事実が分かったのです。
そこで、日本が改めて成長しようとするならば、他国ができないことを創り出すこと、他国と差をつけることしかあり得ず、これは脱近代化ということですが、今はこの目標段階に来て、新たなる自らの創造力をもって、日本を創るべきなのに、それが実現できないため、日本は低迷を続けているというのが今日の実態と思います。

脱近代化を図る方向性

脱近代化を、日本が目指す方向性と理解すれば、日本の現状に根差し、日本人の持つ個性をヒントに、一人ひとりが創造性を生み出すことで、日本全体の活性化を図ることが必要になってきます。
そういう理解でなく、脱近代化を、政府・行政が行うことだ、企業が中心になって開発することだと解釈すれば、その時点で一人ひとりの創造性とは結びつかず、実生活と離れた方向に向かい、今と同じく不活性な低迷を続けることになるでしょう。
ここは是非とも一人ひとりが参加する脱近代化を方向性とすべきと考えます。

公民館でお話したこと

先日、地元の公民館で講演しました。テーマは「地域は脳の活性所」で、高齢化社会に対応するには、地域に住む我々の脳を活性化させることが第一条件だ、という内容です。
このヒントは三菱総合研究所の小宮山宏氏が、高齢化社会こそが新しい需要を生み出し、
高齢化社会こそが「創造型需要は国内新産業技術開発」という目標を創り出すのだという主張からでした。
具体的には、本格的に高齢化社会を研究する過程から、生み出すべき新しい新技術・新商品、例えば「超安全自動車・ロボットスーツ・家事支援ロボット・自助介護ハウス・デジタルメガネ・眼や歯の再生技術・医療技術者支援製品群」等によって新産業を興し、介護や医療の負担を減らし、高齢者の社会参加を可能にすることを通じ、日本の活性化を図るというものです。
つまり、高齢化という地政学的な条件を活かすことで、新産業を生み出し活性化を図るわけですから、当然ながら各地域に住んでいる我々市民の「日々の暮らし」中に、日本の活性化のキーワードが存在しているのです。アイスランドが自国の地政学的条件とは異なる国策をもって経済成長を目指し、結局、困難化した事例に学ぶべきと思います。以上。

【2010年5月のプログラム】

4月21日(水)18:30 山岡鉄舟研究会(会場)上野・東京文化会館

4月23日(金)15:00〜 経営ゼミナール 特別例会
『日本の温泉、世界ブランド化への道筋』
 於:伊豆天城湯ヶ島温泉・白壁荘

5月14日(金)16:00 渋谷山本時流塾(会場)東邦地形社ビル会議室
5月17日(月)18:00 経営ゼミナール(会場)皇居和田蔵門前銀行会館
5月19日(水)18:30 山岡鉄舟研究会(会場)上野・東京文化会館

投稿者 lefthand : 06:54 | コメント (0)

2010年04月04日

2010年4月5日 PIGSスペインから学ぶこと

YAMAMOTO・レター
環境×文化×経済 山本紀久雄
2010年4月5日 PIGSスペインから学ぶこと

消費税アップに学ぶ

日経新聞社とテレビ東京の共同世論調査(2010年3月29日)で、鳩山内閣の方針の「4年間は消費税の増税をしない」に対し、「反対」と答えた人が46%、「賛成」43%で、反対が賛成を上回りました。

また、参考までに世界各国の消費税率がグラフで示されていて、これを見ると、日本は世界一借金大国という実態とは全く逆で、世界一低いと思われる消費税率となっています。
さて、今や世界の話題の中心であるEUのPIGS(ブタども)といわれるスペインですが、先般訪問してみると、マドリード市内の市場はじめ商店は活況を呈していまして、低迷している状況とは思えませんでした。
そこに7月1日から消費税率アップをスペイン政府が決定しました。アップ内容は、自動車、家電、アルコール、たばこ、ガス、電話料等が現行16%から2%アップの18%へ、ホテル・レストラン、住宅、公共輸送等は現行7%から1%アップの8%です。
 この決定をするところが日本政府と異なるところでしょう。お互い2016年の夏季オリンピック招致に失敗した国同士ですが、経済危機に関するアンテナはスペインの方が鋭いのか、それとも消費税値上げは大きなことでないのか。
いずれにしてもアップしますが、政府社労党は消費税アップで、失業者50万人を救う方針だと説明。一方、対する野党保守党の民衆党らは、消費者の購買力をかえって抑えることになり景気停滞を進め、さらにスペイン経済をマイナスにさせると主張しています。
増税に対しては、各立場から様々な見解があるのが当たり前ですが、スペイン国民は消費税アップにどう対応しているのでしょうか。
それは簡単で「スペイン人は割り切って、消費税がアップする前にと、自動車、不動産を買い捲っている」ということで、今のスペイン人の需要は盛り上がっているのです。
元々スペインはアングラ経済の二重財布で、個人一人一人はお金を持っているのです。日本も高齢者中心に貯蓄がすごいのですから、このところを日本政府もよく考えた方がよいだろうと思い、いつまでも消費税を上げないで済むのか、という素朴な疑問が国民の間にある事実を、冒頭の世論調査が示していると思った次第です。

姓名をつなげる大事さを学ぶ

スペイン訪問時に、一枚の新聞を地元の人から見せられました。それはスペインのクオリティーペーパー、エル・パイス新聞の1996年10月27日付けで、タイトルに「日系スペイン人(?)いや、セビリア人だ!17世紀の支倉常長遣欧使節団一行の子孫」とあります。

(クリックで拡大)

 写真の男の子は、宮城県が贈った支倉常長の銅像写真の下で、日本人の面影があると思われるセビリアの男の子の写真と、もう一人の男性の顔写真はサッカー審判員のホセ・ハポン氏です。 以下が記事の要約版です。
「東洋の日の出る国、日本の大名伊達政宗の親書を持った支倉常長一行30数名が、大西洋のサンルーカルからグアダルキビール川を遡って、当時西欧最大都市の一つだったセビージャ市近郊のコリア・デル・リオ(現在の人口24,000人)内港の町に上陸したのが、今から約400年前の1614年10月24日のことだった。その遣欧使節団の目的は、スペイン国王フェリペ3世やローマ法王と謁見して伊達政宗の親書を渡し、徳川幕府とは別に独自で仙台とメキシコ・スペインなどとの通商条約やキリスト教文化交流などに協力要請することだった。
支倉はフェリペ3世国王と謁見できたが、ローマ法王とは会うことが出来ず、3年後の1617年に帰国することを決めた。ところが使節団一行の中の十数名がコリア・デル・リオに残留することにしたのである。彼らは身分が低く名字がなかったので、通称“ハポン(日本)、ハポネス(日本人)”と呼ばれ、スペイン女性との間に出来た子供に“ハポン”の名字が付けられてきた。それから“ハポン”姓は400年の間、スペインで受け継がれてきた。現在コリア・デル・リオ町に400人、近くにあるコリア町に270人、セビージャ市に30人、合計700人のハポンさんが住んでいる。
ハポン姓を持っている有名人は、1990年にミス・スペインに選ばれたマリア・ホセ嬢、セビージャ万博当時のアンダルシア州文化長官のホセ・マヌエル・スアレス氏そしてスペインサッカープリメールリーグの名審判ホセ・ハポン氏などである。」
このようにスペインと日本の関係は、今から約400年前からであることが、氏名という個人の姓から歴史的に証明・明確化できますが、それはスペインの姓名制度のおかげです。
 スペインでの姓は「父方の祖父の姓、母方の祖父の姓」や「名、父方の祖父の姓、父方の祖母の姓、母方の祖父の姓」、「名、父方の祖父の姓、父方の祖母の姓、母方の祖父の姓、母方の祖母の姓」という名乗り方をします。女性は結婚すると「名、父方の祖父の姓、de+夫の父方の祖父の姓」で名乗るのが一般的です。つまり、一度名についた姓は、結婚しても一生ついて回り、それは子供を通じ以後も同様ということなのです。このような姓名制度ですから、「日本」という名がついた人々は伊達政宗の親書を持った支倉常長一行30数名の後裔であると判断できるのです。
この新聞記事によって、一気にスペインに対する好感度が増してきましたが、現在、日本では夫婦別姓にすべきという主張があり、国会で検討されているところです。
この問題を論じるつもりはありませんが、スペインの姓名制度があるおかげで、日本という名前が400年間も残り、今につながっている事実を考えますと、簡単に夫婦別姓という制度に切り替えてよいのか、という素朴な疑問も浮かんできます。

聖ヤコブ大祭から学ぶ

今年のスペインは7月25日に、ガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラで「シャコベオXACOBEO(聖ヤコブ)大祭」を迎えます。
キリスト教12使徒の一人である聖ヤコブ(スペイン語名サンティアゴ)の墓が9世紀初頭、スペイン北西部サンティアゴ・デ・コンポステーラで発見され、それ以来、ローマ、エルサレムと並び、このサンティアゴがヨーロッパ三大巡礼地の一つとして崇められ、キリスト教信者の心の拠り所となっていて、中世には年間50万もの人が徒歩又は馬車でピレネー山脈を越え、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指したと言われています。
この聖人の祝日7月25日が日曜日にあたる年は「聖ヤコブ年」といわれ、この年1年間、最低150kmのサンティアゴ巡礼道を歩くと(自転車では200km)罪が許され、大変なご利益があるといわれ、それに合わして多くのイベントが企画され、ガリシア州は2010年を通して一千万人以上の巡礼観光客を見込んでいます。
そこに先日(3月4日)ビッグなニュースが発表されました。それは「11月6日ローマ法王ベネディクト16世がサンチャゴ大聖堂で巡礼者として訪れ、ボタフメイロの大祭壇で聖なるミサをあげる」という発表です。これにスペイン人は大喜び、サンチャゴ市当局によると、ローマ法王が来ると、観光客が更に数十万人増えると見て、サンチャゴの旅行業界、ホテル・レストラン業界なども、この話題で持ち切りとなっています。
キリスト教を頭で理解する日本人にとっては、ローマ法王のサンチャゴ訪問について、その影響度を正確には測れませんが、スペインには国の垣根を超えた一大イベントが存在しているという事実を正しく認識したいと思い、日本には世界各国の国境を超えるイベントがないという事実を認識すべきでしょう。
オリンピックやワールドサッカーを招致しようとするのは、この国境を超えたイベントを開催したいという意図でしょうが、そうではなく、日本の普遍性存在物を、世界の普遍性へと飛翔させる取り組み、それに一人一人が努力し協力する時代ではないでしょうか。
それらの行動が日本を観光大国化への正道と考え、日本各地の普遍性財産である温泉を、世界ブランド化へと企画いたしましたのでhttp://www.keiei-semi.jp/ご参考願います。以上。

【2010年4月のプログラム】

4月09日(金)16:00 渋谷山本時流塾(会場)東邦地形社ビル会議室
4月21日(水)18:30 山岡鉄舟研究会(会場)上野・東京文化会館

4月23日(金)15:00〜 経営ゼミナール 特別例会
『日本の温泉、世界ブランド化への道筋』
 於:伊豆天城湯ヶ島温泉・白壁荘

投稿者 lefthand : 09:54 | コメント (0)