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2004年10月23日

ビジネス成功にはセオリ-がある

今回の発表を聞いて、日本の温泉法が温泉発展方向や、人への役立ちにという視点からの方向性が欠けていることに気づいた。これは日本がとっている農業政策についても言えることである。経済産業研究所の山下一仁氏が次のように述べている。

「日本は最も農業保護主義的な国として内外の批判を浴びている。ところが、農業保護負担費はアメリカ389億ドル、EU1214億ドル、日本は447億ドルと少なく、農産物の平均関税率も12%であるから、EU20%、タイ35%より低いのである。日本は一部品目に突出した高関税国なのだ。米490%、バタ-330%、砂糖270%で他の品目は低いのである。他の国では関税で保護することより、財政による直接支払い保護に変更しているが、日本だけは関税という消費者負担割合が高い実態のままである。したがって、農業政策で農家の保護という意味で米価を上げることをした結果、農家は収益の高い米の生産に固執し、他の作物に向かわず、食料自給率は下がる一方である。その上、農家も高い米を市場で買うよりは、自ら作るほうが安上がりということになるので、零細兼業農家が滞留し規模は拡大しないという結果になって、国際競争力は低下した。加えて、高米価、兼業、宅地等への農地転用により、兼業農家は豊かになったが、企業的農家は育たず逆に農業は衰退した。農業を保護するということと、どのような手段で保護するかということとは分けて考えるべきだ。関税はあくまで手段にしか過ぎないのに目的化してしまっている。目的とすべきは、農業の発展であり、国民への食料安定供給である。関税の維持ではない。農家の保護を目的にするならば、農家への財政直接支払いという方法が妥当だ」と。
日本の温泉法は昭和23年(1948)に制定したものだが、温泉利用者の立場からの情報については何も義務付けていないと山本氏は指摘する。目的がずれているのである。例えば、温泉の加水や加温、入浴剤添加などの情報表示を義務付けていなく、ただ、地下から湧出させる源泉の温度と成分だけを規定した条文で、人に対する利用視点からの内容が完全に欠如していて、温泉を正しく活用させる、という視点がないとも指摘する。加えて、湧出させる温泉の内容を規定しているだけであって、何故日本人が温泉を好むかという、大事な利用者の立場からの温泉法となっていないのである。温泉水を湧出させたら、後の使い方はどうでもよいのである。ここに温泉業界が問題化させる温泉使用上の根源があり、日本の温泉問題は温泉法にあり、これを改正することがすべての問題解決に至るという主張、それはいたって自然である。温泉はもともと人間にとって役立つものであって、日本人は昔から温泉を好む民族であるのだから、その視点から温泉法を立案法文化すべきである。この主張に賛同し、日本人が基準を大事にしない傾向、戦略的考察が弱いことが温泉法にも現れていると感じた今回の発表と思います。

投稿者 Master : 22:58 | コメント (0)