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2006年01月23日

2月例会ご案内(1)

2月の例会は、2月20日(月)に開催いたします。
講師には、株式会社イムラ封筒監査役であり、経済アナリストとして著名である北川宏廸氏をお招きして、現在の小泉構造内閣の改革について具体的に発表していただきます。

内閣府は1月13日に、日本経済の決算書に当たる2004年度の国民経済計算の一部を発表しました。それによりますと、04年の一人当たりの名目国内総生産(GDP)は3万5922ドルとなり、04年の日本の名目GDPは4兆5882億ドルとなり、米国に続いて2位であります。
又、政府は18日に決める経済財政の中期見通し「改革と展望」で、デフレ脱却や構造改革の進展で名目成長率は3.2%まで上昇。国の政策経費を2割(約15兆円)減らせれば増税なしでも基礎的財政収支が2011年度に黒字に転換すると見通しを明らかにしました。
 
小泉内閣では、経済構造改革の最大のテーマである財政構造改革の「入口改革」であった郵政民営化法案が、国民の圧倒的支持を得て成立したのを受けて、現在、財政資金の「出口改革」である<4つの制度改革>が、進められております。
すなわち、
① 公務員の「総人件費の削減・定員の純減」をめざす公務員制度改革
② 政府系金融機関の「統廃合」をめざす政策金融改革
③ 医療機関の「診療報酬」の見直しをめざす医療制度改革
④ 国と地方の「税配分」を見直す三位一体改革
であります。
これは、かたちの上では経済改革ですが、実は、大変な「政治改革」である、と言えます。言い方をかえますと、国民の選択の問題だ、ということであります。
 
今回、北川宏廸氏から、具体的事例として、特に③の「医療制度改革」の問題に焦点を当てながら、小泉構造改革が、日本の経済の、“どこを、どのように”改革しようとしているのか、その改革の“論理と道筋と手法”につき、具体的に発表をしていただきます。
日本の今後の経済がどのように進展していくのか、ぜひ2月の発表を今後に生かしていただきたく、ご参加をお待ち申し上げます。


1. 日時 平成18年2月20日(月)
  6時集合(食事を用意しています)
  6時15分より山本紀久雄代表の時流講話
  経営ゼミナ−ルは6時半開始8時半終了予定
   
2.場所 東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
     千代田区丸の内1−3−1 Tel:03−5252−3791
     東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)

3. テーマと講師
    「小泉構造改革—医療制度改革の核心を明かす—」
     株式会社イムラ封筒監査役・経済アナリスト
     北川宏廸氏

略歴
北 川 宏 廸 ( キタガワ ヒロミチ )
( 1940年(昭和15)10月25日 生まれ )
1963年(昭和38)3月  慶應義塾大学経済学部卒業
1963年(昭和38)4月  株式会社日本興業銀行入行
1985年(昭和60)1月  ジャパンライン株式会社(現商船三井)社長室長
               (出向)
1989年(昭和64)1月  株式会社日本興業銀行日本橋支店副支店長
1989年(平成元年)4月    同   行   池袋支店長
1992年(平成4) 6月  興銀リース株式会社 常務取締役
1996年(平成8) 6月  八重洲リース株式会社 代表取締役
               (興銀リース関係会社)
1998年(平成10)6月  永和地所株式会社 取締役社長
               (興銀関係会社)
2001年(平成13)4月  株式会社イムラ封筒 監査役 (現在)
2001年(平成13)6月  スターテング工業株式会社  (現在)


* 会費  オブザーバー参加の方は、当日会費として1万円をご用意下さい。
* お問い合わせ 
出欠:編集工房 代表 田中達也(048−473−7293)
 《平成18年度より、上記に事務局が変わりました》
  その他は金子 ぬりえ美術館内(03−3892−5391)まで  

投稿者 lefthand : 10:00 | コメント (0)

2月例会ご案内(2)

【予告】3月の例会
 3月の例会は、3月20日(月)に開催いたします。
 3月は、デザイン大賞受賞者であり、現在株式会社資生堂宣伝部の常勤顧問であられます水野卓史氏をお招きして、今の時代の宣伝力について発表をいただく予定でございます。
目まぐるしく変わる現代社会の中で、宣伝が企業イメージを伝えていく大事な戦術でもあります。どのような宣伝が人々にアピールするのか、発表していただきます。
どうぞ出席のご予定をよろしくお願い申し上げます。

投稿者 lefthand : 09:30 | コメント (0)

2月例会ご案内(3)

丸の内時流塾
 2月の丸の内時流塾は、2月20日(月)16時より17時半まで、経営ゼミナールの同じ会場にて、開催いたします。
 
 発表者は、株式会社アヴァンティススタッフの今井裕幸氏をお招きして、「人口減少化における、人材採用と組織の活性化」と題しまして、発表をしていただきます。

 2007年の団塊世代の大量定年を迎える中、若年人口が減り、フリーター・ニートなどの増加により、良質な若年労働力は不足しており、売り手市場の傾向が今後強まって参ります。
 そして社会は、ヒット商品の短期化、ビジネスモデルの変化のスピードについてゆくため、組織再編のスピードが要求されています。上手にM&Aが活用できる会社、中途採用がすすめられる会社が生き残り勝ち組となれるのです。
 そのような中で、どのように良い人材を求めたらいいのでしょうか。良い人材の獲得のためには、給料の高い、低いではなく、仕事の中で満足感が得られるかどうかにあります。
そして良い人材を採用するためには、その会社に入社したいという動機付けが必要であり、そのためには、企業のアピール方法、採用活動方法なども再検討する必要があるかもしれません。
 どこの企業も欲しがる若くて優秀な人材を採用するために、どのような考え方がこれから必要であるのか、詳細に発表していただきます。
 皆様のご参加をお待ちしています。
 
 丸の内時流塾の参加費は、3000円です。
但し、経営ゼミナール例会にご参加される場合は、この丸の内時流塾は無料で
ございます。多くの方のご参加をお待ちしております。


3月の丸の内時流塾
 3月の丸の内時流塾は、3月20日(月)に開催です。
 3月は編集工房代表で、経営ゼミナールの事務局であります田中達也氏に、 ブログについて発表していただきます。
 2005年3月末現在、総務省発表によりますと日本のブログ人口は335万人、2007年3月末の見込みは782万人と予測されています。市場規模では、2005年6.8億円、関連企業を含めると34億円ですが、2006年には市場規模は140.6億円、関連企業を含めると1377億円と40倍になると見込まれ、ブログはもう普遍的なものになりつつあります。
 昨年5月に「最近話題のウェブログの上手な実務展開のコツ」と題しまして、
 第一回のブログについて概要をご案内しましたが、今回はさらに進めまして、より具体的にブログの取り組み方についてご紹介をする予定でございます。
 ぜひご参加のご予定を願います。

投稿者 lefthand : 09:00 | コメント (0)

2006年01月20日

2006年1月20日 時代の大きな流れに投資する

YAMAMOTO・レター 環境×文化×経済 山本紀久雄
2006年1月20日 時代の大きな流れに投資する

地球はFLAT
時代の最先端にいることをLeading Edge(リーディング・エッジ)といい、そのエッジ(Edge)から見える景色(世界)をEdge View(エッジ・ビュー)といいます。
人は目の前に展開する出来事、その景色状況を自分の文脈で判断・行動し、自分の未来を創っていきます。従って、妥当な文脈判断の連続ならば、未来は妥当な姿になっていきます。だが、眼前の景色は帆船で、つまり、動力は風任せですから、一般的には「景色は見えても実態は風のようにつかみ難い」状況になっています。ですから景色の意味が分からないままに、自分の文脈で解釈し行動することになります。

パリの主婦から年賀状をいただきました。フランス人と結婚した日本女性で、パリで一男二女に囲まれて子育てに忙しい日を送っていますが、ハガキに長男が「先週の土曜日に友達五人と、シャンゼリゼのシネマで『キングコング』を見て、その日はバスチーユに住んでいる友達の家に泊まってきました」とあります。もうそのような年齢になったのかと驚くとともに、このハガキにJR秋葉原駅ホームで見た「キングコング」映画ポスターを重ねました。
「キングコング」は、最初昭和29年(1954)に制作され、当時一年間で961万人の動員力を示しました。その後もシリーズ化し、全部で28作品9960万人の観客動員数ですから大成功です。今やアメリカでもフランスでも世界中で人気です。
「キングコング」の人気がなぜ続いているのか。それは人々が「キングコング」を
Edge Viewとして受け止め「キングコング」の登場を最先端感覚Leading Edgeとして見て、そのことを暗黙の了解事項としているのではないだろうかと、月刊ベルダ誌の編集長に話したところ、「世界の旅先で見る景色、その中で Edge 
Viewと考えられるものを取り上げコラムにしませんか」となって、来月から「地球はFLAT(フラット)」というタイトルで連載することになりました。
フラットと題したのは、世界中の人は階級差なく生きていくべきだ、という想いからですが「景色は見えていても、その背景実態は風のようにつかみ難い」状況の解明について、少しでもお役に立てばという気持ちで、コラムを書いて参ります。山岡鉄舟と併せて連載で忙しくなりますが、何とか挑戦していきたいと思っています。

フランスを救った日本の牡蠣
2月5日(日)14時から15時25分のテレビ朝日系列全国ネットで、「遥かなるオイスターロードの旅」が放映されます。この中で著書「フランスを救った日本の牡蠣」が紹介されることになりました。
昨年の夏開催された世界牡蠣フェスティバル会場で、テレビ朝日の制作担当者が「フランスを救った日本の牡蠣」を片手に、名刺交換に来られました。用件は、宮城県牡蠣が世界に受け入れられ、世界の人々に食されていることを、ドラマ化したいので協力してほしいという内容で、この本の中に出てくる場所と人物を紹介してくれということでした。大変うれしいことで、早速情報提供いたしまして、現地ロケを終えて今回の放映になったのです。
この本は2003年9月に出版したものですから、もう3年を過ぎましたが、世界牡蠣フェスティバルの会場で名刺交換した殆どの人が、名刺交換すると「あー。あの本の著者ですか」と頷きます。牡蠣業界でこの本は知られていることが、昨年夏の世界牡蠣フェスティバル会場で分かりました。
知られている要因は、フランスの牡蠣実態について網羅していることです。一般人が牡蠣を食べる楽しみの実態から始まって、レストラン、エカイエ、市場、養殖者、研究者へのインタビュー、加えて学術的な分野まで網羅しているところに価値を認めてくれているようです。牡蠣は昔から好んで食され、特にフランス人の牡蠣好きは世界でも知られた存在なのに、それらの実態をまとめて情報提供できる資料がなかったところに、この本が登場したのです。その意味で新鮮な内容であると受けとめられ、牡蠣業界に少しはお役に立っているようで、その証明が今回のテレビ朝日放映となったと思っています。
3年前に出版したとき「誰がそんな本を読むのか」と、心配してくれた人もいましたが、今でも牡蠣関係者に参考にされている事実が分かり、専門書というものの息長さを感じています。売れる本を書くのではなく、まだ世の中に無い内容を書いていく。という方針の一環から「フランスを救った日本の牡蠣」を出版し、その姿勢が今回のテレビ放映、それも全国ネットに取り上げられたことを喜んでいます。
また、時代の流れ逆らっていなかったテーマであったこと、その確認が3年過ぎにできほっとしています。
加えて、昨年末から世界10カ国に取材を始めた「世界牡蠣事情」、その2007年出版に向けて励みになりました。

協力を得る
昨年秋ごろから新しい仕事が増え、一段と忙しくなりました。不思議なもので忙しくなると、更に依頼が続いてきます。今朝も経営者向けの雑誌社から原稿依頼が来ました。ありがたいことでご期待にお応えしたいと思いますが、そのような機会が生ずる縁は、多くの方と日ごろお会いしているからこそ生まれるものと思っています。
すでに何回かお伝えしておりますように、今年の9月にNYでぬりえ展を開催いたします。日程も場所も決まって、後はその日のために準備するだけですが、開催するためにはお金の手配が必要で、これが最大の課題です。
どのようなすばらしい企画でも、それを実行するためにはお金が必要です。まして、それがNYでの開催となると、個人的な範囲を超える多額の資金が必要になります。ですから、企業に協賛をお願いすることになります。勿論、文化活動を支援してくれる公共的組織にもお願いしますが、企業という力にご協力を受けないと開催は難しいというのが実態です。そのような背景から、今年に入ってNY展のために企業訪問いたしました。これも忙しくなった一つの理由ですが、開催を最も楽しみにしているNY展ですから、お会いいただく経営者の方にご説明とお願いに参りました。
結果は、おかげさまで多くの企業からご協力賜りまして、来週から現地NYで開催実務打ち合わせができることになりました。

企業経営者の方々にご協力をお願いするためには「なぜNY展がその企業と関係あるのか」という基本的な意味づけの説明が必要になります。誰も関係なく、意味もないところにお金は出しません。大事な資金提供をいただくわけですから、その開催趣旨が該当企業にとって「なるほど」と思う論理性が絶対要件です。
また、この論理構成に加えて、今回の開催が時代の流れに合致していること、その理解を得ることが絶対要件です。つまり、ご協力していただくための最大ポイントは、こちら側からの説明力に存在するのです。企画をつくり、お願いに行くこちら側の脳力にかかっているのです。相手に理解していただくためには、自らの工夫がまず先です。NY展の開催・成功のためには、こちらの論理性・時代性を磨くという努力にかかっています。
「主因は内因にある」。これは脳力開発の指針ですが、まさに、この指針がこのような大規模企画成功のために最も大事で必要なこと、それを今回の企業訪問で再確認いたしました。

時代の大きな流れに投資する
日本経済が最も活力に満ちていた時代に生きたはずの団塊の世代サラリーマン。その人たちが定年間近になって、総額50兆円ともいわれる退職金の動向が注目を浴びていますが、同じ世代で豊かさの二極化が進行していたと、日経新聞が発表しました(2006.1.8)。男性649人、女性102人、合計751人のアンケート結果ですが、金融資産1千万円未満が世帯のほぼ半数いるようです。だが、金融資産が2億円超える人もいて、その人の回答は「時代の大きな流れに投資してきた」という基本姿勢です。なるほどと思います。金融資産でもってすべてを判断できませんが、一つの過去の生き方目安になりますし、時代の大きな流れに逆らっていたら、資産は構成されなかったでしょう。キングコングの国際的活躍も、フランスを救った日本の牡蠣のテレビでの紹介も、ぬりえNY展開催も、すべては時代の大きな流れに沿っていないとうまくいかないと思います。 以上。

投稿者 Master : 14:14 | コメント (0)

2006年01月16日

1月例会(1)上田代表のDVDの放映と吉田春樹氏の講演

1月の例会は、1月16日(月)に開催です。
1月の例会は、上田代表のDVDの放映と吉田春樹氏の講演となります。
経営ゼミナール創立者であり、代表である上田正臣氏から、今回新たに作成しましたDVD「時代と歩む経営ゼミナール」をご紹介いただきます。
吉田春樹氏には、05年12月2日に上梓されました最新本の「日本経済破綻 今、そこにある危機—超借金大国の行方を考える12の視点」について、詳しく講演いただきます。
吉田春樹氏の基本的な問題意識を12の視点からとらえ、日本経済が抱えている問題点が浮き彫りにされます。
新年の経営ゼミナールに相応しい企画でございますので、ぜひご参加のご予定をお願いいたします。

1.日時 平成18年1月16日(月)
6時集合(食事を用意しています)
6時15分より山本紀久雄代表の時流講話
経営ゼミナ−ルは6時半開始8時半終了予定
   
2.場所 東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
千代田区丸の内1−3−1 Tel:03−5252−3791
東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)

3.テーマと講師
「時代と歩む経営ゼミナール」
経営ゼミナール創設者 上田正臣氏
「日本経済破綻 今、そこにある危機
—超借金大国の行方を考える12の視点」
吉田経済ラボ代表取締役 吉田春樹氏
      
<略歴>
上田正臣氏
東京大学経済学部卒
日本興行銀行常務取締役
日本軽金属副社長歴任
経営ゼミナール創設者

吉田春樹氏
1935年東京生まれ
1959年東京大学法学部卒
同年   日本興行銀行入社
取締役産業調査部長、
和光経済研究所社長、理事長を経て、
2000年吉田経済産業ラボ代表取締役
     

*会費  オブザーバー参加の方は、当日会費として1万円をご用意下さい。
*お問い合わせ 
出欠:編集工房 代表 田中達也(048−473−7293)
 《平成18年度より、上記に事務局が変わります》
その他は金子 ぬりえ美術館内(03−3892−5391)まで 

投稿者 Master : 22:03 | コメント (0)

2006年01月06日

2006年1月5日 見える化

環境×文化×経済 山本紀久雄
2006年1月5日 見える化

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

NYタイムス記事の反応
前回レターでご紹介した、昨年12月21日のNYタイムス記事「アジア人ライバル達の醜いイメージが、日本でベストセラーに」に関して、いくつかご意見をいただきました。 皆さん、それぞれご見解をお持ちで、なるほどと思います。

ところで、元旦の日経新聞第一面で、今年20歳になる大学生千人に「あなたの嫌いな国はどこですか?」と聞いた結果は、1位中国43.7%、2位韓国28.7%と掲載されました。継続的データがないので確定的には言えませんが、この両国に対する感情は、最近では最も高いものではないでしようか。ある意味のナショナリズムが台頭していると思います。その要因はいろいろあり、それらの要因に頷けるのですが、あるひとつの立場に頑固にならないようにしたいと思います。
常に自己を相対化し、客観視し、時折自分を見つめなおすという作業が必要であると思います。一気に過熱する、というのは危険だと思います。

2006年の景気
日本はバブル崩壊という傷口をようやく治療し、再び日本経済は反転を示すタイミングに来た、と主張するのが三菱UFJリサーチ&コンサルティング投資調査部長の嶋中雄二氏です。嶋中氏から「日本経済の現状と今後」について、昨年12月詳しくにお聞きしましたが、そこで述べられたことが元旦の日経新聞にも掲載されました。
「2006年はゴールデン・サイクルに突入する。景気循環を示す短期の在庫循環(3―4年)、中期の設備投資循環(10年前後)、長期の建設投資循環(20年)、そしてコンドラチェフの長期波動(60年)、この波長の異なる四つの循環がすべて上昇に転じる」まさに、日本は「好況の時代」を迎えるという分析内容で、嶋中氏から頂いた諸データからは、このような動向がうかがわれます。しかし、ここで気をつけなければならないことは、すべての部門、すべての人々がこの「好況の時代」を謳歌することにはならないという事実です。日本の産業構造がかつてとは異なっている事実です。
国際収支の現実を見ればそのことがよく分かります。2005年度上期の貿易収支額
4.9兆円より、海外からの利子・配当の受け取り超過額を示す所得収支5.7兆円の方が上回っているのです。この実態が示す意味は、今や日本は他国では作れない高品質の製品輸出で稼ぐ一方、投資や金融で稼ぐ投資立国への道を歩み始めているということです。
 貧乏敗戦国として再スタートした日本が、還暦を越える66年を経て、産業構造改革を行って、新しい意味での豊かな国に変わろうとしているのが今なのです。
ですから、今までの思い込み・思考を変えねばならないタイミングに、すべての人が立っていると思います。何故なら、「好況の時代」を謳歌するのは、その「好況の時代」に相応しく合致する知識体制・行動システムを、創りあげることができるところであり、それを実現できた人のみが、より高いリターンを獲得してしまうからです。
言葉を換えて言えば、「格差のある好況の時代」が到来しているのです。

人口減社会
元旦の新聞は一斉に日本の人口減を取り上げています。昨年が近代に入って初めての人口減を示した年であり、予想より早く来たことのショックから、いろいろな対策案が提案されています。しかし、諸対策を直に進めたとしても、出生率が格段に低いわけですから、それが上昇しないと人口は増加しません。竹中総務大臣がテレビ討論会で「人口減社会への突入は30年前から分かっていたが、30年間有効な手段を準備しなかった」と述べている通り、何年もいたずらな出生率予測の誤差を行ってきたことも含め、対策が後手に回って、今になって問題視しているのです。
まず、この人口減対策は簡単には解決つかない、という視点が大事です。また、対策は超長期戦になりますので、その間、別の短期対策視点が必要です。
短期に、直にできることは、今生きている我々ができることです。つまり、我々が変化することが必要なのです。では、どの方向に変化するのか。それは「生産性を上げる」ことしかありません。このようにお伝えすると、今でも忙しいのに、更にスピードアップするのか、という疑問が持たれると思いますが、そのような内容ではありません。
人口減対策として、国全体の産業構造の見直しとか、規制緩和とか、非効率な公共部門の民営化とか、海外からの優良な人々とマネーの呼び込みとか、それらの政策的なことは、政府が音頭をとって行っていき、長期的にその方向に動いていくと思います。ですから、我々一人一人が人口減対策として行うことは別のところにあります。
それは、一人一人の持てる力を、一人一人が自らの変化で、最大限に発揮させることです。人は皆すばらしい財産を持っているのです。ただ、それを発揮していない人が多すぎるのです。発揮しないようなシステム環境下に、自分で自分を置いているのです。
そこから一人一人が脱皮すること、そのために考え方を変化させること、それが人口減対策の本筋であると思います。

愛知万博の成功
昨年の最大のイベント成功は愛知万博であると思います。開幕前と開幕直後は心配されました。だが、時間が経過するにつれ集客があがってきて、結果的には2205万人、目標1500万人に対し147%もの人が入場しました。
万博には大変関心があり、日々入場者数を記録していましたので、よく分かるのですが開幕直後は1日6万人と不調で、5月から1日10万人になり、8月は13万人、とうとう9月は1日20万人と、当初の6万人に対し三倍になりました。
このように好調となった要因について、閉幕となった9月25日以降、ずっと考えていましたが、ハッキリした結論は得られませんでした。
ところが、先日、愛知県館の総合プロデューサーの山根一眞氏の発言を聞いて、ひとつ理解が進んだことがあります。一言で言えば「時代の思考が変わった」ということです。
山根氏は「今までのモノづくりは、資源もエネルギーも永遠にあるという前提でやってきた。その意味で、あらゆるモノづくりは、産業革命から全然変わっていない。電気も発電所でつくっている。それを愛知万博の政府館とNEDOパピリオンでは、会場内のゴミから発電して賄ったのであり、それは『環境革命』の実践であった」と述べたのです。
すべての基本になる動力源の電気を、自らの会場内から創出するシステムにしたのです。この万博会場内で使用する電気を、会場内で産出したということ、つまり、自らが持つ中味から基本的な動力源を作り出したということは、人に例えれば、一人一人の持てる力を最大限に発揮させることで、自らの新しい能力を生み出すことであると考えられるのです。
このことを未来の地球環境を心配する、多くの日本人に直感的に理解されたのではないでしょうか。今の環境問題の本質は自分たちにあると分かったのではないでしょうか。
それが愛知万博の成功に結びついた、真の要因ではないかと思っているところです。

自分の中に何があるかの旅をする
正月二日は近所の四家族が集まって宴会をしました。一年に数回集まって宴会します。
今回のホスト役は、昨年春、霞ヶ関のある官庁を定年退職した高級官僚だった人物です。
キャリアの上級職は、一般的に定年前に天下りするのが通例で、それが社会で問題なっているのですが、このホスト役人物は天下りを拒否し、定年を迎えたのです。四家族とも、それぞれ異なった職業経験であり、まだ定年前の人もいまして、話題が豊富で、様々な会話が交わされ楽しい一時でした。時間も過ぎてそろそろ終わりかけた時、ホスト役から質問を受けました。「山本さん。定年後の生き方について教えてください」。
先輩のこちらに尋ねてきたのです。そこで、日頃皆さんにお話していることですがと言いまして「自分の中に何があるかの旅をすることではないでしょうか」と答えました。
これに対するホスト役は「うーん。なるほど。そうか・・・」と暫く腕組して宙を見上げ「分かりました」の発言。とても嬉しい正月二日でした。

見える化
トヨタの成功にはトヨタ式経営があり、そのひとつの「見える化」は、問題発生を隠さずに見えるようにする改善運動です。これは人にも例えられます。自分の中に何があるかの旅をして「見える化」すること、それが人生という仕事ではないでしょうか。 以上。

投稿者 Master : 13:05 | コメント (0)