2008年09月24日

「『円通貨』はどこに行くべきか・・・経済アナリスト・北川宏廸氏」

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2008年9月22日
「『円通貨』はどこに行くべきか・・・経済アナリスト・北川宏廸氏」

今年の夏は猛暑で、9月に入っても暑さが続く中、米金融問題が連続発生しました。

9月7日 経営難に陥っていた住宅金融公社、ファニーメイとフレディマックの二社を政府の管理下に置く
と発表
  15日 米証券四位のリーマン・ブラザーズが破綻
     バンク・オブ・アメリカが米証券三位メルリリンチ買収で合意
 16日 米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)を米政府とFRBが救済に踏み切

  17日 株式の空売り規制の強化を発表
  18日 日米欧の主要銀行と協調してドル資金供給で合意
  19日 米政府が不良債権の買い取りを含む総合的な金融安定化策に乗り出す

救済、破綻、そして救済・・・当局の方針は揺れ動き、世界各国の株価は乱高下し、これだけ立て続けて大問題危機が発生すると、一瞬、普通の会話が止まります。

「大丈夫なのか」という不安感が先立ち、この12日間日常会話がこれに振り回されました。

この漠然とした「不安」に対し、北川氏が冷静に解説してくれました。それは日本のバブル崩壊後との比較です。約100兆円といわれた日本の不良債権、その解決に10年を要しました。

今回の米国発の金融問題も約100兆円、それが明らかになってからまだ1年2ヶ月、しかし、米国当局の対応は凄まじい程のスピード感で処理対応策を図っています。

この速さ、それが7日からの12日間で現れたと理解すると、日本人の処理スピード感覚とのズレが、漠然とした「不安感」になっているのではないか、との指摘。

なるほどと思います。我々は問題に冷静に対処することは承知しています。だが、そこに異例の速さが加わった場合、平静さを保ちえるか。それと同じことが今回の米金融問題と感じます。まず、この点を理解したいと思います。

今回の問題の本質は、すでに多くのところで語られ、北川氏からも指摘がありました。問題の本質追及は勿論大事です。

しかし、それより今回の大問題が日本企業にどのように影響してくるのか。そこの方がより大事です。
これについても具体的な提案がありました。

結論的にいえば、強みのある分野の更なる強化と、コストダウンを更に進める、ということでした。

最後に、我々は米国の不動産関係の商習慣が日本と大きく異なる、ということを理解しないまま問題分析しています。彼我の国情把握が前提条件と痛感しました。以上

投稿者 Master : 05:09 | コメント (0)

2008年07月30日

「キッズビジネスタウンいちかわ・・・千葉商科大学商経学部・中澤教授」

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2008年7月28日
「キッズビジネスタウンいちかわ・・・千葉商科大学商経学部・中澤教授」

 今回の経営ゼミナールは、今年3月8日に千葉商科大学で開催された「キッズビジネスタウンいちかわ」の結果についてご発表いただきました。

 東京・豊洲の「キッザニア東京」、ここは土日祝日の予約は四ヶ月先まで満杯という人気スポットですが、実はここより逸早くこのテーマに取り組んできたのが千葉商科大学です。さらに、「キッザニア東京」のように有力なスポンサーがいるわけでなく、大学側の地道な努力のみで進めてきたわけです。
 だが、しかし、成果は年毎に現れ、それを様々な角度から分析し、各方面に伝えてきた結果、来年度は地方の三高校が開催することになりました。
この現象は、一石を投じた湖面の小さな波紋が、日本中に広がっていく兆しではないかでしょうか。大きな未来が予測できます。

 その予測の背景は時代の底流です。今の日本社会が求めている何かが、キッズビジネスタウンの中に存在し、それが大きな集客力に結びついている、つまり、社会の底流はタテ軸での生き方を求めているのではないでしょうか。
 今の時代はヨコ軸で動いているような気がします。世界中から届く情報、それはその日の出来事の集計です。翌日になれば、また、新しい出来事情報が届いてきます。あっという間に、今の新しいことは忘れ去られ、次の問題に右往左往させられているのが現代の人間です。
 さらに、今の子どもはずっと同じ年代の同級生だけと過ごすという、ヨコ並びの学びと遊びをしてきています。
 ところが、国の歴史も、社会構造も、企業構造も、すべて過去からの積み重ねで出来上がっているのです。過去から延々と流れ続く来歴を知らずして、今の解決は成り立たないのですが、ヨコ軸で慣れきっている若い世代は、タテ軸での生き方を苦手にしてしまう傾向があるのです。
 そのような若者は、社会に馴染めない、企業と一体感を持ち得ない、という事態に陥りやすく、いろいろな問題を発生させています。

 それを解決するひとつの有効方法が、千葉商科大学のキッズビジネスタウンであると思います。ここでは年齢の異なる子どもたちと大学生、教授たちがビジネス体験という現代色教育を、タテ軸のチームワークでこなしていくのですから、必然的に年長者との接点が生まれ、年長者から伝わるものを吸収していくことになり、現代のヨコ軸生活とは異なる体験を付加できるのです。
 時代が求めているキャリア教育がキッズビジネスタウンに存在します。

以上

投稿者 lefthand : 20:49 | コメント (0)

2008年06月18日

「企業活力の源泉を探る・・・法政大学大学院客員教授 増田辰弘氏」

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2008年6月16日
「企業活力の源泉を探る・・・法政大学大学院客員教授 増田辰弘氏」

 アジア各地で見る活気ある経済活動に対し、日本国内は今の質の高い経済状態に「慣れ、飽きのマンネリ体質から」日本企業の活力低下が始まっていると増田教授は指摘します。全般的にはその通りと思いますが、だがしかし、中には異色の経営者に引き連れられた活力に満ちた企業が存在しており、それらの企業から学ぶ点が多くあり、そこに共通しているのは、考える力が強いことです。
 考える力の強さには二つあると思います。

ひとつは、少数派に所属して考えることです。いいかたを変えれば、人が行わないところに頭を使うということです。4月にご発表いただいた(株)クレアの経営戦略は、多くの人が展開しないマーケティングで成功していました。
 日本人の殆どは、観光バスに乗って、ガイドが右を見てくださいといえば、揃って全員右を見る癖がつくられていますが、そのとき、敢えて左を見るような頭の使い方、それが少数派に所属するという「考える力」のことです。

 もうひとつは時代の風変化を考慮した考える力です。
 時代はグローバル化しています。その結果、日本企業の多くが海外で実績を伸ばし、海外シェアの向上で経営を進めています。当然です。国内の実態を考えれば当たり前の戦略です。
 だが、日本企業が海外に進出するということは、外国人が日本企業に進入してくるという意味にもなります。株主構成の変化です。外国人株主の増加です。それも機関投資家として、厳しい経営状況の監視を含めて入ってきます。
 その事例がアデランスの現経営者全員選任拒否という株主総会での結果となりました。多分、アデランスの経営者は、日本人に対する経営状況開示と同じ経営手法を採っていたと思います。
 しかし、それが外国人には不十分と思われたのではないでしょうか。外国人には外国人が理解するレベルの会話編集脳力を持って行わないと、コミュニケーションは取れないのです。外国人が日本人の思考方法を理解し、そのレベルで日本企業に対応してくればよいのですが、そういうことは期待しても無理です。外国人には通訳が必要なのです。その通訳とは、外国人が理解できるコミュニケーション脳力のことです。外国人はどう考えて行動するのか。というようなことを「考える力」が、時代の変化で求められているのです。
 これらの二つの「考える力」を駆使できるよう、社内体制を構築し、訓練しているか。
そこが日本企業の課題であり、増田教授の今回ゼミナールでの指摘と思いました。
以上。

投稿者 lefthand : 22:44 | コメント (0)

2008年04月28日

「ゼロからのスタート、経営ポリシーは強い志」

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2008年4月21日
「ゼロからのスタート、経営ポリシーは強い志・・・(株)クレア 町田典子社長」

2008年二月期の総合スーパー・イオンの決算が発表され、売上高5兆円に対し、純利益は439億円、利益率0.8%という不振実態に、イオンは大規模舗リストラを行う方針を打ち出しましたが、これはお客を、一定した買い場に向かい、システム的な消費集団と捉えたことへの反省と考えます。

この対極思考に、お客は多様な価値観の集団であり、首都圏という密集した地域に集積していると捉えれば、買いまわり、食べ歩きの範囲は都市交通の至便な立地条件に、多様な店舗を設置していくことになります。

(株)クレアは現在、日本全体人口の27%が集積している首都圏に、24タイプ、70店舗を擁しています。

明らかに一人のお客は、多様な好みで行動すると捉えているのです。
「今日は体に優しい和食をとりたい」「たまにはステーキの味を楽しみたい」「イタリアンもいいなぁ」「超多忙だから立ち食いソバですますか」「待ち合わせは東京駅前のオアゾのカフェで」「それともハイセンスな六本木ヒルズにするか」。

これらの多様な行動をとる人々に対応するためには、多くのタイプ店舗構成となり、結果的に24タイプ、70店舗の経営展開が必然となるのです。

しかし、一般的に考えますと、多様な店舗展開は経営全体のコンセプトに問題を発生させることが予測されますが、そうならないのが(株)クレアなのです。

その根本的な要因は「町田社長のリーダーシップ」にあります。町田社長のもつ強い志・想いが、多様・多店舗のベスト経営を実現させているのです。

経営ゼミナール終了後の懇親会は、「丸の内OAZO」丸善書店4階に展開している「M&C Cafe」で、町田社長を囲んで現場見学をいたしました。

そこで町田社長からいただいた色紙には次のように書かれていました。
『本気』  本気ですれば   大抵のことができる
      本気ですれば   何でもおもしろい
      本気でしていると 誰かが助けてくれる       以上。

投稿者 lefthand : 08:09 | コメント (0)

2008年03月16日

「キッズビジネスタウンいちかわ・・・千葉商科大学視察で時代をつかむ」

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2008年3月8日
「キッズビジネスタウンいちかわ・・・千葉商科大学視察で時代をつかむ」

世界はサブプライム問題で大揺れ、国内は日銀総裁人事、道路関連法案問題で大揺れ、そこに毎日のように事件や問題が発生し、大混乱という感を呈しています。
だが、一方、人間社会の日常生活は大きな混乱も大変化もなく、いつものように過ぎていっています。
ところが、何年か経ってみると、いつの間にか時代の変化によって、社会が大きく変化させられ、それが人間生活の日常を変えていっているのです。


その変化した社会を、まず先に受け入れるのは若者であり、子どもたちです。昔の社会を体験していない彼らは、眼前の姿だけ、現実の姿だけをもって今の社会と認識します。しかし、その現実の社会は「そうなってきた経過」があって今の姿になっているのです。
大人になって、その経緯を社会体験として学ぶことになり、改めて社会の仕組みを理解することになりますが、それらを十分理解しないままに大人になっている人も多く、それらの人に共通するのは「考える力=生きる力の不足」です。

千葉商科大学が展開している「キッズビジネスタウンいちかわ」は、この「考える力=生きる力の不足」の解決のために、大学生と子どもの共同作業で「みんなで働き、学び、遊ぶことで共に協力しながら街を運営し、ビジネスや社会の仕組みを学ぶ」という教育プログラムなのです。
仮の市場社会を学内キャンパスに構築し、そこの市民となった子どもたちが、仕事に就職し、そこで働き、収入を得て、学内の市場で消費するという体験をするのです。
その効果は様々な形で顕れます。「働くことの楽しさ、喜び、大切さ」「子どもたち同士の協調性」「食品の作り方」「流通ビジネスの仕組み」などですが、最も役立つのは、必ず発生する「予測していなかった問題への対応力養成」です。社会ではいつも想定外のことが発生し続けます。それらに対応する力を学ぶことによって、「考える力=生きる力」を子ども時代から鍛えていく機会となっているのです。

今回は第6回目、毎回回数を重ねるごとに参加者が増え、8日(土)1,189名、9日(日)1,308名、合計2,497名、前年比142%という大好評、この人数には新規のみで、リピートの再入場者数は含まれておりませんし、同行の保護者の人数もカウントされていないので、学生や学内関係者や地元の協力者などを考えますと5000名以上の人々が、この2日間に訪れたことになります。
「キッズビジネスタウンいちかわ」は時代の何かを示していますので、近い機会に、経営ゼミナールの例会として、千葉商科大学の担当教授から詳しくお伺いする予定です。以上。

投稿者 staff : 14:24 | コメント (0)

2008年02月23日

保田漁港と海洋観光立国のすすめ

経営ゼミナール・ワンポイントレッスン
「保田漁港と海洋観光立国のすすめ」 2008年2月18日保田漁港にて
講師 保田漁業組合 出口専務、山崎事務局長
    NPO地域交流センター 明戸眞弓美氏


1.保田漁業組合
 まず、驚いたのは経営実態である。食堂部門の「ばんや」の売り上げが、1995年オープン以来、昨年8月末までの11年間で27倍の実績となっている。経済低迷下の国内市場で圧倒的な勝者である。


 成功の要因としては、東京から近いという客観的な地理条件があるにしても、何かが存在しないとこのような大成功は生まれない。発想の「漁港に水揚げされる魚をその場で食べさせる」このようなものは珍しいものではない。簡単に浮かぶアイディアの範囲だろう。
 だが、これを実行し大成功している漁業組合は稀だ。アイディアを実行するという熱意と工夫と継続的な改善活動、それが欠けている場合が多いが、この保田漁協は違った。組合長の実行力と熱意が今日の姿を実現した。
今や、事業利益の62%を「ばんや」で稼いでいる。とにかく活気が全く異なる。一般的なサービス、つまり、丁寧・上品・的確というようなサービスを度外視される実態が、売り上げを創造しているのだ。一度は経験しないといけない世界が、保田に存在している。

2.明戸眞弓美氏
 若い学徒、明戸さんの夢は大きい。日本の3000ヶ所に及ぶ漁港をヨットで結ぼうとするビジョンである。
 彼女の発想原点は、フランス大西洋岸の漁港ラ・ロシェルである。フランスの海辺に立った時、海岸の最も条件のよいところにヨットが、整然と係留されている。それを見た瞬間、日本の海岸との比較から浮かんだのが「海とスロー・ツーリズム・ジャパン」の内容である。フランスで実現されている漁港のヨットハーバー化の現実、それを日本で実現できないか。その情熱から今回の著書になり、今回の経営ゼミナールの発表につながった。
 新鮮な主張を真剣に語る明戸さんの活躍を、今後さらに期待したい。

3.日本を救う方法
 人口減の日本、その対策の重要なひとつは滞留人口の増加である。つまり、外国からの観光客を増やすことである。そのための資源は国内に数多くあるが、その中で最も活用していないのは海である。日本国土面積は世界で60番という狭さだが、領海面積と排他的経済水域を加えると世界で6番目という広大さ、海洋国としては世界の大国なのだ。
 我々は視点を変えないといけない。陸から海を見るのでなく、海から陸を見る。そのような発想転換を一人ひとりが行うこと、それが新しい日本の魅力を創り出すだろう。以上。     

投稿者 staff : 10:31 | コメント (0)

2007年12月23日

「旅館藤屋の新旅館の方向性と考え方」

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2007年12月16日
「旅館藤屋の新旅館の方向性と考え方」
銀山温泉・藤屋旅館女将・藤ジニー氏

山形新幹線の大石田駅を降りると、金髪の着物美人が満面の笑顔でホームにいる。東京から同じ列車で戻ってきた藤屋旅館女将・藤ジニーさんである。正月二日のテレビ出演の収録を終え、経営ゼミナールの例会のために帰ってきたという。翌日は、再び東京へ出かけるという人気である。雑誌や新聞で見るより、実物の方が一段と素敵な女性だ。

昨年7月に新築オープンした藤屋旅館の広いロビー、その一画フロアを区切って、
ジニーさんに「旅館藤屋の新旅館の方向性と考え方」について発表していただいた。
改革は大成功で、その要因として以下の三点が挙げられる。

1.環境面・・・立地条件の活用
400年の歴史を持つ銀山温泉は、中央に川が流れ、それを挟んで14件が軒を並べている。藤屋旅館はその中心部に位置しているが、背後は山の崖であり、敷地は狭い。そこに昭和5年建築の25部屋旅館で経営を続けてきた。
しかし、お客の満足を得るには、今までの設備環境では無理と判断し、改革に踏み切った。狭い土地であるから、大きな建物は造れないという条件を活用し、隈研吾氏設計による「時間と空間を重ね合わせる」コンセプトで、客室8室という少数部屋の贅沢空間を創りあげ、料金も3.5万円を最低価格にした。
不利な狭い土地という環境条件面を、逆活用したことが第一成功要因である。

2.時流・・・世界の日本ブーム
世界は日本ブームである。昔から認識されていた茶道や能・歌舞伎などの日本文化に加え、最近の人気は和食、マンガ、アニメ、武道、建築などが展開され、この中に温泉も含まれている。また、その日本ファンもマニアックになり、普通程度の日本理解では満足しない人たちが、日本の温泉研究を様々な角度から行って、日本の温泉に来ている。
その証明が藤屋旅館で、世界各地、アジアは当然としても、欧米・オセアニアや遠くアフリカからも藤屋旅館に宿泊し、客数の四分の一が外国人という実態である。
このように、外国人に受け入れられる新築日本式旅館にし、今の時流であるグローバル化を採り入れたこと、これが成功の第二要因である。

3.キャラクター・・・女将の魅力
 藤ジニーさんの魅力がお客を呼んでいる。ジニーさんは2002年の公共広告機構・国際化キャンペーンCMにも登場し、知名度抜群であり、農林水産省、文化庁、国土交通省、文部省、内閣官房の各委員会メンバーである上に、銀山温泉の女将会の会長も勤めている。正に八面六臂の活躍で、このジニーさんに会いたいというお客も多数訪れる。つまり、女将の魅力付けというセオリーも兼ね備えていること、これが第三成功要因である。以上。

投稿者 staff : 12:38 | コメント (0)

2007年11月25日

「私の事業継承」

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2007年11月19日
「私の事業継承」
株式会社東邦地形社 会長 山本浩二氏

 東邦地形社の山本浩二会長のご発表が終わって、ご参加者の感想は、皆さん「勉強になった」の一言で示されたように、貴重な事例のお話でした。
 といいますのも、このような社長の後継者を探し決めるということ、それはどの企業にとっても最重要事項であり、その結果で企業の将来が決まるものです。だが、その後継者決定のプロセスをなかなか明らかに出来ない、つまり、もろもろの条件が重なり合い、複雑化するので、このようなテーマでの勉強会は少ないのが実態です。しかし、経営者にとってはもっとも大事なテーマですから最大の関心事でもあるのです。


 山本会長から、昨年、社長を社内から選任されたプロセスについて詳しくご説明いただきました。実は、この決意は数年前から検討されおり、静かに諸要件を研究した結果、その実行を2006年にされ、その結果がある程度明確になった時点で、これは新社長になってからの経営実績が数字として把握できる、というタイミングでのご発表でした。結果はベストでした。新社長は期待通りの活躍を示し、測量事業という性格上、公共事業が減る状況下で苦しい業界の中にあって、立派な業績をつくったのです。期待以上とも発言されました。任された新社長は、その信認に答えたのです。
 
経営者は企業の発展を考えるのが最大の業務ですから、当然に後継者について常に関心を持って考えています。その考える方向性は
1.最後まで自分が社長を続ける。
2.家族に継承する。
3.社内から後継者を選定する。
4.外部から選任する。
になると思いますが、中小企業の事例を見ますと、多くは家族への継承が行われています。上田先生から「興銀時代に中小企業の後継者問題で多くの事例を見てきたが、山本会長の決断は新鮮な驚きである」との発言がありました。この発言がなされた背景には、後継者を社内から選任するということの前提条件として、常日頃の経営に様々な工夫がなされていることを指摘しているのです。例えば「経理の完全オープン化」などですが、これによって企業実態を全員が共有できるシステムになっているので、社内幹部が後継者志願をし易いという、社内雰囲気良循環を発生させていること、このような日ごろの積み重ねが、今回の成功決断の背景に存在していると考えます。
いずれ、新規事業の展開も含め、山本会長には再度ご登場いただきたいと考えておりますので、またその際は新しい驚きを体験したいと思います。
東邦地形社の経営システムは時代が向かう新しい姿のひとつを示しています。
以上

投稿者 Kzemi : 11:42 | コメント (0)

2007年10月17日

「マーケティングと顧客志向・・事例セブンイレブンの日米比較」

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2007年10月15日

「マーケティングと顧客志向・・事例セブンイレブンの日米比較」

株式会社NKS能力開発センター委嘱講師  清水 勝氏

ご発表の清水勝氏は明治安田生命㈱から現職務に移られ、併せて関西学院大学非常勤講師としてマーケティングを講義されておられます。清水氏のマーケティング理論は時代の感覚を鋭く取りこみ、その時代感覚を人の感性面から分析し展開し、その視点から実際の企業行動結果を、ケーススタディとして大学で講義されていますので、今回も同様の内容でご発表いただきました。

ケーススタディはセブンイレブンです。ご承知のようにセブンイレブンは世界全体で店舗数30,372店という巨大流通企業に成長しています。しかし、その発祥はアメリカでした。アメリカのセブンイレブンが経営悪化し、それをイトーヨーカ堂が再建し今日の姿に発展させたのです。その経緯について詳しく清水氏からご説明があり、今日の状況についても触れられましたが、イトーヨーカ堂がセブンイレブンの経営に携わるきっかけは、アメリカのセブンイレブンの経営悪化で、この実態が発生しなければイトーヨーカ堂のセブンイレブンが今日のように隆盛を見なかったのです。


では、何故にアメリカのセブンブンイレブンが経営悪化を示したのでしょうか。それは競合激化となった時点でのマーケティング、それはディスカウントという手段を取り込んだことですが、それが致命傷になったのです。つまり、採用したマーケティング手法が、コンビネンスストアという業態が持つ時代感覚に合わなかったのです。つまり、スーパーが持つ特性であるディスカウントマーケティング手法を取り入れてしまったことです。加えて、不動産事業にも進出し失敗を重ねました。


今回の清水氏からの発表から学ぶ点は、ここにあると思います。何故にアメリカのセブンイレブンが、失敗するマーケティング手法を取り入れてしまったのか。そこが肝心なところです。意思決定したのは人間で、人は過去から蓄積経験値を内部に潜めています。その潜めているもので、目前に現れる問題へ対処していくのですが、その際、自分の中に何が構築されているのか、ということを整理していないと問題です。自分の内部がどうなっているか。自らの中が「不気味の谷」になっていてはダメです。言葉を換えて言えば、自らが持つ閾値を自ら確認しているのか、ということになります。この閾値を把握していないと、事例への対応はギクシャクするのです。ですから、問題対処の最善方策は自らが蓄積したものと、その整理分析から結果から求められる閾値・臨界値を把握しておくことであり、これはすべてに適応される普遍性セオリーであります。以上。

投稿者 staff : 11:16 | コメント (0)

2007年09月23日

「ガラスを通して環境問題を考える・・・興亜硝子社見学」

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2007年9月10日
「ガラスを通して環境問題を考える・・・興亜硝子社見学」
興亜硝子㈱代表取締役社長 出井龍彦氏
 

今回訪問いたしました興亜硝子㈱で、工場見学し、出井社長からレクチャーを賜り、同社が発行されたVIN一号誌をいただきました。
このVIN一号誌の中で出井社長が語られている言葉、それが興亜硝子社のすべてを表現していると思いまして、皆様にご紹介いたします。 


『ここ数年を振り返ると、特に「お得意様との商談」「国際展示会への参加」「上海の工場幹部との打ち合わせ」など海外渡航の機会に恵まれ、「空の旅人」となり、また多くの方々との「一期一会の出会い」がありました。そしてその「旅」や「出会い」のたびに、わずかずつではありますが沸々と心に去来し、濾過され、心の底に凝縮されてきた「ある思い」が形を整えてまいりました。
 それは「ガラスへの深い思い」に他なりません。
 この「ガラスへの我々の思い」は「ガラスのデータベース」のような形で少しずつまとめ、折に触れてお得意様の来訪時などの機会を捉え細々とではありますが紹介させていただいてまいりました。
 折りしも、当冊子の発行により「我々のささやかな思い」である「ガラスの本当の値打ち」を、そして「ガラスの良さ」を、国内のみならず世界の方々にお伝えできる機会を持てることになりました。まだ小さな試みの一歩に過ぎませんが、近い将来大きな喜びに変わるものと確信しています。
 そして「大地の恵み」ともいうべきこの「天然材料」をもっともっと生かせたら、それは真に「ガラスの復権」と呼ぶにふさわしい、新たな時代の息吹となることでしょう。東洋にあって、4000年を超えるガラスという「人類の遺産」を受け継ぎ、生業としてきた私たちの「ささやかな願い」でもあります。
 今や「環境問題」は人類共通の喫緊の課題ですが、この冊子では「ガラス容器」とともにその歴史、またさまざまな分野での活用状況などをご紹介しながら「ガラスへの思い」への共感を高めてゆきたいと考えています』

 出井社長のガラスへの想いがつまった内容であり、このように自らの事業に対する愛情があってこそ、世界の化粧品ガラス容器トップメーカーという実績企業に成長されたと判断いたします。
 すべての行動の原点に、理念・想い・愛情が絶対要件で、これが持続的経営成長への条件であることを改めて認識させられた今回のゼミナールでした。
 なお、VIN一号誌のご要望はゼミナール事務局までご連絡願います。
以上。

投稿者 Master : 11:17 | コメント (0)

2007年07月24日

「大転換の日本経済と不動産」

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2007年7月23日
「大転換の日本経済と不動産」
不動産経済アナリスト 西村和芳氏


 西村和芳氏の経営ゼミナールご発表は、1994年以来、今回で六回目を迎えました。経営ゼミナールの常任発表者のお一人です。
 また、西村氏はご発表にあたって、詳細なレジュメ資料をご用意されますが、これは過去のご発表とつながったストーリー性のある内容でございます。
 ですから、過去のご発言内容と、現在の経済実態、その比較が簡単に出来るのです。つまり、これは西村氏の経済予測が現実と整合性があったかどうか、その確認材料になるわけですから、普通の人はなかなか怖くて出来ず、避けるケースが多いと思いますが、西村氏はそのリスクを自ら被ってご発表されました。逆に考えますと、それだけご研究されているということを証明しています。

 さて、ご発表の内容ですが、今年も新しい造語を使われました。例えば「両国国技館現象」「好都合な真実」「世界のフラット化」「TVT」「運用は運よ」など多数です。一つひとつの説明はここでは紙数の関係で出来ませんが、このようなコンパクトで事実関係を表現する力量は並ではありません。経済学理論に基づく分析と、国内外各地の現場感覚から感じ取り発したものです。

 ご発表の結論は「小さなショックが引き金になり、連鎖的な信用収縮が起きる懸念もあるが、先進国の資本と辺境の労働の『幸せな結婚』が継続し、史上空前の世界同時好景気が現出する」というものでした。

 ゼミナールにご参加された方々に、西村氏が最後に質問されましたが、圧倒的にこの見解に同意される実態を目の前にし、過去の日本経済に対する見解とは大きく異なっている感を深くしました。
 多くの方が、日本だけで経済を論ずる時代が終わっていることを正しく認識されているのです。
 そこで、我々のビジネスの基である日本の経済を分析し、実態をつかむ為には、グローバルという視点が絶対要件となっています。
 それもアメリカを中心とした先進国だけでなく、今まで未開拓市場であった発展途上国に中産階級が生れ、そこに大きな需要が発生し、先進国と併せて世界経済を構成しているのですから、今まで以上に洞察力に満ちた検討が必須条件であり、そのことを改めて気づかせられた今回の西村氏ご発表でした。
 今後も継続的なご発表を、西村氏にお願いしたいと思っております。 以上。

投稿者 Master : 19:16 | コメント (0)

2007年06月19日

「21世紀のアジアビジネスモデルを探る」

2007年6月18日「21世紀のアジアビジネスモデルを探る」
法政大学大学院(MBAコース)客員教授 増田辰弘氏

時代を閲する
 キーワードとしてのグローバルという内容、それを確実に捉えきれないまま、グローバル化時代が来ている、と称しているような気がしてなりませんでしたが、今回の増田教授によるアジアビジネス発表は、現代のグローバル化という実態の解明でした。
 また、その実態は、毎日接しているマスコミ情報としては顕れない「足で集めた実態情報」の羅列で、参加者がもっていた従来からのアジア観判断に大きな変化を与えました。正に「時代を閲する」ゼミナールでした。

閲するとは
 時代を閲するにはセオリーが存在すると思います。
 現実の姿とは、目の前に顕れた材料です。その材料に対してどのような基準で測定するか。その一点で閲した判断結果が左右します。
 つまり、時代への判断は、材料の適否と、基準の適否で決まるのです。
 材料の適否とは、収集した材料が部分なのか、全体なのか。基準の適否とは、客観性あるものなのか、それとも主観に溢れたものなのか。
 しかし、このように明確に整理された思考を取ることは至難な業で、一般的には、この両者の入り混じった内容で行うことになり、その結果は「判断誤差」として後日の時間軸で顕れてきます。

妥当な判断をするには点検と確認作業
 では、妥当な判断をするためにはどうしたらよいでしょうか。
通常、物事の情報収集に当たって、最初は客観的な事実の積み重ね行動をしていきますが、次第にその物事に慣れ親しんでいきますと、主観的な方向に軸足を移していきやすくなります。
 また、当初は部分情報ですが、次第に全体情報にとしてつかむことになっていきます。これは、時間の経過と共にいろいろ分かってきますから、当然なことです。
 しかしながら、時代も人も常に変化していくので、分かったつもりでいても、そこにどこかのポイントとタイミングで、何かの点検と確認を入れておかないと、未来を誤りやすいのです。
 その点検と確認作業を増田教授がしてくれました。現場からの継続した一貫調査によって、一般マスコミで報道されない実態を提供してくれ、アジアビジネスとグローバル化という、時代の流れに対する新たな気づきと認識を与えて頂きました。以上。

投稿者 Master : 16:56 | コメント (0)

2007年04月19日

あなたを守る900のノウハウ

2007年4月16日 「あなたを守る900のノウハウ」
株式会社創新 浅沼 賢氏

日本人が海外に出かける人数は1700万人を超えました。
浅沼氏は資生堂勤務時代に、国際事業に携わり、各国の責任者も経験した豊富な海外体験に、新たなる知識と情報を加味し「あなたを守る900のノウハウ」(東京図書出版会)を発刊いたしました。今回はこの本に最新の情報を加えて発表いただきました。

海外に行った日本人は、六人に一人が何らかの被害を受けているそうです。筆者も、海外で多くの事件・被害にあった経験があります。スリ、列車内での盗難、現地警察への事情聴取は三回、フランスの裁判所から証人出頭を命じられたこともあります。カード支払が、行ったこともない国から請求が来たこともあります。

浅沼氏の発表をお聞きしていて、再確認できたことがありました。それは「日本の基準で外国を判断してはいけない」ということです。
これは当たり前のことで、当然ではありますが、実際に現地に行き、その国の事例、特に事件・事故に遭遇すると、どうしても日本人の感覚で対応してしまいます。いつの間にか自然に日本人の感覚に戻っているのです。日本の常識は通じないのに、日本感覚で対応し、その結果、思わぬトラブルの拡大ということになる可能性が大きいのです。

しかし、現地で日本人感覚に立ち戻るのを恐れて、「あなたを守る900のノウハウ」に書かれていることを忠実に実行しようとすると、多分、成田空港まで行ったとしても、飛行機に乗れずに成田山新勝寺で終り、肝心の目的地海外には行けないという結果になると思います。あまりにも真剣に準備すると、緊張して行動が自らの準備内容に縛られてしまうという意味です。

ですから、「あなたを守る900のノウハウ」の全部は実行できないし、してはいけないと思います。これは多角度からの注意ポイントであり、一般的な教えガイド集なのです。実際は個々人の事情、レベル、体験度数で異なってくるはずです。

筆者が推奨する基準は「海外でつまらないことはしない。必要なことはする」です。では、「何がつまらないこと」で「何が必要なこと」なのか。それは一人一人が自らの基準を作るしかありません。海外を経験し始めたときから、その記録を作り、その記録を積み重ね、その中から「つまらないこと」と「必要なこと」を整理していくこと、この作業を海外旅行の度に行って、都度、基準を見直していくことです。

つまり、行動⇒整理⇒反復、この繰り返しが海外での事件・被害を防ぐ最適対策と思います。浅沼氏の発表はこのことを教えてくれたと思います。      以上

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2007年02月22日

下賀茂温泉 伊古奈女将 吉田房子氏

経営ゼミナール ワイポイントレッスン 2007年2月18日 
下賀茂温泉 伊古奈女将 吉田房子氏

早めに伊古奈に着き、銀河の湯露天風呂に入る。源泉が湧き出し、流れ込んでくる近くで思いきり四肢を伸ばし、目前の苔むした岩から樹木を眺めていると、頭が自然に上空に向く。1.5万坪の敷地から発する伊古奈の神話が、湯煙とともに天空に向い、それが星空の輝きを、ひときわ増している。そのように感じてならない神秘的な銀河の湯。

ここには伊古奈の物語が詰まっている。古代の人々は、すべて神話とともに生き、その神話を信じて生きてきた。自分の住む世界と、神話の世界が調和し、神話の世界から発した世界観で、自らの内部と、外部の自然現象を調整することが何の疑問なく行われていた。

ところが、今の現代人は、この反対側に立っている。外的なことに対する様々な術を知り、変化に対応する技を持ち、同時性スピードで流れている情報をつかもうとパソコンに向い、外的な面では上手に対応しているが、内的な落ち着きを失っている。
だから、時に、予想もつかぬ大事件、大問題が発生すると、その外的要因に対する内面の調整がうまくいかず、結果として自己心理破綻を起す場合が多々発生している。

どうしたらよいのか。それには伊古奈物語を参考にすることである。伊古奈には神話が詰まっている。伊古奈を語るためには、日本の成り立ちから理解しなければならない。世界をお造りになった天の常立の神、その七代目のイザナギ・イザナミからお生まれになった天照大神、月夜見命、スサノオノミコト。このスサノオノミコトの五代目が大国主命となって日本を治め出雲の地に、そこへ天照大神によって国譲りが命じられ、それに従ったのが大国主命の長男である事代主命。国を譲った事代主命は、伊豆で再生し三島明神となり、その御后が伊古奈で白浜神社に祭られている。

伊古奈に一歩入り、伊古奈という名を口にすることは、DNAとしての日本神話を語ることにつながって、それは外的から内的世界への転換になる。日頃は外的世界対応のみで生きている自分が、知らない間に内的世界に入っているのである。だから、伊古奈に入ると落ち着くのである。

伊古奈から学ぶことは、神話の心理学である。古代の人々は、すべて神話とともに生き、その神話を信じて生きてきた。今は、一人一人異なった外的対応に追われている。しかし、だからこそ、各個人が自分の生活に関わりのある神話、それを探り、求め、自らの背景に持つべきでないか。という今の時代の生き方を教えて頂いたと思う。 以上。

投稿者 staff : 15:25 | コメント (0)

2007年01月19日

2007年1月15日 経営ゼミナール代表 山本紀久雄

2007年1月15日 経営ゼミナール代表 山本紀久雄

2007年の最初の経営ゼミナールは、本会の代表である山本紀久雄から「今年の経済と課題」と題しましてご報告申し上げました。
内容のポイントは
● 今年の日本経済と世界経済は順調に推移する見込み
● 課題は全要素生産性の上昇

経済はアメリカ大統領選と中国・北京オリンピックを来年に控え、この両消費大国が順調な経済運営を行っていくと思われるので、そこへの輸出が各国とも伸び、世界と日本経済も順調であるという内容です。

課題は生産性です。日本の一人当たりGDPは1993年まで世界のトップでした。しかし、その後年々ランクを下げて2005年度は14位に後退してしまいました。イギリスよりも下に位置します。世界第二位の経済大国というイメージは捨てた方がよいと思いますし、これから人口減ですから、一人当たりのGDP競争をすべきで、そのためには生産性をあげるしかないのです。

生産性と言いますと、すぐに思い浮かべるものに、労働単位あたりの付加価値で計算される「労働生産性」があります。また、設備に投資された「資本生産性」をイメージします。
しかし、これからは日本が持っている潜在力、つまり、潜在成長率を高めることが必要なのですから、この「労働生産性」と「資本生産性」だけを論議していては限界があります。すべての要素を考えた「全要素生産性」という視点が日本の成長には欠かせないのです。では、この「全要素生産性」とは何か。

それは労働と資本以外のものすべてです。例えばIT化の進展、国の政策面での規制緩和、産業構造の転換などがありますが、このような大きな枠組みでなく、一人一人や、一社一社が創意工夫をして、その結果で業績につなげることが最も大事な「全要素生産性」の向上策なのです。
その「全要素生産性」をあげるための視点、それは、考える力、脳力ですが、それについて銀行や洋傘、ハンバーガーなどの事例で紹介しましたが、とにかく経営者は「人の脳細胞から引き出す力」に今年全力をつくして、順調なる日本経済の風を取り入れて成長路線にシフトすること。
それが今年の最大の課題である、というのが今回のポイントでありました。  以上。

投稿者 Master : 06:05 | コメント (0)

2006年12月21日

2006年12月18日 株式会社桜ゴルフ代表取締役 佐川八重子氏

2006年12月18日 株式会社桜ゴルフ代表取締役 佐川八重子氏

佐川社長のお顔は、ご存知の方が多いと思います。ゴルフ業界では著名人ですし、ご趣味も広く深く、多方面でご活躍されておられます。

今回は「ゴルフ会員権の道ひとすじに・・・三ゴの趣味(ゴルフ・囲碁・小唄)に憩う・・・」のタイトルでご発表いただき、最後には「日欧青少年囲碁親善大会」開催意図について、また、佐川師匠から小唄「主さんと」のお稽古があり、大変明るい楽しい雰囲気のゼミナールでした。

この明るい楽しい雰囲気は、佐川社長がお持ちのキャラクターから生れたと判断いたします。佐川社長は21歳でゴルフ業界に入り、26歳で桜ゴルフを創業され、創業当時から10年は女性だけの会社で、女性ならではのキメ細かく親切丁寧な対応によって、順調な経営実績をあげられてきました。しかし、その後に訪れたオイルショックとバブル崩壊、これはゴルフ業界に最も大きな打撃を与えましたことは、よく知られている通りです。
実は、今回特に、佐川社長からお聞きしたかったことは、この経済環境激変にどのように対処され、素晴らしい今日の企業をつくられたか、ということでした。

率直に実態を語られる内容をお聞きしているうちに、やはり佐川社長は経営セオリーを踏んでおられると判断いたしました。
経営には多くのセオリーがあり、そのセオリーを駆使されることが重要ですが、セオリー駆使には二通りあると思います。
一つは多くのセオリーを集積化し多面的に駆使することです。二つ目は絞り込んだ一つのセオリーを駆使することです。どちらも有効ですが、佐川社長のケースは二つ目の「絞り込みセオリー駆使」と思います。

佐川社長は、自ら先頭に立った経営実践の中で体得された事例を、分析し、集積しているうちに、最も大事と思われるもの、それは「企業理念」と思いますが、ここに辿り着かれたのだと思います。佐川社長は「ゴルフ屋からの脱皮」ということを「創業36年を迎えて」で強調されています。
若くして飛び込んだゴルフ業界で、いろいろご苦労があり、様々な問題がある中で行動しているうちに、「ゴルフ屋からの脱皮」という使命感、これは理念の構築という分野になり、セオリーになると思いますが、それをつかみ、そこから桜ゴルフという企業を常に見つめなおすという経営手法、この展開と継続が多方面から支持され、激烈競争のゴルフ業界で持続的成長をしている最大要因ではないかと思います。以上。   

投稿者 Master : 17:34 | コメント (0)

2006年11月28日

「ゼロ金利解除」について考える 経済アナリスト 北川宏廸氏

ワイポイントレッスン 2006年11月27日
「ゼロ金利解除」について考える 経済アナリスト 北川宏廸氏

北川宏廸氏には今年二回ご登場願いました。2月に「小泉改革が目指したこの国のかたち」と、今回のテーマです。
実は、北川氏は月刊誌「ベルタ」で毎月経済分析結果を連載しておられます。この月刊誌「ベルタ」は政治家・諸官庁の役人・新聞記者・経営者が主な読者になっていて、毎月の北川レポートは各分野の専門家が参考にし、時には重要な政治舞台での基礎資料として使われることもあるようです。その最新掲載内容に基づき、今回もご発表いただいたわけです。

北川氏の主張は常に次の三つの視点から構成されています。
一つは確定要素から分析すること。二つ目は立場を明確にすること。三つ目は最新の経済学理論を駆使されている、ということです。
今回のご発表の内容は記録で確認いただきたいと思いますが、大きく分けますと次の三項目で、これについて詳細にご説明いただきました。
1. ゼロ金利と量的緩和策は全く異なる金融政策である。
2. いまこそ「インフレ目標」の導入が必要だ。
3. 景気の「実感」と「数字」が異なる理由。

しかし、北川氏のすごさは、皆さんとのディスカッションの過程で、さり気なく解説される最新の経済学の理論です。今回もいくつかの新しい理論を説明していただきました。その一つをご紹介しますと、ノーベル賞を受賞した米国の計量経済学者グレンジャーが開発した手法で「因果性検定」です。この手法で分析した結果「物価が変化するとその後で賃金が変化する」という関係がわかったのです。従来、賃金と物価の相関関係について、賃金が上昇したから物価が上昇したのか、それとも物価が上昇したので賃金が上昇したのか、のどちらが先であったのか、つまり、「にわとり」が先か、「卵」が先かで議論されてきました。これがこのグレンジャーの「因果性検定」で結論付けされたというご説明に、ただウーンと唸るばかりです。

これは一例に過ぎません。常に最新の理論と実際のデータに基づいた経済分析によって、今の世界と日本の経済情勢を分かりやすくご発表いただくこと、正に最先端の経済動向を知ることが出来るのです。
来年も是非ご登場いただきたいと思っておりますので、皆様ご期待してお待ち願いたいと思います。                    以上

投稿者 Master : 17:43 | コメント (0)

2006年09月30日

9月のワンポイントレッスン

ワイポイントレッスン 2006年9月14日
「最新の中東情勢・2006年レバノン戦争」 重信メイ氏

昨年に続いて重信メイ氏からレバノン情勢について発表いただいた。
特に、今回は7月11日のイスラエルによるレバノン・ベイルート国際空港への空爆から始まった戦争、それ以後もイスラエルによるベイルート市街への空爆と、イスラエル地上部隊のレバノン侵攻、国連施設への爆撃と民間ビルへの爆撃による死傷者の発生など、8月14日の停戦発効まで戦争は続いた。

今回のレバノン侵攻はレバノン軍に対するものではなく、ヒズボラという重信メイ氏の解説によると政治団体、つまり一つの政党に対する戦いをイスラエルが行ったわけであった。また、その発端は、イスラエル国境警備兵二名をヒズボラが拉致したということからであったが、これについても真相は拉致でなく、戦争状態では常に発生する捕虜ということであり、この二人を理由に突如イスラエルが、レバノン・ベイルート国際空港への空爆を行ったことは許されない、ということから始まった。発表については記録を見ていただきたい。

重信メイ氏はパレスチナ難民キャンプで生まれ育ったわけであるから、当たり前のことであるが、アラビア文字を持って書き話し、英語についても同様である。母の重信房子の逮捕によって日本国籍を始めて取得でき、日本に帰国できたという事情から、重信メイ氏の手許資料はアラビア文字と英語で書かれている。しかし、ゼミ参加者に配布された資料は日本語である。つまり、重信メイ氏は三ヶ国語を話し書くことが出来る。

重信メイ氏の情報収集は、中東の衛生テレビアルジャズィーラであって、これを毎日ウォッチングしている。言葉に不自由ないのであるから、日本人の現地派遣新聞記者が、現地人に現地の新聞を翻訳してもらって、そこから編集し日本に情報発信するのとは全く異なる。日々発生する新しい情報が重信メイ氏の手許に集積されていく。
ということは重信メイ氏の発表内容は、個々の事実の積み重ねから分析整理したもので論理を積み上げているのである。
一般的に行われやすいのは、ある仮説でもってストーリーをつくりあげ、そこに当てはまる材料を集めるという情報収集手段を採る。この場合は結論が先に決まっていて、このような論理展開を行っている事例が通常多くみられるが、重信メイ氏の情報収集の実態を見聞きし、個々の事実の積み重ねから分析整理することの重要性、そのことをした改めて認識させられたゼミであった。以上。

投稿者 lefthand : 09:00 | コメント (0)

2006年08月17日

ワイポイントレッスン 2006年7月24日

「見えない公害・電磁波」
㈱テクノエーオーアジア社長 増川いづみ氏

増川社長から電磁波の問題点をレクチャー受けた翌日、読売新聞は「携帯の電磁波、優先席離れても影響変わらず!?」の記事を掲載した。

この内容は、東北大学理学研究科の本堂毅助手らの実験で、電車内の金属壁では発信源から距離をとっても、携帯電話の電磁波は弱まらない、という結果で、日本物理学界の英文誌に発表されるというもの。

この翌日ニューヨークに行くため搭乗したJAL機内で、携帯電話は使用禁止と機内アナウンスがあり、その理由として操縦席の機材に影響を与えるというものであったが、今回の読売新聞報道を信頼するならば、金属で囲まれた飛行機の中では、完全に搭乗客に影響があることになります。密閉され、閉ざされた空間の中ですから、逃げられなく怖いことです。

ニューヨークに着いて、北に200km向ったのはサラトガ温泉です。ここは歴史と伝統のあるリゾート地であり、ニューヨークの人々が愛飲するサラトガ炭酸入りミネラルウォーターの湧水地でもあります。
サラトガ温泉街の由緒あるホテルに宿泊してみると、玄関からフロント、廊下、部屋の中、いずれも日本より照明が暗く、多くは間接照明になっています。
これは欧米のホテルに共通している実態ですが、日本のホテルで見られる直接照明の明るさと大きく異なっています。

増川社長によりますと、欧米諸国では以前から電磁波問題について広くPRされており、一般にも理解が進んでいるとのことです。ですから、そのような認識があれば、当然に照明も間接になっていくのが流れです。
更に、タバコの害についても、ニューヨークではタバコ一箱1000円程度ですから、日本とは価格的に大違いです。
また、カナダのロッキー山脈麓のリゾートホテルでは、フロントで「部屋で喫煙したら200ドル徴収する」ことの同意書にサインさせられ、そのサインがなされないと宿泊拒否されるなど、日本とは異なる厳しい対応が通常です。

増川社長のレクチャー内容については、記録を御覧頂きたいのですが、毎日、パソコンと向き合い、携帯電話を使用する身としては「電磁波から健康を守る」対策として、諸器具を使用し、電磁波に囲まれている実態から、少しでも悪影響を防止したいと思った今回の経営ゼミナールでした。       以上。

投稿者 Master : 06:51 | コメント (0)

2006年06月20日

ワイポイントレッスン 2006年6月19日

「日本の国際文化交流」
国際交流基金文化事業部長 富岡順一氏

国際交流基金に昨年民間から転出された、富岡氏の発表は魅力的でした。昨年はフランス文化について解説をしていただき、今年は日本文化を世界に発信するシステム実態と、諸外国との文化交流投資額の比較、それらの実態を数字で明確にご教示していただきましたが、その実態は他国と比較し不十分であるという見解でした。

しかし、この不十分な体制下であっても、日本文化が世界に占める位置づけ実態は年々高まっていると感じます。それは外国に行った際の実感から受けることが多く、それらについてご参加の方々から発表がありましたとおり事実です。特に最近はマンガ、アニメ、食文化等の人気で、日本は高く評価されている実態です。
ここに日本の本当の真価が示されています。その真価とは何か。それは日本の歴史の長さです。後三年半で2010年になります。ということは大化の改新を受けて平城京に都が遷都して1300年、それ以前も天皇制という国体の歴史があったわけですから、この歴史は現在の世界各国に類例がない、素晴らしい伝統が続いているのです。明治維新という国家体制が封建時代から近代化に切り替わっても、伝統文化は維持されているという素晴らしさ、これは他国には見られない日本人の知恵なのです。

その歴史に裏づけされた日本国土に生まれ育って、我々はビジネスを行っていること、この確定的事実を再確認しなければなりません。認識論として正しく理解すること、そこにビジネスの基本があります。この確定的事実認識論にたって、その上に「この事実をどう活かしていくか」という戦略論、その戦略に基づいて「どう展開していくか」という戦術論、その整理を的確にしていくことが必要です。

しかし、陥りやすい問題点があります。多くの人は情報を集めすぎます。外国の実態情報を集め、その内容との比較から日本を判断しようとする傾向があります。外国の実態を判断の基準にしているのです。これはある面で有効な判断基準ですが、一方では大変危険な基準です。何故なら「我々は日本という国土で生まれ育っている」という確定的事実を忘れかねないからです。外国の実態を調べる基本は何か。それは自らが立っている日本という国を再確認するためです。外国の実態を知るということは、更に日本という国について深めていくということ、それが特に重要なのです。もう一度、原点から考えたいと思います。我々がビジネスしている今の日本、それを深く知ることこそが、国際交流の原点にあるのです。それを忘れた外国情報の収集は、日本の魅力を正しく妥当につかめないことにつながります。
このようなことを富岡順一氏にご発表から学びたいと思います。     以上。

投稿者 Master : 08:42 | コメント (0)

2006年03月24日

3月例会ワンポイントレッスン

経営ゼミナールワンポイントレッスン
2006年3月20日
「今の時代を分析する」資生堂宣伝部常勤顧問 水野卓史氏

大学を卒業後、25年間資生堂の宣伝部で活躍、その後独立事務所を25年間経営、ちょうど50年目の節目に、再び資生堂の宣伝部で仕事をすることになったのが水野卓史氏です。年齢は72歳。今の時代はリストラで、50歳以降の人間が肩叩きに合うのが当たり前の企業の実態の中、水野氏は一般の定年は当然に過ぎ、社長でも引退する年齢でありながら、それも感性と感覚が勝負の宣伝という仕事に復帰したわけです。また、資生堂は化粧品企業として、世界のベストスリーに入る著名企業であり、国際化が進んでいることでも知られているわけですから、どちらかといえば若さを求めるはずなのに、今回の水野氏登用は一般的な常識を超えたものです。

どうしてそのような意外な人事が行われたのか。その理由として二つ考えられます。一つは資生堂という会社の社会柔軟性であり、もう一つは水野卓史氏が持つ資質・資性・能力であります。水野卓史氏がデザインという分野で活躍された作品の数々、それを映像とコピーをもって発表していただきました。その作品を拝見し、的確に上手には表現できないのですが、参加者からすばらしいという感嘆の声があがりました。

しかし、時代の一般的風潮に反した水野卓史氏の登用を、その企業の社風と個人能力に帰してしまいますと、この特異な事例は「すごい」という一言で終わってしまうことになります。そうではなく、経営ゼミナールのバックボーンである脳力開発からの分析が必要です。そうしなくては我々の中にこの事例を取り込むことができません。
水野卓史氏は戦略家と判断します。戦略と戦術を理解して駆使されています。水野卓史氏はまず人生の生き方の中で、大学卒業時に一生の目標とすべき「師匠」を定めました。その人物は当時の日本を代表するデザイナーの山名文夫氏です。この人物に出会ったことが水野氏の方向性を決めました。山名文夫氏の持つ繊細な美的感覚とそれを表現する芸術的なイラストレーション、これが水野氏の目標になったのであり、その目標を達成することこそが水野氏の戦略になったのです。師匠としての山名氏を目指し、超える。それを戦略として定めたのです。
次に、戦術として時代を学ぶことにしました。時代感覚がデザインには最も大事です。その時代研究を多くの識者との交流から取り入れていきました。つまり、多くの識者との接点を大事にし、他分野の識者から学んで時代を新鮮に取り込み、それをデザイン発想の源泉としたのです。各分野のエキスパートから情報スキル・技術を積極的に入手していきました。この行動は戦略達成のための戦術にあたります。見事な「戦略・戦術」人生構築が、今回の水野氏登用の背景に物語として存在していること、それを理解したいと思います。人生にも仕事にも成功にはセオリーが存在します。
以上。

投稿者 lefthand : 00:00 | コメント (0)

2005年12月25日

2005年12月19日 「文化に挑戦」 小野寺マヤノ氏・金子マサ氏

ご存知のように海外で日本の文化は大人気です。日本文化といいますと、かつては歌舞伎、能、生け花、お茶などの古典的・伝統文化が中心に海外で関心をもたれていました。ところが、このところの日本文化への関心は、古典伝統的なものに加えて、サブカルチャーといわれているもの、それはマンガ、アニメーションを代表とするものですが、それらが若い世代をとらえ、そこに加えて日本食が一大ブームを起こしています。

実は、今回発表していただいた剪画協会の小野寺氏と、ぬりえ美術館の金子氏は、この海外で一大ブームを起こしている一角に食い込もうとしているのです。今は剪画もぬりえも海外では無名です。だが、現在の日本文化ブームを考えれば、切り絵から発した剪画、きいちで知られている日本のぬりえも、海外で「ひとつの文化として認識される」はずだと二人は考え、大いなる野心を抱いて来年の秋にNY展を展開するのです。
この意図について二人から発表があり、それに対してご参加メンバーから活発な提言・苦言・アドバイス・心配事・・・いろいろありました。いただいた内容はすべて二人のお役に立つものばかりでした。それだけ二人の女性が描いている、未来の希望に暖かいご支援があったのです。ありがたい経営ゼミナールの皆さんのご好意でした。

さて、経営ゼミナールは脳力開発を背景理論としております。この視点から考えますと、今回の二人が成功するためには必ず押さえるべきポイントがあります。それは「立場の点検」です。
日本人写真家として世界で高く評価されている杉本博司氏は、30年前からNYで活躍し、欧米の現代美術界で認識され、それが日本に欧米のメディアを通じて入ってきて、初めて日本人が理解したのです。杉本博司氏はNYで成功したからこそ、世界で認められ、結果として日本でも高い認識になっているという事実、それはNYが認識する基準と、日本が認識する基準が異なっていることを証明しています。このような事例はたくさんあります。
ですから、今回、二人が海外で「ひとつの文化として認識される」ということを意図するならば、それは日本基準から一度離れて、NY基準に転換できるかどうかにかかっているのです。つまり、NYの文化判断基準を究明した上で、その基準で剪画とぬりえを再編集できるのか。二人が描き求めているNYでの成功は、正に「NYの文化基準」を創りえるか。そこにすべてがかかっているのです。
二人の成功を祈りつつ、成功するためには二人が「NY基準を究明すること」これがキーポイントであること、それが必要不可欠であると再度お伝えしたいと思います。

投稿者 Master : 13:48 | コメント (0)

2005年11月22日

2005年11月21日 今の時流 山本紀久雄氏

時代の動きは急展開しています。5年前の自分と、今の自分を比較してみてください。経営でしたら自社の業績を5年前と比較してみてください。どういう状況でしょうか。
変化している人、変化していない人、これは日本にも当てはまります。変化している日本と、変化していない日本。
日本経済で見てみたいと思います。

2005年のGDP成長率は11月に世界銀行が発表しました予測で2.3%です。1991年から2004年までの平均GDP成長率が1%強であることを考えますと、その成長振りが目立ちます。成長している中味、それは内需です。個人消費と設備投資が頑張っています。失業率も減りましたし、国富は2005年にいたってようやくバブル崩壊のときから始めて増加に転じる予定です。随分変化しているのです。

しかし、変化していないものもあります。それは地方の商店街に見られるシャッター通りの現実です。相変わらず店は閉まったままです。これをみると日本経済はよくなっていないと感じます。その通りですが、ここで全体を見通すにはどちらに主点をおくかで判断結果が異なってきます。自らの立場をどこにおくかです。
シャッター通りから日本経済を考えるか。それとも2005年のGDP成長率から考えるのか。それによって大きく異なります。

今回の山本紀久雄氏の発表はその立場を決め、そこから考える背景を伝えてくれました。
それは日本のおかれた状況が、過去の政治のあり方を変えたという事実です。
その背景とは時代への認識です。日本の未来は二つの大きな変化に立ち合っています。一つは少子高齢化であり、それは人口減という事実です。もう一つは財政赤字770兆円という、日本国の一世帯あたり2000万円にも及ぶ借金の額、これは誰が考えても政治の失敗でつくってきた事実です。
この二つの時代認識が、今回の選挙の背景にあり、その認識から容易に考えられるのは、もうかってのような政治、それは「日本全国すべてを均衡させた発展」と「行政に多くの支えを期待する」を望むことは困難、という事実です。
ですから、今後もシャッター通りは、その場の人が自ら解決しない限り続きます。これは大事な前提事実です。このところから物事を判断していくことが必要であり、それが時代の流れ・時流をつかむ前提と感じました。   以上。

投稿者 Master : 13:32 | コメント (0)

2005年10月18日

2005年10月 志楽の湯 柳平彬氏

2005年10月17日 縄文温泉「志楽の湯」から「言氣」を貰おう

JR南武線、川崎駅から二つ目の矢向(やこう)駅から歩いて五分、そこは九州熊本県の黒川温泉の再来かと思わせる雑木林が駐車場となっていて、その奥に低層木造の品よい建物が迎えてくれる、それが今話題の「志楽の湯」です。
今回は「現場・現地・現認」を目的とし、「志楽の湯」で同温泉の経営を行っている「グループダイナミック研究所長 柳平彬氏」から発表いただきました。

柳平彬氏から、世界各国のスパを研究し、同社が経営する「たてしなエクゼクティブハウス」の建設、その後も健康ビジネスという視点から研究を続ける過程で、黒川温泉の後藤哲也氏と出会った経緯、それは単なるスーパー銭湯や健康ランドでなく、自論の縄文時代をコンセプトにした温泉施設の誕生、それを実現するパートナーとして後藤哲也氏と巡り会った、という展開プロセスについて、哲学的に、情熱的に、世界の人脈からの提言内容も含め、熱っぽく語っていただきました。
一つの事業の立ち上げにつぎ込む柳平彬氏の深い情熱に、参加者一同、ただ唸るばかりでした。加えて、柳平彬氏の深い見識に頷くばかりでした。
事前に「化石海水の天然温泉」に浸かり、縄文ぶっかけそばに驚き、楽しんだ後でしたので、時間の経つのも忘れるほど活発な質問が続き、あっという間に終わりましたが、今回は静岡県や岐阜県からもご出席いただき熱心な討議が展開されました。

さて、経営的に考えますと、天然温泉としてのコンセプトワークと共に、マーケティングについても大いに参考となる事例でした。
今の時代のマーケティングは「新しい商品を新しい客に売る」ということは大いなる危険を孕んでいます。そこで多く行われているのは「今までの商品を違ったマーケットに売る」ということです。つまり、今まで客数・チャネル拡大で企業は成長してきたのです。ところが、これが限界になって来ましたので、今後は「新しい商品を今までの客に売る」ということが模索されてきています。しかし、この「新しい商品」という意味を、全く今までと異なるものと理解すると商品開発は難しくなってしまいます。今回の温泉という存在・モノは普通の存在です。ですから「今までの商品を時代感覚に基づき編集し直して新しく見せる」という作業ができるかどうか。
これが最大のポイントであると思います。

今まで知られている商品・モノを「時代感覚に溢れた価値観」で編集と直して「今までの客」に新しさを伝え、納得して貰って売る。それが今の時代に求められるマーケティングであり、それを実現し進めているのが「志楽の湯」であると感じました。以上。

投稿者 Master : 15:12 | コメント (0)

2005年9月重信メイ氏発表から

2005年9月26日 パレスチナ問題を探る 重信メイ氏

重信メイ氏の母は重信房子である。その母とパレスチナ人の父との間に生まれ、28歳までレバノンの難民キャンプで暮らしていた。重信房子が大阪に潜伏中捕まったことから、娘のメイ氏の所在が明らかになり、それまで無国籍者であったが、日本人となってパスポートを取得でき、日本に来て4年。現在は予備校の英語教師をしながら、中東情勢について各地で講演している。

今回は丸の内時流塾で「アラブ全体概要」、ゼミナールで「パレスチナ問題」を説明していただいた。いずれも参加者から好評であった。
その好評の理由は、実体験から構築された実際知識での内容であったからである。一般的に日本人には縁遠いイスラム圏、そのイスラム圏のアラブで生まれ、育ち、教育を受けたのであるから、当然といえば当然であるがアラブについての知識は深い。
その上、日本人となって日本で暮らして4年、いわば異文化の中で突然の生活はずいぶん苦労があったと思われるが、今や日本語も不自由なく話せ、書け、質問に対する回答も論理的で明快、加えて、なかなかの美人であるから、持ち込んだ著書はたちまち売り切れ、購入者にサインをするのが忙しい、という人気振りであった。

講演内容は記録を見ていただきたいが、その内容は始めて知ることが多く、今までマスコミ・雑誌から得ていたアラブ世界、その認識を新たにすることばかりであった。
ということは、日本で報道され、語られ、資料化されているアラブという実態、それは何であったのだろうか、という疑問が生じる。それほどの新鮮な事実認識の連続であった。
この理由を考えてみたが、一つは今までアラブについて深い関心を持って研究していないこと、二つに重信メイ氏のような実体験というより数奇な人生を歩み得ざる人物に出会えなかったこと、三つ目としては、これがもっとも日本人全員にとって関係があり重要なのであるが、マスコミからの情報、これが画一化しているという事実である。
海外諸国から指摘されているように、日本は記者クラブ制度があり、一定の報道機関でないと政府からの直接情報は受けられない。その上、日本国独自機関の世界ネットワークがないので、ロイター通信等の外国機関の情報を利用するしかない。つまり、情報ソースが限られているので、マスコミで報道される内容も各報道機関で大きな差が生じない。ということは、それに接している我々の思考が画一化しやすい、ということになる。これは大変危険である。異なった見解、解釈ができ難いということになり、その習慣は日本人に多様性と異種の考え方への拒否という結果を招くことになりやすい。同質化社会とは一見住みやすいが、その反面、異論を許さないという狭い社会をつくってしまう。これを再認識させてくれたのが重信メイ氏であり、来年も再登場の希望がご参加の方からあり、検討いたします。以上。

投稿者 Master : 15:09 | コメント (0)