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2008年06月25日

7月例会のご案内

経営ゼミナール2008年7月定例会(342回)ご案内

7月の経営ゼミナールは、7月28日(月)第四月曜日に開催いたします。

今月の講師は千葉商科大学商経学部の教授であります中澤興起氏をお招きして、子どもたちの社会の変化を映す「キッズビジネスタウンいちかわ」について、人気の背景、プログラムの企画意図等を発表していただきます。

「キッズビジネスタウンいちかわ」は、千葉商科大学が目指す生涯キャリア教育の一環であり、平成15年より開催され、大学生と子どもの共同作業で「みんなで働き、学び、遊ぶことで共に協力しながら街を運営し、体験を通してビジネスや社会の仕組みを学ぶ」という実践教育プログラムです。
この事業の企画から運営までのすべては、学生が中心になって行われています。子どもたちは市民証をもらい、ハローワークで仕事を探し、就職して働き、退職して給料を得、得た給料で買い物をするなどして、社会やビジネスの仕組みなどを体験的に学びます。
学生たちは学部の講義やゼミで学んだ知識をもとにこのイベントに参加し、事業を運営する中で、自らが担当する役割について深く学び、その役割を担当することにより発生する問題解決能力を養うことなど学ぶ等、子どもも学生も楽しみながら学んでいるプログラムと言えます。

参加する子どもは年々増え、今年3月に開催された第6回目の参加者数は、8日(土)1,148名、9日(日)1,548名、合計2,696名であり、前年比154%という実績でした。そして、参加した子どもたちは、次回も参加したい、友人に勧めたい、勉強になった、楽しかったという点について高得点を付けており、子ども達にとって意義あるプログラムであることが示されております。
 
この人数は新規参加者のみで、リピート者や同行の保護者の人数は含まれていませんので、学生や学内関係者並びに地元の協力者などを考えますと5,000名以上の人々が訪れていたことになります。
しかも、広報活動としては、大学新聞や地域新聞、市川ケーブルテレビなどが取り上げていますが、集客は各小学校へのポスターやパンフレットの配布が中心であり、口コミの影響で前述の数の人々が集まっているものと思われます。

この子ども向けプログラムが人気の裏側には、子どもの社会の新しい時代の傾向を示していると思われます。

このプログラムから見えてくる時代の新しい流れと企画意図、背景を中澤興起氏から発表をしていただく予定でございます。

 
【日時】平成20年7月28日(月)
    18:00 集合(食事を用意しています)
    18:15 山本紀久雄代表の時流講話 
    20:30 終了予定
   
【場所】東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
    千代田区丸の内1-3-1 Tel:03-5252-3791
    東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)
    アクセス:http://www.kaikan.co.jp/bankersclub/access/access.htm

【テーマと講師】
   「キッズビジネスタウンいちかわについて」
    千葉商科大学 商経学部 教授
    中澤 興起氏
 略歴
  昭和42年 東京都立荒川商業高等学校教諭
  昭和44年 東京都立商業教育共同実習所主事
  昭和54年 東京都立情報処理教育センター主査
  平成 6年 川口短期大学教授
  平成 9年 千葉商科大学助教授
  平成13年 千葉商科大学教授
  平成20年 千葉商科大学教授 学生部長

7月28日(月)開催の例会に、多くの皆様のご参加をお待ち申し上げます。

【会費】オブザーバー参加の方は、当日会費として1万円をご用意下さい。
【お申し込み】 
  出 欠:編集工房 代表 田中達也 
  電 話:048-229-2122
  FAX:048-473-7293
その他は金子 ぬりえ美術館内(03-3892-5391)まで問い合わせ願います。

投稿者 lefthand : 08:36 | コメント (0)

8月例会

8月は例年どおり、夏休みとさせていただきます。
よろしくお願いします。

投稿者 lefthand : 08:33 | コメント (0)

9月例会の予定

9月の経営ゼミナールは、9月22日(月)第四月曜日に開催いたします。

 講師には経済アナリストの北川宏廸氏をお招きして、EU(ヨーロッパ連合)の「単一共通通貨・ユーロ」に焦点をあてて、スタグフレーションの問題を考え、このことから、世界の金融市場で、日本の“円通貨”が、ソフトパワー通貨として、どのような通貨機能を担わならなければならないのか、発表をしていただく予定でございます。
 
9月22日(月)の経営ゼミナールのご予定をよろしくお願いいたします。

投稿者 lefthand : 08:29 | コメント (0)

2008年06月20日

2008年6月20日 ビル・エモット氏の進言

環境×文化×経済 山本紀久雄
2008年6月20日 ビル・エモット氏の進言

上海現代美術館

前回レターでお伝えしました、イタリア・フィレンツェのフェラガモが、ブランド回顧展を行った上海現代美術館、そこへ6月初旬に訪れてみると、今度は「四川大地震写真展」が開催されていました。被害状況の生々しい写真が大型サイズで展示され、大災害ということがよく分かると同時に、救済・復旧活動の写真も数多くあって、外国からの救援部隊の活躍も掲示されていましたが、写真展示国はロシアと日本だけです。

多くの国から支援を受けているはずなのに、二国の写真しか展示されず、そこに日本がはいっていること、それは「日本の援助に感謝する」という発言を、北京でも上海でも一般人から多く受けましたが、それを証明する上海現代美術館であり、今の中国の日本に対する感情を表していると思いました。
その反面、韓国に対しては「問題だ」という発言が多く聞かれました。韓国も空軍機で救援物資を送るなど積極的な支援活動をしているのに、中国は韓国に対して反発感情を持っているのです。

ソウル

その韓国ソウルに入ったのは、ちょうど李明博大統領が就任して100日目で、ソウルは反政府デモで大変な騒ぎでした。大統領がソウル市長時代に環境再開発に成功し、ソウルの気温を二度下げたといわれる清渓川の前広場で、「MB反対」の幟が翻り、MBとは李明博を意味する頭文字で、加えて「民心・天心」の旗、つまり、民の気持ちを取り入れて政治を行えという意味ですが、米牛肉輸入問題だけでなく、国宝一号指定の南山門焼失で、ソウル市長時代に対処した警備手薄を追求されていることや、物価上昇・公企業民営化・経済低迷など多様な問題が輻輳し重なり大騒動になっているのですが、この発端はオリンピック聖火リレー問題だろうと推察します。

聖火リレー

北京オリンピック聖火リレーは、チベット問題によって世界中で騒乱を巻き起こして、4月26日に長野に入りましたが、ここでは若干のトラブルあったものの無難に終え、その翌日はソウルに移りました。
ソウルでは大問題化しました。チベット問題提起の韓国・欧米人に対して、韓国にいる中国人留学生が石やペットボトルなどを投げつけ、怪我人が発生、中国人が逮捕されるという騒ぎとなり、外交問題化していたのです。

中韓関係

韓国の李明博大統領が就任後初の中国訪問で、5月27日に北京に入ったその日に、中国外務省報道局副局長が「米韓軍事同盟は歴史の産物。冷戦時代の軍事同盟では安全保障問題を解決できない」と外交政策を批判しました。
これに対して韓国側では「胡金濤主席との初の首脳会談直前に相手国の外交政策を批判するのは礼を欠く」と非難応酬し、さらに、中国外務省のホームページに、訪問した27日まで韓国の国家元首として、前大統領を掲載していたことも判明し、両国の関係は微妙な関係に陥っているのです。

善光寺阿弥陀如来の御利益

このような中国と韓国の関係が、北京・上海における中国人の態度にも反映し、上海現代美術館の「四川大地震写真展」に、韓国救援部隊の写真がなく、日本が展示されるという伏線になったと推測しますが、その起因を辿っていけば、ソウルの聖火リレーが警備体制のまずさから、中韓両国に外交問題を発生させたことが発端と思います。
一方、長野での聖火リレー、警備は大変でしたがトラブルは最小限に抑え、その要因としては、善光寺境内からの出発を取りやめたことが影響したと思います。
仮に善光寺境内から出発し、国宝の本堂に重大な瑕疵が生じたならば、問題が発生したはずで、その危険を避け、警備体制がとりやすい地区からの出発へ、善光寺の意思で変更させたこと、これがトラブルを抑えた最大要因であり、さすがは善光寺阿弥陀如来の御利益と思っていますが、いかがでしょうか。

過去経験

しかし、今回は中韓関係の微妙さもあり、四川大地震救援活動で「日本の援助に感謝する」という見解が強く出され、胡金濤主席の日本訪問も問題なく終わりましたが、過去の経緯をたどれば、中韓両国とも「国内問題が発生すると、国民の眼をそらすため、日本の戦争責任へ振ってくる」ことが多々ありました。
 そのことが日本の最大の弱みだと主張するのは、イギリスの元エコノミスト編集長であるビル・エモット氏です。この度出版した「アジア三国志」(日本経済新聞社出版社)で次のように述べています。

「日本の最大の弱みは歴史と、歴史を過去のものにするのに何度となく失敗していることだ。教科書問題、靖国参拝、戦時の強制労働や慰安婦への補償、第731部隊や南京事件のような残虐行為のどれについても、中国と韓国は歴史的事実に関する議論や争いに乗じて、道義的に優位に立ち、日本を守勢にまわらせることができる。中韓は、それぞれの世論を煽ったり、世論に反応して、国内政治にこうした問題を利用している」

靖国神社参拝

 6月15日の父の日は、山岡鉄舟研究会イベントで靖国神社参拝と史跡探訪を開催しました。あまり暑くない天候に恵まれ40名余の方々が、靖国神社の奥深くで正式参拝をし、その後遊就館で同館の大山課長の武士道の講演を受け、遊就館内をご案内していただきました。参加者の中には、身内が戦争でお亡くなりなった方も多く、大きな感動をもって見学されましたが、案内の最後は「大東亜戦争がアジア各国の独立に貢献した」というパネルと資料の前でした。大山課長は「ここはマスコミには敢えて説明しないところです」という前提でのご説明でしたが、納得するところが多々ありました。

というのも昨年インドを訪れたとき、2006年3月にコルカタ(カルカッタ)のチャンドラ・ボース記念館から「インドの独立に対する貢献」の感謝状、宛名は「内閣総理大臣東条英機殿」で孫の東条由布子さんに贈られた事実を確認していたからです。

だがしかし、このような日本の主張・見解については、中韓両国の立場からは認めがたく、日本の政治家発言が過去に両国と何度も火種を起していますので、大山課長はマスコミを避けているのですが、このところを正面から突破させないと、いつまでたっても中韓両国から追及される結果が続くと思います。

ビル・エモット氏の進言

この永遠に続きそうな追求への解決策を、ビル・エモット氏は次のように進言します。
「中国と韓国にとっては、歴史問題をそのまま残しておくほうが政治的に有利だ。歴史的な恨みを飯のタネにしている低レベルの組織や市民団体にも、往々にしてそれが当てはまる。だが、日本政府がやる必要のある行動そのものは、そう多くない。
 もっとも賢明な措置は、歴史的事実の正誤や改悛の念という全体をひっくるめた抽象的な問題を、特定の出来事や苦情の責任、謝罪、悔恨と切り離す作業だろう。
 別のいいかたをすれば、東京裁判のパール判事が意見書で述べた反対意見を銘記するということだ。パール判事は、旧日本軍の残虐行為については日本は有罪だが、戦争を国家政策の道具に使ったという全体の告発については、偽善的であり、法的には不合理であるとした」(アジア三国志)

国家戦略

 つまり、ビル・エモット氏は「日本が戦争せざるをえなかったことは無罪」ということを国家戦略・目的として成し遂げる必要があり、その手段として「旧日本軍の一般人への残虐暴力行為については、改めて首相か皇族が中韓両国の主要地に出向き謝罪し補償する行動」をとるようにとの進言です。なるほどと思います。戦争責任という抽象的問題を、二つに区別し、それを戦略と戦術に分ける思考方法です。
この検討が、中韓両国との未来関係改善への布石となるのではないでしょうか。以上。

投稿者 Master : 10:30 | コメント (0)

2008年06月18日

「企業活力の源泉を探る・・・法政大学大学院客員教授 増田辰弘氏」

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2008年6月16日
「企業活力の源泉を探る・・・法政大学大学院客員教授 増田辰弘氏」

 アジア各地で見る活気ある経済活動に対し、日本国内は今の質の高い経済状態に「慣れ、飽きのマンネリ体質から」日本企業の活力低下が始まっていると増田教授は指摘します。全般的にはその通りと思いますが、だがしかし、中には異色の経営者に引き連れられた活力に満ちた企業が存在しており、それらの企業から学ぶ点が多くあり、そこに共通しているのは、考える力が強いことです。
 考える力の強さには二つあると思います。

ひとつは、少数派に所属して考えることです。いいかたを変えれば、人が行わないところに頭を使うということです。4月にご発表いただいた(株)クレアの経営戦略は、多くの人が展開しないマーケティングで成功していました。
 日本人の殆どは、観光バスに乗って、ガイドが右を見てくださいといえば、揃って全員右を見る癖がつくられていますが、そのとき、敢えて左を見るような頭の使い方、それが少数派に所属するという「考える力」のことです。

 もうひとつは時代の風変化を考慮した考える力です。
 時代はグローバル化しています。その結果、日本企業の多くが海外で実績を伸ばし、海外シェアの向上で経営を進めています。当然です。国内の実態を考えれば当たり前の戦略です。
 だが、日本企業が海外に進出するということは、外国人が日本企業に進入してくるという意味にもなります。株主構成の変化です。外国人株主の増加です。それも機関投資家として、厳しい経営状況の監視を含めて入ってきます。
 その事例がアデランスの現経営者全員選任拒否という株主総会での結果となりました。多分、アデランスの経営者は、日本人に対する経営状況開示と同じ経営手法を採っていたと思います。
 しかし、それが外国人には不十分と思われたのではないでしょうか。外国人には外国人が理解するレベルの会話編集脳力を持って行わないと、コミュニケーションは取れないのです。外国人が日本人の思考方法を理解し、そのレベルで日本企業に対応してくればよいのですが、そういうことは期待しても無理です。外国人には通訳が必要なのです。その通訳とは、外国人が理解できるコミュニケーション脳力のことです。外国人はどう考えて行動するのか。というようなことを「考える力」が、時代の変化で求められているのです。
 これらの二つの「考える力」を駆使できるよう、社内体制を構築し、訓練しているか。
そこが日本企業の課題であり、増田教授の今回ゼミナールでの指摘と思いました。
以上。

投稿者 lefthand : 22:44 | コメント (0)

2008年06月16日

6月例会の感想

経営ゼミナール第341回例会が行われましたので、ご報告いたします。
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6月は、法政大学大学院中小企業経営革新支援センター長の増田辰弘氏をお迎えし、お話を伺いました。

増田氏の講演テーマは『企業活力の源泉を探る』。
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全国、いえ世界中を回って精力的な取材を行っておられる増田氏から、活気のある企業、すなわち業績を上げている企業を具体的に紹介していただき、企業活力の源泉を分析していただきました。
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活力という点から日本の企業を眺めても、「二極化」が進行していることが窺えるそうです。自社の権益を守ることが目的となってしまった企業、めまぐるしい変化のスピードについていき、イノベーションを巻き起こす企業、どちらも現在の日本企業の実態なのです。そこで働いている人々は、いきいきと働けているのだろうか…。企業活力は、人間活力の集合だとあらためて認識しました。

(田中達也・記)

投稿者 lefthand : 23:51 | コメント (0)

2008年06月05日

2008年6月5日 中国の消費意欲が日本を再認識させる

環境×文化×経済 山本紀久雄
2008年6月5日 中国の消費意欲が日本を再認識させる

北京オリンピック

北京の街中を歩いて妙なことに気づきました。どこにも8月8日開催のオリンピックの看板、ポスター、垂れ幕、横断幕、スローガンがありません。もう開幕まで二ヶ月に迫っています。メインスタジアムは完成し、予行競技も開催されましたので、北京市内に「北京オリンピックを成功させよう」というような表現があってもよいし、当然あるだろうと予想していましたが、全くありません。

勿論、テレビではオリンピック開催準備状況の報道をしていますが、PR掲示がないことを地元の北京人に聞いても「それは質問されるまで気がつかなかった」という実態です。ホテルのバーで隣り合った韓国人に聞いてみると、それは「四川大地震のせいで抑えているのだ」とすぐに語ります。そうかと思いますが本当かどうか分かりません。不思議です。

北京大学図書館

この雰囲気は北京大学でも感じました。北京大学図書館に行くため校内に入りましたが、学生が歩いているだけで、特別の催事・お祭りを迎えるというムードはありません。

図書館は北京大学の学生が利用するか、外国人の見学しか出来ません。一般人は入れませんので、中は大学生だけです。感心したのは学生が熱心に勉強していることです。閲覧室の椅子はほぼ埋まっています。その机で静かに本を読み、写し、書きしています。真面目だというのが第一印象です。

図書検索データで探し、目的の本を見つけ、それを閲覧請求するとすぐに書庫から出してくれ、受け取り、本を開いてビックリしました。全く違和感がないのです。何となく理解できるのです。理由は漢字です。日本語と同じ漢字で書かれているので、漢文を読むのと同じように読めば、ある程度分かります。つまり、今の中国の漢字ではないのです。

1912年に成立した中華民国37年版本ですから、1948年の印刷ですので、昔の字体なのです。次にコピーを依頼すると、目の前ですぐにしてくれます。これも意外です。顔つきは不親切・仏頂面の係員が、親切サービスをしてくれるのに驚きましたが、図書館内にもオリンピックポスターらしきものはありません。

オリンピック長者

しかし、一歩大学を出ると、そこは猛烈な渋滞とビル建設ラッシュが続いていて、いたるところ粉塵が撒き散って、もともと悪い空気がさらに悪化しています。

メインスタジアムの「鳥の巣」周辺は、粉塵濃度が五段階で上から二番目の「4」、繁華街の建国門外は最悪の「5」で、「数人がたばこを吸っている狭い部屋で生活するようなもの」というレベルです。肺にも喉にも悪いのですが、これがオリンピックが近いことを示している一番の状況と感じました。

もう一つ感じたのは、「鳥の巣」からさほど遠くない「天通苑北」という新興住宅地に入ったときでした。真新しいマンションが広大な土地に立ち並んでいます。ここはオリンピック開催に伴う再開発による立ち退きで、政府から多額の補償金を得た「オリンピック長者」が多く住んでいるところです。

人民大会堂の裏から移り住んだ夫婦、古い家に対して、平均年収の60年分に当たる
130万元(約2100万円)が入り、この「天通苑北」で3LDKを30万元で購入、マイカーや高級家具、息子に別のマンションを買っても、まだまだ残ってお金持ちになったという事例など、枚挙に事欠きません。

影もある

だが、オリンピックでお金持ちになった人ばかりではなく、開発されない地区の人々は、昔の貧しい中国の実態のままの生活をしています。

その事例は北京市北東部の「黒橋村」です。金持ちが住む「天通苑北」から車で30分、そこは探すにも苦労するほどの、幹線から奥まった袋小路の一画で、舗装されていない土埃の舞う細い道路がくねくねとつながり、両側は小さな狭い汚い店が立ち並び、殆ど外部から人が訪れないところです。歩いていて危険は感じませんが、写真を撮ることはやめておこうという雰囲気を感じさせる、オリンピックと経済成長から取り残された「貧困村」です。

すべてのことには、必ず両面があるという事実を証明している事例と思います。

家の中と英語力

しかしながら、数軒訪問した二億人に育った中間所得層のアパートメント、そこにはいずれの家も大型の薄型テレビがリビングにあり、寝室にも壁掛けテレビがあって、オリンピック開催にタイミングを合わせて購入したといい、応援するスポーツの入場券も買ったと発言するように、一般市民はオリンピックムードに入っています。

ただし、訪れる側から見た心配事は英語力です。北京空港からタクシーに乗って、ローマ字で書いたホテル名メモを見せると「分からない」という仕草、漢字で書くと走り出します。日本人は漢字が書けるから何とかなりますが、他国の人たちは相当困ると思います。

だが、英語が通じないのとは関係なく、街中には欧米ビジネスマンが溢れています。その理由は、本質的に中国に対する期待を強く持っているからです。

フェラガモの上海記念式典

欧米人を集めている背景を一言で語れば「消費意欲」です。3月28日に創立80周年を迎えたイタリアの老舗ブランド・フェラガモは、記念式典を本店のあるフィレンツェではなく上海で開催し、中国有名スターを招いたオープニング・セレモニーは全国ネットで生中継され話題を呼びました。

上海で開催した理由は「売り上げの47%がアジアの消費者によるもの。なかでも中国は全体の売り上げの10%も占めているから」と最高経営責任者のミケーレ・ノルサが語り、今年だけでも中国に新たに8つの店舗をオープンする予定だと言い、上海現代美術館でブランドの回顧展を大々的に行いました。

今後の売上増加策の切り札としているのです。

中国人の日本人気場所ベストスリー

その「消費意欲」の中国人が日本にも溢れています。

中国人の人気場所ベストスリーは秋葉原、銀座、大阪心斎橋筋。どこでも群をなしているのですぐに分かります。ビザの関係で個人旅行は難しいので団体となり、その層は金持か優良国営企業の社内旅行です。

まだ、二億人といわれている中間所得層の外国旅行は少ないのが実態で、秋葉原でデジカメ10個買った、銀座のワインセラーで100万円のロマネ・コンティを買ったというのは金持ちの中国人です。また、心斎橋筋は異国情緒があって、物が安く、タコヤキが美味いと、訪日必見コースとなっていて、先週の大阪出張時に、心斎橋筋を旗持った添乗員の後をぞろぞろ歩く中国人を何組も見ましたから事実と思います。

金持ち中国人にとって日本は買い物天国です。

日本の品質

先日、ある企業へ訪問し幹部とお話しする機会がありました。幹部は昨日ニューヨークから戻ったばかりだと話しながら、実はニューヨークの得意先に召集をかけられ、急遽行ってきたのだと話してくれます。召集されたのは納入した部品の不良率が高すぎるので、その対策会のためで、集まったのは世界の部品メーカーです。

会議で配られた不良品のリスト、それを見てこの幹部はビックリしたのです。自社の不良品は一個もない。全部他社のもの。つまり、外国メーカーの部品だったからです。

では、どうして召集をかけられたのか。それは不良品が一個もない企業があるという事実、それを他の外国メーカーに示したいから、わざわざ呼ばれたのです。

外国メーカーの前で「何か一言話せ」と要望されたということですが、日本企業の品質レベルの高さを証明する事例です。

時代の風は日本に吹いている

中国人の消費意欲に対応すべく、世界中のメーカーが中国シフトを敷き、中国で激しい販売競争が展開される結果、そこで何が発生するでしょうか。多分、品質格差競争になるでしょう。

そうなると最後に販売シェアを握るのは、品質に勝る企業、それは日本になるだろうと予測し、中国人の猛烈消費意欲が日本のレベルを再認識させると思います。 以上。

投稿者 Master : 08:57 | コメント (0)