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2008年05月27日

2008年6月例会のご案内

6月の経営ゼミナールは、6月16日(月)に開催いたします。
講師には、昨年6月に発表をしていただき大変好評でありました増田辰弘氏をお招きいたします。
増田辰弘氏は、現在法政大学大学院客員教授であり、法政大学大学院中小企業経営革新支援センター長をなさる等、アジアビジネス、アジア経済のご専門家であります。

昨年は「21世紀型のアジアビジネスモデルを探る一激変するアジア経済から見える景色-」と題しまして、アジアビジネスにおける我々が知らされていない現状を発表していただき、目を丸くしたものでした。

先日も増田辰弘氏は昆明に行かれたそうですが、昆明には静かな中国を希望されていたにもかかわらず、都市化、工業化の波は昆明までも押し寄せてきていたそうです。
今の中国を十分に知っている増田辰弘氏ならではの感想でした。

今回は、アジアの企業に比べて日本企業の活力が落ちているが、なぜなのか。どうすれば、活力を取り戻せるのか。活力のある企業はどのような工夫をしているのか等々、アジアや日本企業の直近の情報から、企業活力の源泉を探っていただきます。


1.日時 平成20年6月16日(月)
  18:00 集合(食事を用意しています)
  18:15 山本紀久雄代表の時流講話 
  20:30 終了予定
   
2.場所 東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
     千代田区丸の内1-3-1 Tel:03-5252-3791
     東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)
     アクセス:http://www.kaikan.co.jp/bankersclub/access/access.htm

3.テーマと講師
  「企業活力の源泉を探る」
   法政大学大学院(MBAコース)客員教授
   法政大学大学院中小企業経営革新支援センター長
    増田 辰弘氏

略歴
1947年9月島根県生まれ 
法政大学法学部法律学科卒業経済企画庁を経て神奈川県に商工部産業政策課及び工業貿易課主幹、神奈川県川崎地区行政センター企画調整担当部長、(財)横浜・神奈川総合情報センター中小企業地域情報センター長、商工労働部横浜労働センター福祉課長を経て
2001年4月産能大学経営学部教授
2006年4月法政大学大学院客員教授

受賞歴
1997年、アジアの論文で「小林宏治」賞を受賞

著書
『中国ビジネス勝利の方程式を解く~中国を知ることが21世紀の生き残りの鍵』(グローバルビジョン)03/09
『深層日本の中小企業~新時代を迎えた中小企業の実践的経営論』(エイチアンドアイ)01/04
『やっぱり儲かるアジアビジネス』B&Tブックス(日刊工業新聞社)99/06
『日僑型企業がアジアを制す~17社の実例にみる』(産能大学出版部)97/05
『ベトナムで仕事を成功させる本~失敗しない完全マニュアル』鈴木譲ニ共著(かんき出版)95/09
その他多数

6月16日(月)開催の例会に、多くの皆様のご参加をお待ち申し上げます。


* 会費 オブザーバー参加の方は、当日会費として1万円をご用意下さい。
* 問い合わせ 
出 欠:編集工房 代表 田中達也 (4月より事務局担当が代わりました)
電 話:048-229-2122
FAX:048-473-7293
その他は金子 ぬりえ美術館内(03-3892-5391)まで問い合わせ願います。

投稿者 lefthand : 07:11 | コメント (0)

2008年7月例会の予定

7月の経営ゼミナールは、7月28日(月)第四月曜日に開催いたします。
今年の3月8日(土)~9日(日)に千葉商科大学において、「第六回キッズビジネスタウンいちかわ」が開催され、経営ゼミナールも3月8日(土)に見学をして参りました。

「キッズビジネスタウンいちかわ」は、大学生と子どもの共同作業で「みんなで働き、学び、遊ぶことで共に協力しながら街を運営し、体験を通してビジネスや社会の仕組みを学ぶ」という教育プログラムで、参加することにより、子どもたちに
①働くことの楽しさを知る。②相手を思いやる気持ちを育む。③物を大切にする気持ちを育む。④ビジネスに必要な知識、技術の基礎を学ぶ。⑤職業の種類、仕事の資格などの学習方法(プロセス)を学ぶ。⑥臨機応変に対応すること。を経験してもらうことを目的に開催されています。
毎回回数を重ねるごとに参加者が増えており、第6回目は8日(土)1,148名、9日(日)1,548名、合計2,696名が参加し、前年比154%という好実績を上げました。この人数は新規参加者のみで、リピート者や同行の保護者の人数は含まれていませんので、学生や学内関係者並びに地元の協力者などを考えますと5,000名以上の人々が訪れていたことになります。

 このプログラムが子どもたちに人気であり、チャレンジする子どもたちが増えているということは、時代の新しい傾向を示していると思われます。

 子どもたちに好評であるこのプログラムの企画の意図ならびに人気の背景は何であるのか、担当の中澤興起教授から発表をしていただく予定でございます。
 
7月28日(月)の経営ゼミナールのご予定をよろしくお願いいたします。

投稿者 lefthand : 07:10 | コメント (0)

2008年05月20日

2008年5月20日 二つの二億人

環境×文化×経済 山本紀久雄
2008年5月20日 二つの二億人

景気は足踏み状態

今回は少し経済状況について考えてみたいと思います。日本の当面景気は、次の三つが重なって「雨傘用意」という状態ではないでしょうか。
1.米国サブプライム問題
これは、毎日のように新聞を賑わして、すでに一年近くになろうとしていますが、まだ解決の方向性は見いだしていません。発生要因は単純なのに、要因を切り刻んで複雑にする「金融高度テクニックによる証券化」によって、要因をミートホープ化にしてしまった。

つまり、北海道・苫小牧市のミートホープ社が行ったこと。それは、牛肉の挽肉の中に豚肉を混ぜたり、色の悪い肉に血液や漂白剤を混ぜて色を変えたりしたことで、本来の牛肉がどれであるのかが分からなくなりました。これとサブプライム問題は同じと思います。

2.一次産品価格の高騰

原油のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)価格が130ドルを目指そうという勢いです。産油国はドル安で輸出代金の減少を補おうとする見込みもあるのでしょうが、とにかく騰がりすぎです。小麦も騰がって、食料品価格に値上げが続いて、インフレ懸念が景気に影響してくると思います。

3.建築着工の大幅減少

昨年6月の改正建築基準法の施行以降、住宅着工戸数が大幅に減少し、建設財出荷が低水準となっています。6月以降は前年対比で向上すると思いますが、これは昨年大幅に落ち込んだ「揺り戻し」ですから、必ずしも楽観視できないと思います。

世界の経済の流れは変わった

世界経済は、2005年から2007年の間、米国及び先進国の景気が緩やかに減速するなかで、BRICsなど新興国の個人消費や固定資本投資などの内需によって成長しました。結果は、世界のGDPに占めるシェア、2007年で先進国は47%、BRICsなど新興国は53%と逆転しました。2000年では先進国は55%、新興国は45%でした。米国のシェアも2000年が21%台、2007年は18%台に下がっています。
明らかに世界経済の流れは変わっています。米国一辺倒の政策は時流ではありません。

トヨタ自動車の決算

そのことの証明がトヨタ自動車の決算です。2008年3月期はゼネラル・モーター社を超えて世界一の売上高、利益も過去最高を更新しましたが、2008年1月から3月までの四半期決算内容を見ると、これまでドル箱だった北米市場で営業損益が124億円の赤字に陥りました。原油高と個人消費の冷え込みが影響し、高い車が売れなくなって、利益率が低い小型車にシフトしたことが大きいようです。

今後の懸念

今後、懸念される材料は二つの二億人です。

1.中国の二億人

まず、最初は中国です。ご存知の通り、中国は高成長を続けています。それは人口13億人ともいわれる中で、中間所得層の人が育って、その人数が二億人いると推定され、これらの人々の消費行動が変わって、内需が向上、それを目指して世界中から企業が進出し、世界経済に大きな影響を与えています。

しかし、このところの中国は少しツキが欠けてきた感がします。胡錦濤主席の日本訪問は無難に終わりましたが、北京オリンピックを目前として、次々と問題が発生しています。

今年1月の冷凍ギョーザ中毒事件、まだ解明されていません。3月のチベット騒乱、国際社会に懸念が広がりました。株価も下落しました。昨年10月に6092ポイントの最高価格をつけた上海総合指数は、今年4月に3000ポイントを割り込みました。インフレも2月は前年同月比で8.7%、3月は8.3%、4月は8.5%と高く続いています。

そこに四川大地震が発生し、被害は甚大です。世界各国から支援を受け入れ、大変な状況ですが、時間経過と共に被災地も復活してくると思います。

だが、このような経済的マイナス状況によって、中間所得層二億人の内需に影響が出始めますと、世界経済に大きな打撃を与えることになります。

2.米国の二億人

①超格差社会

米国の二億人の説明に入る前に、米国の格差社会の実態を整理しないと問題点が見えてきません。米国は大きく四つの階層に分かれています。(アメリカの真実 小林由美著)

一つは資産1200億円以上の超金持ち400世帯と、120億円以上金持ち5000世帯、これらが「特権階級」を構成しています。次は「富裕層」で、資産12億円以上の
35万世帯と、年収2000万円以上の460万世帯で構成しています。

最下層は年間所得230万円未満で、スラムに住む人、黒人、ヒスパニック、インディアン保留区に住む人たちですが、この層が全体人口の25%から30%いると推定されています。この3層で全体の35%占めます。

残りは65%で、米国全体人口三億人の65%は約二億人となり、この層が実はサブプイムローンの対象層人口なのです。

②「特権階級」「富裕層」と「最下層」は影響なし

先日、シリコンバレー、デトロイト、ニューヨークの不動産事情を視察してきました。
結果は、金持ちが住む地域と、活発な経済活動の地域は、サブプライム問題の影響はないということが分かりました。勿論、最下層地区も影響はありません。

まず、シリコンバレーのスタンフォード大学がある高級住宅地パロアルト、ここは値下がりしていません。高級住宅地域で1億円以上の家はサブプライムに関係なく、ここから車で30分離れたサンノゼ地区は、銀行ローンよりも家の価格が下がった物件を売り出す、ショートセールが活発に行われていました。
次に向った自動車の街デトロイトは大問題でした。街には人通りは少なく、サブプライム問題によって全体で25%下がり、当分上がる見込みはないという実態でした。

一方、ドル安で世界中からの観光客で溢れているニューヨークは、2008年3月現在で前年比18%不動産が上がり、現在でも新規コンドミニアム建設が80件も行われていて、完成前にドンドン契約が成立し、中には完成前に値上がりするので転売して利益を上げている実態でした。

つまり、個人も地域も超格差社会の米国を、全体で論じても実態がわかりません。サブプライム問題対象人口層を明らかにし、その上で分析する必要があるのです。

③米国人の収入源

サブプイムローンに関係する米国人の収入、それは基本的に二つあります。ひとつは当たり前ですが給料です。もうひとつは資産価格の向上をキャッシュに換えることでの収入です。例えば、自宅の時価が騰がると、銀行に担保価値を上げてもらって、増えた分を借り入れることで収入を増やし、その分を消費に回すのです。これが不動産価格の下落によって減りはじめ、ローン返済が出来ない人々が増えだして消費に影響を与え始めました。

④銀行が大打撃を受けた

住宅ブームによる貸出条件緩和で、一段と増やしたサブプライムローン。これが価格下落と、ローンや金利延滞の急増で、銀行は巨額の評価損を計上し、自己資本不足となりました。世界全体のサブプライム関連損失は、IMF試算で9450億ドル(約100兆円)と発表されました。金融機関の損失で金融が収縮すれば、経済も当然縮むことになります。

3.二つの二億人の影響

今月19日、国連が2008年の世界経済成長率予測を発表しました。1月時点では3.4%だったものが、5月時点では1.7%と、半分の成長率に減速させ、また、米国は昨年2.2%の成長に対し、マイナス0.2%になるという大幅ダウン予測です。

米国の二億人が、サブプライム問題やガソリン高などの理由で、消費を減らし出し、経済に影響が出始めていることを認めているのです。

これに加えて、中国の二億人中間層が、中国国内のマイナス要因で、消費支出を抑え始めれば、これまた世界にすごく大きな影響を与えることになります。

改めてよく考えて見れば、米国と中国という二つの二億人が、ここ数年の世界経済成長主役要因であり、当然に日本経済もこの二億人に影響されていました。

世界から日本を見るということが、重要になっていることを痛感いたします。以上。

投稿者 Master : 12:40 | コメント (0)

2008年05月19日

5月例会の感想

経営ゼミナール第340回例会が執り行われましたので、ご報告いたします。
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今月は、不動産経済アナリスト・西村和芳氏に、サブプライムローンと官製不況が及ぼす日本経済への影響、そして日本経済の将来についてお話しいただきました。

冒頭で西村氏は、
「今回は日本経済について、悲観論でお話をしたいと思います」
と宣言されました。
果たして、日本経済の見通しは明るくないのでしょうか。
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アメリカに端を発したサブプライムローン問題の影響は今後もしばらく続くであろう、というのが西村氏の見解です。サブプライム問題はプライム部分に波及し、信用収縮からドル安を招き、相対的に円高となる。このことが原料の高騰、株安などにつながり、世界経済に影響を及ぼすことになった、ということです。
日本の経済成長は決して楽観できず、今年は1〜2%程度であろうとのことです。これは実際の消費の現場として、生活感としては「マイナス」に感じる程度ということのようです。
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今回は日本経済の近い将来を占うお話とあって、活発なご意見が交わされました。
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日本経済を救うカギは「インフレ」だろう。インフレを許容する経済環境を整えることが必要なのではないか。そんな意見が交わされました。

(田中達也・記)

投稿者 lefthand : 23:26 | コメント (0)

2008年05月06日

2008年5月5日 本気

環境×文化×経済 山本紀久雄
2008年5月5日 本気

イオンとマルエツ

2008年2月期スーパー業界の決算発表があり、話題となっているのはイオンとマルエツです。イオンの低迷、マルエツの好調Ⅴ字型回復です。
イオンはご存知の通り小売業最強のスーパーで、売上高は7%増の5兆1673億円ですが、営業利益は1560億円(売上高比3%)と前期比18%減になりました。また、5兆円もの売上に対し、当期純利益はたったの439億円(売上高比0.8%)ですから、黒字決算にするために相当無理していると推測できます。

一方、イオンが33.2%の株式を所有するマルエツ、売上高は3355億円で2.6%増、営業利益は75億円(売上高比2.2%)と前期比29%増、純利益は47億円(売上高比1.4%)で前期比33.6%の増益です。対比的な業績ですので、対策も対比的です。

イオンは主力の総合スーパーの約四分の一を閉鎖、または業態転換する方針に変換、つまり、国内市場は縮小、海外事業は拡大という戦略ですが、結局、旧態依然とした店作り展開を失敗と認め、大規模なリストラに踏み切ったのです。

マルエツは2年前の2006年2月期、上場以来初の営業赤字に転落し、そこから改革を始めました。改革の第一は社長の交代です。新たに就任した生え抜きの高橋惠三社長、方針は「開かれた経営」ですが、実行したことはお客の声を聞く「店長への直行便」、社長から社員へ呼びかける「予算達成メール」、仕入先を増やして強化した「生鮮食品の強化」、結局、「お客の要望に徹底的に応える」ことで、首都圏という肥沃な市場を開拓し、16ヶ月連続の既存店増収という快挙を遂げ、「絵に描いたようなⅤ字回復」を示しました。

高橋社長は「よそ者、若者、ばか者をつくる」と宣言。新しい発想を持つよそ者、何をも恐れない若者、徹底して物事をやり遂げるばか者、これを「本気」で進めています。

最近お会いした女性経営者

「本気」といえば、ここ一ヶ月の間にお会いした三人の女性経営者、それぞれ業種が異なりますが、共通しているのは「市場と本気で対応」していることです。

①ニューヨーク(NY)のY社長

最初は、私がいつもお世話になっていて、先週もお会いした企画調査企業の日本人社長です。既にNYに26年住み、ご主人はフランス系のアメリカ人で副社長。事務所は国連本部の近くで、住んでいるコンドミニアムも国連本部前で、ヤンキースの松井選手が住んでいるところの隣です。業績は順調で、起業当初に抱えた多額の借入金も完済し、上げ潮路線に乗っているので、発言はいつも前向きです。

ご存知の通りNYは世界経済・金融の中心地として一攫千金の野望が渦巻き、訪れた人の感覚を刺激する街、あらゆる言語が飛び通う「100の国籍」を持つ街ですから、ここで企画・調査の仕事を展開するためには、世界各地の言語に対応するスタッフが必要となります。そこで社員10人の共通言語は英語ですが、全員を異なる人種で構成し、それぞれ得意な出身国の言語能力でお客との対応を図っています。

従来、NYは「人種のるつぼ」と呼ばれてきましたが、今では「サラダボウル」というのが定説です。その意味は、異民族の人々がNYという同じ地域に所属してはいるが、そこでは常に「民族の違い」が発生するので、相互に限定した距離関係をもって暮らし、前号でも触れましたが「どうしても理解できない矛盾」がある結果、何か「ひやりとした人間感覚」が横たわっているのがNYだというのです。

この中で企業経営するということ、それは単一民族の日本とは明らかに異なります。常に対立が社内に発生します。これをどうするか。それが最大の課題で、この克服が最大の経営ノウハウで、これにY社長は見事な手腕を発揮しています。

例えば、日本隣国出身に多い常に怒り狂う人物には、「わめきタイム」を週一回設定し、思う存分自己主張させることで、社内の日常の穏やかさを守り、「ミュージカルや野球観戦」などの社員慰安的なイベントの実施、これは若き頃東京で体験した日本企業経験を活かしているのですが、それらを駆使して全員のコミュニケーションづくりを図って、社内の「和」を保ちつつ、世界中から異なる言語で依頼される市場に対応できる体制を確保しています。

勿論、これだけではありませんがグローバル世界の典型である、NYの「サラダボウル」感覚を、社内でなるべく調整・克服していくこと、これに「本気」で立ち向かっていることが、NYで成功した基本であると推測しています。

②㈱TEI(ツーリズム・エッセンシャルズ)の三橋滋子社長
 
三橋滋子社長から先日ジックリお話をお聞きする機会がありました。また、日経新聞の「人間発見」に、4月7日から5回に渡って連載されましたから、ご存知の方もあると思いますが、社団法人日本添乗サービス協会専務理事も兼ねておられるように、空港などでパッケージ客を世話する添乗員、その90%が派遣社員であるように、このビジネスを発案、推進してきた方です。
 
最初に起業した1973年の添乗員は10名、それが今では協会加盟53社で1万3千名という業界に育て上げました。
 三橋社長は日本航空の15期生の客室乗務員でしたが、お子様の育児で退職、子育てが一段落した34歳のときに、添乗業務を請け負うというアイディアを浮かべ起業したのです。
 
発想の原点は主婦時代、同期生とよく自分たちの経験やスキルを活かす道はないか話し合っている中から、旅行会社とのパイプ役になるビジネス構想を持ったことからです。
 
その後多くの危機や苦労が続いたことは「人間発見」に述べられていますが、日経新聞を読んでみて感じたことは、三橋社長から直接伺った内容、それは手許のメモに残っているものと微妙にニュアンスが異なっていることです。

何か中心ポイントがずれていると感じます。聞き手の受け止め方の違いといってしまえばそれまでですが、「人間発見」に書かれていなく、私のメモに重要と二重丸したものに「市場との対応力」があります。
三橋社長は何度も「お客からの問い合わせから仕事を発見する」と発言しました。相手の話を聞くこと、相手の話の中にビジネスニーズがあり、市場は奪うものでなく創りあげるもので「仕事の中から仕事を見つける」と述べたのです。

これが「人間発見」では強調されていないこと、それは今後、日経新聞の読み方について考えさせられることに通じますが、いずれにしても三橋社長は「市場と本気で対応」した結果が今日の成功を導いたのです。

③㈱クレアの町田典子社長
 
町田社長には、私が代表しております「経営ゼミナール」4月例会でご発表いただきました。社団法人ニュービジネス協議会・アントレープレナー大賞を受賞され、八王子商工会議所初の女性政策委員に選任されているように、外食業界では著名な経営者です。
 
ご発表の内容は経営ゼミナールHPのワンポイントレッスンで「ゼロからのスタート、経営ポリシーは強い志」として掲載したものを、以下ご紹介いたします。

「お客は多様な価値観の集団であり、首都圏という密集した地域に集積していると捉えれば、買いまわり、食べ歩きの範囲は都市交通の至便な立地条件に、多様な店舗を設置していくことになります。

㈱クレアは現在、日本全体人口の27%が集積している首都圏に、24タイプ、70店舗を擁しています。明らかに一人のお客は、多様な好みで行動すると捉えているのです。

『今日は体に優しい和食をとりたい』『たまにはステーキの味を楽しみたい』『イタリアンもいいなぁ』『超多忙だから立ち食いソバですますか』『待ち合わせは東京駅前のオアゾのカフェで』『それともハイセンスな六本木ヒルズにするか』。

これらの多様な行動をとる人々に対応するためには、多くのタイプ店舗構成となり、結果的に24タイプ、70店舗の経営展開が必然となるのです。

しかし、一般的に考えますと、多様な店舗展開は経営全体のコンセプトに問題を発生させることが予測されますが、そうならないのが㈱クレアなのです。

その根本的な要因は『町田社長のリーダーシップ』にあります。町田社長のもつ強い志・想いが、多様・多店舗のベスト経営を実現させているのです。

経営ゼミナール終了後の懇親会は、『丸の内OAZO』丸善書店4階に展開している『M&C Cafe』で、町田社長を囲んで現場見学をいたしました。

そこで町田社長からいただいた色紙には次のように書かれていました。

『本気』  本気ですれば    大抵のことができる
       本気ですれば    何でもおもしろい
       本気でしていると  誰かが助けてくれる            
以上。

投稿者 Master : 08:58 | コメント (0)