« 2006年01月 | メイン | 2006年03月 »

2006年02月28日

3月例会のご案内

3月の例会は、3月20日(月)に開催いたします。

3月は、日本宣伝広告デザイン分野の第一人者で、日本宣伝賞・山名賞受賞者であり、現在株式会社資生堂宣伝部の常勤顧問であられます
水野卓史氏に発表いただきます。

水野卓史氏は、1960年代〜70年代に株式会社資生堂の宣伝部で活躍されました。MG5、ブラバス、ビンテージ、タクティクスなど男性化粧品のキャンペーンを覚えている方が大勢いらっしゃることでしょう。
そして47歳で独立され、デザイン事務所として独立し、田崎真珠、福武書店(ベネッセ)、久光製薬、ヤマハ㈱などの様々な分野で活躍をされてきました。

この度、昨年72歳を期に、資生堂から再び宣伝部の常勤顧問として迎えられることになりました。
どうしてこのような人事が起こったのでしょうか。

日本では、年齢によって仕事に従事する制限を加えることが通常です。しかし、今回の水野卓史氏の事例は、この慣例年齢制限を打破した、画期的な事例であると思います。
また、ヒトの年齢と美的創作センスとは関係がないことを証明した事例です。
水野卓史氏が所有されている何かが、今回の資生堂宣伝部常勤顧問を誕生させたのです。

その所有されていたのは何か。それは水野卓史氏が、ご自分の生き方の中に、常にもっている、ブレない、一貫した考えのセオリーをお持ちであるからです。
このセオリーがどんな時代環境においても、職場環境においても通用し、その結果として輝かしい活躍を残さすことができた、バックボーンであります。このセオリーを、ご自分の行き方にも、宣伝広告デザインにも発揮されてこられ、更に素晴らしいことは、このセオリーが一貫して時代の流れ、背景と合致していたのです。
時代とセオリー、このことを実証した水野卓史氏から、水野卓史氏が関った宣伝広告デザインを通じて、72歳にして活躍を続ける秘訣を発表していただきます。
美的創作センスの生涯現役実践のご発表です。どうかご期待を賜り、多くの方々のご出席をお待ちしております。


 
1.日時 平成18年3月20日(月)
  6時集合(食事を用意しています)
  6時15分より山本紀久雄代表の時流講話
  経営ゼミナ−ルは6時半開始8時半終了予定
   
2.場所 東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
     千代田区丸の内1−3−1 Tel:03−5252−3791
     東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)

3. テーマと講師
  「今の時代を分析する〜時代と触覚〜」
  株式会社資生堂宣伝部常勤顧問  水野 卓史 氏

略歴
1933年 大阪生まれ。
1955年 多摩美図案科卒。
1955年 (株)資生堂宣伝部入社
1979年 宣伝部制作室長
1980年 退社。水野デザイン事務所主宰

1981〜1983年 田崎真珠顧問となりCI計画並びに宣伝活動に携わる。
1982〜1985年 福武書店(ベネッセ)顧問となり企業広告並びに宣伝活動
           に携わる。
1983〜1990年 久光製薬顧問となり新製品計画並びに宣伝活動に携わる。
1986〜      (株)ピエールファーブルジャポン社と広告宣伝に関する
           顧問契約、現在に至る。
1987〜1995年 ヤマハ(株)と広告宣伝に関するコンサルタント契約
2005年      (株)資生堂宣伝部顧問就任

受賞
1965年 日宣美奨励賞
1973年 朝日広告賞、東京ADC賞
2000年 日本宣伝賞・山名賞

個展
1969年 資生堂ギャラリー
1978年 銀座三越
1988年 銀座ギャラリーTAE
1992年 フランス・カストル
1993年 銀座松屋
2004年 Gallery5610 土屋耕一・中條正義・水野卓史三人展


* 会費  オブザーバー参加の方は、当日会費として1万円をご用意下さい。
* お問い合わせ 
出欠:編集工房 代表 田中達也(048−473−7293)
 《平成18年度より、上記に事務局が変わりました》
その他は金子 ぬりえ美術館内(03−3892−5391)まで  

投稿者 lefthand : 17:00 | コメント (0)

4月例会の予告

4月の例会は、4月17日(月)に開催いたします。
4月の経営ゼミナールは、「時代の最先端のオフィス」を見学する現地、現場確認の例会でございます。
時代の最先端を知るには、今まで考え付かなかったものを見ることが一番です。
行ってみて、見てみなければ、分からない!という、とにかく従来の感覚を打ち破った企業でございます。

その企業とは、埼玉県羽生市にありますブレーキの専門会社「曙ブレーキ工業株式会社」です。
曙ブレーキ工業株式会社は、1929年創業、76年の歴史を持つ会社で、トヨタ自動車を初め、日本の自動車の製造会社のすべてに供給し、日本の車のブレーキの4割の市場占有率を誇っている会社でございます。
今回の曙ブレーキ工業訪問の目的は、新しいタイプの企業スタイルを体験していただくことに尽きます。
その驚きの企業の内容につきましては、別紙の事務局の田中達也氏の取材記録の資料をぜひご確認ください。
最先端の時代感覚を感じる例会に、ぜひご参加のご予定をお願いいたします。

投稿者 lefthand : 16:30 | コメント (0)

4月例会開催地 曙ブレーキ工業見学記

経営ゼミナール4月見学地・曙ブレーキ工業株式会社取材記
事務局・田中達也(2006年2月10日見学)

 経営ゼミナール4月例会で見学をいたします、曙ブレーキ工業株式会社に、事前下見に出かけてまいりました。

 最寄りの駅、羽生に降り立つと、プルッ、寒い。快晴にもかかわらす関東の空っ風が身体の熱を奪います。春はまだのようです。
 羽生駅よりタクシーに乗り、曙ブレーキ工業へ。車窓から見える羽生の町はこぢんまりした素朴で静かな町です。市役所を横切り、住宅街を走っていると突然、視界がパッと開けたかと思うと、前面ガラス張りの大きな建物が目に飛び込んできました。ウワ〜っと思わず声をあげてしまいました。それが曙ブレーキ工業の社屋だったのです。まるで外国の美術館のようです。普通の民家の中に建つそれは、映画のセットのようにも感じました。周りの景観の中でそれだけ異彩を放っていたのです。
 入口を入るとすぐ受付カウンターです。そこは無人で、画面から面談担当者を呼び出す仕組みになっています。珍しくはないシステムですが、担当者を検索すると、従業員の顔写真がズラッと出てきます。無人の機械システムなのになぜか温かみを感じました。
 正面の壁はすべてガラスである上に床や柱などすべて白いので、とても明るい雰囲気です。従業員の方々も最初は戸惑われて、特に出勤時は朝日が射し込んですべてがキラキラ光り、柱に気づかず頭をぶつけたこともあったとか。それほど「光」を最大限に取り入れた温かみのある空間です。机、イスなどの什器や部屋の表示文字など建物の細部のデザインもオシャレで、オフィスというよりデザイナーズショールームといった印象でした。

 担当者と打ち合わせをしたあとオフィスの見学をさせていただきました。どこを見ても驚きの連続でした。
 まずはオフィス。壁も柱もない広大な空間です。800坪あるそうです。そこに400名の皆さんが働いていらっしゃいます。部署による仕切りもなし、専用の机もなし、書類も配線もなくスッキリ清潔な空間です。個人の荷物はカート付のボックスに収納し、自由に移動できるようになっています。一緒のプロジェクトにかかわる人間がその都度適当な机に陣取り、一人一台のPCを叩きながら打ち合わせをするスタイルで業務をおこなっておられます。これは役付きの方とて例外ではなく、従業員全員が同じフロア、同じ机で仕事をされています。PCは無線LANで結ばれているのでどこでも仕事ができるのです。これだけの空間にこれだけの人が集っている光景は本当に圧倒されます。
 このことは2つのメリットをもたらしていると思います。ひとつは部署間の垣根がなくなること。これによってチーム間のコミュニケーション不足による開発時間のロスや確執が解消されます。もうひとつは上司・部下間のコミュニケーションが円滑に行えるということ。曙ブレーキでは「さんづけ」運動というのを励行されておられます。これは相手を肩書きで呼ぶのではなく「〜さん」と呼ぶ習慣づけだそうで、これにより役職の区別なく意志の疎通が図れるのです。ですから相手がどういう役職の人か従業員同士も把握していないことが多いのだそうです。他の職場では考えられないことだと思います。これらの、ヨコの垣根とタテの垣根を取り払い、プロジェクト遂行のために一致協力する場づくりをされているのです。
 このことは役員・社長にも及んでいます。副社長室と社長室は独立しているのですが、ここもガラス張りで中が丸見えです。悪いことはできません。もっと驚いたのは、社長が在籍のときはアポなしで会えることです。全社員が社長の手の空いたスキを狙って提案や相談をしにいく場面が日常見られるのだそうです。スーパーフラット&スーパーオープンな職場環境です。「風通しがよい」という表現がありますが、ここは風通しがよいどころか、草原でピクニックをしているかのような、開放的で爽やかな環境でした。

 とにかく驚きの職場環境でした。これを企画された方、デザインされた方、そして何よりもこのような環境にすることにGOサインを出された社長さんに敬服してしまいました。ここまで従業員に分かりやすい形で環境を提供すると、イヤでも働いている皆さんの意識が変化せざるを得ないと思います。ヨコにもタテにもシームレスでオープンな環境、そして、ひとつのフロアに社長を含む全員が集って様々なプロジェクトを進める環境。このオープンな環境が結果として会社としての一体感を生んでいるように思いました。
 この環境が従業員の活気を生み、活気がパワーとなり、それが会社のパワーとなって外に発信され、こんにちの業績に反映されているように感じました。
 曙ブレーキ工業さんの元気の源を見た思いがしました。
                       おわり

投稿者 lefthand : 15:14 | コメント (0)

2006年02月21日

「この国のかたち」から見えてくるもの

2月例会
北川宏廸氏「小泉構造改革の核心を明かす」
参加の感想

 今回は小泉内閣が推し進める「7つの改革」のうち、「出口改革」といわれる歳出削減、いわば国の借金をいかに減らしていくかということを、小泉内閣はいかに進めていこうとしているか、というお話をききました。

 2種類の財政歳出表から読みとれる歳出削減策について講師の北川氏より解説していただいたのですが、こうして表を眺めることによって歳出項目の、削減できる部分を無理なく妥当に削減するだけで、負債を現状維持レベルにまで持っていくことができるという事実に驚きました。もうひとつ、特別会計と特定財源には剰余金があって、これを取り崩すだけで負債削減対策に絶大なる効果があることも知りました。

 今回は国家予算の歳出の改革・スリム化についてのお話だったわけですが、これは何も国家予算だけにあてはまる特別なものではなく、企業の財務体質の見直しと同じ手順であると感じました。データから現状を把握し、対策に落とし込んでいくこの方法は一般企業でも行われなければならないことを実感しました。

 北川氏の解説の中で印象的だったのは、このような数字が公表されるのは極めて画期的なことであると強調されていたことです。ということは、国は今までこのような方法で対策を行っていなかったということであったのかと思い、そのことの方が大変な問題ではないかと感じました。これまでは考え方が妥当でないままに景気対策を一生懸命行っていたのでしょうか。そのことに少しゾッとする思いがしました。

 景気回復の兆しにあると言いながらも日本はまだ不安感に包まれているような暗い空気を感じることがまだまだ多いのですが、このような「日本は大丈夫だ!」というお話が聞けることは大変嬉しいことです。現政権を頼もしく思うことができた例会でした。

投稿者 lefthand : 00:30 | コメント (0)

2006年02月19日

100%理論

YAMAMOTO・レター 環境×文化×経済 山本紀久雄
2006年2月20日 100%理論

プロという意味
知人から「温泉文献目録」をいただきました。早速開いてみると「笑う温泉・泣く温泉」が掲載されています。専門書として書いたわけですから当然ですが、温泉プロ鑑定者から専門書として認定されていることを確認できました。

二月五日のテレビ朝日「オイスターロードの旅」で「フランスを救った日本の牡蠣」がテロップで流れました。小さな文字ですから、気をつけなければ見過ごします。放映後、ディレクターからメールが届きました。「仙台地区の視聴率は10.2%、関東地区は5.8%、一番よかった視聴率場面は16.0%で、フランス・ブルターニュのマデックさんと森公美子・きたろうが話しているところ」との内容。マデックさんを推薦した手前、このメールに嬉しくなりました。提供した情報がお役に立ったことを素直に喜んでいます。テレビ局からマデックさんにDVDを送ったともあります。近々マデックさんに会いますので、話に花が咲くでしょう。
昨年出版の「ぬりえ文化」もそうですが、専門書を書くということは、一般的にその道のプロになったことを意味し、プロとして社会から認識されるわけです。
では、プロとはどのような存在者を意味するのでしょうか。タイミングよく、日経新聞にプロの定義が掲載されていました。(2006.2.9 大機小機)
1.高度な専門技術を有していなければならない。
2.専門技術を適応するに当たって、厳格な倫理観を有していなければならない。
3.すべての能力はクライアントでなく、顧客の利益のためにささげなければならない。
これはライブドア問題から提起されたものですが、日本では本来のプロフェッシォナル観念が希薄である、とも言及しています。
この三条件に該当する専門家であるどうかについては、忸怩たるものがありますが「思考を深めない、深く物事を考えない風潮の現代」では、世の中の出来事や情報を「ある立場から分析し整理」し、その内容をお伝えするということは、何らかの存在価値があり、必要なことであると思いますので、今後も専門書を書く立場からお伝えしていきたいと、改めて覚悟しているところです。

表面の背後にあるもの
不動産の達人「さくら事務所」の長嶋修氏が次のように語っています。
「売れる住宅とよい住宅は必ずしもイコールではない」「よい住宅とは、長持ちする、自然災害に強い、断熱性が高くエネルギー過剰使用でなく、維持管理がしやすい」なるほどと思います。また、売れる住宅は「内外装やシステムキッチンなど見える部分にお金をかけたもの」であるとも主張しています。これにも納得します。
これは文章にもいえます。「街場のアメリカ論」で内田樹氏が次のように述べています。
「腐る文章と腐りにくい文章があり、腐るというのを言い換えると経時的に汎用性がないということである」「メディアがもてはやす『切れ味のよい文章』はたいていの場合、『同時代人の中でもとりわけ情報感度のよい読者』を照準している。今から二十年前の読者や今から二十年後の読者のことなんかあまり考えない」この見解にもなるほどと思います。
本も同じです。売れている本とよい本が必ずしもイコールでなく、テレビでも視聴率の高い番組とよい番組とは別であるようです。
どの業界人も、ユーザーの求めるものを提供しようと、人々が持っている希望を探っています。ですから、ユーザーの嗜好を探ることに熱心で、結果的にユーザーに媚びることになる提案になりやすいのです。
しかしながら、ユーザーは本当のところで「自分に媚びてくるもの」よりは「プロとしての提案」「プロとしての見解」を欲しいのではないでしょうか。表面的な「かっこよさ」ではないものが提供される時代になっているように思います。

松井選手の100%理論
NYヤンキースの松井選手をテレビで見ました。松井選手に大リーグで活躍している秘訣をクイズ的に尋ねる番組でした。ピシッとした背広姿の松井選手が明確に答えます。
「基本的にトーリ監督の考え方と同じです。100%理論です。自分の力を100%出すことです」この答えになるほどと思います。自分の力を120%出すのでなく、また、80%でもない100%出すことが目的だと言い切りますが、これは大変なことであると感じます。それは、自分の力がどの程度あるかということを100%把握していないといえないことであり、仮に把握していたとしても、いつも100%出し続けるのは難しいと思うからです。そのところを松井選手が解説してくれました。
「そのためにまず行っていることは、過去の経験をしっかり記憶することです」「次に試合の日は毎日同じルーチン動作を続けることで、集中力に結び付けます」「この二つのことを継続することで目標を目指しています」
会場から質問がでました。「過去の経験を記憶しているということですが、○○号のホームランは何年何月何日でどの投手から打ちましたか」ちょっと時間をおいて正しい答えを発言します。会場がどよめきます。
次の質問は「毎日同じルーチン動作とはどのようなものですか」「それは試合前にロッカー室でおにぎり二個お茶を飲んで食べること、バッターボックスに入る動作がいつも同じであること」と答え、このルーチン動作は日本でもアメリカでも同じであると強調します。特殊なルーチン動作ではないことに会場がどよめきます。
100%自分の力を発揮させるために行っている二つのこと、この二つは出来そうですが実際にはかなり難しいと思います。しかし、その難しいと思われることを淡々と実現しているからこそ、ヤンキースで大活躍できているのです。

主観的に生きる
百歳以上の方について調べてみた特徴は「依存心をもたない」生き方であることを、健康クラブの例会で教えてもらいました。「依存心をもたない」を別の表現に言い換えますと「主体的に生きる」ということになると思います。また、「主体的に生きる」とは「自らの考えに基づき行動する」ということになり、それは「主観的な考え方」に通じ、自分の主観で行動するということは、自分本位の思考につながります。こう書きますと、一見「わがままな生き方」を追及するという意味に解釈されそうです。
だが、人生百歳も生きて元気なのですから、決して「わがままな生き方」だけではないと思います。何かのセオリーがあると思います。
横尾忠則氏という69歳の今でも旺盛な制作活動をしている人物がいます。横尾忠則という人物のイメージは、グラフイックデザイナーとして世に出、その後、画家に転進し、人生というマラソンコースを全力で疾走しながら息切れしない人と思っています。その横尾忠則氏が自らの生き方を次のように語りました。
「自分の長所も短所もひっくるめて知り、活用すると生きやすい。資質が社会に向かって開かれたとき、のびのびと仕事ができるのではないか。つまり、自分の性格に従うことであり、人生にはゴールがないと思うこと」と言い切ります。
これにもなるほどと思います。仕事の成果や死を気にしないで、自分の主観で行動することが社会から受け入れられることになるというのです。つまり、自分が好きなことで、自分の思うままに行動して、それが世間から受け入れられていくという意味です。
言い方を変えるならば「わがままな生き方」ですが、その生き方が受け入れられるというのですからその生き方内容は世間的に「わがままな生き方」になっていないのです。
ということは実は「社会の動きと自分の資質の間に違和感が生じていない」という意味になり、それは横尾忠則氏が描いている目標と今の時代との間に乖離が少ないということになりますので、自分の力を100%発揮できる状態におくことが生きるコツだといっているのです。

自分の能力を100%引き出して生きることは難しい。これが普通の人の考え方です。しかし、松井選手は100%理論を実行していますし、横尾忠則氏も同様です。この世で自分の姿を100%引き出せたら幸せと思います。すべての人は何かの分野で社会のお役に立つ能力を持っています。ですから100%理論を目指したいと思います。以上。
(次の三月五日号は、海外出張のため休刊いたします)

投稿者 Master : 11:02 | コメント (0)

2006年02月05日

ルールをつくれるか

YAMAMOTO・レター 環境×文化×経済 山本紀久雄
2006年2月5日 ルールをつくれるか

日本経済の状況
「昨年2005年は日本経済にとって、先行きの見通しが明るい、希望にみちた年であった。多くの企業が創業以来の最高収益を記録し、株式市場はバブル期以来ともいえる活況を呈し、日経平均は年間40%もの上昇を示した。失業率の低下は数字的にはそれほどではなかったものの、大学新卒への求人数がバブル期なみになるなど、雇用環境は明らかに好転した。銀行の不良債権問題は、人々の話題にも上がらなくなった。つい数年間までは、企業・銀行の決算時期のたびに3月危機、9月危機が喧伝されていたことを思い起こせば、まったくの様変わりである。日本経済に残されたのは『デフレ脱却』という課題である」。この内容は専修大学野口旭教授の見解です。

これに多くの人が頷くと思いますが、勿論、反対する論者も多数います。しかし、元企画庁次官の赤羽隆夫氏は、この反対論者に対して「十数年に及ぶ長期低迷を体験したので、人々が確信を持ちにくいのも無理はないが、拡張力は相当に強い。基本は借金、労働力、設備のデフレ3兄弟によるハラスメント(苦痛)がなくなり、バブルの後遺症がほぼ癒えたこと。もうひとつは景気対策はやらないと公言した小泉経済政策の不作為が寄与した」と語り、デフレからの脱却も間違いないと断言します。
このように日本経済の順調さを経済専門家が述べ、それらのコメントを日本国民の多くが受け入れていますが、このような短い内容で一つの国についてコメントできるということは、やはり日本は単一民族であり、分かりやすい国といえると思います。

アメリカの複雑さ
NYを訪れジョンF.ケネディ国際空港からマンハッタンまで、両サイドの道筋はビルの立ち並びと、レンガ壁に鉄階段、消火栓、下水溝から吹き出す蒸気、お馴染み「ビックアップル」風景が続きます。だが、その風景の中味は簡単には理解できません。
理解できないことは、街中で歩くとすぐに分かります。人々の顔が皆違って、国際的すぎるのです。移民の数が多く、100の国籍を持つといわれ、あらゆる言語が飛び交っている上に、住民が出身地区ごとに共同体を構成しているアイルランド人地区や、リトルイタリア、チャイナタウン、ユダヤ人、アフリカに韓国地区、更にプエルトリコ人は飛び地を構成していて、ひとつの文化で括れません。
更に、アメリカが日本ともっとも異なるところは人口です。人の数が日本の2.4倍であるという単純な意味でなく、人口が増え続けているという意味で反対なのです。アメリカ国勢調査局の推計によると、1月現在の人口は29,790万人で、毎月19万人程度増えていっています。8秒に一人の赤ちゃんが生まれ、31秒に一人のペースで移民が増えているのです。つまり、赤ちゃんの誕生と移民の流入が人口増加の要因で、今年中には3億人を超えるのは間違いありません。これが日本と根本的に異なる背景条件の違いです。

そばが受け入れられている
マンハッタンの真ん中のホテルロビー、ここで打ち合わせすべく相手を待ちながら、周りの人々を見ていると、大抵は大きな声で喋っています。特に身振り手振りで激しいのは、隣の椅子に座った中国系女性二人です。最初は白人男性を交えて書類を広げて話していましたが、その白人男性が去ってからは二人の間でケンカ腰の会話が続いています。書類を指し、手で書類を叩き、激しい言い合いは戦っているとも思える激しさです。
一方、こちらは静かなものです。NY在籍一流企業幹部との打ち合わせは、お互い穏やかな世間話から入って、こちらが提案書類を読み上げるのも静かで、スムースな質疑応答が終わると、相手が昼食に誘ってくれました。親切です。この企業へ提案するためにNYに来たのが最大の目的でしたから、友好的雰囲気で終わりホッとし、誘われた近くの日本そばレストランへ参りました。
ちょうど12時の昼食時、入ってビックリ超満員です。予約してくれていたのでテーブルが確保されていましたが、真ん中の相席専用席も埋まっています。日本人らしき人もいますが、殆どは近くのビジネスマンと見受けました。店内案内係りに聞いてみますと、昼間はいつもこの調子で満員との事です。そばを箸で巧みに食べています。違いは「そばが短く量が多い」という程度で、汁も関東で普通に出される濃さの味です。そば粉はカナダの専用畑で収穫していると、店のチラシに書いてあります。

国の運営ルール
NY州当局が推計したウォール街の金融機関が支給した、昨年ボーナス総額が発表されました。これまでの最高だった2000年を20億ドル上回る215億ドル(2兆4600億円)に達しました。ネットバブルの最盛期を上回る水準で、一人当たりも前年比10%増の12.5万ドル(1400万円)と過去最高を示しました。ですからNYの景気はよいのです。安くはないそばランチにビジネスマンが殺到するのも、このような実態からかと納得します。
しかし、同じタイミングに報道されるのは、アメリカに住む16歳以上の男女のうち
20人に1人は、英語が読めないという事実です。これはアメリカ教育省の「2003年読解力調査」から判明した事実ですが、約1100万人の国民が国語としての英語を理解できないということに驚きます。ヒスパニック系やアジア系がその該当人種との事で、対策として公立学校の改革を推し進めるとの事ですが、これは大変と思います。
言葉で伝え理解してもらうことが、お互いの前提行動です。そのお互いの理解が進まない環境では、結果は不十分な内容になります。国の政策も、人との関係も、すべてはお互いの理解度で決まっていくので、そのためには共通言語が必要ですが、それができない人たちが増えているという事、それは移民が増加しているからで、その増加で人口増が図られている国の運営は難しいと感じます。
したがって、言葉とは別の運営ルールが必要であり、それが暗黙裡に存在しているのではないかと強く感じます。言葉ではない国の運営ルールがあるのではないか、と思います。

文化を伝える
「ぬりえNY展」を開催するに当たって、最も注意しなければならないのは、この「言葉ではない国の運営ルール」の確認であると思いました。100もの人種が一緒に生活していて、それらの人々が一人一人異なった行動をとりつつも、人々の底辺にあって、アメリカとして一つの国運営している何かがあって、その何かがアメリカの底辺に共通部分として存在し、アメリカの国運営を支えているはずです。それをつかみ整理し、そこから「ぬりえNY展」を伝えていくことが絶対要件と感じました。
では、それは何か。それが実は分かり難く、そこに苦労しているところです。言葉でいえば「きいちのぬりえをアメリカ人が理解し納得する論理」という事になりますが、それをつかむためには、アメリカ人の立場に立った論理構成が必要になります。しかもそれには英語も話せない国民が20人に1人いて、ケンカ腰の打ち合わせが当たり前で、その一方では過去最高のボーナス支給を受けている、というように混在している実態の中でつくりあげる必要がありますから、ある一人の見解を聞いて、それでもって論理構成するということでは、多くの人に対応することができず、不十分な成果で終わります。
仮にそのところを割り切って、昼食に日本そばレストランを訪れるマンハッタン中心地のビジネスマンのみを対象にする、ということも考えられますが、それでは限られた層に対する理解だけで終わり、今後の展開に影響が出てきて将来に問題が残ります。
アメリカは日本と違って、多くの複雑な価値観で構成されている国家なのです。

ルールをつくれるか
村上隆というアーチストがいます。現代の日本人で最もNYで成功した一人です。その村上隆が次のように語っています。「アメリカに行ってみたら、自分が常につぶやいていた日本のアートシーンなんて誰も知らなくて、まったくの意味のない、関係のないものに過ぎなかった。そうか、アメリカのルール=ニューヨーク・アート法というのを勉強しなければ、僕はアートの世界で生き残っていけないんだ。そう身に沁みて自覚したのが起点だった」更に「アメリカ人の中に、『無意識のうちに日本のサブカルチャーを刷り込まれていた自分は実は日本人だった』という記憶を呼び覚ます形の『勝ち負け』とはまた異なる意味での記憶の継承追及が必要だ」と語っています。この村上隆が追求し成功したことを今年9月開催の「NYぬりえ展」で可能か。それが今一番の課題と考えています。以上。

投稿者 Master : 11:21 | コメント (0)

山本代表の著書を題材にしたテレビが放映されます

 代表の山本紀久雄氏が2003年に出版しました「フランスを救った日本の牡蠣」を題材に、テレビ朝日で、宮城の牡蠣が世界を席巻したという内容でフランス、アメリカ、カナダをロケをしたテレビ番組が放映されます。
【放送日】2月5日(日)14:00〜15:25
【番組名】「遥かなるオイスターロードの旅」
【放送局】テレビ朝日
【出演者】森公美子、きたろう、岸朝子、金子昇
     山本代表が詳しくフランスについてお教えしたそうです。
誰も書かなかった牡蠣についての本が、三年たち四年目に入って、本が一人歩きして、成長していく姿に山本代表自身が驚き、素直に感動をされています。
ぜひ、2月5日(日)には、テレビ朝日をご覧いただきますよう、ご案内申し上げます。

投稿者 lefthand : 10:00 | コメント (0)