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2010年08月22日

2010年9月定例会(365回)ご案内

9月の例会は9月13日(月)と14日(火)の二日間に渡って、清話会と提携して開催いたします。

●9月13日(月)リオネル・クローゾン氏を囲んだ「懇親食事会」
(会場)八重洲富士屋ホテル 18時~20時 3階「けやき」

●9月14日(火)リオネル・クローゾン氏の「基調講演」と、観光専門家との「パネルディスカッション」を開催。
司会は山本が担当いたします。
(会場)お茶の水ホテルジュラク14:00~16:30 2階「孔雀」

詳しくは次をご覧願います。

4月の伊豆湯ヶ島温泉・白壁荘例会時に、アイスランド火山噴火の影響で来日できなかったフランスのジャーナリスト「リオネル・クローゾン」氏を迎え、次の二日間に分けて開催いたします。

●9月13日(月)リオネル・クローゾン氏を囲んだ「懇親食事会」
(会場)八重洲富士屋ホテル 18時~20時 3階「けやき」
          〒104-0028 東京都中央区八重洲2-9-1
           TEL:03-3273-2111 FAX:03-3273-2180
           http://www.yaesufujiya.com/access/
 


 ●9月14日(火)リオネル・クローゾン氏の「基調講演」と、観光専門家との「パネルディスカッション」を開催。
司会は山本が担当いたします。
(会場)お茶の水ホテルジュラク14:00~16:30 2階「孔雀」
           〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2-9
           [phone]:03-3251-7222
           [fax] :03-3251-7447
           http://www.juraku.com/ocha/access.htm


この二日間の基調テーマは「日本を観光大国化するためには」であります。リオネル・クローゾン氏は来日経験数多く、日本の文化と歴史に詳しく、フランスにおける日本文化・観光研究第一人者であり、同氏と直接語り合うことができる機会は、滅多にない貴重なチャンスと思います。

日本を観光大国にし、観光地に多くの客を誘引し、欧米人の日本の観光地に対する期待と見解を知り、日本の新しい経済成長に結びつけるための重要な例会でございます。

「リオネル・クローゾン氏 Lionel Crooson プロフィール」
パリ第1大学ソルボンヌで造形装飾美術と科学芸術を、パリ第7大学で東洋言語とその文明文化を学ぶ。グラフィックデザイナーを経て、ジャーナリズムを学ぶ。1983年~2003年 雑誌「生命と科学ノート」の編集メンバー。2004年より各国を回り、旅行・探検・歴史・現代芸術文化・古代史の紹介記事を雑誌『生命と科学ノート』『ナショナル・ジェオグラフィック・フランス』等に数多く掲載。1982年から、特に日本に関しての多くの執筆を行い、アシェット・ブルーガイド ジャパン(2008~2010年出版)ミシュラン・グリーンガイド・ギリシャとギリシャ諸島(2009年~2011年出版)を担当。「日仏プレス協会」並びに「歴史家協会」のメンバー。

なお、ご参考に二日間のチラシを添付いたしましたが、これは一般の方への案内でございまして、経営ゼミナール正会員及びオブザーバーでご参加される場合は、チラシの参加費とは関係なく、定例の会費(オブザーバー1万円)で、この二日間企画両方にご参加いただけますので、別紙の「経営ゼミナール申し込みFAX用紙」にてご連絡お願いいたします。

お問い合わせ 
 出欠ご連絡先:経営ゼミナール・山本紀久雄 
 メール:info@keiei-semi.jp
電 話:048‐824‐4859
  FAX:048‐824-4833

Ⅲ.2010年10月開催のご案内

10月は18日(月)に、元日航の「グレートキャプテン」小林宏之氏をお迎えし、銀行会館で開催いたします。

小林宏之氏は日航パイロット就任後42年間、一度も欠勤せずに世界中を飛び回り、日航最長の飛行時間1万8530時間(地球800周)を記録して勇退されました。

テーマは
「JAL機で42年間一度も欠航せず飛び続けた人生」

再建途上の日本航空にあって、人命を預かることは当たり前の安全と安心、そのプロの心構えと、コックピットから撮った美しい地球の姿を紹介していただきます。
また、この地球の撮影によって「今の異常気象」に対する小林氏ならではの推測も披瀝していただきます。

開催日時  2010年10月18日(月)18:00~20:30
      18:00 集合(食事を用意しています)
      18:15 山本から時流解説
      18:30 小林宏之氏の発表と質疑応答
      20:30 終了

テーマ   「JAL機で42年間一度も欠航せず飛び続けた人生」

発表者   小林宏之氏
        元・日本航空パイロット。現・日本航空機操縦士協会副会長

場所    東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
      千代田区丸の内1‐3‐1 Tel:03‐5252‐3791
      東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)
アクセス:http://www.kaikan.co.jp/bankersclub/access/access.htm


                                                 以上

投稿者 Master : 09:55 | コメント (0)

2010年7月例会の実施結果


経営ゼミナール7月例会は12日(月)に、日本女子大学非常勤講師の佃為成氏をお迎えし、銀行倶楽部で開催いたしました。
テーマは「予知」で、元東京大学地震研究所准教授であられ、研究分野は「地震学」「地震予知論」の専門家という立場から発表いただきました。

地震の分野において予知するというと、ナマズが暴れたとか犬が吠えたとか、何かカンとか超常現象的なことなどと混同して扱われているが、予知とはそういうものではなく、ある事象において、何らかの「サイン」が発せられているのをキャッチし、そこに「考える」ことを加えて成り立つのが「予知」。

ですから、地震でいえば、地下から発する地震の前兆現象、すなわち地下からのサインをキャッチし、それを過去のデータや経験と照合し、これから起こることを前もって知ること、これが予知となります。

今の時代は「不安」がキーワードになって、これが日本や世界全体を覆っています。この「不安」に対する対策の第一は、物事で「不意打ち」をくわない事です。予測していない事件・問題が、不意に、突然に襲いかかるという事が、人に対して最も怖がらせ気持ちを不安にさせるので、日頃から事前の「予知」行動という事に目配り配慮が大事で、人生の生き方にも適用できるものだと、佃氏は論理を展開され、その通りと納得いたしました。

ご発表いただいた佃為成氏と、活発なディスカッションを展開のご参加の皆様に感謝申し上げます。

投稿者 Master : 09:50 | コメント (0)

2010年08月20日

日本の観光大国化への提言(その二)

環境×文化×経済 山本紀久雄
2010年8月20日 日本の観光大国化への提言(その二)

前号に続いて日本の観光大国化への提言です。

パリから電話

 パリ在住の主婦から電話が度々あります。家内の長い友人ですが、今日は家内が旅行で留守でしたので、代わりに長電話受けました。
 この夏、パリは寒いくらいとのこと、8月15日は最高17度・最低14度、16日も同じ気温、17日は19度―16度、18日は20度―12度です。
 彼女は日本の暑さをよく知っています。というのも息子と娘が夏休みに日本に来たのです。

小平市の友人所有の空き家を拠点に、毎日、西武新宿線で新宿を通って東京見物、結果はすっかり東京の魅力の虜になり、パリに戻ってからも日本の暑さに参ったとは一切言わず、「もう一度日本に行きたい」と言い続けているそうです。

フランスの少年少女から東京を見ると、我々が見慣れている繁華街の新宿・渋谷・原宿のようなところはパリにはなく、魅力に溢れているのです。同様なことは他の国の人からもよく聞きます。東京の街中は世界の観光名所になっているのです。

そういえば、山岡鉄舟研究会で上野公園探索会をしましたが、公園内にも徳川将軍の墓がある寛永寺墓地内にも、外国人が大勢地図持って歩いていました。これは日本人がパリのモンバルナス墓地を訪ねるのと同じ感覚なのでしよう。

ノルウェーから日本を見ると

ノルウェー水産物輸出審議会日本事務所代表のハンス・ペター・ネス氏が、日本経済新聞で日本のイメージについて次のように述べています。(2010.7.26)

「ノルウェーの平均的なビジネスマンで日本の政治・経済、スポーツの話題を話せる人は少ない。日本へ
の興味の対象は、最新の話題やニュースといった時事的なものではなく、恒常的な、いわゆる日本的なもの。例えば食べ物、電化製品、車、伝統文化、マンガだ。

 ノルウェー人がとても良いイメージを持っているものとして、まず日本食がある。だれもが寿司を思い描き、多様な食文化と比べると知識が偏っているのだが、逆の見方をすれば、食に関するビジネスでのポテンシャルが大きいといえる。

 日本製品が海外で信頼を築いている理由として、質の高い電化製品と車の存在がある。電化製品では韓国勢が売り上げを伸ばそうともメード・イン・ジャパンに対するイメージが揺らぐことはなく、日本車の性能や品質、技術力の高さに魅力を感じ日本車メーカーをひいきにするノルウェー人も多い。

 近ごろ、急速に人気が高まった日本製品としてはマンガがある。子どもや若い人たちへの影響力の高さには驚くばかりだ。ある15歳の男の子は日本に行きたい理由として、マンガを挙げた。

 日本に対する好意的なイメージは大いに歓迎したい。興味がより深い知識への入り口となり、日本企業が製品やサービスを展開する有効なきっかけとなればよい」

日本の魅力

この内容は私が世界各国を頻繁に訪れ、その国の人々と話し合う中で感じる日本へのイメージと正に同じでして、これが日本への外国人の平均的な概念と考えてよいと思います。

一般的な日本人は、自国の政治や経済について、情けないとか、だらしないとか、元気ないといって悲憤慷慨している人たちが多く、先日もお会いした一部上場企業幹部も「日本は悲劇的だ」と発言していました。

だが、世界の人たちからの日本への関心は、そんな政治や経済のことではなく、日本人の生活に密着したモノに好意的な感覚を持っているのです。この事実を、しっかり日本人は確認しなければいけません。考えてみれば日本の魅力はいっぱいあります。

日本が持つモノで世界的なレベルで光彩を放っているものに、茶道、華道から始まり、工芸、織物、染色。最近では建築家が世界をリードし始め、さらには和歌、連歌、俳諧、古典文学の数々。次いで日本料理、日本家屋、日本の祭りとかの年中行事といった生活文化。まだあります。能、狂言、歌舞伎、文楽という舞台芸術。柔道とか剣道、空手、合気道、まだたくさんあるでしょう。

日本人の生活に密着していて、海外で全く知られていない事例を、敢えて挙げれば「童謡・唱歌」くらいではないでしょうか。子供時代の郷愁を誘う「童謡・唱歌」が世界に人々に受け入れられていないのは不思議な物語です。

日本は好印象の国

ユーロ大統領のファンロンバイ氏は俳句が趣味ということは有名ですし、パリには「SUZUKAKE NO KAI」という著名人で構成する日仏親睦団体があり、その一人のお宅に伺って、屋上の庭園を拝見したときには驚きました。2000年に二カ月に渡って北海道の礼文島、利尻島から沖縄の与那国島まで回って、日本の草花を採集し、それで屋上に日本庭園を造っていて、この手入れが最高の楽しみというのです。また、書道も好きで、書道展にも出品するほどの腕前です。

ドイツの各都市には「独日協会」があり、毎年一回持ち回りでドイツ全国大会を開いているほどです。何度かこの独日教会に参加しましたが、とにかく日本好きが集まっていて、日本のイメージは好印象で受け取られています。

一部上場企業幹部による「日本は悲劇的だ」という発言、これとはまったく異なるのが、世界から見る日本なのです。

レスター・サロー氏の見解に対して

ところで、日本人は新しいビジネス構築が下手だとマサチューセッツ工科大学名誉教授のレスター・サロー氏が以下のように述べています。(日経新聞2010.8.1)

「日本に必要なのは新しい企業だ。日本のほとんどの新興企業は、米占領下の第二次大戦直後に生まれた。2000年以降に誕生した企業をいくつ挙げられるか。米国では00年以降に誕生した企業が経済を下支えしている。米国文化の方が経済成長に適している。我々は産業主体の経済から知識主体の経済に移っている。ジョブズCEOやビル・ゲイツ氏、ウォルト・ディズニー氏がつくり出すような知識だ。人々は楽しいものには金を払う。今の日本にはあまり楽しいことがない」

 この発言は傾聴に値します。成程と思いますが、一部は的外れであるとも思います。例えば、前号で紹介したNYのイーストビレッジ地区の屋台村、「B級グルメ」を楽しみたいから大勢集まってくるのです。

日本社会には身近に楽しいことがたくさんある実例がNYの屋台村ですが、このようなことは既にブラジル・サンパウロでは昔から常識です。サンパウロの日本人街リベルダージ駅前の広場、ここは日曜日になると屋台がたくさん出ます。ヤキソバ、今川焼き、お好み焼き、焼き芋、天ぷらなど。観光客よりは地元サンパウロ住民の方が多く、広場を歩くのに苦労するほどの賑いです。「B級グルメ」はブラジルで昔から大人気となっていたのです。

システム化が課題

この「B級グルメ」、日本の各地で最近大人気だと、前号で岡山県日生町「カキオコ」の事例をお伝えし、海外でも同じく人気になってきつつあります。

しかし、ここで心配なのは、「B級グルメ」ブームを、このまま個々の民間業者に任せたままにしておくと、日本国内向け、日本人対象にだけで終わる可能性が高く、世界中に「B級グルメ」を発信できず、海外に大きく発信しないから、レスター・サロー氏は知り得ず「日本にはあまり楽しいことがない」と指摘受けることになるのです。つまり、日本の観光財産に引き上げられません。

既に日本食は世界で受け入れられ、次は「B級グルメ」まで海外で人気となりつつあるのですから、その魅力を海外へ発信し観光客を増やすこと、それを折角に観光庁があるのだから、国が乗り出して観光客誘引システム化策をつくるべきでしょう。

観光庁が予算化して進めた電信柱を地下に埋めることが、観光客誘致の目玉だという貧弱な発想ではダメだと思います。世界から見た日本の魅力実態を知れば策はいくつも考えられるのです。

しかし、策を考えようとするならば前提条件があります。思考方法の転換です。日本人が大得意な「日本から世界を見る」という思考でなく、「世界から日本を見る」という発想に転換しなければならず、これが観光庁の仕事ではないでしょうか。

日本の「普通」を外国に「魅力」として紹介するシステム確立、これが観光大国化への新しい策です。以上。

投稿者 Master : 10:42 | コメント (0)

日本の観光大国化への提言(その一)

環境×文化×経済 山本紀久雄
2010年8月5日 日本の観光大国化への提言(その一)

蚵仔煎・オーアーチェン

世界には日本と異なる習慣が存在する。国が違えば生活習慣が異なるのは当然で、何も不思議ではないが、その違いを現地で体験すると、改めて驚くことが多い。
日本では牡蠣は秋口から春までの寒い時に多く食べ、スーパー店頭では夏場に牡蠣はおいていないのが当たり前である。

ところが、隣の台湾では牡蠣は夏場に食べるもの。台湾で牡蠣を食するサイクルは台風が基準となっている。台湾は太平洋と南シナ海・東シナ海・台湾海峡に囲まれている島なのでので、台風が毎年多く直撃する。従って、9月は海が大荒れになるので、牡蠣養殖作業はできない。

そこで台風が去った10月から3月まで種付けから養殖作業の期間となって、牡蠣を食べるのは4月から8月の間となる。このようにすべては台風という自然条件によって、春から夏場にかけて牡蠣を食べることになる。

ここが日本と大きく違うところだが、台湾環境条件に合致しており、なるほどと思いつつ、この暑い中、台湾へ「蚵仔煎・オーアーチェン」、ガイドブックに「小ぶりの牡蠣が入った屋台定番料理のオムレツ。甘辛のタレをかけて味わうもの」と書かれているが、実際には牡蠣のお好み焼きに該当するものを食べに行った。

まず、台湾で最も有名な牡蠣産地の、台湾海峡に沿った海岸・雲嘉南濱海国家風景区の東石牡蠣養殖場に行き、そこで漁師さんに船を出してもらい筏のところまで行き、海から引き揚げた牡蠣をビニール袋に入れ持ち帰って、宿泊する台南市の一流ホテルで蚵仔煎を作ってもらおうと依頼してみた。

因みに、このホテルは欧米式の階数表示である。17世紀中期のオランダ統治時代に台南に拠点を置いた関係で、日本の一階は地上階表示となっているが、そのホテルからそのような大衆的料理は扱わない、という丁重なお断りを受け、仕方なく一般大衆が食する下町地区にタクシーで向かって、海鮮レストラン永上海産碳(たん)烤(こう)という店に入った。この店はどこにもドアがなく、道路との境がよくわからない状態の店、隣も道路の向こう側の店も同様の地区で、当然に、地元の人の集まるところ。

ここに牡蠣を持ち込み、ガイドが紹興酒と屋台で買ってきた魚を煮込んだスープみたいなものも持ち込んで、蚵仔煎を料理してもらいたいと頼むのだから、こちらも相当の図々しさである。近くで爆竹が派手に鳴っていて、支払いはカード出来ず現金のみであったが、牡蠣のお好み焼きなら日本でもあるなぁと酔った頭で思いだした。

「カキオコ」

それは「カキオコ」である。牡蠣のお好み焼きを略すると「カキオコ」になり、それは岡山県備前市日生(ひなせ)町の「B級グルメ」だという。

「B級グルメ」とは何だろうと、台湾から戻って早速日生町の観光協会を訪れた。竹林沙多子さんが一人で頑張っている観光協会で「B級グルメ」お聞きすると、それは贅沢でなく安価で日常的に食される庶民的な飲食物とのことだと、ご教示受けた。

なるほどとようやく理解して、次にジューシーなカキの風味とおねえさんとの楽しい話が味わえるまち『日生』」と書かれたカキオコ店のマップをいただき、説明を受けていると、次第にカキオコへの期待が高まって、ちょうど昼時、お腹が鳴りだしたので、マップに記載されている「タマちゃん」に向かった。

JR日生駅の次の駅、寒河(そうご)近くに「タマちゃん」はあった。自宅を改装した店づくりでオープンして8年目。建築業から転身した両親と息子夫婦で経営している。道路に面した自宅スペースの前に「日生カキお好み焼き研究会」の幟が立っている。へえー牡蠣も研究会があるのかと思いつつ、店に入って早速にカキオコを注文。

すると、この店の息子らしき若き男性が、大きな鉄板に最初はサラダ油で、最後にオリーブ油を加えると加熱が高く味が締まるのがコツだと解説しながら、冷凍ものの日生特産の肉厚な牡蠣を中に入れて焼きだした。見ていると、一般的にお好み焼きは焼きながら上からフライ返しで抑えるが、ここでは抑えない。ファっとしたものにするためと、親父が婿なので抑えられないという意味もあると笑いながら。

その厚みのある表面に、自慢の自家製のソースと、アンデスから取り寄せた岩塩とで、半分ずつ味付けする。二つの味が味わえるから試してくださいという言葉に、期待のカキオコを食べてみた。一口食べてみて美味いと感じる。それも上品な味である。店舗づくりは田舎風だが、味は都会風だと評すると、息子はまたニコッと笑う。価格は900円。

実は、この日生町でカキオコがはじまってから、日はまだ浅い。平成13年(2001年)の冬、赤穂市から岡山市の県庁へ電車通勤しているひとりの人物が、偶然に日生で昔からの「カキお好み焼き」を食べたことをきっかけに、日生在住の通勤仲間や他地域の仲間に呼びかけて「カキオコ食べ歩き調査」を実施し、翌年の1月に「日生カキお好み焼き研究会(略称:カキオコ研)」を立ち上げ、日生町に活気を取り戻そうとはじめたのである。今では各地のB級グルメフェスタに参加するほどの知名度となり、観光協会の竹林さんに全国から問い合わせが来るほどの盛況さとなった。

これは日生町の海が所属する、播磨灘牡蠣を活かした地域起こし成功例であるが、このような事例は全国に数多くあるに違いないと、カキオコの経験で思った。

「B級グルメ」

そう思っていたところ、近所の自動車ディラーから連絡があり、ハガキで応募した賞品が当たったというので、受け取りに行くと埼玉県鳩ケ谷市の「焼うどんソース」を「B級グルメですが」と言いながら渡された。そこで早速、このソースをかけて食べてみると、ブルドックソースも真っ青というほどの美味さである。以後、この「焼うどんソース」を専ら愛用している。

 これで分かったことは日本全国各地に「B級グルメ」がたくさんあると推定できることで、日生町のパンフレットにも「姫路おでん」「高砂にくてん」「津山ホルモンうどん」「府中焼き」「出雲ぜんざい」等が掲載されている。

「B級グルメNYで人気A級」

これは日本国内だけのことだと思っていたら、「B級グルメNYで人気A級」(日経新聞2010.8.1)が掲載された。

内容は「7月中旬の週末、マンハッタン南東部のイーストビレッジ地区の一角に屋台村『ジャパンタウン』が出現した。並んだのは、お好み焼きやたこ焼き、焼き鳥、ラーメン、ギョーザなどを売る約40店。平均5ドルの日本食を目当てに、主催者の推定では5万人もの人々が集まった。あまりの混雑に警察が出動、入場を規制するほどだった。 『ピザみたいで好き』と割りばしでお好み焼きを食べる女性(22)。ニュージャージー州から友達とやってきたという高校生、トム・ヘイドンさん(16)は焼き鳥が好物だという。『日本のアニメも好き。日本に旅行するのが夢』と目を輝かせた。・・途中略・・

 日本の『ソフトパワー』とされるアニメやグルメ、ストリートファッションなどの情報はインターネットを通じて米国の若者らに時差なしで届く。日本への興味は、より生活に密着した『日常』に向かっている。
 日本政府観光局(JNTO、東京)の2009年の調査によると、日本を訪れた米国人観光客が訪日前に期待したこと(複数回答)は『日本の食事』が歴史的建造物などを抜き、初めて首位に浮上。すしやてんぷらだけでなく、おにぎり、そば、焼き鳥など庶民的な味への関心が高まっていることも明らかになった」

 この内容はよくわかる。筆者がNYに住む米国人親娘を荒川区町屋の普通の居酒屋へ連れて行ったところ、店に入る前は「今日は昼食が遅かったからあまり食べられない」と言っていたのに、実際に料理が運ばれてくると「こんなに美味い食べ物は初めて」と、次から次へと出されたものを全部食べてしまったことがあった。この時に、日本人にとっては普通の食べ物が、外国人には宝物になっていると実感した。日本の街中には、日本人は分かっていないが、外国人とって魅力的なものがたくさんあると感じたのである。

この続きは20日号。なお私が司会を担当する清話会主催シンポジウム「日本を観光大国化するためには」を9月14日(火)14時~16時30分、会 場  お茶の水ホテルジュラク2階「孔雀」で開催します。ご興味のある方は清和会にお申し込み願います。
http://ameblo.jp/seiwakaisenken/entry-10598689152.html 以上。

投稿者 Master : 10:34 | コメント (0)