« 2008年03月 | メイン | 2008年05月 »

2008年04月28日

「ゼロからのスタート、経営ポリシーは強い志」

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2008年4月21日
「ゼロからのスタート、経営ポリシーは強い志・・・(株)クレア 町田典子社長」

2008年二月期の総合スーパー・イオンの決算が発表され、売上高5兆円に対し、純利益は439億円、利益率0.8%という不振実態に、イオンは大規模舗リストラを行う方針を打ち出しましたが、これはお客を、一定した買い場に向かい、システム的な消費集団と捉えたことへの反省と考えます。

この対極思考に、お客は多様な価値観の集団であり、首都圏という密集した地域に集積していると捉えれば、買いまわり、食べ歩きの範囲は都市交通の至便な立地条件に、多様な店舗を設置していくことになります。

(株)クレアは現在、日本全体人口の27%が集積している首都圏に、24タイプ、70店舗を擁しています。

明らかに一人のお客は、多様な好みで行動すると捉えているのです。
「今日は体に優しい和食をとりたい」「たまにはステーキの味を楽しみたい」「イタリアンもいいなぁ」「超多忙だから立ち食いソバですますか」「待ち合わせは東京駅前のオアゾのカフェで」「それともハイセンスな六本木ヒルズにするか」。

これらの多様な行動をとる人々に対応するためには、多くのタイプ店舗構成となり、結果的に24タイプ、70店舗の経営展開が必然となるのです。

しかし、一般的に考えますと、多様な店舗展開は経営全体のコンセプトに問題を発生させることが予測されますが、そうならないのが(株)クレアなのです。

その根本的な要因は「町田社長のリーダーシップ」にあります。町田社長のもつ強い志・想いが、多様・多店舗のベスト経営を実現させているのです。

経営ゼミナール終了後の懇親会は、「丸の内OAZO」丸善書店4階に展開している「M&C Cafe」で、町田社長を囲んで現場見学をいたしました。

そこで町田社長からいただいた色紙には次のように書かれていました。
『本気』  本気ですれば   大抵のことができる
      本気ですれば   何でもおもしろい
      本気でしていると 誰かが助けてくれる       以上。

投稿者 lefthand : 08:09 | コメント (0)

2008年04月25日

2008年5月例会のご案内

5月の経営ゼミナールは、5月19日(月)に開催いたします。
講師には、昨年7月に発表していただきました第一不動産株式会社の代表取締役社長西村和芳氏をお招きいたします。
西村和芳氏には、「日本経済と不動産~サブプライム問題と官製不況」と題しまして発表していただきます。

昨年8月に始まった米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題にともなう影響が収まる様子が見えません。米国の銀行に続き、スイスUBA、ドイツ銀行など欧米主要銀行でも損失計上がとまらず、欧米ばかりでなく世界に影響が波及しています。
日本もその例外ではありません。安全な投資先を探すマネーが実物資産に流れていることから、異常な原油高、穀物高を引き起こしており、これが食料品などの値上がりとなり、家計を圧迫しています。

4月に開催されたG7会議では、サブプライムローン問題を震源とした金融危機の回避に向け、主要国が「あらゆる措置をとる」ことで合意し、ドル安をけん制しましたが、市場では「金融機関への公的資金注入や協調利下げなど具体的な内容がなかった」という声が大勢を占めており、失望感から株価が乱高下し、不安定な様相を呈しております。

このようなグローバリゼーションにより日本経済予測は、大変難しくなってきました。特に上述のようにアメリカのサブプライムローン問題は現在進行形であるが故に予測は難しく、また、中国経済も影を落としています。
更に、日本の対策のなさ、及び建築基準法や金融商品取引法などの行政府のマイナス政策がみうけられますので、日本政治の政策論につきましても言及頂き、不動産からみた日本経済を予測していただく予定です。


1.日時 平成20年5月19日(月)
     6時 集合(食事を用意しています)
     6時15分より山本紀久雄代表の時流講話 
     8時半 終了予定です。
   
2.場所 東京銀行協会ビル内 銀行倶楽部 4階3号会議室
     千代田区丸の内1-3-1 Tel:03-5252-3791
     東京駅丸の内北口より徒歩5分(皇居和田倉門前)
     アクセス:http://www.kaikan.co.jp/bankersclub/access/access.htm

3.テーマと講師
  「日本経済と不動産~サブプライム問題と官製不況」
   第一不動産株式会社
   代表取締役社長 西村和芳氏

略歴
 生年月日 昭和22年4月3日生まれ
 学歴   北九州大学卒
 会社   昭和52年11月 西村調査士事務所 設立
      昭和54年8月  第一不動産株式会社 設立
      平成4年11月  九州財産ドック株式会社 設立
 
 著書   We are 不動産プレーヤー 週刊住宅新聞社発行(共著)
 資格   土地家屋調査士・宅地建物取引主任者

 所属学会等 日本マンション学会 日本土地法学会
       日本都市住宅学会   日本不動産金融工学学会
       日本FP学会    小倉ロータリークラブ

5月19日(月)開催の例会に、多くの皆様のご参加をお待ち申し上げます。

*会費 オブザーバー参加の方は、当日会費として1万円をご用意下さい。


*問い合わせ 
出欠:編集工房 代表 田中達也 (4月より事務局担当が代わりました)
電 話:048-229-2122
FAX:048-473-7293
その他は金子 ぬりえ美術館内(03-3892-5391)まで問い合わせ願います。

投稿者 lefthand : 20:27 | コメント (0)

2008年6月例会の予定

6月の経営ゼミナールは、6月16日(月)に開催いたします。
講師には、昨年6月に発表をしていただき大変好評でありました増田辰弘氏をお招きいたします。現在法政大学大学院客員教授であり、法政大学大学院中小企業経営革新支援センター長で、アジアビジネス、アジア経済のご専門家であります。

今回も、アジアや日本企業の直近の情報から、「企業活力の源泉を探る」というテーマで発表をしていただきます。
 
6月16日(月)の経営ゼミナールのご予定をよろしくお願いいたします。

投稿者 lefthand : 20:11 | コメント (0)

2008年04月21日

4月例会の感想

経営ゼミナール第339回例会が執り行われましたので、ご報告いたします。
zemi_reikai080421_01.JPG
今月は久々に銀行倶楽部に戻り、株式会社クレア代表取締役・町田典子氏に、創業以来25年で68店舗もの様々な飲食店を店舗展開されているその手腕について、お話しいただきました。

株式会社クレアの店舗業態は現在、喫茶店、そば屋、キャラクターカフェなど24種類あるそうです。それらがそれぞれ何店舗かのチェーンを形成し、68店舗を展開されておられます。
zemi_reikai080421_03.JPG
しかし、2店として同じお店はないそうです。すなわち、すべてのお店に独自の店舗作りを取り入れているのです。これには驚きました。ユーザーのニーズが多様化していることは昨今の時代の流れとして言われていることですが、それにしても全店舗に独自の工夫を凝らすことは生半可なことではないように思います。一体どのような狙いがあるのでしょうか。

町田氏は新たな出店を計画されるとき、次のことに留意されるそうです。
1.出店する街を必ずリサーチする(その街にまだない業態を出店)
2.大企業ではできないことを考える(その街にあった店づくり)
3.リピーターを増やすためのしくみ(ソフト面、口コミ、人への優しさ)

そこには、大手チェーン店の画一的なサービスでは真似のできないきめ細かな「ソフト」を提供したいという町田氏の夢が込められているように思いました。そこに、創業以来店舗を増やし続けることができる秘訣を垣間見ることができたように感じました。
zemi_reikai080421_02.JPG

町田氏は今後も新しい業態を提供し続けなければならないと、ご自身が背負う荷の重さをひしひしと感じておられるようでしたが、そのお顔は晴れやかで、とても頼もしいものでした。

最後に、質疑応答での町田氏のコメント。
「学ぶことは現場にある」
町田氏は毎月1回はすべての現場に顔を出されるそうです。68店舗あるのですから、これは大変なことです。
現場にお客さんがいて、そこにソフトがある。それを「心の目」で見ることだ。
町田氏の格言です。

現在もなお精力的に活動を続けていらっしゃる町田氏のバイタリティに感服しました。

(田中達也・記)

投稿者 lefthand : 22:59 | コメント (0)

2008年4月20日 折り合いをつける

環境×文化×経済 山本紀久雄
2008年4月20日 折り合いをつける

ロンドンのアルコール飲酒量

新しく4月から、渋谷で「山本時流塾」を開催させていただくことになりました。毎月、第二金曜日の午後4時から6時まで、㈱東邦地形社の会議室で行います。
その第一回で、話題としてロンドンの「ビンジ・ドリンカー」、これはBinge=暴食(飲)、つまり、度を超した飲酒癖を持つ人を指し、この結果「飲酒が絡んだ犯罪」が増えて問題が多いことを紹介しました。(日経新聞2008.4.6)

ビールを多量に飲む要因としては、価格が安いことも影響しています。ロンドンのパブでは、ビール1パイント(568ml)が2ポンドですから、1ポンド208円(4/18レート)で換算しますと416円です。地下鉄初乗り料金が4ポンド(832円)の半分です。

また、イギリスでは10代前半の子どもにビールを飲ませる家庭が多く、「11歳から15歳の5人に1人が過去1週間で平均5パイント強のビールに相当するアルコールを飲む」と同記事にあり、ビール5パイントは2840mlですから、これを日本の缶ビール350mlに換算しますと、何と8缶に相当します。
子どもが1週間に、毎日缶ビール1缶以上飲むというのですから驚きです。

当然の疑問

日本人の常識感覚では、子どもがビールを飲むことさえ問題で、その上、毎日缶ビール1缶以上飲むというのですから尋常ではありません。
当然、ご参加の方から「どうして子どもがビールを飲むのか」という質問が出ました。

これへの回答は難しいのですが、日経新聞記事では「英国人の大量飲酒癖は千年前にさかのぼる」とあり、「当時は衛生的な水の入手が難しく大人も子どもも朝からビールを飲んでいた」とあります。
時流塾にご出席のタイに詳しい方が「タイでも水が問題なので、ビールを子どもが飲む」と補足説明をしてくれましたが、子どもがアルコールを飲むこと、それは健康上に問題があるというのが常識ですから、日本人の感覚では釈然としないのも当然です。

上海女性のパジャマ姿

次は中国・上海の話題です。先般、上海でアパート最上階六階の住居に訪問しました。玄関を入ると家の中は、中二階スタイル、その中二階の窓を工事していまして、ご主人が仕事休んで、半袖シャツ姿で工事人の監督をしています。ご主人の今の仕事は自動車修理工、以前は韓国系企業に勤めていた時に、日本に行くこともあろうかと日本語を勉強したことがあるので、挨拶は日本語で、穏やかニコニコ丸顔です。

29歳の奥さんも挨拶に出てきました。ご主人は半袖シャツですが、奥さんは一見してパジャマと分かる上にコートを着ています。ビックリして「それはパジャマでは?」と聞きますと、「そうです」と平然と答えます。

この奥さん、仕事はしていなく、現在は二つの大学で昼間は会計学、夜は経済学を学んでいます。いずれご主人が起業するので、その際は会計を担当するためといいます。
家の中はソニーの大型テレビ、応接セットも立派で、上海では広いスペースなので、素晴らしいですねといいますと、家は奥さんの母が買ってくれたとの説明、余裕ある生活をしています。中国の経済成長によって中間所得層が増えた、その代表的な家庭ですが、家の中では奥さんはパジャマ姿で過ごしているのです。

日本人の常識感覚で判断すれば、今まで一度も話したことのない外国人が訪ねてくるのですから、パジャマ姿というのはどうしても理解できません。ドレスアップしたファッションは望みませんが、一応の普段着程度は着衣して欲しいと思います。

しかし、後で通訳に確認しますと、上海の女性は休みの日はパジャマで一日中過ごすことが多く、上海に長く駐在している日本人ビジネスマンに確認しましたら、家の中だけでなく、表の通りを女性がパジャマ姿で、歩いているのを見かけることがあるそうです。だが、何故にパジャマ・ファッションで歩いているのか、その理由はわからないといいます。

アテネの天皇制批判

ギリシア人が日本について、一番疑問に思うのは天皇制のことだと語ってくれたのは、長い間アテネで日本語教師している女性です。日本語を教える都合上、日本の社会について説明することになりますが、天皇制については必ず議論が紛糾して収まりがつかないといいます。

そこで仕方なく「天皇に使える人たちはたくさんいる。天皇制がなくなるとこの人たちは職を失う。だから維持している」と説明すると、一応納得し議論は収まるといいます。ギリシアでは失業率が高いので、こういう日本では考えられないような議論解決法がここでは有効なのです。なんとも国が違えば意見が異なる事例ですが、これもギリシア人の立場から考えると理解できなくもないのです。

それは過去何回もギリシアは王政を布き、問題を起こし、また王政に復帰した歴史があるからです。

まず、1832年にバイエルンのウィッテルスバハ家出身の、ドイツ名オットーが、ギリシア名のオソンに変え、ギリシア王となって1862年に追放されると、次は1864年にデンマーク王子ゲオルギオス一世をギリシア王と迎え、50年間在位し、さらに、1917年には第二王子アレクサンドルがギリシア国王になって、その後コンスタンティン国王の復帰や、息子のゲオルギオス二世が王位となり、その後の第二次世界大戦時の混乱を経て、1946年に再び王政に戻したが、1963年の国民投票で王政の廃止が決まって、ようやくギリシア共和国が誕生したという歴史経緯があります。したがって、王政=天皇制に対する深い疑問があるのです。

しかし、日本国体の中心に位置している天皇の存在理由を、失業率を持ってしか理解させられないということについては、どうしても違和感が残ります。

清河八郎

幕末維新の時代は、日本の歴史の中で、戦国中期以後の時代とならび、英雄時代といってよい時期で、さまざまな型の英雄が雲のごとく出ました。その中で特によく知られているのは「維新の三傑」としての西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允です。
また、幕府側にも「幕末三舟」の鉄舟、海舟、泥舟が存在し、また、異色ではあるが、清河八郎も同様で、その他にも多くの英雄といえる人材が輩出したからこそ、あのような偉大な改革が遂行されたのです。

清河八郎・・・山形・清川村の酒造業の息子が、江戸で儒学者を目指していたのに倒幕思想へ転換し、「回天の一番乗り」目指し、薩摩藩大坂屋敷に逗留するほどの人物になり、伏見寺田屋事件や幕府の浪士組から新撰組の登場にまで絡んでいき、最後は幕府によって暗殺されました。

これが清河の一生ですが、清河は儒学者を目指していて、著述数も多く、それが今でも遺っていて、これらを見ても清河の勉学修行は、並ではなかったことがわかります。

だが、この猛烈なる漢学の勉学が生涯の運命を決めた、と述べるのは牛山栄治氏です。
「清河は漢学によって『名分論』から結局は維新の泥沼にまきこまれて短命に終わり、勝海舟などは蘭学の道にすすんだために時代の波に乗っている。人の運命の分れ道とはふしぎなものである」(牛山栄治著 定本山岡鉄舟)
 
この名分論を「道徳上、身分に伴って必ず守るべき本分」と解釈すれば、あるひとつの見解・立場からのみ物事を決め付け行動していくことは、将来に危険をもたらす可能性があることを、清河の事例が教えてくれるような気がします。

折り合いをつける
 
グローバル化の時代とは、価値観の異なる人種と交わることです。日本人も外国人から見たら、よく分からないところだらけです。分からない同士が、直接出会ったり、情報を連絡し合ったりして、お互いの関係付けを図っていかねば、物事が進まない時代です。

日仏合弁企業の社長時代、フランス人と本心から理解し合えませんでしたが、ビジネスですから適当なところで「折り合い」をつけて解決しておりました。

よく分からないが、しかし適切に「折り合いをつける」。それがグローバル化の時代と思います。以上。

投稿者 Master : 08:55 | コメント (0)

2008年04月05日

2008年4月5日 ミシュランガイド東京版騒動が示す先

環境×文化×経済 山本紀久雄
2008年4月5日 ミシュランガイド東京版騒動が示す先

ケータイとタバコ

上海から北京まで中国東方航空で移動しました。出発の上海・虹橋空港手荷物検査は厳重でした。今まで受けた中でロンドンに次ぐ厳しさと思います。靴を脱ぎ、ベルトを外し、ジーパンの中に手を入れてきます。ですから、当然に時間がかかります。国内移動だと軽く考えて空港に行くと、出発時間に間に合わないくらいの時間がかかるのです。多分、オリンピック前という時期的なことが影響していると思います。

搭乗した機内のサービスも意外でした。なかなかのサービス状況です。客室乗務員の対応もよく、これもオリンピック対策かとも感じました。

しかし、北京首都国際空港に着き、ゲートに向かうタイミングになって驚きました。乗客の多くが携帯電話を取り出し、大声で喋り始めます。ここが日本と大違いです。機体はまだ動き、ベルト着用サインが出ていて、客室乗務員も座っているのに携帯電話は花盛りです。中国は架設電話が全国に普及する前に携帯が広がった国だと、改めて認識しました。

タバコもすごい実態です。どこのレストランでも、すべてのテーブルの上に灰皿があります。見ていると中国人同士でタバコを一本ずつ交換し合って吸い、耳にタバコ一本載せている人がいます。世界の禁煙化とは関係ないとばかり、中国のタバコは花盛りです。

上海のスバゲテイ・ナポリタン

日本ではスバゲテイ・ナポリタンが定番メニューです。だが、イタリアに行って、ナポリタンとオーダーしても存在しません。

多分、日本のナポリタンは、イタリアのナポリ風料理で、ベースがトマトソースのハムや玉ネギなどが入っているもの、またはミートソースが上にかけてあるものと同じと思います。

このナポリタンが、上海のホテル内レストランのメニューにありましたのでオーダーしました。このホテルは日本の資本で上海でも名門です。しばらく待って期待のナポリタンが出てきましたが、見てビックリ、色が黒いのです。トマトベースのはずですから赤いだろうと思い込んでいましたが違うのです。
一口食べてさらにビックリ。不味いのです。その不味さも普通ではありません。世界中でナポリタンを食べていますが、ここの不味さが一番です。セメントを噛んでいるようなもので、食べるのをやめようかと思いましたが、空腹でもあったので、ようやく半分食べフォークを置くと、ウェイターが寄ってきて、問題ありましたかと日本語で聞きます。

「今まで食べた中で最も不味い」と答えると「もう一度作り直します」というので「もう食べられない」と伝えると「では、無料にします」と言います。ナポリタン以外のスープとグラスワイン分だけ支払いましたが、見事な不味さに感心しました。

北京のスバゲテイ・ナポリタン

北京の欧米系資本ホテルのレストランで、スバゲテイ・ナポリタンを食べました。当然、メニューにはありませんので、スバゲテイメニューのトマトソースをオーダーしました。

このレストランは調理場がオープン式で、働いている人たちが客席から見え、欧米人がシェフです。ここなら本格的な味のナポリタンが出てくるだろうと予測したとおり、しばらく待ってテーブルに運ばれてきたものは赤い色で、一口食べて「美味い」と思いました。さらに、北京で偶偶入った中国料理店も、調理場が客席から見えるスタイルで清潔でした。

これもオリンピックの影響かと思います。また、上海のナポリタンが不味かったのは、シェフの国籍の違いではないかと推測しますが、中国料理は抜群でした。昼夜何回も異なる中国各地の料理を食べましたが、すべて満足味でした。

ナポリタンだけが不味かったのです。地元の中国人に聞きますと、フランスやイタリア料理は、中国ではまだまだという見解です。本格的なレストランは少ないという意味です。

北京のようにオリンピック目指している都市は、店造りを工夫し、本場外国人シェフが導入され、急速にレストラン業界のレベルが上がったと思います。

ミシュラン騒動

昨年11月、「ミシュランガイド東京版2008」が発刊され、これが一大騒動を発生させたことは、記憶に新しいと思います。星付けを発表した週は、テレビを中心にワイドショーだけでなく、ニュース番組までミシュラン一色でした。

そもそも「ミシュランガイド」とは、1900年にフランスのタイヤメーカーであるミシュラン社が、当時数千人しかいなかったドライバーへ、タイヤ修理工場や給油所の地図を無償で給付したのが始まりだと言われているように、ホテルやレストラン情報はおまけのようなものでしたが、厳しい評価と覆面調査という信頼性が権威化してきました。

星の数結果でシェフの首が飛び、オーナーが自殺したとの噂もでるほどになって、さらに、権威付けに拍車をかけてきて、とうとう日本に乗り込んできたのです。

ところがこの星の数、パリは64店、ロンドン43店、NY39店となっていますが、何と東京は150店もあるのです。パリの2.3倍、ロンドンの3.5倍、NYにいたっては3.8倍ですから、いかに東京の「ミシュランガイド」店数が多いかがわかります。

それほど東京の外食状況のレベルは高いのか。という素直な疑問が浮かびます。東京には16万軒の飲食店があるといわれているように、確かに外食産業は盛んで、美味しい店も多く、それらが世界の日本食ブームに一役も二役も貢献していることは事実です。

しかし、世界の一流都市と比較し、星数が何倍も多いという格付けには、次のミシュラン戦略があると考えた方がよいと思います。

三ツ星カンテサンス

ミシュランガイド東京150店のうち、最高峰の三ツ星は8店です。いずれも著名な店ばかりと思ったら間違います。資生堂のロオジエのように銀座を代表する本格派フランス料理ありますが、無名といってもよい店もあります。

その事例が「カンテサンス」です。勿論、レストラン業界では知られていた存在店なのでしょうが、2006年5月オープンですから、一般的な知名度は薄かったのがカンテサンスです。QUINTESSENCE 辞書にはエッセンス、真髄、典型とあります。

ここのシェフは岸田周三氏、33歳です。今やマスコミにも登場していますのでご存知の方も多いと思いますが、先日、このカンテサンスに行き、食べ、岸田シェフにも会いました。

カンテサンスの所在地は白金台、大通りからほんの少し入ったビルの一階。隣は空手道の組合らしき事務所があって、特別に目立つ店構えではありません。昼も夜もコース料理です。昼は一人7,350円ですが、サービス料10%と飲み物は別料金ですから、一人当たり一万円は超すことになります。

コースは七品、まず、最初は前菜三皿、最初はトマトのバジルゼリー載せ、次は山羊乳のババロアにマカデミアンナッツとユリの球根スライス載せに、南イタリアのオリーブとフランスのゲランド塩が添えられてきます。前菜三皿目はホタテの貝柱をスライスし、里芋とミルフィーユのように重ね、下地にタルト生地があり、そこにビートのソースと、付け合わせがウイキョウ。こうやって説明してまいりますと、カンテサンス料理教室になってしまいますので簡略化しまして、あとは魚と肉とデザートとコーヒーで七品となります。

食べ終わるまでに3時間、次の予定に間に合わないくらいの豊かなフランス料理の時間を過ごしまして、カンテサンスのドアを出たときは満足感とともに、日本の食事は世界的なレベルであると確認できました。なお、予約のための電話は猛烈渋滞ですからご注意です。

フランス料理を世界遺産へ

フランスのサルコジ大統領が、2月23日(土)のパリ農業祭で「フランス料理を世界遺産」へ登録申請するとの発言をしました。この背景には、フランス料理は世界一だとの自負と、料理は文化であるという認識からです。また、その食文化へ一環の中に「ミシュランガイド」が組み込まれており、その延長線上に今回の東京版があって、東京の食文化の高さをミシュランが証明したのであり、それがカンテサンスの体験で確認できました。

消費地・中国が世界経済の潮流

「ミシュランガイド」東京版の次はどこでしょうか。世界の経済認識が生産工場としての中国から、大リーグ開催にみるように「消費地・中国」へ変化させ始め、その中でも北京はオリンピック開催を迎え、ナポリタンに見られるように、食文化を急速に向上させています。

世界経済の潮流が、近々北京で「ミシュランガイド」騒動を発生させることでしょう。以上。

投稿者 Master : 09:25 | コメント (0)