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2014年02月07日

タイへの関心事・・・その二

大学教授にパリ情報を話す

 先日、突然、ある大学の英文学教授から電話がありました。
「初めてお電話します。何々さんから紹介受けた者です。この度、パリの大学で一年間教鞭をとることになり、パリについていろいろ教えてほしいのですが」
「そうですか。雑談程度の内容でしたら、お話しできると思います」

ということで、さいたま新都心のレストランで昼食をとりながらお話ししましたが、ちょうど日仏合弁企業時代に秘書兼通訳をしてくれた女性が定年になり、一度、会いたいとと思っていたので一緒にどうかと声かけると、都合をつけて参加してくれました。

この女性はリオン大学卒で、パリで結構長く生活されたので、大学教授に実務的なアドバイスをしてくれました。

その中で参考になったのは「仕来りの違い」を受け入れるということでした。
① ドアを開け入る際、必ず女性を先にする
② フランス料理を一緒にしたら、最後にデザートをいかがですかと必ず声かける
③ 食事相手が女性ならば、水・ワインは必ず男性が注ぐこと
④ 洗濯物は必ず家の中に干す。外で干してはいけない
⑤ アパルトマンのエレベーター内で同乗者がいたら必ず挨拶する。しないと危ない人物だと警戒される
⑥ 商店に入ったらボンジュール Bonjourと挨拶した方がよい。しないとお金を払った後で嫌味たっぷりの発音で「ボンジュール」と返され、サービスに影響する

 この他で強調したのは「家の内部の修理・修繕」は日本みたいにすぐに業者は来ないことと、各地というより全国的なストライキが年に何回か勃発すると伝えました。私は何度もストライキを経験していますが、フランス人に言わせると「リーダーが朝起きて『今日はストライキだ』叫ぶと、組織が一斉にストライキに突入する」という冗談が事実に近いという話ですから大変です。

全く、一般人の迷惑を考えない、というより迷惑をかけるためにストライキをするわけで、基本的な考え方が違っていることも「仕来りの違い」に入ります。

 ストライキの体験話では、パリからニースに飛行機で移動したとき、ニース空港で乗車したタクシードライバーが、先ほどまで農民が道路封鎖していて、飛行機は飛ばなかったのだといい、明日も同じことが起きるから飛行機便は避けた方がよいとアドバイス受けたことがありました。

 そこでその日のうちにニースでレンタカーを予約し、翌日の移動先のトゥルーズまで約500kmを走りましたが、このようにフランスではストとデモは常識といってもよいのです。

タイのデモ

 前号でお伝えしたタイの政治デモに戻ります。
その後も続いていて、2月2日の総選挙は(下院選・定数500)は反政府派の妨害で投票が中止になる選挙区が相次ぎ、結果が確定できませんでした。インラック政権は選挙管理内閣として再投票などの手続きを進める構えですが、反政府派は続いてデモを行っており、政治空白が避けられそうもない状況で、タイ政局がどう展開するのか難しい局面となっています。

 バンコクには昨年デモが発生し始めた頃の、11月14日(木)~17日(日)に行きまして、ホテルが市内中心地であったことから遠目でデモは見ましたが、特別の危険も感じませんでした。というより、デモはタイ人同士の争いで、外国人には関係ないわけですから、それを承知していれば、デモ隊の近くに行かない限り問題は発生しません。

 だが、毎日マスコミ報道されるタイ政局の動きとデモ状況を読み見ていると、ちょっとタイには行く気がしなくなって、結果としてGDPの1割弱を担う主要産業の観光への影響は大きいでしょう。

その通りであって、タイ財務省は12月26日に2013年のGDP成長率予想は3.7%から2.8%へ引き下げ、2014年のGDP成長率も5.1%から4.0%に下方修正しました。また、総選挙が実施されない場合、来年の経済成長率は3.0%にとどまる見込みだとも発表しました。

JJマーケット

11月のバンコクで訪問したのは市内中心地区から、BTSまたは地下鉄で30分弱、北へ行ったところに位置しているJJマーケットです。

ここは地元タイ人のみならず世界中から観光客やバイヤーたちが押し寄せるウィークエンドマーケットで、タイ語で「チャトゥチャックJatujak」といいますが、これを省略して「J.J Market」とも呼ばれているところ。
タイ1.JPG
ここでは全くデモの影響がなく1万以上もの店が軒を連ねるバンコク最大級ゾーン。ここでの買い物の魅力は、ほかでは売られていないオリジナルアイテムが多いので、そのセンスがバイヤーたちの目に留まり、お店が繁盛してくるとバンコクの中心部に品物へ卸をしたり、支店を構えるようになるという。
もちろんオリジナル以外にも、定番のお土産(象の置物やエスニック小物やバッグなど)を扱うお店もたくさんあり、バンコク市内のお土産屋やデパートよりも2~3割は安く買うことができる。つまり、タイ最大級マーケットであり、一大アミューズメントパーク並みに楽しい地区で、ここの銀行は土日営業です。

しかし、このマーケットは陽射しが熱い。日本の寒さが懐かしいが、そんな事を言っていられないなぁと思っていると、一人の若い男性が迎えに来てくれた。

迎えがないと込み入ったJ.J Market内は歩けないのです。彼は少し日本語ができる。彼の案内で屋台が密集している細道の奥に入っていくと、突然、可愛い犬の売り場があるではありませんか。

犬からわかる階級社会

 その犬売場に行くと、昨年春に死んだ我が家の愛犬ビーグルが可愛い女性に抱かれているので、思わず写真に撮ってしまいましたが、実は、この犬売場がタイの階級社会を示唆しています。
タイの犬1.JPG

タイの犬2.JPG

 タイの犬は三種類に分類されます。①家の犬、②お寺の犬、③道ばたの犬。いずれも放し飼いです。ということは勝手に交尾しどんどん子供を産むことになって、飼い主は面倒が見きれなくなると、日本のように市役所には連絡しません。どこへ持ち込むのか。それはお寺であって、お寺に犬を置いてくる。

 その寺の犬は、お坊さんが托鉢で貰ってきたおこぼれを頂戴することになる以外は、暑いので一日中ごろごろ寝転んでいる。

 ところが、お寺でも犬が増えすぎると厄介なので、時々、どこに捨てることもあるらしい。それらの相互作用で、③の道ばたの犬が多くなるが、大の愛犬家としても知られるプミポン国王の指示により、道ばたの犬も手厚く保護され、ワクチン接種や避妊手術などが行われているので、タイの犬は他国に比べると幸せ度が高いといえます。

 ところで、J.J Marketの犬売場はこの三種類とは別世界に所属します。写真で分かるように日本のペットショップと同じく、世界の名犬純血種が並んでいます。本物かどうかは不明ですが・・・。これらの犬を買うのは大金持ちや特権階級の人たちであって、外へ散歩に行く場合はちゃんとリードで繋がれていくが、それは飼い主ではなくお手伝いさんの仕事になるという生活です。

これはタイの社会を示しているのです。タイは典型的な階級社会であって、頂点に大金持ちや特権階級がいて、次に経済発展に伴う中産階級がいて、それと長年政治から無視されてきた農民たちがいるわけで、犬もその階級社会通りの種類分けとなっているのです。

さて、政治デモはまだ続き、何らかの解決策をタイ人は自ら見出すまでには時間がかかります。ということは日本のタイとのビジネスも停滞するということになります。知人の企業もタイへの出張を取りやめました。社員安全を考えたのだと思います。

しかし、そのような対応でよいのでしょうか。次号でそのあたりを分析します。以上。

投稿者 Master : 2014年02月07日 12:36

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