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2013年11月05日

2013年11月5日 世界で最も幸せな国、暮らしやすい都市(上

YAMAMOTOレター
環境×文化×経済 山本紀久雄
2013年11月5日 世界で最も幸せな国、暮らしやすい都市(上)

第10回 日経・CSIS(米戦略国際問題研究所)シンポに参加して
 
10月29日(火)帝国ホテルで日経・CSIS(米戦略国際問題研究所)シンポジウムが開催され、1800名の参加者の一人として出席した。

テーマは「新時代の日米同盟・未来への助走」で、さまざまな見解が討議された中で、日米の同盟関係の強化策に関する討論では、参加者から事前にアンケートされた内容(下図)と、会場でも意見に賛成・反対への投票を含めた討論が大変参考になった。

ジョセフ・ナイ・ハーバード大学特別功労教授が「基地の共同利用をもっと増やすべきだ」と提言し、領土対立問題では、ナイ氏とアーミテージ元国務副長官が昨年9月の沖縄県・尖閣諸島の国有化について、東京都が購入するよりも賢明な判断だったとの意見で一致した。

また、ナイ氏は「日本が尖閣諸島を環境保護区と決めて、居住や軍事利用をしないと宣言する」アイデアを披露し「主権と倫理の両面で中国より優位な立場に立つべきだ」と語ると、多くの参加者から拍手が起きたのが印象的だった。

 北方領土問題では、事前の参加者へのアンケートで約8割が「四島一括返還でなくても支持する」と答えに対し、アーミテージ氏は「米国は日本の立場を一貫して支持してきた。ロシアとの返還交渉で、日本が満足する結果になれば、米国も満足するだろう」と語った。

なお、ナイ氏が「日本は中韓以外の世界から最も人気の高い国だ」と「ソフトパワーに優れた国であるから国際関係で自信を持って行動すべき」との主張に改めて共感した。
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(左 ナイ氏 右 アーミテージ氏)
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世界で「最も幸せな国」はどこか

現在の世界で「最も幸せな国」はどこだろうか。それはデンマークであり、米コロンビア大学地球研究所が調査し発表した世界各国「幸せな国」ランキングでトップを占めている(2013年9月CNN)
 
上位10カ国は以下の通り。
1.デンマーク 2.ノルウェー 3.スイス 4.オランダ 5.スウェーデン
6.カナダ 7.フィンランド 8.オーストリア 9.アイスランド 10.オーストラリア

この他の主要国では、米国17位、英国22位、ドイツ26位、日本43位と好感度ではトップクラスでも、幸せ度では中間となっている。

幸福度が最も低い5カ国はルワンダ、ブルンジ、中央アフリカ、ベナン、トーゴと、アフリカのサハラ砂漠以南に集中している。

デンマークという国

 そこでデンマークという国の全体概要を見てみる。

① 面積は約4.3万平方キロメートル(九州とほぼ同じ・除フェロー諸島及びグリーンランド)
② 人口は約560万人(2013年デンマーク統計局)
③ 首都はコペンハーゲン(人口は約70万人、首都圏の人口は約120万人)(2012年末)
④ 言語はデンマーク語
⑤ 宗教は福音ルーテル派(国教)

 このデンマーク、今でこそ世界有数の豊かな国家となったが、これは一朝一夕でできたわけではない。19世紀初頭のデンマークは、経済的に破綻し、領土も喪失して、実際に「貧しく、小さな国」であった。

 そこからデンマークの人々は立ち上がり、土地改良ほか、さまざまな改革と努力によって、今日の恵まれた国を築き上げてきたのである。

 現在の政治は、2011年9月の総選挙によって、10年に亘り政権を担当してきた自由党及び保守党による右派連立政権が敗北し、社会民主党を中心とする左派が勝利を収め、トーニング=シュミット社会民主党党首を首班(デンマーク初の女性首相)とする中道左派三党連立内閣が発足している。この政権は、移民には厳しく、仮に夫か妻がデンマーク人であっても、手続きが大変な上に、政権交代のたびに移民制度の内容が変わり、EU以外の国からの移民は特に難しい。消費税は25%。同性婚は昨年認められている。

有名な文学者はアンデルセン、哲学者はキルケゴール、スポーツでは自転車競技、ヨット、カヌー、ハンドボールが強いという。

世界で最も「暮らしやすい都市」はどこか

次に、世界で最も「暮らしやすい国」はどこだろうか。それはデンマークの首都コペンハーゲンである。ロンドンのライフスタイル誌「モノクル」が毎年、世界の都市のどこがもっとも暮らししやすいかをランキングしているのでみてみよう。

編集長のタイラー・ブリュレが選定基準を次のように語る。
「『本当に良い街』とは、一日の間にできる限り多くのことを気持ちよく体験させてくれる街のことだと、私は考えています。朝、子どもを学校に送り届け、買い物をし、仕事に出かける。そうしたことをスムーズにストレスなくできる街です。

犯罪の多いエリアを迂回すべきだろうかとか、自宅に泥棒が入っていないだろうかとか、そんな心配は誰もしたくないはずです。また、交通渋滞にはまって一日を無駄に過ごしたくもないですよね。そうした考えに基づきランキングするには、まず治安や交通の便、それに基本的なインフラや自然環境の豊かさといったポイントを重視しています」
   

コペンハーゲンを歩いてみて

コペンハーゲンには、2013年5月18日(土)にベルギー・ブリュッセル空港からスカンジナビア航空で入った。

ブリュッセルでは雨が降り、寒くて震えたので、ここより緯度が高いコペンハーゲンだから、もっと寒いだろうと予測し国際空港のカストロップ空港に着き、窓から外を見ると日光が燦々として26度もあるという。 

 ホテルでコペンハーゲンの地図をもらい、早速、街中を歩いてみた。日差しが熱い。ホテルで聞くと、今日は特別だといい、明日は雨だよとつけ加える。

コペンハーゲンには23年前の1990年11月に訪れている。当時の思い出を辿って、市庁舎の前に立つと何か騒々しくなっているような感じがする。

この市庁舎は1905年に完成した6代目にあたるもので、中世デンマーク様式と北イタリアのルネッサンス様式を取り入れた堂々たるたたずまいの建物。コペンハーゲンで最も高い105.6mの塔をもっており、コペンハーゲン市街を見渡すことのできる絶景スポットしても知られている。

だが、この街を一日半、歩いてみて感じたのは「やはり変わっていない」ということ。最初に騒々しいと感じた理由は分かった。市庁舎前の広場がイベントを開催するらしく、多くの関係者が慌ただしく動いており、そのための資材がおかれていたことから、そのように感じたのである。

23年前、この街は、歩いて観光するにちょうどよい大きさだと思ったが、今回も同じ感覚を持つ。
パリやニューヨークを歩いて動き回るのは厳しい。地下鉄やタクシーを使うことになるが、コペンハーゲンは地図を見ながらブラブラ歩くには絶好の街だと思う。

しかし、これだけでは世界一という評価は得られない。

もっとコペンハーゲンには何かがあるはず。それを次号でも検討を続けてみたい。以上。

投稿者 Master : 2013年11月05日 06:56

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