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2005年10月18日

2005年9月重信メイ氏発表から

2005年9月26日 パレスチナ問題を探る 重信メイ氏

重信メイ氏の母は重信房子である。その母とパレスチナ人の父との間に生まれ、28歳までレバノンの難民キャンプで暮らしていた。重信房子が大阪に潜伏中捕まったことから、娘のメイ氏の所在が明らかになり、それまで無国籍者であったが、日本人となってパスポートを取得でき、日本に来て4年。現在は予備校の英語教師をしながら、中東情勢について各地で講演している。

今回は丸の内時流塾で「アラブ全体概要」、ゼミナールで「パレスチナ問題」を説明していただいた。いずれも参加者から好評であった。
その好評の理由は、実体験から構築された実際知識での内容であったからである。一般的に日本人には縁遠いイスラム圏、そのイスラム圏のアラブで生まれ、育ち、教育を受けたのであるから、当然といえば当然であるがアラブについての知識は深い。
その上、日本人となって日本で暮らして4年、いわば異文化の中で突然の生活はずいぶん苦労があったと思われるが、今や日本語も不自由なく話せ、書け、質問に対する回答も論理的で明快、加えて、なかなかの美人であるから、持ち込んだ著書はたちまち売り切れ、購入者にサインをするのが忙しい、という人気振りであった。

講演内容は記録を見ていただきたいが、その内容は始めて知ることが多く、今までマスコミ・雑誌から得ていたアラブ世界、その認識を新たにすることばかりであった。
ということは、日本で報道され、語られ、資料化されているアラブという実態、それは何であったのだろうか、という疑問が生じる。それほどの新鮮な事実認識の連続であった。
この理由を考えてみたが、一つは今までアラブについて深い関心を持って研究していないこと、二つに重信メイ氏のような実体験というより数奇な人生を歩み得ざる人物に出会えなかったこと、三つ目としては、これがもっとも日本人全員にとって関係があり重要なのであるが、マスコミからの情報、これが画一化しているという事実である。
海外諸国から指摘されているように、日本は記者クラブ制度があり、一定の報道機関でないと政府からの直接情報は受けられない。その上、日本国独自機関の世界ネットワークがないので、ロイター通信等の外国機関の情報を利用するしかない。つまり、情報ソースが限られているので、マスコミで報道される内容も各報道機関で大きな差が生じない。ということは、それに接している我々の思考が画一化しやすい、ということになる。これは大変危険である。異なった見解、解釈ができ難いということになり、その習慣は日本人に多様性と異種の考え方への拒否という結果を招くことになりやすい。同質化社会とは一見住みやすいが、その反面、異論を許さないという狭い社会をつくってしまう。これを再認識させてくれたのが重信メイ氏であり、来年も再登場の希望がご参加の方からあり、検討いたします。以上。

投稿者 Master : 2005年10月18日 15:09

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