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2008年02月23日

保田漁港と海洋観光立国のすすめ

経営ゼミナール・ワンポイントレッスン
「保田漁港と海洋観光立国のすすめ」 2008年2月18日保田漁港にて
講師 保田漁業組合 出口専務、山崎事務局長
    NPO地域交流センター 明戸眞弓美氏


1.保田漁業組合
 まず、驚いたのは経営実態である。食堂部門の「ばんや」の売り上げが、1995年オープン以来、昨年8月末までの11年間で27倍の実績となっている。経済低迷下の国内市場で圧倒的な勝者である。


 成功の要因としては、東京から近いという客観的な地理条件があるにしても、何かが存在しないとこのような大成功は生まれない。発想の「漁港に水揚げされる魚をその場で食べさせる」このようなものは珍しいものではない。簡単に浮かぶアイディアの範囲だろう。
 だが、これを実行し大成功している漁業組合は稀だ。アイディアを実行するという熱意と工夫と継続的な改善活動、それが欠けている場合が多いが、この保田漁協は違った。組合長の実行力と熱意が今日の姿を実現した。
今や、事業利益の62%を「ばんや」で稼いでいる。とにかく活気が全く異なる。一般的なサービス、つまり、丁寧・上品・的確というようなサービスを度外視される実態が、売り上げを創造しているのだ。一度は経験しないといけない世界が、保田に存在している。

2.明戸眞弓美氏
 若い学徒、明戸さんの夢は大きい。日本の3000ヶ所に及ぶ漁港をヨットで結ぼうとするビジョンである。
 彼女の発想原点は、フランス大西洋岸の漁港ラ・ロシェルである。フランスの海辺に立った時、海岸の最も条件のよいところにヨットが、整然と係留されている。それを見た瞬間、日本の海岸との比較から浮かんだのが「海とスロー・ツーリズム・ジャパン」の内容である。フランスで実現されている漁港のヨットハーバー化の現実、それを日本で実現できないか。その情熱から今回の著書になり、今回の経営ゼミナールの発表につながった。
 新鮮な主張を真剣に語る明戸さんの活躍を、今後さらに期待したい。

3.日本を救う方法
 人口減の日本、その対策の重要なひとつは滞留人口の増加である。つまり、外国からの観光客を増やすことである。そのための資源は国内に数多くあるが、その中で最も活用していないのは海である。日本国土面積は世界で60番という狭さだが、領海面積と排他的経済水域を加えると世界で6番目という広大さ、海洋国としては世界の大国なのだ。
 我々は視点を変えないといけない。陸から海を見るのでなく、海から陸を見る。そのような発想転換を一人ひとりが行うこと、それが新しい日本の魅力を創り出すだろう。以上。     

投稿者 staff : 2008年02月23日 10:31

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