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2013年03月06日

2013年3月5日隣の国・韓国・・・上

YAMAMOTO・レター
環境×文化×経済 山本紀久雄
2013年3月5日 隣の国・韓国・・・上

3月レターは、隣国である韓国について、日本人の立場から分析してみたい。

安倍政権好調なスタート

英フィナンシャル・タイムス(2013.3.3)は安倍政権を次のように評価した。
「安倍晋三首相は在任60日でまだ失敗がない。60日というのは日本の首相としては立派だろう。不器用さが目立った2006~07年の第一次安倍内閣やそれに続く5人の首相と比べれば、なかなかの偉業といえる。

安倍氏の出発は自信に満ちていた。経済活性化のために打ち出した『リフレ』路線は、政策期待で市場が反応したという点で一定の成果を上げた。日中間の問題では主張を曲げていないが、必要以上に国家主義的態度を取って事態を悪化させることは避けている。
 米国訪問も無事にこなした。自民党の支持基盤である国内農業団体を離反させることなく、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加へ前進した」

黒田日銀総裁への海外論調

 黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁の日銀総裁への起用についても、海外のメディアがそろって詳報した。積極的な金融緩和を推し進める米欧諸国の間では、大胆な金融緩和と積極的な財政出動を組み合わせる「アベノミクス」に好意的で、日本が長引く経済低迷から脱却するきっかけになるという受けとめ方が目立つ。
 一方、アジアでは円安への懸念が一段と広がっていて、台湾・韓国で強い警戒の声が強いが、影響が最も大きいのは韓国であろうと次の見解が述べられている。
 「日本が経済の復活に取り組むことは(工業製品の輸出で競合する)韓国を除くアジアにとっていいことだ」(スイス・プライベートバンク、ジュリアス・ベア)

朴槿恵(パク・クネ)新大統領就任

その韓国の朴槿恵新大統領は、2月25日の就任演説で「もう一度、漢江(ハンガン)の奇跡を起こす」と宣言した。
 この漢江の奇跡とは、1970年代のことで、当時の韓国は年々輸出を伸ばし、年平均の成長率は10%を超えた高度成長時代で、当時の大統領は朴正煕、朴槿恵新大統領の父であるが、この高度成長にあやかる狙いをこめて改めて宣言したものだが、ここで疑問が湧いてくる。
韓国はサムスン電子、現代自動車等の躍進で、日本企業も韓国に学べということが喧伝され、私もサムスン電子経営実態セミナーに出席し、その海外開拓手法のシステム化に成程と思った経験がある。

ということは、韓国は今さら新大統領が「もう一度、漢江の奇跡を起こす」と宣言する必要がない経済実態ではないかと思うが、この認識は間違いなのか。
さらに2009年、UAEから原発受注というニュースが世界を走り回り「さすがに飛ぶ鳥落とす勢いの韓国」という賞賛の声が盛んに上がったことは、今でも記憶に生々しい。

韓国経済は巨大財閥企業との格差が厳しい

 実は今の韓国経済、2012年成長率は2%と低迷化していて、かつての高度成長とは程遠い実績となっている上に、韓国には「三大輸出企業」といわれる「サムスン電子」「現代自動車」「ポスコ(製鉄)」があり、この三企業の売り上げ規模を合計すると韓国GDPの30%になるほどの寡占化が進んでいる。

つまり、ごく一部の巨大財閥企業が韓国経済を支えているというのが実態であり、これら企業は全て輸出企業として存在している。

 また、この巨大財閥企業は業績が向上しても、国内の雇用を増やさない経営をしているので、国民には輸出主導の経済成長による恩恵が及ばなく、国内に多くの格差が発生している。

例えば、財閥企業の給与は国内常用勤労者の平均の二倍に達している上に、子女が大学を卒業するまで授業料を全額負担するなど福利厚生も手厚くなっているが、当然のごとく他の企業はそのようなことはなく、一段と格差を大きくする要因となっている。

 これ等の実態から、朴槿恵新大統領は財閥による輸出依存の従来型の成長モデルを、財閥と中小、輸出と内需という両輪による成長に切り替えたいというのが25日の演説で述べた「創造経済と経済民主化」方針で、情報通信技術を使った新産業を創出し、その一方で中小企業の育成を通じて所得底上げを目指すことを掲げたのであって、方向性としては妥当な戦略だろうと思う。

ウォン安の修正

 このところ日本は円高の修正が進んで、株価時価が一兆円を超す企業が増えたが、一方、韓国はウォン安の修正が進み、輸出産業の競争力に影を落としている。

 輸出の伸び悩みは成長鈍化だけでなく、税収の減少にもつながる。そうなれば新政権が掲げる格差是正に向けた福祉政策も頓挫しかねない。

 その兆候が2月の米国新車販売の実績に表れだしている。2月販売は米国三社、GM、フォード、クライスラーが好調で、トヨタも4.3%増だったが、現代自動車は傘下の起亜自動車を含め▲2.5%減となった。現代自動車の販売が減少したのは2年半ぶりである。
 勿論、現代自動車は米環境保護局(EPA)による調査で、傘下の起亜自動車と合わせ、米国で近年販売していた主力の中型セダン「ソナタ」や「エラントラ」など全体で13車種、合計90万台について燃費性能を誇大表示していたことが発覚したことも、消費者の購買心理にマイナスを与えていることは確かだが、その他の輸出財閥企業にもウォン安の修正によって影響が出始めるだろう。

親日には絶対なれない韓国

 日本の植民地時代の1919年に起きた「三・一独立運動」の記念日にあたる3月1日、朴槿恵新大統領は演説を行い、歴史問題で日本に「積極的な変化と責任ある行動」を取るよう求めた。

また、韓国の約600万人の自営業者らが加盟する民間団体「路地裏商圏生存消費者連盟」が、島根県が22日に「竹島の日」式典を開催したことへの対抗措置として、3月1日から日本製品の不買運動を実施すると発表したように、相変わらず韓国の反日運動は根強く行われている。

 日本の一部で、朴新大統領の父は朴正煕元大統領で元日本陸軍中尉、日本名は高木正雄で、現在の韓国軍隊を日本式でつくった人物であるから、朴新大統領は親日派であるといわれているが、これは全くの誤解であろう。

現在の反日教育は、実のところこの朴正煕元大統領から始まっているし、韓国には「親日法」と呼ばれる法律がある。

それは2005年に公布された「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」で、読んで字のごとく「親日的で韓民族の利益に反するような行為をした者の財産を没収する」という法律である。しかも現在だけでなく、過去にまで遡って処罰する「遡及法」で、たとえば、過去に祖父が親日的な行為をしていたら、その孫が持っている財産まですべて没収されるという悪法が韓国で実際に適用されている。

このように国の方針・法律が反日であるのだから、仮に、新大統領が親日になろうとしても、それは国家の法律上出来ないことになる。

ここで少し深く、韓国人の心情を推測するならば、何か日本に対して問題事例が発生した時「愛国者として怒らねば」という強迫観念から行動をとるのではないかと想像できる。本気で問題意識は持っていなくても、または薄い問題意識でも、愛国者として振る舞わねば、「親日法」が現に国家法としてある限り、自分が叩かれてしまう、という結果を恐れて、日本叩きに参加することになるのでないか。そうしないと「親日」のレッテルを貼られて断罪を受けることにつながる可能性が高いのである。

さらに、韓国の義務教育では、いわゆる日本人が学ぶ「世界史」はなく、韓国史、韓国文化史、東アジア史といった民族史学のみを教えこまれ、その視点から「日本人は正しい歴史を勉強して反省しろ!」と主張してくるが、その背景に存在する「世界史」が日本人と異なるので、多分、いくら議論をしても理解し合えず平行線が続くだろう。

いろいろ日本人の立場から検討すると、隣国韓国とは相容れないことが多い。次号では韓国から日本人に帰化した呉善花拓殖大学国際学部教授の見解をお伝えしたい。以上。

投稿者 Master : 2013年03月06日 09:36

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