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2013年01月21日

2013年1月20日 2013年は脳力を絞る(下)

新成人に対するアンケート結果

昨年12月、2013年に成人式を迎える新成人、男女250人ずつ計500人の回答結果から見られる新成人の政治に対する認識は酷い。(調査会社マクロミル)
 これからの日本の政治に対して「期待できない」と回答した人は21.2%、「どちらかといえば期待できない」も54.4%を占めた。その理由として「政権がまた交代したからといって、すぐに良いことがあると思えない」「公約を実現できないから」といった声が目立つ。日本の未来については「暗い」が13.4%で、「どちらかといえば暗い」の64.0%を合わせると77.4%に上った。「不景気だから」「政治の先行きが見えない」などの意見があったが、この質問には09年以降、8割前後が暗いと回答している。

暗いという認識を煽る新聞
若者が日本について「暗い」と評価する一つの理由としては、以下の日経新聞記事を読むと分かるだろう。明るい未来を見通し、元気づける文体構成ではなく、晴れやかな材料があっても、それを否定する書き方で、日本は安心できない社会だと結論付けしている。
だが、時代とは、常に新しい状況変化に直面し、過去とは異なる問題が様々な形で現出するものである。だから、絶えず新しい事態が発生するわけで、それに果敢に取り組むことを通じて、その時代を前向きに生きることが必要だと思う。したがって、その新しい問題を解決させることに邁進しよう、というように新聞の論説は人々に呼び掛けないといけないと思うが、この日経「春秋」は不安を煽っている。成人式の日に、これを読んだ新成人は、やはり日本は問題多き国で、先行き暗いと思ってしまうだろう。


日本が向かうべき目標像
今の日本が、今後、近未来に向かって行くべき目標を挙げるとすれば次の三つであろう。
① アベノミクスでデフレを解決し、名目成長率を高めた国にもう一度戻す。
② 今のままのデフレ状況を続け、じわじわと国力ランクを下げ続ける。
③ 国家像を新しい価値観でつくり直し、国民みんながそれを納得して行動する国にする。
②は採れない目標であると考えると、①か③しかないことになる。とすれば、①はまだ始まったところで、その成果を得るには、首相を代えないという条件が必要だ。06年以降、7年連続で毎年、首相が交代している政治指導者の大量消費時代と決別しなければ、デフレは解決できず、日本の世界での位置づけは、さらに軽んじられる国になってしまう。

国家像を新しい価値観でつくり直す
国家像の新しい価値観について、月尾嘉男東京大学名誉教授(日経2013.1.12)は以下の提案をしている。成程と思い、そうしたいとも思うが、これを日本国民全員に「その通り」と納得させるには、相当の時間が要するだろう。

日本人の特性から考える
日本人サッカー選手が30カ国で140人も活躍している。選手個人の力量があって活躍しているのは当然としても、日本人ならではの行動も高く評価されていることは間違いない。プロ野球の松井秀樹選手は、常にチーム優先の人で、個人記録は二の次でヤンキースの勝利に貢献してきた。このところが日本人らしいと思う。日本人は組織的プレーに強いのである。だから、ロンドンオリンピックの団体競技で力を発揮したのだ。
ところで、組織として行動するには、必ずリーダーが必要であって、そのリードによる手綱さばきが必要で重要条件である。その日本国のリーダーたる首相がコロコロ変わるようでは、日本人が得意とする組織力は発揮できないのは当然であろう。
明治時代、日本が日清・日露戦争に勝利し、国際社会の一員として認識されたのは、明治天皇の45年に渡る巧みな指導力が影響していることを再認識したい。

明治天皇の素晴らしさ
「江戸時代の天皇の存在感は非常に希薄なものでした。しかし、明治時代になると事情が変わりました。天皇は大きな存在となり、常識があり、公平で、信頼できる人間的美徳の持ち主として、たとえば拮抗する二大派閥間で争いが生じたとき、天皇にご聖断を仰げば、公平なご裁断をいただけるのではないかと期待する雰囲気が自然にできあがっていったのです」とナルド・キーン氏が語っている。(NHKラジオ深夜便2002年10月17日)
さらに、京都大学教授の伊藤之雄氏は「明治22年代以降に絶妙の政治関与を行っていた明治天皇の資質や人間性に、それまで以上に魅力を感じるようになった」という理由で、著書「明治天皇」を書いた動機を語っている。いずれも明治天皇という長期間に及んだリーダーシップによって、日本は素晴らしい躍進を明治時代にとげたのである。

今の日本が当面する人口問題
 素晴らしい発展を遂げた明治時代、長期にわたる明治天皇のリーダーシップに加えて、実は人口増が国力増強・経済成長に大きく寄与していた。
だが、今は逆の人口減という時代、移民受け入れに我々は懐疑的なので、残る対策は「女性の労働参加率」を北欧並みにすることが必須要件である。国際通貨基金(IMF)は女性労働参加率向上で、経済成長率で0.4%アップすると提案している。ここに日本の活路があると考えているが、そのためには絶対必要条件がある。それは一人ひとりの意識、つまり、脳の開発である。今まで違う人間=脳細胞をつくらないといけない。

人間の脳力発揮は「前頭前野」で決まる
今の日本人に求められているのは、脳力の再開発である。脳の新築は不可能だから、新しい脳を建て替えるしかない。そのためには、漠然と約1000億個もの脳神経細胞(ニューロン)を開拓するという考え方ではいけない。
長期的な目的を持ち、未来に向かって努力するための脳、これは、大脳の一部である前頭葉(おでこの内側の部分)の「前頭前野」であると、人間性脳科学研究所長の澤口俊之氏が断定していることは前号で述べた。
 その理論をくどくど述べるよりは、わが身の脳力認識テストを、自らが行ってみることを推薦したい。今年に入って数カ所での講演で、このテストを行っていただいたが、自分を含めてほぼ妥当な脳力の実態が判明した。「夢をかなえる脳」(澤口俊之著・WAVE出版)30ページから68ページである。簡単な内容であるので重ねて皆さんに推薦したい。以上。

投稿者 Master : 2013年01月21日 08:04

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