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2012年11月30日

2012年11月20日 安定した日本が一番だ

YAMAMOTO・レター
環境×文化×経済 山本紀久雄
2012年11月20日 安定した日本が一番だ

富士のお山は日本の誇り

富士山は、その姿の崇高さ、優美さ、安定感によって日本の象徴であり、日本人の心のふるさとです。また、富士信仰ともいわれるように、悩んだ時に富士山を仰ぎみると、背筋を真っ直ぐ伸ばさねば、という想いにさせてくれる日本人の基盤的存在です。

子供のころ、近くの銭湯に行くと、浴槽の壁に富士山と羽衣の松と天女が描かれていました。その当時は何も分からずボーと見ていただけでしたが、あの絵の意味は、富士山が日本人のシンボルであるという証明であったのかと、今頃になって感慨に浸っています。
仮住まいに移って、朝夕に見る富士の安定感ある姿に、改めて見入っています。


 
今は東京が一番人気

今、日本の観光地で一人勝ちは東京でしょう。勿論、その理由は東京スカイツリーと、大正3年(1914)開業当初の姿に復元された東京駅によります。

スカイツリーはXmas装飾でシャンパンカラーに彩られ、東京駅はルネサンス様式の伝統的な装飾で蘇り、皇居までの御幸通りとマッチし、東京丸の内駅前地区は、世界でも指折りの落ち着いたシックな景観になりました。

また、東京駅は外見だけでなく、南北入口内のドームは、八角形の天井に巨大な鷲の彫刻が見据え、折り上げ天井となっていて一見の価値ありです。10月上旬に開催された国際通貨基金IMF総会時、東京国際フォーラムと帝国ホテルが主会場となった関係上、多くの外国人が東京駅を利用したので、世界中にこの安定感のある美しい景観が伝わったと思います。

世界は常に変化している

 アメリカはオバマ大統領が再選しました。だが、経済政策運営への不安が消えず、ダウ工業30種平均が一時下げ、半面、安全とされるアメリカ国債は買われ、利回りが下がり、ドル高となっています。

 中国は新体制、習近平総書記の就任で、新指導部の顔触れににじむ経済政策の停滞への不安か、香港と上海の株式相場は値を下げました。

一方、衆議院解散総選挙後の次期首相候補といわれる、自民党の安倍晋三総裁の発言、2~3%のインフレ目標、無制限の金融緩和、マイナス金利政策……。株価が上昇、日経平均株価は9000円を超えました。

我々が関知できない要因で、世界の経済指標が日ごとに変化し、これを的確に把握することは至難です。それより我々の生活面から見て、世界を評価した方がよろしいと思います。

中国について

 習近平体制について多くの解説が各マスコミでなされています。これは中国の世界に対する存在意味が高まっている証明です。一方、日本の動向に対する報道量は、以前から比較すると格段に減り、やはり経済的に躍進していないと世界からの関心が遠のいていきます。

 その通りですが、ここで少し中国経済・社会実態について分析してみると、先日の共産党大会で、退陣した胡錦濤総書記が2020年までに「国民の平均収入額とGDPを10年比で2倍にする」と発表しました。かつての日本の所得倍増論と同じです。

 中国のGDPは2011年でドル換算しますと7兆4000億ドル、これを計画通り7%成長させ、そこに中国元の切り上げとインフレ率をそれぞれ2%と予測して計算すれば、2020年には20兆ドルを超え、アメリカを抜いて世界一の経済規模に計算上なります。

 中国が世界一の経済国家になると、その経済力を背景に、世界に対する発言力を高め、特に、反日教育を日頃熱心に行っている日本に対しては、尖閣諸島問題を含めて干渉圧力を強化してくると予測されると、多くの識者が述べています。

 確かに、日本が高度成長した時代、日本の経済力をバックに日本は世界での発言を強め、ビジネス交渉でも各国に対し有利に進めることができましたから、中国の躍進と中国人の強引な性格を考えると、世界中が中国によって大きな影響を受ける懸念が高いでしょう。

問題が多い中国社会

 しかし、このGDPというもの、経済力を数字で表したものですが、その算出方法というより、経済をつくる手段に各国の違いがあるので、GDPといってもそれぞれ異なる実態で、それを平等に評価することには問題があります。

 例えば、2012年1月のNYタイムズ紙に、アイルランド人で「フォーブス」誌、「フィナンシャル・タイムズ」紙の元編集者である「エーモン・フィングルトン」氏が寄稿して大反響を呼んだ「日本の失敗という神話」The Myth of Japan’s Failureのなかで、アメリカのGDP計算について次のように指摘しています。

「80年代から米国の統計学者はGDPに対してインフレ率を調整するヘドニック法を積極的に採用するようになった。これは多くの専門家に言わせると、見かけ上の成長率を意図的にかさ上げする手法だ」と。

 アメリカのGDPに対しても批判があるわけで、まして中国には疑問が多くあります。先日、中国のGDP倍増計画について親しい経済アナリストにお聞きしたら「それは簡単に達成できる。中国全土が国有地なので、原価ゼロの上に建物を建てるとGDP向上となる」という見解で、計算上の経済はドンドン増えていくとの回答です。

 言われてみればその通りですが、いずれにしても中国の経済指標には疑問点が多く、実際のところどうなっているのか不明なところが多々あります。

 そのような不確実な中国ですが、確実に言えることは所得格差が酷く、反日デモの背景にはこの格差への不満があるというのが妥当な見解です。

裸官

これは「裸体官員」の略ですが、配偶者や子女が仕事以外の理由によって海外で暮らす、あるいは外国国籍や永住権を取得している中国政府の公務員のことを意味します。文字通りハダカの王様ならぬ「ハダカの官僚」ですが、別に服を着ていない訳でも、役職なしの平役人という意味でもなく、配偶者と子女が外国籍を取得して、国外に定住している官僚のことをいい、配偶者と子女を海外に送り出す理由は、勿論、職権を利用して蓄財し、頃合を見て海外に逃亡するためで、既に海外逃亡した汚職官僚数は四千名強、流失額は総計50億ドルに上るとも言われ、逃亡先は世界各地に広がっており、中でもカナダが人気らしいのです。

 また、習近平総書記一族の資産は300億円ともいわれています。日経新聞(2012.11.16)に報道されるくらいですから、多分、事実だと思いますが、共産党の幹部がどうやって資産を作り上げたのか不明です。いずれにしても一般国民は、幹部との所得格差を熟知しているので、反日教育による尖閣諸島の官制デモという「火遊び」に失敗すると、共産党王朝は過去の中国王朝の歴史が示す結果となる恐れがあると思っています。

91歳のアメリカ人の九州旅行

 友人のアメリカ人女性が91歳になるカリフォルニア在住の母親と二人で九州旅行をして、その結果を報告してくれました。一言で「何も心配いらなかった」というものです。

来日前は母親の年齢を考えて心配していたようですが、日本に着いて1日で全く心配は杞憂で、どこに行っても親切、車椅子はどこの駅でもホテルでも事前に用意され、薬を飲もうとすると親切な女性が水まで持ってきてくれるという、大変満足した旅ができたとの報告で、日本は世界の富裕層高齢者にとって最高の旅行先ではないかと絶賛です。

 実は、ここに日本のよさがあるのです。見かけの経済力であるGDPはデフレで20年間増えていないが、その間に国内整備は進み、とうとう東京駅まで素晴らしい復活を遂げ、「エーモン・フィングルトン」氏が実際に日本に来てみると、世界の評判とは大きく異なり「充実した生活を送っているのが日本人だ」というNYタイムズ紙記事が本当の姿です。

 経済成長という変化は少なく、所得格差は増えたと言っても他国と比較し少なく、大地震を除けば安心・安全で安定した生活の日本、誇りとプライドを持つべきと思います。           以上。

投稿者 Master : 2012年11月30日 09:19

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