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2012年04月05日

2012年4月5日 国の違いから物事を考える・・・その一

YAMAMOTO・レター
環境×文化×経済 山本紀久雄

2012年4月5日 国の違いから物事を考える・・・その一

アルガルヴェ・カップはドイツでテレビ放映なし

2012年3月8日、ポルトガルで開催されたアルガルヴェ・カップ決勝、なでしこジャパンがドイツに敗れたので、早速、ドイツの友人にメール連絡したところ、次の返事がきた。

「女子サッカー試合でドイツが優勝したことは知りませんでした。最近スポーツ番組を見ていませんし、テレビニュースで伝えられるのは、各地で起こっているストライキの模様、ユーロ危機や国の借金の話、ギリシャのこと、アメリカの大統領選挙運動の中継などです。今インターネットでいろいろ探してやっと記事を見つけました。

日本では各メディアがこの試合について伝えていたのに反し、ドイツではテレビ放映されなかったということです。どうりで私も知らなかったわけです。

しかも この試合を見たい人はインターネットで見るように、とも書いてあります。テレビ報道されなかったことの理由は書いてありませんでした。

また一般市民のなかでも今回の女子サッカーは話題に上ることがありませんでした。サッカー試合のあった時間についても ユーロスポーツのほうで把握していなかったらしく、日本のメディアを通じて知ったほどだそうです。

アルガルヴェ・カップ大会がそれほど重要でなかったから、ライヴが流されなかったのだろうか、と書いてあります。ユーロスポーツ番組では サッカー試合でなく、同じ時間に行われたトライアスロン競技のほうのライヴを流していました。

結局 この試合を見たければ、ユーロスポーツのライヴ・ストリームで見て下さい、有料かもしれませんが、とも書かれています」

 この事実を日本人に伝えると「本当か」と皆さん驚く。日本ではなでしこジャパンの活躍が詳細に報道され、帰国時の成田空港風景をテレビで放映したほどだが、ドイツでは全く無関心。国が違えば、対応が反対となる典型事例だろう。

美女でなくても美女とは!!

2012年3月25日の日経新聞「春秋」に、中国のレストランでウェートレスに注文する際、なんと呼び掛けるかについて、面白い記事が掲載された。

日本では、一般的にウェートレス女性に呼び掛ける際は「すみません・・・」とか「おねえさん」で、時には特別に「お嬢さん」と言うのが精々だろう。

ところが隣国中国では、呼びかけがドンドン変化している。計画経済時では「同志・トンチー」と呼ばれ、同志が同志に提供するのだから、サービスは悪いのが当たり前だった。

改革・開放政策が本格的に動き出して、急速に使いだしたのが「小姐・シャオジェ」という言い方。もともとは、未婚の女性に対する伝統的な呼び方であるが、これが復活した。これは今でも台湾や香港で使われている。

ところが大陸、特に北京や東北地方の都市部では近年、カラオケボックスやクラブが多くなってきて、これらに勤める女性にも「小姐」が使われて、レストランのウェートレスにとっては、好ましくないニュアンスになってきた。

代わって広がったのは「服務員・フーウーユエン」という呼び名だが、これはいくら何でも味気ない。ということで、とうとう上海では「美女・メイニュー」と呼び掛ける人が増えてきたという。

この「春秋」記事が出たのが3月25日、翌26日に上海に入ったので、早速地元の女性数人に聞いてみたところ「その通りです」という明快な回答。

時代が移るにつれて、言葉も替わるのは当たり前であるが、「美女」というのは言いすぎではないか。すべてのウェートレスがこの呼び名に当てはまるとは思えないし、言われた方も照れるのではないかと思うが、中国人は気にしないのだ。日本女性なら、多分、照れて、恥じらう可能性の方が高いだろうと思う。

しかし、この状況を知らず、中国へ旅行に行き、レストランで「美女」と呼び掛けしない結果、ウェートレスから雑なサービスを受けて「やはり中国はサービスが問題だ」と評価してしまうのは、間違いになるかもしれない。

国が違えば、同じ意味の言葉でも、ニュアンスが異なる場合が多いが、中国は変化が激しいので、観光客も大変だ。

だが、これが中国の実態なのだから、よいサービスを受けようと思ったら、相手国の実情に合わせないといけないのだろうが、目まぐるしいことだ。

リュクサンブール宮殿

パリ地下鉄でオデオン駅ODEONへ、そこから歩いて6区リュクサンブールLUXEMBOURG公園へ向かった。

地図では公園と宮殿が別表示されていて、宮殿と書かれている方はフランス元老院議会のセナSĒNATである。

16世紀の昔、ここにはリュクサンブール公が居住しており、ルイ13世の母マリー・ド・メディシスや、孫のモンパンシエ公爵夫人や、ルイ18世などが居住した宮殿が、今は議会になっているのである。

フランス議会は二院制である。国民議会と元老院があり、日本とは違って、両者とも独立した議会で、元老院は間接選挙で選出され、任期は6年、3年毎に半数を改選される仕組みである。国民議会は、7区のブルボン宮にある。

牡蠣養殖地として著名なアルカッション地区の女性市長が、この元老院の議員を兼ねていて、その紹介で特別に見学させてもらったのが、2月28日。フランスでは市長が議員を兼ねていることが多い。

この日は、フランソワ・フィヨン首相を廊下で見かけたように、ギリシャ問題で重要会議があり、議員は
多忙で秘書が案内してくれた。この秘書、父が戦後最初の在日外交官だったと打ち明けてくれる。

正面入り口から入ると、各政治家のための木製のキャビネが設置してあり、そこから「名誉の階段 Escalier d’honneur」が重々しく、ここを上がり1800年代に改築された議場に入ると、議長席の後ろには、歴代の著名な政治家ジャン=バティスト・コルベールなど、6人の彫刻が目を惹く。

 さらに、一階の「ゲストの部屋 Salle du Livre d’Or」と名づけられた小さな部屋は、1816年にすべて木で造られ、装飾は繊細で、さすが文化国家と理解したが、最も華々しくみごとと感じたのは議会図書館である。王朝華やかし頃の一場面にいるような気持ちになる。

 (名誉の階段)              


(議会図書館)

リュクサンブール宮殿を見学し、改めて、分かったことがある。それは「主要な構造がすべて石造り」
あるということ。石であるから今日まで遺り、現在でも使われているのだ。過去の支配者層が権力をもって建築した石造りモニュメントが、現代に文化財産として生き遺って、実用化されているのである。

日本には、このような石造りの大きいモニュメントはない。何故に、日本人がフランスに行ってモン・サン=ミシェルやベルサイユ宮殿等を見に行くのは、日本にはなく、珍しいからで、これが観光であると、改めて納得した次第。

外国人から見た日本の魅力とは何か

 日本を訪れる外国からの観光客は、日本には巨大な石造りのモニュメントがないことを承知し、外国にない日本独自の魅力を求めてくるはずだ。それは何か。そのところを妥当に理解して、そこから観光政策を展開しないといけないだろう。次号続く。以上。

投稿者 Master : 2012年04月05日 12:56

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