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2010年01月26日

2010年1月例会報告

経営ゼミナール1月例会報告
『二番底は来る・だが来ない』
経営ゼミナール代表 山本 紀久雄

1月の経営ゼミナール例会が行われましたのでご報告申し上げます。
今回は、年初恒例の山本紀久雄代表による2010年の日本経済の動向についてお話しいたしました。

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山本代表の今回の講演タイトルは『二番底は来る・だが来ない』。果たして来るのか、来ないのか。如何なる意味を包含しているのでしょうか。
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山本紀久雄代表

日本経済は二番底へ

マスコミ報道や識者の意見などを聞きますと、日本経済は二番底に陥るとの見解を耳にします。
山本代表が示された例を取り上げてみます。
まずは日本経済新聞が行った社長100人へのアンケート結果。ほぼ半数の人が、すでに陥っている〜陥る可能性が高いと回答しています。また、株式会社しまむらの藤原秀次郎氏は、景気はもう一段底へ行くとみている、それは、米国経済に底があると見ているから。また、消費者の生活防衛意識が強く、この不景気は長引く、とも語っています。

データから見ると景気は着実に回復

一方、景気動向を示すデータを見ますと、日本の景気は回復基調にあることが示されています。
山本代表提供の資料に、CI(コンポジット・インデックス)とDI(ディフュージョン・インデックス)という指数があります。これらは景気の動きをあらわす指数ですが、この推移を見てみますと、総合指数においては2009年3月から前月差がプラスに転じています(下図参照)。

(クリックで拡大します)

また、OECD景気先行指数においても、2009年4月からプラスに転じているのです(下図参照)。

(クリックで拡大)

すなわち、数字で見る限り、日本は昨年の4月から回復の途上にあると判断されるのです。

景気回復は大企業

その景気回復の中身を見てみますと、回復基調にあるというデータは、大企業が牽引していることが分かります。
こちらも山本代表の資料から、図を参照してみます。

(クリックで拡大)

図中の右の表を見ますと、大企業は2008年12月からマイナスに転じ2009年3月に急激に悪くなりましたが、その後ゆっくりと回復しています。一方、中小企業は、2009年以前からずっとマイナス水準で推移しています。このことが、景気の回復を実感できないことの原因ではないでしょうか。

小泉政権時、日本のGDPはプラスに転じ、景気は回復したといわれていました。このときも、大企業が業績を回復させました。そしてその中身は輸出によるもので、外需関連の産業が中心でした。このときも、データ上に見る景気回復と生活ベースでの景気回復感に乖離があったのは、記憶に新しいことです。

このとき、日本経済の回復は外需を積極的に取り入れることだということを学びました。小泉政権時の景気回復が示した事例は、外需を伸ばすことが、景気回復に必要な要件であるということを示していたのです。

日本が覚悟すべきこと

GDP成長率から判断する限り、日本経済はこの20年間成長していないことが明らかです。そして、僅かに成長を見せた小泉政権時は、外需が成長を牽引しました。
このことから判断すれば、日本の景気は内需主導型では回復することができないのです。
日本人は価値観を変えることが必要と、山本代表は語ります。
そして、この言葉を例に取りました。
「大日本主義を棄てることは、国土を小さくすることではなく、世界全体を我が国土として活躍すること」(東洋経済新報社説・石橋湛山)
これは何も商品を外国へ輸出するだけを指しているのではなく、内需型と思われる業種も様々に工夫し、世界を市場として視野に入れることが必要なのではないでしょうか。
今やインターネットの登場によって、外国との間の距離や時間の壁は簡単に飛び越えることができます。また、政府が国策として進めている観光立国化政策は、日本を訪れる外国人にお金を使ってもらうことによる外需獲得を意味しています。内需専門と考えておられる業種にも、外需を獲得するチャンスがあるのではないでしょうか。さらにいえば、そうした業種も外需を獲得するための創意工夫を考えることが、今後の業績回復に欠かせない要素なのではないかと感じます。その工夫とは、世界から見た異文化としての日本の魅力、また、日本の技術が持つ信頼性、こういった日本の特徴を外国にアピールすることではないでしょうか。

その一例として、ミシュランガイドに日本の個性的な観光地・温泉を紹介してもらう戦略プロジェクトを進めております。それは、内需型産業が外需を獲得するための新しい仕組みづくりを研究することに他なりません。是非皆様もこのプロジェクトを例に、ご自身のご商売に外需獲得型の流れを取り入れるきっかけとしてご参加くださればと願っております。

(事務局 田中達也・記)

投稿者 lefthand : 2010年01月26日 11:49

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