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2009年11月23日

2009年11月20日 これから5年~8年

YAMAMOTO・レター
環境×文化×経済 山本紀久雄
2009年11月20日 これから5年~8年

5年先を予測できるか?

毎日新しい事件が発生し、我々の生活に影響を与えています。特に、突如発生したサブプライムローン問題による金融問題、これによって世界全体の経済が混乱し、いまでも収まっていません。

このように予測つかないことが発生するこので、先行きの予測がつかないのだから、5年先のことなど分かるはずはない、と殆どの人が答えるでしょう。
また、多くの情報と分析力を併せ持つエコノミストでも、サブプライムローン問題を事前に予測できず、また、予測していたとしても、実際に発生した規模内容を的確に指摘していませんでしたので、確実な未来経済予測はできない、と一般的に思われています。
だが、確かに未来は不確定で、予測は困難ですが、5年先を考えることは必要なのです。
何故なら、未来を考えていないと、これからの計画ができなくなり、さらに、計画がないということは、企業経営も人生設計も、その場当たりにならざるを得ず、結局、目的・目標が達成できたかどうかも分からないことになってしまいます。
計画があるからこそ、結果と計画を比較することができ、その達成・未達成が判断できるのです。従って、何事にあたっても計画を作ることは大事で、不可欠事項であり、その計画をつくるためには、予測は難しいという前提ながら、未来を考えておくことが必要です。

天地人NHK大河ドラマ

NHK大河ドラマ「天地人」は平成21年1月から始まりました。主人公の直江兼続は、米沢藩初代藩主上杉景勝を支えた文武兼備の智将で、関が原敗戦後、上杉家の米沢移封に伴い執政として米沢城下を整備し、現在の城下町米沢の基盤を築きました。また、現在国宝に指定されている「宋版史記」や「漢書」などを集めた文人で、その深い教養と見識は豊臣秀吉や徳川家康からも高く評価され、上杉謙信を師と仰ぎ、「利」を求める戦国時代において民、義、故郷への「愛」を貫き、兜には「愛」の文字を掲げた人物です。
このような説明を大河ドラマ開始時に知りましたが、その時点で、直江兼続という名を理解していた人は少なく、NHKに登場するというので、初めて知ったのが殆どではないでしょうか。私もその一人で、一般的には無名の人物が、どうやって大河ドラマになり得たのか、それをずっと疑問に思っていましたので、先日、米沢の上杉神社境内で開催されている「天地人博」に行ってまいりました。
「天地人博」にはすでに20万人以上が訪れているとのことですが、会場を出て、上杉神社に参拝しようと歩いて行くと、天地人のジャンパーを着た男性が近寄ってきて、ガイドいたしましょうかと声をかけてくれました。
これ幸いと、いろいろ伺うことが出来た中で、次の一言が耳に残りました。
「無名の直江兼続をNHK大河ドラマにしようと、米沢市が中心になって5年~8年前から企画し、まず、火坂雅志氏に小説「天地人」( 2006年9月NHK出版)を書いてもらうことから始めたのです」と。
なるほどと思いました。無名を有名にしたいという考え、つまり、計画が前提にあったのです。さらに、ガイドは「直江兼続が無名であったからこそ、今回の成功があったのです」とも補足してくれました。
その通りと思います。今回の計画がなければ、米沢市は今まで通り、上杉鷹山だけの街で終わっていると思います。

シドニーのM君

先月はタスマニア島とシドニーにまいりました。タスマニアのホバートからシドニーのホテルに夜遅く着き、翌朝、朝食をとっていると、笑顔にあふれた若者がこちらに走ってきました。
2005年12月にシドニーを訪れた際、車運転してくれたドライバーのM君です。当時はシドニーのJTBドライバーでした。握手してM君の服装を見ますと、シドニー市営バス運転手の制服です。JTBを退社し、市役所勤務に代わったことは、以前に受けたメールで知っていましたが、勤務中の合間にわざわざ時間を割いて、会いに来てくれ「いろいろアドバイスありがとうございました」とお礼を言われました。
4年前にM君に何をアドバイスしたか忘れましたが、多分、5年先を考えて未来設計を
したらどうか、ということを述べたような記憶があります。
M君は「お土産です」とひとつの小冊子を渡してくれました。表紙を見ると、何とそこにはM君の写真があるではありませんか。小冊子は市営バスの時刻表です。その表紙をM君が飾っているのです。模範ドライバーなのです。すごいなぁーと褒めると、ポケットから三か月の長男の写真を嬉しそうに見せてくれます。市役所に勤務し、元同僚の日本女性と結婚し、子供が授かったのです。元気で頑張るよう励まし別れましたが、とても幸せな気持ちになりました。なお、JTBは今年9月末に閉鎖、元同僚は全員リストラになりました。

シドニーのNさん

この日の夕食は海辺のレストランに行きました。テーブルに着くとアジア系の若い女性が来て、流暢な英語で注文をとります。
シドニーロックオイスターのレギュラーサイズと、スモールサイズを各6個ずつ注文し、ワインは白のマーガレット・リバー Margaret Riverと伝えると、手許のメモ帳リストをすばやく見て「承知しました」とスピード感ある明確な応対に気持よくなりました。
この仕草を見て、直感的に「この女性は日本人ではないか」と思い、日本語で次のオーダーをしてみましたら、ニコッとうなずき「何にしますか」と日本語、それからスムースで、名前もNさんと自己紹介受け、地元の料理を推薦してくれ、夕食を堪能しました。
ところで、何年シドニーにいるのですか、と聞きますと5年弱との答え。それでは「永住権」は取れたのですね、と聞きますと、急に泣きそうな顔になって「まだです。あと5ヶ月でビザが切れます」というのではありませんか。
「永住権」を取得するには、医療やIT技術関連など人手不足分野業務か、美容師とかケーキ・寿司職人などの熟練技術者として認定されることが必要なのですが、Nさんはそれを持っていないのでしょう。レストランのウエイトレスでは熟練技術者として認められません。今までの5年間、何を考え、何をしていたのか、喉から出かけましたがやめました。

2009年4月~9月決算発表

2009年7月から9月のGDP(国内総生産)の伸び率は、前の3カ月に比べて、年率に換算して4.8%のプラスとなり、4月から6月の伸び率2.7%に続いて、2期連続のプラス成長となりました。世界の景気状況が若干改善し輸出増、それとエコカー減税など、前政権の景気刺激策の効果もあり、個人消費が持ち直したことが寄与したとの発表です。
一方、2009年4月~9月上場企業の決算発表を見ますと、業績の上方修正が多くなって、企業間・業種間で業績の差がはっきりしてきました。業績差の要因は、サブプライムローンダメージが限定的な新興国で、稼げる体制を築いているかにかかっています。例えば、ホンダはアジア地域が健闘しているため、2010年通期の業績予想を減益から増益に変えましたし、コマツも中国やインドネシアで活発活動の結果、業績を下支えしています。
つまり、業績の上方修正は、新興国に対する対策を進めてきたかどうかであり、それには数年前、少なくても5年程度前から新興国に手を打ってきたかどうかで決まっているのです。

ボリュームゾーンに軸足を

経済成長するという意味は、その国の中産階級が増加し、この層がモノを買いだして内需が増えて、結果的にGDPが増えるということです。かつての日本がその良い見本です。
世界経済は米国主導型から、新興国に向い、多極化、多層化に変わっていっています。そのような変化が5年ほど前から明確になってきて、サブプライムローン問題から一段と鮮明になってきました。つまり、今の経済状況変化が示すことは、需要の主軸が移転する端境期に位置しており、この構図はしばらく、それは5年~8年程度は変わらないと予測します。

2020年から2050年

しかし、その後の2020年から2050年、このころになると世界中で大変化と大事件が続発し、世界構図と情勢は今と大きく変わり、今の5年から8年程度の予測ではとても対応できず、未来計画つくりは相当の困難が伴います。しかし、長期行動方向指針を定めるためには、世界全体がどのような姿になるかという、概略の考察がどうしても必要です。以上。

【12月のプログラム】

12月11日(金)16:00 渋谷山本時流塾(会場)東邦地形社ビル会議室
12月14日(水)18:30 山岡鉄舟研究会(会場)上野・東京文化会館
12月20日(日)18:00 経営ゼミナール 伊豆ミシュラン戦略研究会

投稿者 lefthand : 2009年11月23日 09:41

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