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2009年05月06日

2009年5月5日 日本は田舎がいい

YAMAMOTO・レター
環境×文化×経済 山本紀久雄
2009年5月5日 日本は田舎がいい

ゴールデンウィーク

各地の空港や駅は、家族連れや行楽客でにぎわっていますが、豚インフルエンザから変異した新型インフルのおかげで、海外に行くことをキャンセルした人も多く、当方も、5月の海外出張は取りやめまして、今後はインフル状況次第と考えています。

山梨県北杜市

ゴールデンウィークの前に山梨県北杜市に行きました。その内容を山岡鉄舟研究会ホームページに掲載いたしました。概要は以下です。
山岡鉄舟研究会のホームページへ

(1)4月19日、山梨県北杜市に鉄舟の書があるとのことで、新宿から約2時間。JR中央本線・長坂駅を降り、北杜市白州(はくしゅう)町、ここは甲州街道の宿場町でして、今も昔の街道風情を残すところの酒蔵「山梨銘醸株式会社」を訪ねました。創業300年で、白州宿の本陣も兼ねていたところです。
(2)店構えは立派で、大きな杉玉に「七賢」の看板。中に入るともろみのいい香りがします。また、「行在所(あんざいしょ)ご案内時間」の看板もあります。
(3)ここには明治13年、明治天皇ご巡幸の折、母屋の奥座敷を行在所(仮の御所の意)としてご一泊され、天井が高く、立派な梁が縦横に組まれ、庭も趣があります。
(4)次の間に入ると、鉄舟書の屏風が目に飛び込んできました。高さ一間あまりの大きさです。鉄舟は明治天皇侍従でしたから、事前視察時に書いたものですが、ここは日本酒の試飲もあって、七賢酒造はうまい酒と知られていますから観光客が結構おりました。
(5)次に向かったのは「長坂郷土資料館」の「富岡敬明展」です。この資料館は山に囲まれた田園地帯に忽然と建てられた感の立派な建物です。「富岡敬明」とは、山梨県最初の権参事(副知事)で、晩年この地域の文化活動、文人育成に貢献した人物ですが、もともと佐賀の人で、この地に地租改正実施に絡む農民暴動を鎮めるため、佐賀から派遣されました。この派遣時に、鉄舟が伊万里県(佐賀県)権令(知事)の時期で、鉄舟が富岡敬明を推薦したといわれている経緯を、学芸員の大庭女史から教えていただき、詳しい解説に驚くと共に、他に誰も来館者がいないことにビックリしました。

知られていない増富の湯

北杜市はちょうど桜の季節。この時期だけ営業している桜バスで、七賢酒造から韮崎駅までの窓外は素晴らしい景観が広がっていました。さらに、韮崎駅から増富の湯までの道はこれまた桜の街道で、東京より少し遅れた山桜の満開を楽しみ一泊いたしました。
 翌日は、益富の湯で経営ゼミナール四月例会を開催いたしました。その様子も経営ゼミナールホームページから概要をご案内いたします。
経営ゼミナール2009年4月例会報告

(1)「増富の湯」は、増富ラジウム温泉郷の中にある日帰り温浴施設です。周りには9軒の温泉旅館がひっそりと点在する、自然に囲まれた山間の温泉地です。
(2)セミナー室で総支配人の小山芳久氏より、増富の湯の説明と、同館が実施されている「健康増進プログラム」についてのお話を伺い、実証データと社会背景からの温泉入浴の必要性を納得しました。
(3)増富の湯は3種類の温度の温泉浴槽があります。源泉そのままを浴槽に流している25度、30度に加熱したものと35度に加熱した浴槽です。
(4)小山氏からの入浴心得は、まずはそれぞれに浴槽に手を入れ、心地良いと感じる温度の浴槽に入ることが大事で、入っていて、寒いと感じたならば、すぐに出て温かいお湯(沸かし湯もあります)に入ること。決して我慢や無理をしないこと、つまり、「自分の気持ちに逆らわないで入ること」でした。
(5)たっぷり1時間ちょっとの入浴を経て、次は、地元の幸をふんだんに使った、その日の朝スタッフが摘んでこられた山菜料理「摘み草定食」をいただき、その後、裏山「命の径」に入り、じゅうたんのように厚く積もった落ち葉の上に、シートを敷き寝て、小山氏のゆったりとしたリードで深呼吸、続いて風の音、鳥の声に耳を澄ませ、自然の息吹を感じとるよう集中させると、いつの間に寝入ってしまうという経験をしました。
このようにすばらしい増富の湯ですが、驚いたことに一般に知られていません。経営ゼミナール例会に参加した方全員も知らなかったというわけで、勿論、温泉側は日夜熱心に伝える努力をしていますが、現実は知られていないのが事実です。
しかし、実際の北杜市には日本人が余り知らない、素晴らしい日本があります。

ミシュラン観光ガイドが選んだ三つ星★★★温泉

以下は温泉文化研究会で私がお伝えした内容です。
温泉保養文化研究会ホームページへ

「09年3月、フランスで『ミシュランガイド・ギードベール・ジャポン』が発刊されました。これはミシュランが編集した観光ガイドで、日本版は初めての発行です。9月に英語版が発売されますが、外国人が日本に観光にやってくるためのガイドですから、日本語版は発刊されません。
さて、このミシュランガイドをひもといてみますと、様々な日本の観光地が紹介されています。もちろん、例の星★の評価付きです。東京近郊の三つ星★★★は、明治神宮など数多くありますが、その中に東京都庁もラインナップされています。日本人の我々から見ますと、評価基準の感覚が少々異なっていることに気づきますが、高尾山に急に外国人が訪れ出したと、以前に話題なったことがありますが、あれはミシュランの簡易版ガイドに★★★として紹介されたからです。
ところで、日本の温泉地はどのように紹介されているでしょうか。日本に温泉地は3,000余カ所以上あります。ところが、ミシュランガイドの中に紹介されているのは、何と9カ所しかないのです。これは驚きです。しかも、★★★であるのは、たったの1カ所です。一体どこが、ミシュランで★★★を獲得したのでしょうか。
その種明かしをする前に、選ばれた温泉地を順次ご紹介しましょう。
★=別府、登別 / ★★ =湯布院、黒川、指宿、野沢、新穂高、竹瓦
ほとんどは聞き覚えのある有名な温泉地ですが、★★の最後、竹瓦温泉(たけかわらおんせん)はご存知の方は少ないのではないかと思います。
では、3,000余カ所から選ばれた唯一の★★★温泉地は…。それはひょうたん温泉です。
ご存知でしたでしょうか? ひょうたん温泉は、竹瓦温泉とともに、別府にある『共同浴場』なのです。竹瓦温泉は、大分県別府市にある市営温泉で、入湯料100円。ひょうたん温泉は、これも大分県別府市にある日帰り温浴施設で、入湯料700円です。これらが、ミシュランが評価した日本の温泉です。
★の数の少なさもさることながら、我々日本人が一般に評価する温泉地との解離が甚だしい、ということにお気づきになられるのではないかと思います。例えば、日本一と謳われる草津温泉や、箱根、伊豆など人気の温泉地、また道後、有馬、など歴史ある温泉地が★を獲得していないのです。知られざるミシュランの格付け認識、これは一体どういうことなのでしょうか」
なお、研究会にご参加の温泉関係者の方々も、ひょうたん温泉を知りませんでした。知られていない地方の共同風呂が★★★という事実、ここに何かのヒントがあるのです。

日本は田舎がいい

今年の3月、エストニアのタリンで、立命館アジア太平洋大学を卒業し、日本語は普通の日本人と全く同じレベルのエストニア美人と会いましたが、彼女が「日本各地ほとんど訪問したが、日本の一番いいところは田舎だ」と断言しました。
また、昨年10月に、パリ・ブローニュの森に近い瀟洒なアパルトマンで、日本とフランスの親睦団体「SUZUKAKE NO KAI」、この会は上流階級の人ばかりで構成していますが、その会員の女性から「日本を二回にわたって、三カ月間かけて北海道の礼文島・利尻島から、沖縄の突端・与那国島まで回ったたが、日本は草花が咲く田舎がベスト」と述べました。書道を好み書き、日常は玄米茶か日本茶しか飲まない大の日本ファンの方が、日本の田舎を高く評価するのです。
さらに、同様の事例は各国で多く聞きます。もしかしたら、我々は欧米人が考える観光地と異なる判断基準で、日本をPRしているではないでしょうか。一度、日本を見る目を自己評価でなく、欧米人から見る他者評価に立つ必要があるだろうと思っています。以上。

【5月のプログラム】

5月 8日(金)16時   渋谷山本時流塾(会場)東邦地形社ビル会議室
5月15日(金)14時 温泉フォーラム研究会(会場)上野・東京文化会館
5月18日(月)18時経営ゼミナール例会(会場)皇居和田蔵門前銀行会館
5月20日(水)18時30分 山岡鉄舟研究会(会場)上野・東京文化会館

投稿者 lefthand : 2009年05月06日 10:04

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