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2007年02月24日

2007年2月20日 主因は内因にあり

環境×文化×経済 山本紀久雄
2007年2月20日 主因は内因にあり

伊古奈で感じた内的世界
二月の経営ゼミナールは、静岡県南伊豆町の下賀茂温泉「伊古奈」で開催しました。ちょうど桜と菜の花祭りのタイミングで、大勢の観光客が訪れていました。
伊古奈といういかにも古式ゆかしいネーミング、その通りで日本の神話が背景にあるのです。この世をおつくりになった天の常立の神、その七代目のイザナギ・イザナミからお生まれになった天照大神、月夜見命、スサノオノミコト。このスサノオノミコトの五代目が大国主命となって日本を治め出雲に地に、そこへ天照大神によって国譲りが命じられ、それに従ったのが大国主命の長男である事代主命。国を譲った事代主命は、伊豆で再生し三島明神となり、その御后が白浜神社の祭神、伊古奈なのです。

古代の人々は、すべて神話とともに生き、その神話を信じて生き、自分の住む世界と、神話の世界が調和し、神話の世界から発した世界観で、自らの内部と、外部の自然現象を調整することが、何の疑問もなく行われていました。
ところが、今の現代人は、これが逆転しています。外的なことに対しては、様々な術と技で上手に対応していますが、内的な落ち着きを失っている毎日です。
しかし、伊古奈の1.5万坪敷地から発する源泉露天風呂、銀河の湯に入り、思いきり四肢を伸ばすと、何ともいえない気持ちよさになり、自らの内的世界に浸り、埋没でき、古代人に戻ったような気になります。

武士の一分
「ゲド戦記」「海猿」等がヒットし、邦画のシェアが洋画を昨年追い越しました。21年ぶりのことです。そこで、元気な邦画を見ようと「武士の一分」、木村拓哉主演を見に行きました。
山田洋次監督、さすがに泣かせます。藤沢周平の小説を舞台に、主人公の毒見役三村新之丞が毒に当たり、盲目となって、それを回復させようと妻の加世、これは宝塚出身の檀れいですが、裸足で神社にお百度参りします。神の加護に頼る姿が、痛々しくも嫋やかで凛凛しい美しさです。最後は加世を手篭めにした大番頭、坂東三津五郎と武士の一分の果し合い、盲目剣谺(こだま)返しで倒します。一瞬の殺陣です。
三村新之丞の食事、麦飯とお椀と一品、芋の煮物が好物だと語ります。里芋の茎ずいきですが、自分の好みと同じだと妙に納得しました。
それ以上に納得したのは、日本の神社仏閣が多い理由です。日本人は古代から、病気、怪我、不幸があると、それは祟り、怨霊、悪霊、物の怪が降り懸かってきたのだと思い、その解決には神仏の加護に頼ったのです。特に、疫病が多かった古代、日本書紀にも「国内に疫病多く、民の死亡するもの半ば以上に及ぶ」という一文もあるように、医学が発達していなかった当時では、神仏に頼るのは当然といえ、結果的にいたるところに神社仏閣が発生し、そこへのお参りという行動は、必然的に「自己の内部への洞察力」を深めていくことになり、結果的に内的面の訓練がなされていきます。

ベトナムの「カワイイ」
「クールジャパン」の流れは、今や「カワイイ」を国際語にしようとしています。
前回、お伝えしたベトナム女性の可愛い美しさ、世界でも一級と思いますが、しかし、この「カワイイ」女性たちの大好物が犬肉であると聞き、一瞬自宅のビーグル犬を思い出しました。朝夕の散歩時に、尻尾を縦横左右に振って、とても「カワイイ」ビーグル犬です。名前はココロと言います。
 そのココロと同類の「カワイイ」犬が、ハノイの市場で、毛を剥がされ、尻尾が小さくついたままで、戸板の上に盛られています。ベトナム語で犬肉はThit ChÓティト チオーといい、プロティンが多く、腹持ちがし、味は牛より豚に似ているらしく、筍とのスープ、蒸す、春巻きに入れる、焼いて食べる、煮物、鍋、串焼き等なんでも美味しいらしいのです。
いずれ世界の動物愛護団体から禁止勧告受けるだろう。と犬肉売り場に同行してくれた「カワイイ」ベトナム女性に毒突きましたが、彼女は「美味いものは美味い。大好物だ」と譲りません。
 この「カワイイ」ベトナム女性と一緒に、ハノイで一番という幼稚園を訪問いたしました。幼稚園の各教室では、子ども達が皆穏やかに先生の話を聞いています。服装を見ると整っているし、躾もよさそうですし、学習と遊びの設備も整っています。
ある教室では、イギリスから買った英語教育スライドで、3歳児がABCを声合わせて歌っています。3歳から英語を勉強しているのです。それらを見ていると、世界のどこに出しても一流と思える幼稚園だと思い、また、3歳児達がとても「カワイイ」ので、それを伝えようとすると、「カワイイ」とは言ってはいけない、禁句なのだと言うのです。
エッ、「カワイイ」と言ってはいけないのか、とまじまじと同行の女性を見詰めてしまいます。ベトナムのマナータブーで、子どもを誉めてはいけなく、誉めるとよくないことが起きると言われているのです。田舎に行くと名前も綺麗なものはつけないそうです。つまり、「カワイイ」と言う表現はあまりしないのです。
その理由は、昔は医学が進歩していなかったので、子どもが亡くなることが多く、昔の人々は神様がそうさせるのだと思い込み、神様に怒られるようなことはしないようにする風習が発したことから、子どもを誉めないことになったと解説してくれます。しかし、今は医学が進歩し病気は少ないのだから、良いこと行った子どもは誉め、かわいい子どもはかわいいというのが自然であるので、今後はこのような迷信は徐々に消えていくだろうとも解説してくれます。
「クールジャパン」の「カワイイ」が、ベトナムで国際語となるのは他国より時間がかかるでしょうが、ここでも昔から病気、怪我、不幸があると、それは祟り、怨霊、悪霊、物の怪が降り懸かってきたのだと思い、その解決を神様に頼ったことが分かります。外的要因を内的に捉えていたのです。

メジャーリーガー
アメリカ・メジャーリーグ、アナハイム・エンゼルス球団職員のタック川本さんにお会いし、2002年にワールドチャンピオンになった、その記念のリングを指にはめさせてもらいました。チャンピオンリングに触れると、幸運が訪れると言われています。
それも正しい運ということです。何が正しいかは、その言葉を受け取るこちらの判断で変わりますが・・・。
タック川本さんからいろいろお伺いしましたが、とても強く感動したことに「メジャーリーガーとして成功する為には、毎日、四食食べること」という言葉でした。
人はたいてい三食です。時には一食や二食の人もいますが、通常は三食です。しかし、メジャーリーガーは四食という意味、そのうちの一食とは何か。
それは「一日終わって寝る前に、必ず、野球以外の知識を食べろ」ということなのです。アメリカではメジャーリーガーは社会の規範的人物です。子供たちの夢の実現者であり、多くのファンの憧れの対象です。そういう立場であるからこそ、自らの行動は社会規範に違反しないこと、社会人として正しい行動がとれる人物になること、それが要求されるのです。その要求に応えるには、自らの内部、内的面の訓練が必要なのです。
バットと、ボールの扱いに優れている。これだけでは一流のメジャーリーガーと認定されないのです。もう一つ、人間として正しい姿が必要であり、この人間力無き選手は大成しないというのです。なるほどと思うとともに、人間にとって、いかに内的面の訓練が重要であるか、それをメジャーリーガーの事例は語っていると思います。

主因は内因にあり
自らの内的面を鍛えるには、その為の前提思想が必要と思います。それは、自分に発生するすべての現象に対して「主因は内因にあり」と考えることではないかと思います。

本と出会うに登場します
 東京放送TBS系列「本と出会う」30分番組に、「フランスを救った日本の牡蠣」の著者で出演いたします。3月3日(土)CS「TBSバラード」11時30分、4日(日)BS「BS-i」7時30分、CS「TBSバラード」11時30分です。以上。
(3月5日号は海外出張のため休刊です)

投稿者 Master : 2007年02月24日 10:31

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