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2006年04月25日

2006年4月20日 脳ブーム

YAMAMOTO・レター 環境×文化×経済 山本紀久雄
2006年4月20日 脳ブーム

事務所の移転
4月22日に事務所を自宅に移転させました。その後片付けや整理などで毎日体力を使い、その結果このレターの発行が遅れました。
移転しようと考えたのは、ドイツからの記事が発端でした。ドイツ在住の日本女性作家がハンブルグからベルリンに引っ越したら、友人のドイツ人が揃って「新しい住まいは壁にペンキを塗るべきだ」と言い、その理由として「自分で壁を塗ればすぐに自分の家だという感じがするから」と言われ納得したとエッセーで述べていました。

これになるほどと思ったわけです。大工が造るのではなく、自分で自宅をつくりあげる、という感覚がドイツ人は強いのでしょうが、自分が手掛けて造っていくプロセス、それは自分の人生も自分で創りあげていくことにも通じることだ、それにいたく納得したのです。
と言いますのも、二年前から自宅の改装を始めていまして、外回りの屋根と外壁は専門家にお願いしましたが、内部は休みの日に予定立てて少しずつコツコツと自分で作業していたためです。特に壁紙を貼る場合は、古い壁紙を剥がし、その後は新しく貼るための準備として養生をし、一定期間をおいて壁紙を貼っていくなどの作業していくうちに、自分の家は自分で大事にするものだという感覚を強く持ち始め、このことは自分の体をメンテナンスすることと同じだと思いました。
ようやくこの4月になって、子どもが成長し空いた部屋を含め全体作業が終わり、事務所スペース部分が確保されましたので引越ししたわけです。今は、自分が造り上げた事務所という感覚に浸っていますが、引越しするに際して本や資料の整理を行いました。いかに無駄なものが多かったと反省し、大量のゴミ捨てになり環境面でご迷惑をかけたのですが、自分の贅肉がとれたようなすっきりした気分となりました。

東京MXテレビ
突然、東京MXテレビ局から電話がかかってきました。来週の木曜日(4月20日)に「脳力最前線」という番組を放送する。三社(名)の脳力開発関係専門家に登場してもらうが、その中の一人として取材させてほしい、という内容でした。
脳力開発という言葉は、師匠の城野宏先生が創始したものです。昭和60年(1985)に亡くなりましたので、既に21年経ちました。昨年、城野宏先生が関係していた「経営ゼミナール」の代表に就任しまして、すぐに「経営ゼミナールの発展」というDVDを作りましたのが今回役立ちました。
テレビの取材は前の事務所でのインタビュー形式でしたので、背景画面は殺風景な壁だけですから、DVDから経営ゼミナールの開催画面を挿入することで彩りをつけて放映してもらいました。
テレビの中でお話したことは、一つは城野宏先生の業績紹介、二つ目は「経営ゼミナール」の開催内容紹介、三つ目は「脳力開発」の向うべき方向性です。この方向性については、日本人の戦略思考の欠如をいつも痛感していますので、そのところを鍛えなおすために、いつも思い考えていることをお話ししました。
東京MXテレビであり、内容が固いので見る人もいないと思っていましたが、結構ご意見をいただきました。また、特に勉強になったのはテレビ局のプロデューサーから聞いた時代の動きです。時流です。今回の番組企画背景に時代が「脳」に高い関心を持っているから取り上げたという説明でした。
改めて振り返ってみますと、城野宏先生が最後の戦犯として、中国から帰られたのが昭和39年(1964)。それから中国の獄中で生きのびた凄まじい体験から生み出した、脳力開発・情勢判断学を世に問い、著書も数十冊出版し、多くの人から支持されたのです。
しかし、今は城野宏先生の名前も知らない人が多く、脳力開発という言葉も死語に近いと思っていたところ、実は世の中が「脳ブーム」という有様になっていたのです。

美人脳
今、書店に行くと「大人のぬりえ」が大量に並んでいます。4年前に「ぬりえ美術館」をオープンしたときには考えられませんでした。
ぬりえは子どものするもの。それが常識です。これは日本だけでなく、世界の常識です。ところが、いつの間にか書店には「大人のぬりえ」コーナーが誕生し、多くの大人がぬりえを楽しんでいるのです。介護施設でもぬりえが行われています。
「ぬりえ美術館」の「ぬりえサロン」、最初の参加者は館長の金子さんだけでした。次第に増えていったのですが、ついこの間までは四五人でした。ところが4月の参加者は会場一杯となりお断りする実態となりました。
こうなってくるとマスコミの取材は更に多くなり、いくつかの企業広報誌にも掲載されるようになって、とうとう内閣府の広報誌「CABIネット」までも取材に来ました。5月号に掲載される予定です。
また、「ぬりえ美術館」のホームページへのアクセスも一段と増えました。そのホームページに掲載された「ぬりえと脳」の関する内容を以下ご紹介します。
「脳が活性化すると認知症の予防になるだけではありません。東邦大学医学部、総合生理学の有田教授は、脳内神経の「セロトニン」の研究者として著名な方で、私(金子館長)も今週、ぬりえをしている時に脳のセロトニンはどうなるのか測定をお願いしている方です。有田先生によりますと、セロトニンには3つの働きがあり、活発になると、1.頭を目覚めさせる。2.筋肉に緊張感を働かせる。3.交感神経を適度に働かせるという動きがあるそうです。ですからセロトニンが活発化すると、眼が大きくぱっちりと見え顔の輪郭引き締まって、顔全体がリフトアップされて、背筋がピンと伸びるそうです。
 素敵なことばかりですね。
 更に、自律神経への働きかけにより、バランスのとれた心の状態に整うのだそうです。つまりセロトニン神経を活性化させれば、顔形、姿勢、メンタル、体調まで、すべてがベストな状態になるのです。今は、「大人のぬりえ」ということで、年配者に光があたっていますが、ぬりえをして脳を活性化するということは、年配者も、子供も、そして若者も、すべての人にとって非常に有効ということになります。
 杏林大学医学部精神神経科学教室の古賀先生によりますと、脳は1日の終わりに軽く動かしたほうが脳の健康が保てるということから、寝る前にぬりえをするのが良いそうです。
ぜひ、子供と年配者だけでなく、すべての年代の方々がぬりえを、特に寝る前にぬりえをしてみてはいかがでしょうか」

加えて、とうとう女性誌の25(ヴァンサンカン)の2006年4月号では、「あなたの脳、『美人』ですか」という特集が掲載されました。そこに次のように書かれています。
「脳年齢を計るゲームや効率重視の脳力アップの本など、昨年来の脳ブームがまだまだ続いています。実は、美人になるためにも脳は大切な働きをしているのです」と述べ、「脳の美人化」計画として「美人脳促進アイテム」を7項目提案しています。その提案の第一アイテムは「大人のぬりえ」です。驚きました。
当方は城野宏先生提唱の「脳力開発」を、経営者にお役に立つよう「経営ゼミナール」でお伝えして26年間過ぎましたが、その間に世間では脳ブームを迎えていたのです。それも何と「美人脳」というところまで飛び火していました。これはちょっと安易な表現ではないかと気になりますが、脳ブームはまだまだ続くと思います。単なるブームは何時か消えていくものですが、人間にとって最も大事で重要な脳、これへの関心は失われることはあり得ないからです。改めて城野宏先生の慧眼に感心しているところです。

人口減対策に脳を
日本人の誰もが正しく事実を認識していること、それは日本が人口減に向っていることであり、高齢化になっていくことです。この事実現象に対してどのように対応していくのか。そのことの議論が各所で多くなされていますが、この議論を他人事にしてはいけないと思います。一年ごとに実態が明確に現れクリアになる人口減と高齢化という新時代、それに対応するのは我々なのです。一人一人の問題なのです。
結論と対策はハッキリしています。人口減に伴う生産力人口減に対しては生産性アップ、高齢化に対しては高齢者自らが脳を活性化させること、この二つの方向性で日本の国づくりをしていくことしかありせん。
そのことを日本人に気づかせるために、脳ブームが発生したと理解しています。以上。

投稿者 Master : 2006年04月25日 19:44

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