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2005年03月28日

2005年パリ農業祭

      2005年第114回パリ農業祭視察報告    
                               経営ゼミナール事務局  
                                      阿部 義通
         

今年の農業祭は2月26日(土)から3月6日(日)にわたって開催された。19世紀末から毎年開催され、今年で第114回目を迎える。まさに伝統ある祭だ。

経営ゼミナール農業祭視察チームの一人として現地に入った。
会場はパリ市南西部のヴェルサイユ。26日(土)朝、まず一人で下見を兼ねて午前10時過ぎ、メトロ12号線の終点の2つ手前の駅porte de versaillesを降りて会場に向かった。初日で土曜日ということもあってか、大変な人出だ。小さな子供達を連れた家族連れも多い。
ビジター用の受付で12ユーロのチケットを買って会場の中に入る。会場は1ホールから7ホールまである。会場のおおよその配置は以下のようになっている。さてどう回ろうかと一瞬考えたが、初めてのことでもあり数字順に回ることにした。
また28日(月)は山本代表を始めとして視察チーム全員で通訳に案内されて農業祭に出かけた。以下の報告はこの2日間の視察をもとにまとめたものである。とにかく会場は大変な広さだ。

1ホール   牛、豚、鶏、羊
2.1    馬、ロバ
2.2    環境 花、昆虫
3      麦、野菜・果物、魚・海産物 海外物産
4      地方物産、ワイン
7.1    地方物産、ワイン
7.2    犬、地方物産
7.3    鳥

さてこの農業祭視察報告は以下のような構成となる。
(1)会場を見て歩いた印象
(2)現地マスコミの取り上げ方紹介
(3)外国人にとっての見所
(4)農業祭視察を通しての感想
(5)日本人(経営者)にとって参考になること 


(1)会場を見て歩いた印象
(ホール1)
●牛の巨大さ
まず1ホールに足を踏み入れた。最初に目についたのは牛だ。びっくりしたのは牛の巨大なことだった。日本ではまず見かけないような大きさで、一体どのくらいの目方があるのかと表示版をみると1500kgsとあった。左右に並ぶ囲いの中の牛を見ながら奥へと進んでいく。 
牛の数はおよそ60頭だ。全部肉牛のように見える。突き当たると豚のコーナーで、黒豚から白豚までそれぞれ囲いの中で寝ている。子豚が沢山いて可愛らしい。ぴょんぴょんと走り回っている子豚がいる。大人の豚でおよそ、20頭。
それからまた牛のコーナーだが、こちらは乳牛。乳房は巨大だが身体は痩せて骨ばっている。この会場で搾乳した乳を持ち込まれた設備で紙パックに充填し、飲ませてくれる。牛のコーナーが終わると羊のコーナーで、羊毛製品も販売されている。羊のコーナーの隣の鶏のスペースは小さかったが、鶏は大きく、脚も羽で覆われているのがいた。
1ホールの中央に広場があり、ここで牛の品評会をやっている。
エレベーターを上がり2.1に行くと、ここは馬とロバのフロアーで、様々な種類の馬具が売られていた。フランス人の豊かなライフスタイルにとって乗馬は大事な一部なのだろうと思わされた。
●大人しい家畜達
家畜はこのような会場で乾草を敷き込んだ囲いの中にいるとはいえ、1週間も過ごすというのは大変なストレスになるはずだが、皆大人しくしている。何かの処置をしているのだろうか。後で聞いた話だが、毎晩家畜農家の人たちが自分の牛とか馬とか豚、羊の横で添い寝している様子がテレビに出ていたと、聞い
た。また糞も出そうになるとその部分に木製の大きな塵取りのようなものをあてがって乾草の上に落ちないようにしている。大変な作業だと感じた。そんなこともあるのだろう、会場はいわゆる家畜特有の臭いは殆どなく、快適に見て回ることができる。

(ホール2.2)
●シラク大統領登場
ホール2.2に移動するとき報道陣の一団がやってきた。農業祭初日ということでシラク大統領が来たのだ。人込みの中に大統領の顔が見える。この報道陣

の波は2.2の会見ブースの前で止まり、大統領がスピーチし始めた。
ホール2.2は自然の生活コーナー。このコーナーで目を引いたのは環境問題への取り組みだ。まず自動車のディーゼル油に植物油を混ぜて廃棄ガスを削減するということで、バイオディーゼル対応の車が陳列されている。植物油も菜の花、ビーツ、大豆と6種類程紹介されている。係りの人がイアホンマイクを使いながら参加者に質問形式で植物油の利用をPRしている。菜の花の廃油を使うという運動は日本でも最近広がってきているが、フランスではバージン油を使うのだろうか。

もう一つは農薬を使わないで、天敵で農作物につく害虫を駆除するという方法で、この天敵を販売している会社はもう20年の歴史がある、とのことだった。またブドウの木の下に黄色い薔薇が植えられているが、これはブドウの木につく害虫を薔薇を囮にして薔薇に集め、ブドウを守るやり方だ。これもできるだけ農薬を使わないという考え方だろう。

(ホール3)
●牡蠣の養殖
ホール3に向かう。このホールは野菜・果物と魚と海産物が並べられている。生牡蠣を食べさせるコーナーがある。並んで順番を待って生牡蠣を頂く。まずヒラガキから。殻ごと口に持ってきて丸い形の牡蠣を食べる。身は扁平で薄く味はさっぱりしている。次はマガキ。こちらは身が長い。味は同じようにさっぱりしている。日本の牡蠣とは大分違う。また別のコーナーでは「フランス人よ、もっと魚を食べましょう」ということで簡単で美味しい魚のメニュー紹介をしていた。ライ麦パンの上にクリームを塗りその上に鱒を乗せたカナッペ風のものを試食させてくれた。
またこのホールには諸外国の農産物が出品されている。イタリアを初めとしたヨーロッパ諸国、ブラジル、アルジェリア、セネガル、それに東南アジアでは中国、韓国からも出品されている。日本からの出品はなかったようだ。

(ホール4)
●ワイン試飲
ホール4は地方の物産展。ワインの店が並んでいる。奥にレストランがある。
(ホール7)
ホール7.1はワイン・ホール。ワインを試飲させてくれるので楽しみなホールだ。
ホール7.2は肉、チーズなど酪農の加工製品が並ぶ。

以上広い会場の駆け足記録であるが、とても1日では回れない。じっくり見て歩くにはやはり最低2日間は必要だろう。小生は2日間出かけたがそれでも足りないくらいだった。

会場の中は混雑してはいるが、身体がぶつかり合うほどでもない。スリに注意するように言われたので気をつけた。ただ歩き疲れた時、ちょっと休むためのベンチとか椅子が欲しいところだが、見当たらない。フランス人はこの程度歩くことは何ともない、特に農家の人たちは、ということだろうか。(続く)

投稿者 Master : 2005年03月28日 20:16

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