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2005年03月20日

塩田を守る・・・ゲランドの塩(12)

■ 塩田を守る
塩田という湿地帯は、人為の介在によって、生態系が豊かになっているところである。人があるやり方を持って介入し、湿地帯が腐食と侵食から保護されると、そこに豊かな生態系が発生する。
だから、人間の関わりようによういかんによっては、崩壊もすれば豊かにもなる。

ゲランド塩田の一帯、それは未開発地域も含むが、1996年にラムサ-ル国際条約(1971年イランのラムサールで湿地に関する国際会議で採択)による国定保護を受けた。
ゲランドの沿岸地帯では、魚の種類が多いことが特徴である。ヒラメ、カレイ、タラ、エビ等豊富である。稚魚の大半がこの湿地帯で生まれ育つ。ある程度の塩分と、水が温かく、荒波から保護されている環境が稚魚の発育に最適なのである。

ゲランドにとって最大の環境問題は、タンカー事故である。1999年に起こしたタンカーが沈没し、沿岸に深刻な重油汚染をもたらした。これがゲランド岬に漂着したとき、塩田口の給水口を閉じ、重油の入ってくるのを防いだが、それ以後もタンカー事故は続いている。
世界の海で航海しているタンカー、その中で事故を発生させているのは、建造後15年以上のものであることが多い。これらがこれからも航海しつづけている現状では、何時どこでタンカー事故が発生するかもしれない。それがゲランドにとっても、海にとっても大きな環境脅威である。

これらの海洋保護は、塩職人だけの問題ではなく、海を利用し活用している全ての関係者の意識と管理の向上に待つしかないが、その改善への努力を「ゲランド塩生産者集団」は今後も続けていくしかないのである。

ゲランドの今後を更に見つめていきたい。
そこにはブランド化への大きな成功ストーリーがある。
日本には見当たらないブランド化への道筋が存在している。

ゲランドから学ぶことは実に多い。

経営ゼミナール代表 山本紀久雄

投稿者 Master : 2005年03月20日 16:48

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