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2005年03月20日

ゲランドの塩の「世界ブランド化」・・・ゲランドの塩(11)

■ ゲランドの塩の「世界ブランド化」
品質も優れてきて、「塩の花」(フルール・ド・セル)は同様のネーミングを冠した商品、それは「カマルグのフルール・ド・セル」と称し、フランス第一の南仏の企業が売り出したが、味はゲランドの正真正銘の「フルール・ド・セル」とは比較にならず、舐めてみれば明らかであるが、そのような類似品とも模倣品ともいえる塩が出回ってきたことは、ゲランド塩が認められてきた証明でもある。
更に、この南仏にある大企業は、スペイン産の安い塩をゲランドに輸入し、梱包をゲランドと銘記して売ることを始めたが、現在、これと「ゲランド塩生産者集団」は闘っているとモランドー・イヴォン氏が語ってくれた。

このような闘いの現状が意味するところは、ゲランドの塩がすでに「世界ブランド化」していることを意味する。他人の確立したブランドを利用しようとする動きが発生したことは、そけをブランドとして育てようとしてきたことが成功した証明でもある。

ブランド化への重要な手段は1992年に設立した「レ・サリーヌ・ド・ゲランド」社という直営の販売会社の設立であった。
この設立によって、商品の多様化やパッケージ・デザインのリニューアル、販売キャンペーン等を行って、創造的イメージづくりを図ってきた。
その中で最も特筆すべき行動は、フランス料理のシェフへのPRであり、シェフたちがゲランドの塩を使ってみて、その味への変化を実際に認識したことによる口コミによる推薦であった。

ゲランドの国際化も進んでいる。現在の販売状況は5%が外国への輸出である。輸出先としてはアメリカ、日本、北ヨーロッパであり、日本への関心は高く、モランドー・イヴォン氏によると日本への売り込むために、関係者が日本へ訪問しているという。

いずれにしても、塩は世界各地で産出されるが、ゲランドで展開されている実際の自然そのままの生産方法を見るならば、改めてその価値を認識せざるを得ない。
工業化による大量生産方式に慣れ親しんだ現代の人々、その人々がゲランドに行ってみると、そこには心の奥底に横たわっている原風景、昔からの手作業生産風景がそのまま実在しているという驚きと共に、昔からの生産方法を守り抜いている姿勢に感動するのである。

今ではゲランドの塩は「白い金」ともいわれている。
それほど「ゲランド塩生産者集団」は、ゲランドの塩のブランド価値を高めたのである。

経営ゼミナ-ル代表 山本紀久雄

投稿者 Master : 2005年03月20日 16:45

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