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2005年03月20日

ゲランドの塩の最大の問題点・・・ゲランドの塩(6)

■ゲランドの塩の最大の問題点
このゲランドの塩生産には最大の問題がある。それは大量生産が難しいことである。
例えば、南仏地中海の塩生産は、11,000ヘクタールの塩田にコンピューター制御により、毎秒10~15立方メートルの海水を供給し、トラクターとベルトコンベアーで毎時2,400トンを収穫することができる。
日本のイオン交換膜式は、1971年から始まった工業生産であるが、天候の影響を全く受けないので、製塩のための専有面積は少なく、労働力はわずかで、生産量は膨大である。

これらに比べて、ゲランドの塩生産は全くの自然の中での作業だけであるから、天候に左右されることになる。天日塩の弱点である。太陽の加減、風向き、その強さ、湿度、天候の移り変わり、潮の満干等によって塩の生産量が変わっていく。
年間平均生産量は一万トンであるが、200トンから22,000トンというように変動が大きい。これが弱点であるが、現在では後述する「ゲランド塩生産者集団」が貯蔵倉庫をつくり、3年間のストックを蓄えているので、販売量としては安定供給できるようになっている。

収穫期は一般的に3か月である。6月中旬に始まって、9月中旬には終了する。
収穫する塩の種類は2通りある。「粗塩」(グロ・セル)と「塩の花」(フルール・ド・セル)である。
「粗塩」(グロ・セル)は結晶体の比較的大きい多少灰色がかかったものであり、「塩の花」(フルール・ド・セル)とは細かい結晶で、軽くて非常に白い色をした塩である。
「塩の花」(フルール・ド・セル)が塩田のオイエ(採塩池)の水面に最初に浮き上がり、それをそっと掬い取るように収穫する。「粗塩」(グロ・セル)の収穫量に比べると十分の一から二十分の一であるため、純度は高く値段も高い。

実際の塩の収穫作業は、塩田の最終池であるオイエの畦道であるラデュールに塩をかき集める。ラスという塩をかき集めるのに使う最低5メ-トルほどの長い棹の先に横木がついたもの、それでオイエの床をえぐらないように薄く上手く塩の結晶だけを、まず床からローリングするように引き離してから、ラデュールの上に円錐形状に盛りつけるのである。

経営ゼミナール代表 山本紀久雄

投稿者 Master : 2005年03月20日 16:36

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