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2008年07月05日

2008年7月5日 日本人は自由発想が好き

環境×文化×経済 山本紀久雄
2008年7月5日 日本人は自由発想が好き

渋谷の街

渋谷山本塾が始まって、毎月、第二金曜日の夕方、渋谷の繁華街に向かい、終了後の懇親会で様々な業態の飲食店に入ります。ハナ金という表現は古いのでしょうが、どこも若い人が一杯、店側の対応も声が大きく、はっきり明確、元気一杯です。
渋谷から原宿一帯は、欧米ファッションデザイナーたちが「ストリート・ファッション」の世界的聖地と称し、デザインアイディアを求めて来るところとして有名ですが、渋谷を歩くたびに、その意味を再確認しています。

また、それを証明するのが、渋谷発のカジュアルファッション「ア・ベイシング・エイプ」で、今や世界中の若い層から支持を受けるグローバルブランドとなりました。

町屋の街

荒川区の町屋でも山本塾を開いています。ぬりえ美術館での開催です。町屋は渋谷と大きく異なる不思議な街です。昔がそのまま残っていて、通りには懐かしい都電が走り、そこに都内とは思えない昔スタイル姿の商店が並んでいます。また、店と店との間にはいくつもの路地があって、この路地奥に入り込むと、はじめての人は必ず方向感覚を失います。
これは断言できます。何回も挑戦してみた結果の断言で、入り組んだ路地からの脱出は極めて困難となって、そこを歩いている地元人に尋ねますと、一様に困った顔をします。
住民であるからこの地区の路地に精通して迷わないのですが、はじめての人に説明するのは難しいのです。何故難しいのか。それは目印となる存在物、例えば郵便局とかコンビニとかが、路地内に存在しないため、漠然としか説明できず、説明するほうも、受けるほうも一様に困った顔となる街、それが町屋です。

好きなことを仕事にしている

 その町屋で音楽関係者の方と食事する機会がありました。知人が「山本さんは、いろいろ好きなことを仕事にしている人です」と私を紹介しますと「いいですねぇ」との返答です。こちらから考えると、音楽が好きでプロになっているのだから、そちら様のほうが羨ましい立場だと思いましたが、そのまま笑って過ごしました。
 最近、このような形で私が紹介を受けることが多くなりました。世界の牡蠣、日欧温泉、ぬりえ研究、世界旅行記と山岡鉄舟の雑誌連載、経営コンサルタント業、確かに様々な分野に広がっており、勝手気ままな仕事をしていると思われているかもしれません。

形はその通り

表面に顕れた形はその通りです。さらに、本の出版分野も相互関係がないので、よく「混乱しませんか」という質問を受けます。これへの回答は「全く混乱しません」とお答えしています。人から見た自分への評価は、概ね妥当なことは言うまでもありません。自己評価は自分を的確に見ていないことが多いのです。
しかし、知人が私を紹介した内容については、違うと思っています。表面上に形として顕れているのは、様々なテーマを扱っているので、異なる分野と思われるのですが、それを進めている当事者としては、すべて「好きな」分野の範疇内なので違和感がないのです。

考えることを作業化している

 実は、本当に「好きな」ことは「考える」ことなのです。
といいますと、哲学的や思索的なことを思い浮かべるかもしれませんが、そうではなく、日頃の行動を「考える」ことのシステムに結び付けることが好きなのです。
私の専門である脳力開発では、考えるということを五つの行動に分類します。まず「集める」「分ける」「比べる」「組み合わせる」「選ぶ」という五段階です。考えるという行動を分析すると、どのようなパターンでも、また、対象の軽重差があっても、必ずこの五つのシステムステップに集約します。
ですから、日頃から意識して、このシステムステップを継続していますと、どんな対象・問題・テーマが来ても、対処できることになります。
つまり、形は異なる仕事でも、すべてこの好きな「考える」システムステップで進めていますので、自己矛盾なく、結果として割合自由な発想を浮かべることができるのです。
 
ソウルの新聞記事

 朝鮮日報というソウルの新聞があります。そこに「『国民総魅力』で世界をリードするお隣ニッポンを見習え!」という記事が掲載されました。
 内容を一言で述べますと「現在の日本は経済大国から『文化大国』へと姿を変え、世界で最も魅力的な国のひとつになり、それを活用して、金を生み出し、富を創り出す『ソフトパワー』の経済モデルをつくった」というものです。
 その背景には、2005年に発表された経済産業省の「新日本様式・ネオジャパネスク」という報告書が存在すると分析し、付加価値の源泉が「量から質」、さらに、「質から品位」へ移行させ「21世紀版ジャポニスム」の栄光を目指しているとあります。

各国の肯定的影響調査結果 

英国BBCが世界34カ国、1万7000人に対し、指定した14の国・地域のうち「どの国が世界によい影響を与えると思うか」を2008年4月に再び調査しました。
 結果は、日本とドイツを挙げた人が最も多く、昨年に続き日本の魅力が高いことを、世界の客観的調査結果が明らかにしてくれました。因みに、最下位はパキスタンで、その次はイスラエル、イラン、北朝鮮と続きます。何となくイメージでわかります。

ホテル関係者のアンケート調査
 
大手オンライン旅行社エクスペディアが、ホテル関係者4000人に行ったアンケート調査で、総合的に最も評判のよいのは日本人という結果が出ました。
 逆に最も行儀が悪いのは英国人、続いてロシア人、中国人であり、最も声が大きくうるさいのは米国人、最も静かなのは日本人とドイツ人という結果です。
 確かに、6月末にドイツ鉄道ICEでフランフルトからミュンヘン、それとTGVでパリに行きましたが、ドイツ人は車内で静かです。日本の新幹線並みです。また、ドイツのホテルの朝食でも皆静かに食事していますから、このアンケート結果は妥当だと思います。

国際フェスティバル

 ドイツ南部の街カールスルーエでは、ちょうど国際フェスティバルが開催されていましたので、そこへ参加しました。ここは人口27万人、ドイツ最高裁判所や原子力研究所があって、城を中心に、道路が放射線状に造られている落ち着いた品格のある街です。
 会場には国際フェスティバルの名にふさわしく、何十カ国の関係者が集まって、屋台や特産品販売、舞台での踊りやコーラスが朝から深夜まで行われ、大人気でした。
 日本コーナーは浴衣をピチっと着こなしたドイツ人女性が対応し、舞台では日本人とドイツ人の混声合唱、曲は日本語で荒城の月、ホタル来い、サクラ・サクラ、村祭り、ソーラン節。特に最後のソーラン節は迫力があり、太鼓のリズムと合致し、観衆から大拍手でした。この現象を見ていますと、諸外国もそれぞれ趣向を凝らしているのですが、どうも日本の人気が頭ひとつ他国をリードしていると感じました。

ソウル新聞記者の疑問解消 

前述のソウル新聞記者が、どうして日本文化はこんなにもパワーがあるのか、という疑問を持ちつつ、それを解消したのは、ある大学教授の次の発言からと書いています。
「日本はすべての事物に神がいるという汎神論の国です。石にも木にも川にも神がいると信じられていた。そのため森羅万象に人格と生命を与え、自由自在に擬人化することが出来る。だからアンパンから『アンパンマン』というキャラクターを生み出せるのだ」と。

なるほど、形として表に顕れている日本のキャラクターや、ファッションやソフトパワー、それを生み出す根源に汎神論があって、そこが唯一神の諸外国とことなるという見解ですが、そうだろうと頷きつつ、もうひとつ大事な要素があると思います。それは日本人が、何ものにも神が宿っていると信じることを、本来「好きな」国民性だということです。

自由な発想を浮かべるには、「好きな」ことを行うという前提が重要と思います。以上。

投稿者 Master : 2008年07月05日 11:34

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