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2007年11月21日

2007年11月20日 すべてに戦略が優先する

環境×文化×経済 山本紀久雄

2007年11月20日 すべてに戦略が優先する

アジア王者

サッカーのアジアのクラブ王者を決めるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は、14日に決勝を行い浦和レッズがセパハン(イラン)を2-0で下し初優勝しました。

この日の埼玉スタジアムは59,000人が入って、全体が赤で埋まり、そこに星印の人文字が一段と鮮やかでした。

スタジアムに行けなかった、さいたま市浦和区民の多くはテレビに釘付け、永井選手が思い切り打ったシュートが先制点となって、さらに追加点を加え終了すると「ウィーアーレッズ」の歓声があちこちの街角で爆発しました。早速、伊勢丹や10月オープンしたばかりの浦和パルコなどが「浦和レッズおめでとうセール」を実施し、そこに人が集まって、NHKテレビがニュース報道するほどです。

もともと浦和レッズは、熱心なファンとその人数の多さ、収入も大きく、以前から黒字で、立派なクラブ経営をしていました。しかし、かつては実力なき人気先行で、
2003年にはJリーグ最下位になり、J2に陥落したときは終わりかと思いましたが、よく復活し、今年のJリーグ優勝も目前です。

何故に、このように強くなったのか。それにはいろいろ要因が重なっていますが、それをひとつに絞って理由を挙げれば「戦略思考」です。野望ともいえる「アジアから世界へ」という目標を掲げたことです。世界の一流クラブのACミランなどと戦い、それに勝って、世界の王者になる。それが浦和レッズの戦略なのです。この野望「戦略思考」を持ったこと、それが今回のアジアチャンピオンを獲得させたと思います。


橋本高知県知事

NHKから地縁のない高知県知事に転じ、地方自治に新風を吹き込んだ橋本大二郎知事が今期限りで引退します。

その橋本知事に県議会の決議が大変なことを突きつけました。それは「今期分の退職金(約2700万円)返上を求める決議」を賛成多数で可決したのです。

決議に強制力がないため、知事は受け取る意向を示していますが、どうしてこのように知事の仕事を全面拒否する姿勢を、県議会は示したのでしょうか。

11月15日に行われた守屋武昌防衛省前事務次官に対する、参議院外交防衛委員会における証人喚問では、本人から「退職金は返納する」と明言発言がありましたが、これは過去8年間にゴルフ接待が300回以上、1500万円以上という明白な倫理規定違反であり当然です。

だが、橋本知事はこのようなスキャンダルはありません。かえって4期在任中に打ち出した斬新な施策は多いのです。例えば、官官接待の全国初の廃止、職員の勤務年数などを基準に上の階級の給与を支給する「わたり給与」の廃止、個人・法人から一律

500円を徴収し森林整備に当てた森林環境税を全国初の導入、同時に情報公開も進め、従来からのしがらみを断ち切り、さまざまな業界団体の圧力・要求をはねつけるなど、評価する県民も多いのです。

では、何故に、議会から退職金返上を求められる決議を受ける結果になったのでしょうか。それは「高知県経済の低迷」の一言に絞られます。県経済は「足踏み状態が続き、よいところがみつからない」(四国銀行・青木頭取)という見解が示すように、確かに各経済データでも全国最下位に近い実績で、議会は知事の経済政策の妥当性に疑問を呈したのです。では、どうして、4期にわたった県知事時代に経済が浮上しなかったのか。

勿論、高知県が持つ構造問題もあるでしょうが、県幹部が「知事の経済政策には戦略がなかった。悪く言えば行き当たりばったりだった」という指摘、これが重要です。

橋本知事が16年間、改革派知事の先駆けとして、一生懸命に仕事をした。新しいことも多々取り入れた。だが、経済政策行動に一貫性が欠け、県民の生活基盤である経済が不振で、「橋本知事では経済再建は期待できない」という評価になって、退職金返上議決となったのです。厳しいものです。

もし仮に、16年前の就任時に、経済を中心においた適切な戦略を構築し、それを議会に提案し、了解を得て進めていたならば、たとえ、現在と同じ経済実態であったとしても、退職金返上決議という結果とはならなかったでしょう。

物事を進めるに当たっては、最初に戦略構築を図ることが必要で不可欠です。


スーパーオオゼキ

 先日訪問したスーパーのオオゼキ、その好業績にはビックリしました。多分、このオオゼキという名前、東証二部上場企業ですが、殆どの方が知らないと思います。新聞雑誌に一切記事が出ません。しかし、業界では知られた優良企業として著名です。

経営実績は18期連続増収増益で、平成19年2月期の売上高626億円(前年比

12.2%増)、経常利益46億円(前年比10.8%増、売上高比7.4%)、純利益27億円(前年比13.6%増、売上高比4.4%)という見事さです。

店の数は29店舗。出展地域は世田谷区、大田区、目黒区、品川区に限って、方針は①個店主義、②お客様第一主義、③地域密着主義の三つです。

 好実績を支えている実態は、食品スーパー業界の各指標から証明できます。 

1.経常利益率は業界トップ。

2.生産性が抜群で1平方メートル当たり売上高はトップ。

3.従業員一人当たり売上高は2位。

4.在庫回転率はトップ。

5.売上高販管費比率は3位という低さ。

6.総資産利益率(ROA)は第2位。

 店舗運営について補足します。

   1.開店時間は10時、閉店時間は21時ですが、お客さんが来れば開けるし、いれば閉めない。

   2.正社員比率は70%。 

   3.各店は独立採算。店頭価格設定は各店舗に任されている。

   4.本社要員は僅か10名で、年間150人の採用を行っている

   5.業界初のキャッシュバック式ポイントカード発行、現在70万枚。

   6.休日は元旦と2日のみ。

 実際の店頭で、いろいろ説明を受けている間に分かったことは、ここは「個店主義」と「お客様第一主義」を本当に貫いているということです。

食品スーパーに来るお客さんは何を求めるか。それは時折スーパーに買い物に行く、自らの経験で分かりますが、食品の鮮度であり安全です。

 一般的に、大型スーパーでは、本部が一括大量仕入れし、流通センターから各店に配送され、その時は価格が決まっています。つまり、仕入れと価格設定は本部の仕事であり、流通センター経由ですから、そこに時間がどうしてもかかります。

 ところが、オオゼキは違います。29店にそれぞれ仕入れ担当者がいて、毎日、築地と大田市場に行くのです。その日に仕入れたものを、その日に販売するシステムです。 一見、無駄なことのようです。29店分をまとめて仕入れした方が、人手もかからず、仕入れ値も安いと思いますが、そうしていないのです。ということは、その店ごとに、その日に仕入れた魚や野菜が店頭に並ぶのですから、当然ながら鮮度が違います。それが魅力で、その事実を分かっている人によって集客が図られ、結果として生産性が上がって、経営は好実績となるのです。つまり、「個店主義」の展開と、鮮度を求める「お客様第一主義」を追及するという「戦略方針」の徹底実行が、オオゼキの結果を示しているのです。一度、買い物されながら、実態見学されると勉強になると思います。

時代は不透明だから戦略が優先する

サブプライムローン問題、半年前までは、例え問題が発生しても、金額的に見てたいしたことなく、リスクは限定的で、全体の中でコントロールできるものであるといわれていました。ところが8月9日の問題発生から、一転してアメリカだけでなく日本も含めた国際金融市場は大荒れです。リスクを広く薄く分散させる金融新技術が、結果的にリスクがどれほどのリスクであるのかがよく分からない、という恐ろしい結果なのです。

正に時代は不透明で、巨大なヌエです。こういう時代に何がもっとも大事で重要か。それは自ら向う方向性の確かさで、戦略がすべてに優先するという思考です。以上。

投稿者 staff : 2007年11月21日 18:39

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