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2006年01月20日

2006年1月20日 時代の大きな流れに投資する

YAMAMOTO・レター 環境×文化×経済 山本紀久雄
2006年1月20日 時代の大きな流れに投資する

地球はFLAT
時代の最先端にいることをLeading Edge(リーディング・エッジ)といい、そのエッジ(Edge)から見える景色(世界)をEdge View(エッジ・ビュー)といいます。
人は目の前に展開する出来事、その景色状況を自分の文脈で判断・行動し、自分の未来を創っていきます。従って、妥当な文脈判断の連続ならば、未来は妥当な姿になっていきます。だが、眼前の景色は帆船で、つまり、動力は風任せですから、一般的には「景色は見えても実態は風のようにつかみ難い」状況になっています。ですから景色の意味が分からないままに、自分の文脈で解釈し行動することになります。

パリの主婦から年賀状をいただきました。フランス人と結婚した日本女性で、パリで一男二女に囲まれて子育てに忙しい日を送っていますが、ハガキに長男が「先週の土曜日に友達五人と、シャンゼリゼのシネマで『キングコング』を見て、その日はバスチーユに住んでいる友達の家に泊まってきました」とあります。もうそのような年齢になったのかと驚くとともに、このハガキにJR秋葉原駅ホームで見た「キングコング」映画ポスターを重ねました。
「キングコング」は、最初昭和29年(1954)に制作され、当時一年間で961万人の動員力を示しました。その後もシリーズ化し、全部で28作品9960万人の観客動員数ですから大成功です。今やアメリカでもフランスでも世界中で人気です。
「キングコング」の人気がなぜ続いているのか。それは人々が「キングコング」を
Edge Viewとして受け止め「キングコング」の登場を最先端感覚Leading Edgeとして見て、そのことを暗黙の了解事項としているのではないだろうかと、月刊ベルダ誌の編集長に話したところ、「世界の旅先で見る景色、その中で Edge 
Viewと考えられるものを取り上げコラムにしませんか」となって、来月から「地球はFLAT(フラット)」というタイトルで連載することになりました。
フラットと題したのは、世界中の人は階級差なく生きていくべきだ、という想いからですが「景色は見えていても、その背景実態は風のようにつかみ難い」状況の解明について、少しでもお役に立てばという気持ちで、コラムを書いて参ります。山岡鉄舟と併せて連載で忙しくなりますが、何とか挑戦していきたいと思っています。

フランスを救った日本の牡蠣
2月5日(日)14時から15時25分のテレビ朝日系列全国ネットで、「遥かなるオイスターロードの旅」が放映されます。この中で著書「フランスを救った日本の牡蠣」が紹介されることになりました。
昨年の夏開催された世界牡蠣フェスティバル会場で、テレビ朝日の制作担当者が「フランスを救った日本の牡蠣」を片手に、名刺交換に来られました。用件は、宮城県牡蠣が世界に受け入れられ、世界の人々に食されていることを、ドラマ化したいので協力してほしいという内容で、この本の中に出てくる場所と人物を紹介してくれということでした。大変うれしいことで、早速情報提供いたしまして、現地ロケを終えて今回の放映になったのです。
この本は2003年9月に出版したものですから、もう3年を過ぎましたが、世界牡蠣フェスティバルの会場で名刺交換した殆どの人が、名刺交換すると「あー。あの本の著者ですか」と頷きます。牡蠣業界でこの本は知られていることが、昨年夏の世界牡蠣フェスティバル会場で分かりました。
知られている要因は、フランスの牡蠣実態について網羅していることです。一般人が牡蠣を食べる楽しみの実態から始まって、レストラン、エカイエ、市場、養殖者、研究者へのインタビュー、加えて学術的な分野まで網羅しているところに価値を認めてくれているようです。牡蠣は昔から好んで食され、特にフランス人の牡蠣好きは世界でも知られた存在なのに、それらの実態をまとめて情報提供できる資料がなかったところに、この本が登場したのです。その意味で新鮮な内容であると受けとめられ、牡蠣業界に少しはお役に立っているようで、その証明が今回のテレビ朝日放映となったと思っています。
3年前に出版したとき「誰がそんな本を読むのか」と、心配してくれた人もいましたが、今でも牡蠣関係者に参考にされている事実が分かり、専門書というものの息長さを感じています。売れる本を書くのではなく、まだ世の中に無い内容を書いていく。という方針の一環から「フランスを救った日本の牡蠣」を出版し、その姿勢が今回のテレビ放映、それも全国ネットに取り上げられたことを喜んでいます。
また、時代の流れ逆らっていなかったテーマであったこと、その確認が3年過ぎにできほっとしています。
加えて、昨年末から世界10カ国に取材を始めた「世界牡蠣事情」、その2007年出版に向けて励みになりました。

協力を得る
昨年秋ごろから新しい仕事が増え、一段と忙しくなりました。不思議なもので忙しくなると、更に依頼が続いてきます。今朝も経営者向けの雑誌社から原稿依頼が来ました。ありがたいことでご期待にお応えしたいと思いますが、そのような機会が生ずる縁は、多くの方と日ごろお会いしているからこそ生まれるものと思っています。
すでに何回かお伝えしておりますように、今年の9月にNYでぬりえ展を開催いたします。日程も場所も決まって、後はその日のために準備するだけですが、開催するためにはお金の手配が必要で、これが最大の課題です。
どのようなすばらしい企画でも、それを実行するためにはお金が必要です。まして、それがNYでの開催となると、個人的な範囲を超える多額の資金が必要になります。ですから、企業に協賛をお願いすることになります。勿論、文化活動を支援してくれる公共的組織にもお願いしますが、企業という力にご協力を受けないと開催は難しいというのが実態です。そのような背景から、今年に入ってNY展のために企業訪問いたしました。これも忙しくなった一つの理由ですが、開催を最も楽しみにしているNY展ですから、お会いいただく経営者の方にご説明とお願いに参りました。
結果は、おかげさまで多くの企業からご協力賜りまして、来週から現地NYで開催実務打ち合わせができることになりました。

企業経営者の方々にご協力をお願いするためには「なぜNY展がその企業と関係あるのか」という基本的な意味づけの説明が必要になります。誰も関係なく、意味もないところにお金は出しません。大事な資金提供をいただくわけですから、その開催趣旨が該当企業にとって「なるほど」と思う論理性が絶対要件です。
また、この論理構成に加えて、今回の開催が時代の流れに合致していること、その理解を得ることが絶対要件です。つまり、ご協力していただくための最大ポイントは、こちら側からの説明力に存在するのです。企画をつくり、お願いに行くこちら側の脳力にかかっているのです。相手に理解していただくためには、自らの工夫がまず先です。NY展の開催・成功のためには、こちらの論理性・時代性を磨くという努力にかかっています。
「主因は内因にある」。これは脳力開発の指針ですが、まさに、この指針がこのような大規模企画成功のために最も大事で必要なこと、それを今回の企業訪問で再確認いたしました。

時代の大きな流れに投資する
日本経済が最も活力に満ちていた時代に生きたはずの団塊の世代サラリーマン。その人たちが定年間近になって、総額50兆円ともいわれる退職金の動向が注目を浴びていますが、同じ世代で豊かさの二極化が進行していたと、日経新聞が発表しました(2006.1.8)。男性649人、女性102人、合計751人のアンケート結果ですが、金融資産1千万円未満が世帯のほぼ半数いるようです。だが、金融資産が2億円超える人もいて、その人の回答は「時代の大きな流れに投資してきた」という基本姿勢です。なるほどと思います。金融資産でもってすべてを判断できませんが、一つの過去の生き方目安になりますし、時代の大きな流れに逆らっていたら、資産は構成されなかったでしょう。キングコングの国際的活躍も、フランスを救った日本の牡蠣のテレビでの紹介も、ぬりえNY展開催も、すべては時代の大きな流れに沿っていないとうまくいかないと思います。 以上。

投稿者 Master : 2006年01月20日 14:14

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