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2005年03月24日

フランスのブランド力

  経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2005年3月22日
「フランスのブランド力」ピェール・ファーブル・ジャポン社長富岡順一社長

フランスとの長いビジネス経験と、在仏日本大使館に勤務経験のある富岡社長のお話は魅力的である。成る程と頷かせる内容の連続であったが、そこで浮かび上がったことは、日本のブランド力はどのようにものにすべきか、という我々日本人に問うべき内容であった。

1. 現在、富岡社長は資生堂からの出向社長として、ピェール・ファーブル・ジャポン社の経営に携わっているが、もともとは資生堂のフランス進出時に活躍した人物である。資生堂がフランスに進出した際は、カネボウも同時期に進出した。最初はカネボウの方が拡大急で成功したようにみえたが、その後カネボウは撤退せざるを得ない状況に陥った。その要因はスイスの代理店に任せたチャネル拡大マーケティングを採用したことであった。一方、資生堂は当初からジックリとブランドマ-ケティングを展開し、時間は要したが今やプレステージブランドとして定着している。この事例は、進出時の方向性戦略が誤ると、その後に怖いものがある証明である。
2. 資生堂がフランスに進出時にロレアルの会長から言われたのは「資生堂は怖くない。日本でトイレタリー商品を販売している人種は、プレステージ商品の販売に向かない。なぜならばそういう低価格の商品を扱うという体質が、全ての場面に出て行くので、高級品販売には馴染まないだろう」と。
この背景思想には、日本人が考えるブランドと、フランス人が意識するブランドとでは、本質的に差があるという意味である。フランス人はコルベール委員会という「最高の職人技術の保存」と「手作り的な部分」を大事にしていくことを基本にしている。このことを分からないといけないが、それは中産階級社会で育っている日本人には難しい感覚の分野に属するもので、これが体質的にみて日本人の大きな課題となっている。
3. そこで、日本は日本らしいブランド構築が必要である。資生堂は高い日本の工業力、つまり、高品質というところにブランド力を求め、その追求で現在の地位を築いた。しかし、日本らしさというところにブランドの原点をおこうとしたら、それは江戸文化から語ることになるだろう。だが、江戸時代は今では遠い過去のことであり、現在は経済中心という社会価値となっている。その現状でありながら江戸文化を持ってきて、ブランド構築するということ、そこには無理があると考えられるが、では経済力・工業力からブランド力構築をすることでうまくいくのか。資生堂はうまくいったが、果たして同様にうまくいくとは限らない。そのところが大きな課題であり、これは商品だけでなく、日本全体のイメージ構築戦略の難しい問題である。
4. なお富岡社長は4月から国際交流基金に職場を替えることになっている。資生堂時代に経験した国際感覚を持って、日本全体の文化発信の仕事をすることになるが、是非とも日本のブランドイメージ構築と確立に貢献されることを期待したい。   以上

投稿者 Master : 2005年03月24日 14:30

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