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2005年01月31日

自然再生事業・町屋トンボ公園

●通称「デンカ跡地」
荒川区町屋の隅田川沿いに、通称デンカ跡地呼ばれる公園がある。いろいろな種類のトンボがいることから「トンボ公園」と呼ばれている。一度行ってみたいと思っていたが、ぬりえ美術館での事務局の打ち合わせの後、行ってみた。広大な公園で、さすが大工場の跡地だ。公園の中を歩きながら、この公園はまさに「自然再生事業」の貴重な一例であるとの感を強くした。
「隅田川のほとりによみがえった自然」野村圭祐著にこの間の事情が述べられている。

▲入り口のところにある案内板

●工場跡地が自然公園に
九州の水俣市や新潟県阿賀野川流域での水俣病の原因となった有機水銀の全国的調査が行われた1973年(昭和48年)、ここ旭電化の化学工場でも基準値の25ppmをはるかに超える水銀が検出され、これを契機に工場は千葉の京葉コンビナートに移転した。その後この工場跡地の利用を巡って紆余曲折があったが、1983年にやっと合意にこぎつけ、23.5ヘクタールのうち10ヘクタールが公園となった。跡地に残る厄介な水銀の処理をした後、公園の低い所に雨水がたまり、点々と池や湿地が生まれ、ヨシやヒメガマ、カヤツリグサの仲間の湿地植物が生え、そこにやがて昆虫や鳥が集まるようになった。
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▲冬枯れの湿地帯と沼

●自然再生
「再生」とは一旦失われた生命体または生物群集と同様のものを甦えさせることであり、もとより簡単なことではない。いわゆる通常の土木工事とは全く次元を異にしている。
それにしても、と思う。植物も昆虫も一体どこから来たのだろうか。生態系の基礎を支える微生物はどうなっていたのだろうか。自然が復活するには人智を超えた微妙なバランスも必要なのかもしれない。
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▲周囲の建物

●自然環境は公共的価値
そして人間は、いや政治家とか役人、企業家は、自然そのものがあるとなぜかじっとしていられず欲得もからめて「利用」を考えてしまうもののようだ。自然そのものの価値は都市部ではいつも過小評価され「開発」という危険にたえず晒されている。

●環境保存のための市民活動
唐突な言い方になるが自然再生事業は私達市民の意識と行動にかかっていると言っても過言ではない。都市部の自然は開発を待っているまだ価値を生じていないスペースではなく、それ自体で既に公共的価値を持っている共有資産なのだという認識が必要なのだ。ビルは古くなれば取り壊し、新しいビルを建てることができる。しかし自然は一旦破壊されてしまったら再生は容易なことではないし、再生できない可能性の方が高いのではないか。
私が住んでいる埼玉県南部はかつて雑木林が多く武蔵野の風情を残していた。しかし現在、私の家の周りは殆ど開発され分譲住宅、マンションに変わっている。
今回はトンボ公園の写真を見て頂きながら、自然の再生の意味をご一緒に考えて頂ければ幸いである。
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▲散歩道

投稿者 Master : 2005年01月31日 11:07

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