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2005年01月22日

2005年1月経済アナリスト北川宏廸氏発表

(紙上ワンポインレッスン) 

テ−マ「銀行再編成・どうなる2005年の金融情勢」
2005年1月17日例会 経済アナリスト北川宏廸氏発表内容から

紙上ワンポインレッスンは、経営ゼミナ−ル代表世話人の山本紀久雄がコメントいたします

■1月例会雰囲気
北川氏の発表は魅力的である。自らが連載する月刊ヘルダ誌を持参し、それに基づき親切な解説をしてくれる。これは本の著者が直接読者に「書いた意図」を解説してくれるのと同じである。

文面では表現でき得なかったであろう著者のコメントをつかみ、その背景を知ることで、主張の理解と論点整理が出来、議論が活発になるという効果がある。作家の講演が人気があるのもこの理由であり、それと同じ雰囲気の1月例会であった。

■銀行不良債権処理が経済活性化の根本理由
今回、北川氏に登場いただいた理由は、日本経済がバブル崩壊以後長期低迷していた根本理由を再確認したいためでもあった。バブル崩壊以後、宮沢内閣以来森内閣まで一貫して「赤字国債発行による総需要喚起政策」を採り続けてきたが、結果は財政悪化を招くばかりで経済は活性化しなかった。小泉内閣になって公共投資路線から銀行不良債権処理路線に、その政策の基軸を変え、その成果が表れるにしたがってGDP成長率はプラスに転換上昇したのである。
ということは不良債権が経済不活性化の根本理由ということであった証明でもあった。どうしてこのような要因を最初から解明できずに、膨大な財政赤字をつくってしまったのか。そのことへの疑問としては、政治家及びブレ−ン経済学者のセンスの問題とは思うが、いずれこのテ−マで北川氏に再度登場いただきたいと思っています。

■東京三菱の戦略失敗
不良債権処理とは日本経済の活性化への道筋でもあるが、一方、不良債権を抱え込んでいる銀行側の経営問題でもある。国家政策としては経済活性化目的であり、銀行にとっては経営体質強化目的である。その銀行経営視点でメガバンクの戦略選択を見るならば、東京三菱が「不良債権比率をさげること」に中心をおいたのに対し、たの3メガバンクは「新しい金融のビジネスモデル」構築に取り組む最大のチャンスとしてとらえ、その結果は2005年9月中間期決算結果として如実に表れた。東京三菱が苦しくなり、巷間言われている「東京三菱が安全・安心」神話が崩れたことを、デ−タで指摘する北川氏の論点は重要な学びを与えてくれる。

■何を学ぶか
問題の発生から解決方向への戦略を構築をするためには、現象を的確に分析・把握することが大事である。しかし、北川氏が指摘する東京三菱の事例は、分析・把握が的確にできたとしても、戦略構築にはもう一つの要素が必要であることを教えてくれる。それは「戦略構築する立場が持つセンス」の優劣差である。戦略構築という方向性決定には時代を見抜くセンスが必要不可欠なのである。時代のセンス無き経営行動は大きな失敗戦略を構築することになる。                         

投稿者 Master : 2005年01月22日 11:35

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